希望と孤独の狭間で…   作:B.delta

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第24話  相棒

俺はいつものように4時に起きた。多分…

確証がないのは、ここが俺の部屋じゃないこと、そして時計を見たくても動けないことが理由だ。にしても久々にここまで気持ちよく寝た。

俺は6時半くらいに寮を出れば余裕で間に合うし、荷物も準備し終わって後は着替えるだけなので、6時くらいまでこの状況を満喫しようと思う。

寝顔がかぁいい。ずっと見てられる。

時々、ジャックがピクってしたり、俺のシャツを握ってきたり朝から幸せだ。

 

あとちょっとで6時だから起こそうと思っていたとき、

「ん?おはよー」

『おはよう』

これは寝ぼけているのか…、林間合宿の時にも思ったが耳郎は朝が少し弱いのかな?

そしてうっすらと開いていた目が突然開く。

「え!あ、そうだ、ごめん!おはよ!」

『おはよう。

昨日言い忘れたんだけど、俺、これから2週間くらい返信できない。インターン自体はもっと長いけどな。でも心配しないでね、連絡は見てるから。』

「うん、頑張れ。」

『じゃあもう6時だし、そろそろ行かないと』

俺はベッドから降りる。

『ありがと、久々に爆睡した。』

「ケガすんなよ、」

『しねーよ、じゃ、また2週間後な』

俺は自室に戻り、着替えて一回共有スペースの洗面台に行き、身支度を整えた。そして荷物を持って寮を出る。

 

 

 

そして教員寮、

相澤先生に会いに来たのだ。

『おはようございます。

今から2週間、潜入捜査に加わるため連絡を見ることはできますが、一切返信はできませんので、把握お願いします!』

「分かった。気を付けろよ。」

『はい!では行ってきます!』

俺は雄英を出た。

 

 

そして指定された場所、

すごく分かりづらい場所だし、こんな所にヒーロー事務所を構えるなんてさすがだなと思いながら入る。

『一昨日連絡いたしました。

雄英高校から来ました、鍵無彗仁、ヒーロー名はジンです。

この度はサイドキックとして雇って下さり、ありがとうございます。』

「契約書にハンコを押せば契約成立だな。」

そう言われて俺は契約書を取り出し、ハンコを押してもらう。

『ありがとうございます。』

「ジン、お前はどんな鍵でも開けれるのだろう。」

『はい、たとえ電子ロックであろうとも開けれます。』

これに関してはハッキングのことを猛勉強したことが理由だ。

「着替えろ、早速行くぞ。」

『分かりました…

 エッジショットさん。』

 

 

俺のインターンが始まる。

 

 

「これから侵入するのは、最近、違法薬物を売り捌いている中継業者だ。そこと繋がっている死穢八斎會には別のところが手を回している。」

『わかりました。

しかしエッジショットさんなら、どんな隙間も入れるのに何故俺の“ロック”が必要なんでしょうか?』

「それは見たらわかる。」

そう言われて、エッジショットさんについて行く。

細い路地を抜け、マンホールの中に入り地下道を進んでいく。

…何だ、いきなりドアがあるぞ。

これが組織の秘密の入り口か。

「このドアだけなら大丈夫なのだが、ドアの隙間にはレーザーがある。正規の方法で開けないと焼けてしまうんだ。」

『わかりました。やってみます。』

きっと誰にも見せたくない何かがあるのだろう。

ここでサポート科の発目さんに作ってもらった端末が使える。

俺は電子ロックのサーバーをハッキングして、

セキュリティにバレないように全ての電子ロックをオフにした。

『全て解除しました』

「では行こう、」

『はい』

二手に分かれて捜索が始まる。

 

エッジショットさんは、サイドキックを雇っていないのだが今回は1ヶ月のお試しのような形で雇ってもらえた。

期待に貢献しなくては…!

 

監視カメラは無いのが幸いで、見張りのやつはみねうちで気絶させる。

しかしどの部屋にも人間にも手掛かりになりそうな物は無い。

 

しばらく壁沿いに移動していると、何やら空洞を感じる。

隠し扉がないか色々探ってみると、床のタイルが一枚、変に欠けていることに違和感を覚え、触ってみると外れることに気がついた。

そのタイルを動かすと、金庫のような物が埋め込まれている。

俺は個性でその鍵を開けると、何やらスイッチがある。

急いでエッジショットさんを呼びに行く。

「やはりこれのスイッチを入れてみるしか手はなさそうだ。」

そう言ってエッジショットさんがスイッチを押すと、タイルが下がり階段が出てくる。

それがあの謎の空間に繋がっているのか…

「俺が行ってくる、おまえはここを見張ってろ。」

『はい』

そしてしばらく待機していると、エッジショットさんが戻ってきた。

「お手柄だ。これで親玉を潰せる。」

『お力になれて幸いです』

「では、これから潜入してきてもらう。」

『どちらに…?』

「この親玉の大組織だ。」

『でも俺、体育祭とかで有名ですよ。』

「顔にマスクをつけるし、髪も染めてもらう。」

『わかりました』

俺は今回、この手に入れた情報をもとに死穢八斎會や他の組織との関係を潜入して調べるのだ。その間エッジショットさんは別の組織に侵入するらしい。

 

 

そして潜入調査が始まった、

俺は新入りの警備員?というか、ボディーガードの方が近いかな、まあそういうのになって、生活を始めた。傭兵とは少し違うが、人手が少なくなって一時的に雇われてる形だ。ちなみに人手を減らしたのは、エッジショットさんだ…

夜中などの警備になった隙に情報を奪ったり、日常の中でも基本ずっと録音してたり、盗聴器を仕掛けたり、やれることは全てやった。

時には隠蔽工作をして誰かに濡れ衣を着せるなど、俺の信頼を高めさせることもやった。

もちろん、何度も闘って怪我もした。

 

こんなに人を嗅ぎ回ったのは初めてなのでキツいが、短い自由時間の中で見る耳郎からのメッセージで元気づけられている。一件、相澤先生からインターンの中止の連絡があったが、俺の都合でここから出るのは迷惑がかかるし、計画に大きな歪みをもたらすので見て見ぬふりをした。

 

 

そして2週間、

俺はエッジショットの求めていた情報は全て手に入れた。

『契約切れだ。じゃあな。』

「待てよ、そんな簡単に返すわけないだろ?」

やっぱり一筋縄ではいかないか…

『すまんが次の依頼があるんだ。帰してくれよ。』

「俺らと繋がりの深い死穢八斎會がやられたんだ。

おまえみたいな優秀なやつはもう少しいてもらわないと困る。」

『関係のないことだ。』

俺はそう言って組織を出ようとしたが、銃を向けられてしまう。

「無理やりでも続けてもらうぜ!」

『マジで面倒…!』

俺は岩石化して殴り飛ばしそのまま組織から脱出した。

 

 

 

そして事務所、

『これが手に入れた情報です。』

「期待以上だ。こっちも準備を進めていた。

組織の制圧は明日、作戦を教えよう。」

『ありがとうございます』

俺は明日の計画を告げられた。前線組で突入か…

また死穢八斎會は敵連合との繋がりがあったから、今回も何かしらある可能性を否定できないらしい。

そしてプロヒーローの命が奪われ、有望な雄英生が個性を消されてしまったことを知った。

「今日は久しぶりに雄英に戻れ、今からなら夕方には帰れる。」

『ありがとうございます。』

「では明日な」

『はい!失礼します。』

俺はひとまず髪色を戻した。そして雄英に戻る電車の中で2週間にあった出来事にざっと目を通した。

 

 

 

 

2週間ぶりの雄英、

まずは相澤先生に事情を話し、何とか明日の作戦まではインターンを許してもらえることになった。

そして1-Aの寮に戻る、全然夕方には間に合わなかった。

入ればちょうど晩ご飯の終わったくらいの時間だったようだ。

「帰ってきた…

鍵無が帰って来たぞ!!!」

峰田はこういうことにとても敏感だ。

『ただいま』

すると皆寄ってきた。そして切島が、

「インターンが中止になったのに、帰って来ないから皆で心配していたんだぜ!」

と言ってきた。

『すまない。あ、死穢八斎會の件、素晴らしかったな。』

「そんなことより何で帰って来なかったんだよ!ケガもしてんじゃねーか!」

『ちょっとその関係の所に潜入してた。』

「そんなあっさり言うことじゃないね☆」

『そして俺は明日、そこを制圧してくる。』

「え……、」

『緑谷、サーのこともミリオさんのことも知ってる。俺は大丈夫だ。

明日、余裕ブッかまして帰ってくる。』

「うん、気をつけて」

「明日、鍵無くんは重要な任務にあたるんだ。休ませてあげよう!」

『飯田…、有難いが最近ずっーと酷い奴らと関わっていてね。もっと皆と話したいんだ。』

「そうだったのか!とても心配していたんだ!無事でなりよりだ!」

『ありがとう』

俺は皆と色々な話をする。爆豪と轟の仮免補講の話とか、普段の授業の話とか…

途中で砂藤にパウンドケーキを口に突っ込まれた時は窒息するかと思ったが、とても美味しいので命の危機を感じなかったのが危ないところだ。

 

 

そして夜は更けていった。

俺は明日の作戦の再確認などをする。

 

明日、何が起きるかも知らないで…


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