希望と孤独の狭間で…   作:B.delta

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第21話  仮免

俺は仮免試験に向かうバスの中でずっと考えていた。

 

檻の自在化に何が足りないのか…

 

俺が檻の自在化を求める理由は1つ、

大きな問題点があるのだ。

今の檻のままでも個性が効かないから十分有用ではあるのだが、閉じ込めるだけなので拘束する時に一度檻から出さなくてはならないのだ。ただ容器に入れているだけ、体力を奪うとか攻撃的なことは一切できない。

つまり、今のままだと檻を解除したときに逃げられる可能性が高い。

檻なのに確保に向かないという重大な欠点だ。それの克服のために、俺は檻の自在化をできるようにならなくてはいけない。

 

すると通路を挟んで隣に座っている耳郎に声をかけられる。

「すごい難しい顔してる。」

『え、そうか?』

「緊張してんの?」

『緊張じゃないよ、考え事。』

「必殺技とか?」

『そー、1番つくりたかった技がつくれなかったんだよなー、』

「でも皆の個性使えんじゃん、」

『もう使わないよ、余程のことがない限り』

「チート個性使わないとか勿体ないでしょ…」

『俺の個性で勝負したいだけだよ。』

そして会話をしてると会場に着いた。

 

国立多古場競技場、

皆、緊張してるようだ。

すると、切島の一言で皆でいつもの一発を決めて気合入れることになった。

「せーのっ!」

『「「「「“Plus… 「 Ultra!! 」

誰か乱入してきた!そしてイナサという奴は同校の人に注意をされている。

「どうも大変失礼致しましたァ!!!」

頭を地面に重いっきし打ったようだが、大丈夫か…?

ふーん、雄英好きなのに、入学辞退か…

意味わからないけど、彼も彼なりに事情があるのだろう。

まあなかなか強そうな人間だからいいか。

すると相澤先生が声をかけられる。

「結婚しようぜ」

「しない」

「しないのかよ!ウケる!」

いきなり誰だ?と思っているといつもの緑谷の解説が入る。

Ms.ジョーク、個性は爆笑か…、緑谷の言う狂気に満ちてる敵退治というのは想像できないので気になる。

そしてMs.ジョークがもっている学級の人に緑谷や爆豪など話かけられたようだが、俺は極力気配を消して仮免試験のことに集中していた。

 

 

俺らは雄英。

皆の注目も高い。

俺はその絶対的1位だ、たくさんの人に声をかけられるが、愛想良く受け流した。

ここにいるのは全員ライバルだ。

残念だが、優越感に浸りに来たわけではない。

他校との交流授業ではないんだ。

失礼だが、仲間以外の誰にも興味はない。

 

 

相澤先生の指示でコスチュームに着替え、説明を受ける。

説明者はどうやらめちゃくちゃ疲れているようだが、まあ要約すれば勝ち抜け戦、ボールを当てれば良いってことだ。厳密にはもう少し詳しいが、勝ちさえすれば何とかなる。

 

フィールドは広い。

俺は皆の集団からこっそり離脱する。

先生は何も言っていなかったが、俺らは「個性を知られている」という最大のハンデがある。

“雄英潰し”、これは絶対にある。

 

 

そして試験は始まった。

とりあえず1人にターゲットを絞り、ボールを3つ当てる。

簡単に1人脱落だ。

そして俺は高台に潜み、皆のことを観察する。

やはり狙われているか…

しかし当たり前だが皆は強い。全くやられない。

 

すると展望台のガラスにヒビが入るのが見える。

さっきA組の仲間が何人か入っていった気がする。

俺は急いで展望台に向かった。

 

中に入るとどこかの高校が占拠している。

あいつらは閉じ込められているのか…?

こっそり接近し、見張っている人間の動きに鍵をかけていく。

俺は気づかれないように階段を上っていくと、大音量の音が聞こえる。

展望台には確か耳郎もいる。この音だと簡単に耳郎の耳はやられてしまったはずだ。

俺は展望台の前に着き、すぐ身を潜める。

展望台の入り口のドアにたくさんの人が待ち構えてるのが見える。この人数に鍵をかけるのは難しい。鍵は半径1m以内でしかかけれないのだ。個性も分からずに鍵をかけに行くのは自殺行為に等しい。

そして何やらひんやりしてるな、

ん、待てよ、中には梅雨ちゃんがいる。

まさか!梅雨ちゃんの個性を知っていて冷房を…?!

仕方ない。こうなったら!

未完成だが、仲間のために必殺技を使うしかない!

ここにいる全員を拘束できる檻!

後でボールを当てる為に、ボールを当てられない為に、

入れる檻じゃない、身動きを封じる為の、

もっとこう、何だ……

 そう!

縛るイメージ!

俺は待ち伏せしている奴らに一気に接近し、叫ぶ。

『俺の仲間をいじめてんじゃねぇよ!

  ジェイルッ!! バインドォ!!!』

すると俺から檻が飛び出て空中で分解、輪っかになって輪投げのように人にかかる。そして輪っかは収縮し、たちまちドアの前で待ち伏せしている奴らは、輪っか状の金属で拘束される。

『残念だが、もがいても個性は使えないぜ。』

そして俺は展望台のドアを開く。

寒い!この中にいたのか?

俺の目に映るのは凍えている八百万、耳郎、障子、あの布に包まれてるのは、梅雨ちゃんか…?

「鍵無…?」

耳郎、やはりあの音でやられたのか…、耳から血が出てる。

『そうだ。俺だ。

もう大丈夫だ。安心しろ、ここを包囲していた奴は全員拘束した。

ボールを当てよう。皆それでクリアだ。

でもその前に温めてやる。』

そして俺はコスチュームの上を脱いで、上半身裸になる。多分、脱がないとコスチュームが溶けてしまう。

ジャケットを八百万にかけた後、

『暑すぎるかもしれない。気をつけてくれ。

 ビカムロック!上半身、溶岩化!』

溶岩化はしたことは無かったが、仲間の為なら何でも挑戦できる。

そして30秒ほど溶岩化した後、

動けるようになった梅雨ちゃんも含め、

拘束した奴にボールを当て、一次を通過した。

 

 

そして控室、

俺は耳郎の耳が心配で声をかける。

『耳、大丈夫か?』

「大丈夫…」

『なら良かった。次も頑張ろうな。』

そう言って準備に行こうとしたが引き止められた。

「何で助けに来たの?」

『当然だろ?

心配すんな、私情は挟んでない。誰であろうと助けに行ったさ。

正直、助けに行かなくてもどうにかなった気はするけどな。』

「そっか、ありがと」

『気にすんな!』

俺は耳郎の頭を撫でて準備に向かった。

 

 

そして二次が始まる。

敵のいきなりの襲撃により、崩壊したところでの救助活動だ。

俺は都市部の方へ行き、おばあさんを見つける。

『大丈夫ですか?

頭から出血がありますね、止血します!』

そう言ってネクタイをちぎり、頭に巻く。俺のネクタイはただのネクタイじゃない。こういうことができるような特別なネクタイなのだ。

『他に怪我はありませんか?』

「無いよ、でもまだ家にはじいさんが!」

『分かりました。救出してきます! フェンス!』

おばあさんの周りに柵を作った。

『この柵の中は安全です。すぐに救出してきますので、待っていてください!』

俺はそう言って倒壊している家屋でおじいさんを探し始める。

『聞こえますか!救けに来ました!聞こえますか!』

「おーい、ここじゃ!」

見れば大きな梁の下に潰されているおじいさんがいる。

『今救けます!』

ここは全体的に崩れかけていて不安定なので、岩で支えを作り救出する。

そしておじいさんを抱えて、おばあさんのところに戻ってくる。

『では救護所に運びます! ジェイル!キャリー!』

俺はいつもの黒い檻ではなく、安心感を与えるために白い檻を作り2人を入れた檻を出来る限り揺らさずに救護所に運んだ。

そして救護所の指示で2人を運び終わったちょうどその時、

 

〈敵が姿を現し、追撃を開始!

 現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ

 救助を続行して下さい〉

そういうパターンね!

『俺が救護所の壁を作ります!!

出入り口の部分は大体10mです!!

 ロックウォール!ベリーハード!』

俺は救護所を守る高い壁を作った。

『俺はこの壁の維持、防衛をします!!

皆は残りの方の救助、および出入り口の防衛をお願いします!!』

久々にここまで全力で叫んだぜ…、

まあ敵にこの壁は越えさせねぇよ!!

『岩石落とし!』

俺は登ろうとしたり壊そうとする敵に岩を落とす。

神経を張り詰めながら、壁を守り続ける。

 

 

ビーーーーーーー!

 

〈えー、只今をのちまして、配置された全てのHUCが危険区域より救助されました。

まことに勝手ではございますが、これにて仮免試験全工程

終了となります!!!〉

 

終わった……、俺は守り抜いたぞ…

 

〈集計の後、この場で合否の発表を行います。

怪我をされた方は医務室へ…

他の方々は着替えて しばし待機でお願いします〉

 

 

俺は作った壁を消した。

ロックにも一応、許容制限はある。

今回は強度の高い岩の壁を長時間維持しながら、かつ敵に正確に岩を落とすという2つのエネルギーを多く使うことを行ったから、ヘロヘロだ。

俺はたまたま近くにいた口田に肩を貸してもらって、更衣室に行った。

そして口田にお礼をしてから着替える。

着替えるとだいぶ足元がしっかりしてきたので、俺は自分の足で発表の場に向かう。

 

採点方法について説明された後、

合格者が掲示される。

俺の名前……、か、か、鍵無彗仁!

あった!!!合格だ!!

ヒヨッ子になれたぜ!

そして採点の紙が配られる。

減点無し、100点!!よっしゃ!

すると紙を爆豪にぶんどられる。

「ッチ!眼帯野郎!100点だとッ!」

皆の目線が集中する。

『ちょ、声がでかいんだよ!注目されるだろ!』

もう手遅れであっという間に囲まれてしまう。

アナウンスがされるまで俺はもみくちゃにされていた。

 

 

そして手に入れた仮免許!

これでヒーローにまた一歩近づけた。

 

 

寮に戻って皆とひと騒ぎした後、

耳郎とこっそりお互いを労い合って

今日は久しぶりに寝たのだった。

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