希望と孤独の狭間で…   作:B.delta

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第16話  合宿

林間合宿当日、

両親に心配されたものの、大丈夫の一点張りで押し通し、今日のこの日を迎えた。B組の物間というやつが挑発的なことをしてきたようだが、ドスルーしてバスに乗り込む。

 

1時間後まで何もないらしいので寝ようと思ったのだが皆うるさいので眠れない。仕方なく本を読んでいたのだが、本に全く集中できないほどうるさい。こうなったら…とずっと外の景色を見ていた。

すると何も無いところにおろされる。

「よーう、イレイザー!」

「ご無沙汰してます。」

あれ?聞いたことのある声だ…

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!」」

今回は2人しかいらっしゃらないんだな…

「今回お世話になるプロヒーロー「プッシーキャッツ」の皆さんだ。」

相澤先生の紹介のあと、緑谷が何やら説明を始めたが、キャリアを言ったところでピクシーボブさんに心は18 !と殴られる。かわいそうに…

「ここ一帯は私らの所有地なんだけどね、あんたらの宿泊施設はあの山のふもとね。」

「「「「遠っ!!」」」」

マンダレイさんの一言に皆なにかを悟り始める。

俺だって慣れてきてさすがに分かるさ、とりあえずバスに戻った方が良い。

「今はAM9:30、早ければ…、12時前後かしらん」

バスに戻ろうとする奴がいるが、きっともう間に合わない。

「12時半までに辿り着けなかったキティはお昼抜きね。」

マンダレイさん、こいつら絶対そんなに早く着けないよ…

そして予想通りピクシーボブさんの個性で地面が動く。

「わるいね諸君、合宿はもう始まってる」

知ってたさ!俺はその土砂の流れよりも高くジャンプして皆が流されて下に落とされるのを見ている。そしてバスの近くに着地した。

相澤先生やプッシーキャッツの方に驚かれている。

『あ、避けちゃいました。ごめんなさい、ちゃんと施設まで自分の足で行きますから…、いや、翼かな?』

そうして俺は翼が“無い”背中に、翼が“ある”ことにした。

そのまま山のふもとまで飛んでいく。

 

最近はわざわざ“無い”と考えなくても様々なことができるようになった。俺にクラスメイトの個性が“無い”と考えればどんな個性だって使える。コピーとかではなく、完全に俺のものとして手にできるのだ。これはオール・フォー・ワンとは違う。俺の憶測ではあるが、これは誰にも侵害できない唯一無二の個性なのだろう。でなければ確実にオール・フォー・ワンに奪われていた。

 

そしてマタタビ荘に着いたが、A組の人間は誰も到着していないし、ましてや先生もまだ着いてない。それもそうか、たったの10分だからな、仕方ないよな。

 

待っている間に考え事をする。

なぜ俺は死柄木に触られても何も起きなかったのか。彼の個性は“崩壊”なのだろう、では俺が崩壊しない理由は何だ?指が触れて無かったなんてことはない。確実に触られた。すると1つの考えが浮かんだが、これはにわかに信じがたい。そうして可能性を考えては消し考えては消していると先生たちが着いた。

 

『遅かったですね。』

「おまえが速すぎるだけだ。」

『そうですかね、あ、ピクシーボブさん、マンダレイさんお久しぶりです!その子は誰ですか?』

「この子は私の従甥だよ。洸汰っていうの。」

『そうですか、』

そして俺は子どもの前に行く。名前を聞いた瞬間に色々分かってしまった。いつもの知らないはずなのに知っているという不思議な現象だ。

『やあ、君、ヒーロー嫌いだろ?俺らみたいなヒーローのタマゴとつるむ気は無いんだろ?怖がるなよ、お兄さん不思議なことにわかっちゃうだけだからさ。』

するとパンチされるのでバク宙でかわす。

「そうだよ、わかんなら話しかけんじゃねぇ」

『わかったわかった。まあ、お兄さんは昔はヒーロー目指してなかったからね。大嫌いだったさ。あっ、これは独り言だよ。』

すると一瞬驚いた顔をしたがすぐに行ってしまった。

事実に反することは言ってない。実際敵だったのだからヒーローなんて目指すわけなどないのだ。もしかしたら目指していたのかもしれないが、ヒーローを消せと言われて笑顔でうなずいた人間にそんなことあるわけない。嫌いに決まってる。

そして相澤先生に質問する。

『俺、皆が来るまで何すればいいんでしょうか?』

「荷物を運んで、飯でも作ってろ、全員分な。」

『はい。』

雑用かよ…。でも仕方ない。皆今頃森の中で頑張っているんだろう、あいつらのために働いてやりますか!

 

まずは今日の昼ご飯を作る。俺はおにぎりで十分だが、先生たちのために簡単にカルボナーラを作る。おいしいと感動しながら食べてもらえて良かった。

そして荷物を運んであげ、プッシーキャッツのお二人と夕食の準備をする。時間が経って皆がやっと来たようだ。こっちはちょうど配膳が終わったところだ。

皆、食堂にぞろぞろと来て席に着く。

『ご飯はセルフだからね。』

皆、すごい山盛りにご飯をよそう。そんなに食えるのが恐ろしい。そして腹減りすぎて変なテンションになってるのがもっと恐ろしい。

「鍵無!おまえそんくらいしか食べないのかよ!」

「死んじまうぜ!」

上鳴や切島に心配される。

『俺は逆に皆のご飯の量が信じられない。』

「ウソだろ!」

『上鳴、ご飯粒が飛んでる。汚いぞ…』

「ごめん!」

「てかご飯もおいしいけど、このおかずもめっちゃおいしいぜ!」

切島ぁ、おまえはマジでいいやつだ。

『ありがとう、それは俺が作ったんだ!』

すると前に座ってる障子と耳郎がビックリしてこっちを見た。

「すごいな!」

「なんか負けた気分…」

『マンダレイさんやピクシーボブさんに手伝ってもらったけど、こんなにおいしく食べてもらえるなんて、嬉しすぎるぜ!』

「料理もできるのか…、鍵無、おまえは漢だぜ!」

これは漢なのか…?

『ありがとう!』

まあ褒められてるならいいか…

 

そうして入浴時間になった。

体を洗い、湯船に浸かる。すると峰田が壁を登って女湯を見ようとするから、俺は朝のように翼を生やし飛び上がり、洸汰と同時に突き飛ばした。断じて女湯は見ていない。そして峰田を地面に叩きつけていると、洸汰が落下してきた。それは緑谷がキャッチしてくれて、そのまま連れて行ってくれる。

俺は峰田に説教だ。

『次やったらどうなるかわかるよな…?

それほどまで頭ん中腐ってないよね?

みーねーたークン?』

「ひぃぃぃぃ!すいませんでしたぁぁぁぁ!」

そのまま失神してしまったので仕方なく放置する。しばらくすれば目覚めるだろう。

俺はその後もうしばらく湯船につかり、脱衣所に行く。

その時、失態に気づいてしまった。上の着替え忘れた!

さすがに制服を着るのは嫌だし、まあ上半身くらいならギリギリ許容範囲か…。

そして脱衣所から出て部屋に向かう。すると、まあ嫌な予感はしていたが、ほんとに最悪のタイミングで女子が脱衣所から出てきた。

「鍵無さん!なぜ上を着ていらっしゃらないのですか!?」

『ごめん!うっかり忘れたんだ。』

「そういうことってあるよね!

鍵無くんっていつも長袖長ズボンだから分からなかったけど、すごい筋肉質なんだね!着痩せするタイプだ!」

葉隠が俺のことを観察する。すると女子たちに囲まれてしまった。

「体脂肪率いくつー?」

芦戸に聞かれる。

『4か5%だ。』

「ムキムキすぎるわ。」

梅雨ちゃんに腹筋をペタペタ触られる。それに便乗してみんなペタペタ触ってくる。

『麗日も触りたければ大丈夫だぞ、俺は浮かない。』

「え!いいん!?じゃあお言葉に甘えて……、めっちゃかたい!力入れてるん?」

『いや、全く入れてない。』

「まじかよ、ウチらのこと持ち上げたりできるの?」

耳郎が興味がありそうな目で見てくる。持ち上げられたいのか?

『多分全員持ち上がると思うけど…、ぶら下がってみるか?』

両腕を出してみたらヒョイっとぶら下がってきた。それも全員…

まあ全然大丈夫なんだが…、そして皆おりる。

「筋力は利き腕によって左右差が出るものですが、全く左右差がありませんね。」

八百万は流石、捉え方が斜め上だ。

『俺は完全な両利きだからな、左右差はあまり無いんだろう。そろそろ恥ずかしいから、部屋に戻っていいか?』

「あ、ごめん!忘れてた!」

おい、葉隠、忘れないでくれよ。

『じゃあな、おやすみ!』

そうして部屋に戻ろうとすると、耳郎のジャックが伸びてきて止められた。

『俺、何か悪いことした…?』

「峰田を止めたのってあんたもでしょ、ありがと。」

『あ、あぁ、約束したからな。』

「一応確認するんだけど、見てないよね?」

『絶対見てません。誓って本当です。ってなんでジャックが迫ってくるの!?』

「ホントだな…?」

『信じてくださいよ、耳郎サン……』

「わかった。」

そしてジャックが離れていったので安心して今度こそ部屋に戻ってTシャツを着る。そして日課のストレッチやトレーニングをして眠りについた。

 

 

合宿2日目、

俺は4:00に起床した。普段からこの時間に起きているから何ともない。そして体操服に着替え、皆を起こさないように外に出る。ただ読書をするだけだ。

 

そして5:30、

集合する。寝癖があったりあくびをしていたり、眠そうな人も多い。

「お早う諸君、今日から本格的に強化合宿を始める。

今合宿の目的は全員の強化及びそれによる“仮免”の取得、

具体的になりつつある敵意に立ち向かう為の準備だ。

心して臨むように。

 

というわけで爆豪、

こいつを投げてみろ。」

「これ…、体力テストの…」

「前回の…、

入学直後の記録は705.3m…

どんだけ伸びてるかな?」

すると皆が口々に期待を言うが、正直俺はそこまで伸びているとは思わない。まあ張り切っているようだが…

「んじゃ、よっこら…

   くたばれ!!!」

 (……くたばれ…)

うーん、死ねじゃなくなったからまだマシかな…

くたばれもさほど変わりはないかな?

 

ピピッ…

 

「709.6m」

あー、やっぱりそんなに伸びないよね。

爆豪が愕然としてる。

「約三ヶ月間、様々な体験を経て、

確かに君らは成長している。

だがそれはあくまでも精神面や技術面、あとは多少の体力的な成長がメインで、“個性”そのものは今見た通りでそこまで成長してない。

 

だから…

 

今日から君らの個性を伸ばす。

死ぬ程キツイがくれぐれも…

死なないように…」

 

マジっすか…、

 

そうして本格的に林間合宿が始まったのだった…。

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