希望と孤独の狭間で…   作:B.delta

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第22話  謹慎

朝起きると緑谷と爆豪は制服に着替えておらず、怪我だらけで掃除していた。

話を聞くとケンカして謹慎になったようだ。

『愚の骨頂……』

「あ?なんか言ったか!クソがっ!」

『ん?なかなか面白いことになったなって思って』

「ッチ!」

まあ何も言い返せないだろう。

仮免試験に落ち、ケンカで謹慎とは、理由はどうであれ俺に勝つと言っている人間のすることではない。

俺はそんなことを思いながら教室に向かった。

 

今日は始業式なので整列してグラウンドに向かう、

飯田がキビキビと列を正すが、1番列を乱していると瀬呂に指摘され、委員長のジレンマと呻いている。

相澤先生が始業式に出してくれるなんて、これは槍でも降るなと思いながら歩いていると、A組をしょっちゅう挑発してくるB組の物間というやつが声をかけてくる。

「聞いたよー、A組ィィ!

二名!!

そちら仮免落ちが二名も出たんだってええ!!?」

「B組 物間!

相変わらず気が触れてやがる!」

上鳴が叫ぶ。そして切島が

「さてはまたオメーだけ落ちたな」

そーいやB組ではこいつだけ林間合宿で補習になったんだ。

「ハッハッハッハッハッ!」

ス…と物間は後ろを向いてしまう、

「いやどっちだよ」

「こちとら全員合格

水があいたねA組」

あー、そうですか…

もうこの茶番を見るのは疲れたので、さっさと靴を履き替えてグラウンドに整列する。

 

そして整列する。

わかってはいたが雄英生めっちゃ多いな…

校長の話が始まる。

「やあ!皆大好き小型ほ乳類の校長さ!」

そこからしばらく、ものすごくどうでもよくて、ありえないほど長い話が続く。毛質がどうとか、もう本当にどうでも良い。

「生活習慣が乱れたのは皆もご存知の通り。

この夏休みで起きた“事件”に起因してるのさ。」

あ、ここから大事な話かな?

「柱の消失、

あの事件の影響は予想を超えた速度で現れた始めている。

これから社会には大きな困難が待ち受けているだろう。

特にヒーロー科諸君にとっては顕著に現れる。

2・3年の多くが取りくんでいる“校外活動”も、これまで以上に危機意識を持って考える必要がある。」

ヒーローインターン?何だそれは?

「暗い話はどうしたって空気が重くなるね。

大人たちは今、その重い空気をどうにかしようと頑張っているんだ。

君たちには是非ともその頑張りを受け継ぎ、発展させられる人材となってほしい。

経営科も

普通科も

サポート科も

ヒーロー科も

皆、社会の後継者であることを忘れないでくれたまえ」

そして校長の話は終わった。

そのあと、生活指導の話がハウンドドッグ先生からあったが、バウバウッって言い過ぎて何を言いたいのか全く分からず、ブラド先生の話で緑谷と爆豪のことを言っているのを理解した。

 

 

始業式が終わり教室、

「じゃあまァ…

今日からまた通常通り授業を続けていく。

かつてない程に色々あったがうまく切り換えて、学生の本分を全うするように。

今日は座学のみだが、後期はより厳しい訓練になっていくからな、」

すると芦戸が梅雨ちゃんにこそっと話しかけている。

「何だ芦戸?」

「ヒッ!久々の感覚!」

そして梅雨ちゃんが挙手をして質問をする。

「ごめんなさい。いいかしら先生

さっき始業式でお話に出てた“ヒーローインターン”ってどういうものか聞かせてもらえないかしら?」

俺も確かに気になってはいた。

すると八百万が発言する。

「先輩方の多くが取り組んでいらっしゃるとか…」

「それについては後日やるつもりだったが

……そうだな、先に言っておく方が合理的か…

平たく言うと

“校外でのヒーロー活動”

以前行ったプロヒーローの下での職場体験…

その本格版だ。」

本格版かぁ、

お世話になったプッシーキャッツさんたちは

今はヒーロー活動を休止している。

俺はどうすれば良いんだ…?

すると麗日がすごい速さで立ち上がり質問する。

「体育祭の頑張りは何だったんですか!!?」

「確かに…!インターンがあるなら体育祭でスカウトを頂かなくとも道が拓けるか。」

「まー、落ちつけよ、麗らかじゃねえぞ…」

「しかしぃ」

確かに、麗日と飯田の言う通りだ。俺が轟や爆豪などをぶっ倒した意味が薄くなってしまう。

あと砂藤、麗日なのに麗らかじゃないのは俺も思ったぜ。

「校外活動は体育祭で得た指名をコネクションとして使うんだ。

これは授業の一環ではなく、生徒の任意で行う活動だ。

むしろ体育祭で指名を頂けなかった者は活動自体難しいんだよ。

元々は各事務所が募集する形だったが、

雄英生引き入れの為にイザコザが多発し、このような形になったそうだ。

わかったら座れ。」

「早とちりしてすみませんでした…」

「仮免を取得したことでより本格的・長期的に活動へ加担できる。

ただ1年生での仮免取得はあまり例がないこと、

敵の活性化も相まって、おまえらの参加は慎重に考えているのが現状だ。

まァ、体験談なども含め、後日ちゃんとした説明と今後の方針を話す。

こっちも都合があるんでな。

 

じゃ…

待たせて悪かった、マイク。」

「一限は英語だーーー!

すなわち俺の時間!!!

久々登場 俺の壇上 待ったか ブラ!!!

今日は詰めていくぜーーー!!!

アガってけー!!イエァァ!!」

『「「「「はーい」」」」』

 

 

そして1日が終わり寮に戻る。

今日の授業内容などは謹慎組には伝えてはいけないので、2人にはドンマイとしかかける言葉がない。

緑谷がゴミを回収してくれるようだが、俺は頼むほどの量のゴミは溜まっていないので遠慮する。

 

俺はたくさんの指名があったが、今度はインターン先を選ばないといけないのか……、俺にとってはまるで地獄のような選択の時間!再び!

あー、まぁ、授業じゃないなら行かなくても良いのかなぁ、でも経験は絶対必要だから行くべきだよなぁ…

マジでどうしようかな…


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