希望と孤独の狭間で…   作:B.delta

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第23話  対面

そして3日経過し、緑谷の謹慎が終わった。

 

インターンは行こうと思う。

この三日間で俺はインターン先を俺なりに選んだ。あとは先生に相談して許可が出るかどうかだ。

 

そしてHR、

「緑谷も戻ったところで本格的にインターンの話をしていこう。

入っておいで」

え?誰か来るのか?

「職場体験とどういう違いがあるのか、直に体験している人間から話してもらおう。

多忙な中、都合を合わせてくれたんだ。

心して聞くように、

現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名…

通称ビック3の皆だ。」

聞いたことがあるような無いような…

まあどっちでも良いが、刺激的な強さを期待する。

「じゃ手短に自己紹介よろしいか?

天喰から」

めっちゃ眼光鋭くなったけど、よく見ると小刻みに震えてる?

「ダメだ、ミリオ…、波動さん…。

ジャガイモだと思って臨んでも…

頭部以外が人間のままで依然人間にしか見えない。

頭が真っ白だ…辛いっ…!

帰りたい………!」

俺らに背を向けて、黒板に頭をもたげてしまった。

最初からとんでもなくネガティブな人が来たもんだ…

「あ 聞いて天喰くん!

そういうのノミの心臓って言うんだって!ね!

人間なのにね!

不思議!

彼はノミの「天喰 環」

それで私が「波動 ねじれ」

今日は“校外活動”について皆にお話してほしいと頼まれてきました。」

そしてそのままクラスの皆に疑問をぶつけていく。

何でも気になってしまって仕方がないんだな…

「合理性に欠くね?」

先輩さん、相澤先生怒らせてるよ…

「イレイザーヘッド安心して下さい!!

大トリは俺なんだよね!

前途ーーーー!!?」

いきなり!?どう答えろと…

「多難ーー!っつってね!

よォし、ツカミは大失敗だ!」

タイプの違いすぎる人たちだが、俺は面白くて好みだったりする。

皆はビッグ3を疑っているようだが、この感じなら仕方のないことだ。

「まァ何が何やらって顔してるよね。

必修てわけでもない校外活動の説明に、

突如現れた3年生だ。

そりゃわけもないよね。

1年から仮免取得…、だよね。

 フム

今年の1年生はすごく…

元気があるよね…

そうだねェ…

何やらスベリ倒してしまったようだし…

君たちまとめて、

俺と戦ってみようよ!!!」

「「「「え……

  ええ〜〜〜〜〜〜〜!?」」」」

マジか…、なんかいろいろ自由すぎるぜ…

「俺たちの“経験”をその身で経験した方が合理的でしょう!?

どうでしょうね、イレイザーヘッド!」

「………………好きにしな」

 

 

そんなわけでやって来た体育館γ、

俺は少し遠くで戦っているのを見る。

「おまえらいい機会だ、しっかりもんでもらえ

その人…

通形ミリオは俺の知る限り最もNo.1に近い男だぞ。

プロも含めてな。」

あー、皆やられていくなぁ…

てかもうやられちゃったか…

 

俺は瞬間移動して、ミリオさんの前に立つ。

『先輩、皆には加減してあげてくださいな、

とりあえず俺とタイマンしましょう?

いつでもどうぞ!』

「元気がいいね!」

するとミリオさんは地面に潜るから俺は高く跳躍する。

『ホワイトアウト!』

俺はきらめく宝石たちで視界不良にする。

まあどうせ、透けれるなら意味ないかっ!

ふー、危ない、背後からやられるところだったぜ。

『まあ俺に個性は効かないですからね。』

俺はミリオさんの腕を掴む。

ッチ!これでも攻撃してくるか!

痛くはないけど、内臓を叩かれてる感じは少しマズい…

『ビカムロック!ロンズデーライト!』

これで俺はみぞおちを殴られても硬すぎて、逆にミリオさんの腕にダメージが入る。

あとは確保するだけ、

『ジェイル、バインド!』

何とか拘束成功…、強いなこの人…

『どんだけ透けれる個性でも、

俺の檻の前では全て意味をなしませんので…』

「ハッハッ!こりゃまいったよ!」

『じゃ、俺の勝ちってことで、』

俺は檻を開ける。

 

そしてミリオさんが服を着たところで説明してもらった。

職場体験との大きな違いは、「お客」じゃないこと。

サイドキック、つまりプロとして扱ってもらえる!

 

 

俺は相澤先生に相談しに行った。

協議が終わったばかりで無理だ、と言われたが、すごく粘って交渉した結果(途中から校長も来たが気合で説得した)、連絡先を教えてもらい、こっちも何とか交渉して許可を取った。

俺は即戦力サイドキック、インターンは明後日からすぐ始まる!

 

 

 

翌日、

「1年生の校外活動ですが、

昨日 協議した結果、

校長をはじめ多くの先生が「やめとけ」という意見でした。」

「えー、あんな説明会までして!?」

「でも全寮制になった経緯から考えたらそうなるか…」

切島、上鳴、結論はまだ言われてないぜ。

「ざまァ!!」

爆豪は仮免ないから参加できないのか…、

まあ後でそのセリフそっくりそのまま返してやる。

「が、

今の保護下方針では、強いヒーローは育たないという意見もあり、

方針として「インターン受け入れ実績の多い事務所に限り、1年の実施を許可する」という結論に至りました。」

皆各々の職場体験先がどうなのか気になっている。

するとやっぱり爆豪が、

「クソが!!」

と叫んだので、

『爆豪、ざまァ!!』

と言い返してやった。

 

 

 

そしてその夜、

俺は明日からインターンに行くので準備をしていた。

あ、インターン中のノートどうしよう…

うーん、飯田は解説動画付きで送って来そうで怖いな……

八百万も全部の授業をちゃんと受けてるし、八百万に頼もう!と思い、まだ早い時間なので部屋を訪ねることにした。

 

共有スペースに下りると、

あ、ちょうど女子たちがいる。

『ちょうど良かった!』

「あ、鍵無じゃん!どしたの!」

芦戸に聞かれる。

『いや〜、明日からインターンに行くんだけど、その間の授業のノートを八百万にお願いしたいなって思ってさ…』

「ノートですか?全然イイですとも!」

『良かった!ありがとう!』

「え!まって!もう行くん?どこどこ!」

『麗日、すまないけど早速の極秘調査だから何も教えれないんだ。』

俺は意図していないように何気なく耳郎の隣に座る。

「いーなー、私も行きたいな!!」

葉隠が多分、羨ましそうに見てる。

『まぁ、いろいろ交渉が大変だったよ…』

「鍵無ちゃんがいなくなると、響香ちゃんが寂しがるわね。」

梅雨ちゃんのいきなりの爆弾投下!!

「いやいや、こいつとはそんなんじゃないし、

こいつの背が高いから存在感あるだけだし!」

すると葉隠と芦戸が楽しそうに耳郎に話しかける。

「響香ちゃん、そのわりには焦ってるよね〜?」

「あ、焦ってないし、」

「恋だ!今ちょうど隣にいるし、もう直接ゲロっちまいな!」

「ないから!!」

思いっきり耳にジャックをぶっ刺されてドックンされる。

『俺なの?いきなりはないでしょ…』

「隣にいんのが悪い!」

『え、俺の責任?!』

耳郎に睨まれながらうなずかれる。

どうやら今のでターゲットが俺に切り替わったようだ。

「鍵無くんは、あの後告白したの?

しちゃいなよ!ほら、いつやるの?」

「今でしょ!」

『ノリが古い……、』

「でも両思いなのでしょう?」

ここで八百万にトドメを刺されるとは…

『まあまあ、俺にも俺のペースがあるからさ、ね、もうこの話終わり!』

「うまい感じに逃げられた!」

「報告待ってる!」

ふぅ、一応何とかなったぁ……

それにノートは写真撮って送ってもらえることになったし一件落着だ。

危なかった。バレるとこだった。

『じゃあ俺はここで…』

そう言って水を飲みに行ったらスマホに何やら通知が来た。

耳郎からだ…

「23:00に来て」

これだけかよ…、どこに行けと…、俺はOKのスタンプで返信した。

 

 

そして22:55、共有スペース、

耳郎はいないな、部屋に行くか…

そしてちょうど23時になるところで耳郎の部屋をノックした。

耳郎の部屋に来るのは別に今日が初めてではない。

そろそろ電話しようかと思っていたところでドアが開いた。

「ごめん、片付けてた。入って、」

『おじゃまします…』

「明日からインターンなのにごめん。あ、ベッドにでも座って」

『いや、今日も床に座るよ。ベッドは申し訳ない。

まぁ俺は明日からインターンだからこそ会えて嬉しいよ。』

そう言って俺はベッドに寄りかかるように座る。耳郎はベッドに寝そべって話しかけてきた。

「さっきは危なかったね」

『ああ、めっちゃヒヤヒヤしたぜ…』

すると身長的にベッドに寄りかかりきれない背中に抱きつかれる。

耳郎からやってくるのは初めてだ。

「ノートはウチが送る。ヤオモモにも言っといた。」

『ありがとう。

てかそのセクシーハスキーボイスで囁かれると、

我慢できなくなりそうなんで、ヤメテクダサイ…』

「やっぱ我慢してたんだ。」

『まあな…、

でも俺は全てを守れるぞ!って胸を張れるようになるまではしないって決めてるからごめんな…』

「じゃあ、一緒に寝るだけならいいでしょ?」

『エ、何か怖いものでも観ましたか?』

「プッ、なんで敬語になってるの?」

『笑うなよ、あー、もー、かわいすぎる!』

さっきからずっと耳元で囁かれているんだ。

耳が幸せだけなら良かったのだが、さらに耳郎の香りがして居心地が良すぎてクラクラしてきた。

俺は背中からまわされている耳郎の手を優しく掴んで、ゆっくりと耳郎を寝かせる。そして俺もその隣に寝る。

『俺ってマジ紳士だ…』

「それ自分で言うこと?」

『こんなかぁいい彼女が隣にいて我慢してるのすごいと思うんだけど、』

……何で何も言い返されない?

俺は怖くなって耳郎の方を向いた。

「やっと見た。」

そう言って俺の腕を枕にして、胸に顔をうめてきた。

『図られた…』

「じゃあ寝るから、オヤスミ!」

そう言って慣れた感じでジャックを伸ばして電気を消される。

『おう、オヤスミ』

俺は耳郎を抱きしめて目を閉じる。

抱きしめておいてアレだが、耳郎の髪からシャンプーの香りはするし、そもそもここは耳郎のベッドだからいろいろヤバい。

「心音、うるさすぎるんだけど…」

『あ、すまん』

落ち着け、平常心だ、平常心。

しばらくすると耳郎が完全に脱力したのを感じる。やっぱり細いな…

そっと耳をすませば、耳郎の心音も聞こえる。

幸せだなぁ…

 

 

俺も仮免試験の日ぶりに寝ることにした。


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