希望と孤独の狭間で…   作:B.delta

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第12話  進展

俺は朝早く登校した。少し行きたいところがあった。

俺は昨日、また少し記憶が蘇ったことにより人を殺す感覚を思い出した。思い出したくはない感覚だが、どこか心地よさを感じてしまうことが怖かった。やはり心のどこかに敵側だった頃の俺が混ざっているのだろう。

 

校長室の扉をノックして、校長室に入る。

 

「失礼します!1-A、鍵無彗仁です」

「あ、君は1年の1位の子だね?こんなに朝早くどうしたの?」

「いきなりですが、10年前のことを教えてほしいです。

俺はあの時、警察に保護されましたが、面倒を見てくれたのはヒーローでした。これまでそのことに特に違和感はなく過ごしていましたが、今になっておかしいなって思いました。

何故、警察や施設ではなくヒーローと共に過ごしていたのか……。

それは俺がまた人を殺さないためですね?でも俺は完全に記憶を失って、個性も大部分が封印されていた。残っていたのは超越した身体能力と“ロック”という個性だけ、それだけなら危害を及ばす可能性は薄い。

だから普通に養子として生活を始めさせた。そうですね?」

「どうして私が知っていると思うの?」

「それはあなたがオール・フォー・ワンを知っているから」

 

「……どこまで記憶を取り戻したんだい?」

「事件のことと、俺が日本に来た理由だけです」

「その理由って?」

「ヒーローを消すため」

「まさか敵になるとかの宣言じゃないよね?」

「現状、それはないです。

俺は戸籍などは一切思い出していません。そしてきっと、今の俺は過去の俺とは違う人間です。一回リセットされて作り上げられた人格が、過去の人格と混ざった結果、それがどんな人間になるのか、それは俺自身何も分かりませんし、とても不安です」

「そっか、私は君が本性を思い出してもヒーローを目指してくれることを期待してるよ。」

「ありがとうございます。では根津校長。10年前のことを教えてください」

「あぁ、君が警察に保護されたときの話だね。

10年前、あの船の謎の部屋には一本の髪の毛が落ちていた、それは君の髪だ。それに船には外部からの侵入も見られない。そして乗組員は全員お亡くなりだ。君の年齢とかを考えなければ犯人が君のことは明白だったさ。でも記憶が完全に無いからどうしようもなかった。あとは君の予想通りだ。

もうHRが始まるよ。教室に戻りなさい。」

「はい。できればこのことは他の人には内密にお願いします」

「わかったけど、記憶が戻ったら逐一報告してね。」

「わかりました。失礼します」

そして俺は校長室を後にした。根津校長だったらもう少し記憶が戻るようなことを教えてくれそうだけどそうでもなかった。

申し訳ないが、もう2度と報告などしない。

 

 

そして始業ギリギリに席につき、HRが始まる。

そしてヒーロー基礎学の時間になった。

「ハイ、私が来た。

ってな感じでやっていくわけだけどもね、ハイ、ヒーロー基礎学ね。

久し振りだ少年少女!元気か!?」

「ヌルっと入ったな」

「久々なのにな」

「パターンが尽きたのかしら」

確かにオールマイトのいつもの派手さがない。

「尽きてないぞ、無尽蔵だっつーの。

職場体験直後ってことで今回は遊びの要素を含めた救助訓練レースだ!」

「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか!?」

飯田が質問して、オールマイトは説明を始めた。

 

そして説明が終わる。

そして俺は飯田ばりの挙手をする。

「俺、今回の授業見学します」

「鍵無少年!理由を教えてくれ!」

「俺の相手にならないからです」

人を見下すような発言をしたことのない人間からいきなりこんなことを言われれば、皆驚くに決まってる。

 

「あ?てめェ!!ふっざけんなよ、クソが!なめんじゃねぇ!俺がぶっ殺してやる!」

「じゃあ殺してみろよ」

爆豪のようなただの口の悪さだけの生半可なものではない、明らかなる殺気に場が凍りつく。

「そこまでだ!少年!」

オールマイトが間に入ってくれて良かった……。

「俺の言い方が悪かったです。俺は瞬間移動できるので、レースの対象外だと思います。だからやりません」

「それは確かに競えないな、見学を許可しよう!」

「ありがとうございます!」

そして俺は1番後ろでモニターを見る。

一応、皆は俺が最初の頃は口数が少なかったこともあり、言葉足らずだったのを何とも思ってないようだ。爆豪は睨みつけてくるが…

 

 

そして訓練終了後、更衣室、

峰田がやらかした。更衣室の穴を見つけたのだ。

覗く前に耳郎のジャックが刺さったからノゾキは未遂に終わったのだが、俺がガチで止めておけば良かったと後悔し、耳郎に謝罪をしようと女子更衣室の前で待っている。すると芦戸が出てきた。

「鍵無じゃん!何で女子更衣室の前にいるの?」

「俺がしっかりと峰田を止めなかったがために、耳郎の手を煩わせてしまったから謝ろうと思って…」

「んー、多分もうちょっとで出てくると思うよ!」

「そっか、ありがとう」

するとちょうどそのタイミングで耳郎が出てきた。

 

「あ、耳郎。すまなかった。俺が峰田をしっかり止めていれば、耳郎の手を煩わせることはなかった」

「大丈夫」

「次からはちゃんと見張っておく」

「頼むよ、まじで次なんかやろうとしたらぶっ倒す!」

「おい、そこまでやるか…」

「鍵無、……あのさ、」

「どうした?」

「ウチってさ、やっぱり女としての魅力、ないのかな……?」

んな訳あるか。上目遣いで見てくるのは反則だ。めっちゃかぁいい。

「そんなことは絶対ない。俺は、耳郎が1番素敵に見える」

 

……バタンッ!

 

何かが落ちる音がして俺と耳郎は2人だけの世界から戻る。

するとそこには荷物を落とした麗日を含め、八百万、葉隠、梅雨ちゃんそしてもう教室に戻ったと思っていた芦戸までいる。

嗚呼、ここが女子更衣室の前だということを忘れてた!!

「ご、ごめん!せっかく良いムードなの邪魔して!!」

麗日がとてもあわあわしてる。

「鍵無ちゃん、響香ちゃん、見るつもりはなかったけど、さすがに更衣室の前でやられたらどうしようもないわ」

梅雨ちゃん、俺は今猛烈に恥ずかしい。

「鍵無くん!今のって告白と変わらないセリフだよ!!」

「っ!?」

葉隠に指摘され、めっちゃ焦る。

 

こんな事故のような形で耳郎と結ばれたくはないので、とっさに否定する。

「耳郎!こ、告白したわけじゃない」

「え?あっそ…」

そう言って立ち去ろうとしたから、俺は耳郎の手を引き、逃がしたくなくて両手で壁ドンをした。

さっきの言い方だと俺は耳郎を好きじゃないって言ってるようなものだ。

遠回しだが、否定しなければ…。

 

だから驚いている耳郎を見つめて言う。

「いつかちゃんと告白する」

すると耳郎がへなへなと座り込んでしまった。

俺はしゃがんで耳郎を見た。俯いているから頬を触り顔を上げさせる。真っ赤になって目が回っていた。

……ここまでやって思い出した。やばい!!A組の女子がいたんだった!

 

「今のって!響香ちゃんを好きって言ったようなもんだよね!」

葉隠、、さっきから痛いところをついてくるのはやめてくれ…

芦戸もニヤついて俺らを見てる。

すると八百万が寄ってきた。

「耳郎さん、立てますの?」

「こ、腰が抜けちゃった…。」

「では教室までお連れしますわ。」

そう言って八百万が連れて行こうとするが、俺はそれより先に耳郎をお姫様抱っこした。

「八百万、俺が連れて行くよ」

「そうですね!鍵無さんの方が力持ちですからね!」

そして教室に向かった。耳郎は顔を手で隠してしまって表情はわからない。

「ヤオモモって天然だよね」

「そうね」

という会話が後ろでなされている。

 

耳郎を完全な乙女にしてしまった結果。

この後3日くらいは耳郎とは目を合わせるだけでドックンと爆音をくらうことになった。梅雨ちゃんには照れ隠しだから気にしちゃダメよ、と慰められた。

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