希望と孤独の狭間で…   作:B.delta

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バンドの仮面ですが、お面に目や鼻、口の部分に穴がなく、それぞれの色のトランプのマークとそれぞれの頭文字J、Q、K、Aが入ったデザインです。


第3話  熱狂

季節は3月、あれから新曲も出来上がり、引っ越しも終わった。

 

ヒーローになるために、雄英で輝くために、勉強やトレーニング、体調管理は怠っていない。

そして今日はこれまでずっと準備してきたライブの日。

中1の時に目立ちたいとか、有名になりたいとかじゃなく、純粋に音楽を楽しみたい届けたい、俺らの音でたくさんの人の力になりたいと、仮面を被り、始めたバンドはAceの父親の助力もあり今日のこの日を迎えられた。

 

春と言うにはまだ少し肌寒さが残る。俺は朝の4時に起きトレーニングや勉強をして、朝食をとり、ギターケースを背負ってキャリーケースを引き家を出た。

 

ライブは16時から入場で、18時開始20時終了を予定している。

でもリハーサルやセッティングなどもあって、7時に会場入りしなくてはいけない。

会場入りの時はスタッフの人にも顔を明かしたくないので、Aceの家に集合してそこで仮面を装着しパーカーをかぶってAceの父親の運転するワンボックスカーに乗り込む。仮面やパーカーがあるだけで、俺たちはただの中学の大親友だ。いつもはずっと話しているが、今日は朝早いこともあって、行きは3人とも爆睡していた。仮面をつけているから確証はないが、Kingはいびきが聞こえたから絶対寝てる。俺は本を読んでいたら、会場に着いた。

 

 

 

Aceの父親の指示や俺らからの意見、スタッフさんが素晴らしいこともあり、あとは始まりを待つのみになった。

俺らがjokersという名前で活動しててるのは、ただ単純にババ抜きがすごい好きだからだ。

スタッフが飽きないのか、みたいな視線で見てくる中、開始までずっとババ抜きをしていた。

 

 

「あと5分で18時です!」

 

「はい!」

 

俺らはステージに向かう。Aceの父親とグータッチをするのが俺らのルーティーン。

そしてスタッフも含め全員で円陣を組む。掛け声はQueenの担当だ。

 

「皆さんありがとう!!

今日は最高のライブにしましょう!!いくぞ!jokers!!」

「「「jokers!!」」」

 

そして暗転したステージに立つ。

 

スタッフからのOKサイン、

ライブの最初は前奏が長めというのもあっていつも決まった曲をやる。

 

あとはドラムのAceのタイミングだ。

 

「ワンッ、ツー、スリー、フォッ!」

 

ドラムが鳴り響き、一気にステージが明転する。

多くの歓声が響く中、ベースが奏でられる。

 

「今日は、みんな、来てくれて、アリガトォーーーー!!

盛り上がっていくぜぇーー!」

 

キーボードが曲を盛り上げていき、俺がギターを弾き始める

 

「〜〜始まりの合図を背中に受けて突っ走れ!」

 

「もちろん、一曲目は『スタートの合図』!

みなさんこんにちは!

 

「「こんにちは〜」」

 

「jokersです!楽しい時間を過ごしましょう!!」

 

 

ライブは始まった。

 

俺らは時々トークをしながら、多くの歌を歌う。

 

そして最後の曲も終わる。

アンコールがかかった。

 

「では、新曲披露します!」

 

「「イェーーーーー!」」

 

会場の熱気はMAXだ。

 

「聞いてください、“No Point”」

 

 

 

 

 

本当にライブは終了した。片付けなどをしていたら、あっという間に22時だ。

 

Aceの家まで再び送ってもらって帰路に着く。今日は実家に帰るから父が迎えに来てくれた。キャリーケースは持ってもらった。

俺の帰り道には駅があり、大きなCDショップがある。よく行く店だ。だから俺は父に先に帰ってもらい、そのCDショップに寄った。

 

今日のライブの会場はこの駅の隣の駅が最寄のドームだった。ライブが終わってから時間も空いたし、俺らの評判が聞こえることはないか、と思いつつ、淡い期待を胸に入店した。

入ってすぐにあるのは人気アイドルグループのCDで、俺らは最近人気は出てきたが、メディア露出の少なさもあり、少し奥に行かないとCDは見つからない。俺はどれくらいCDが減ってるかなと思い、jokersのコーナーに行く。

そこには見覚えのある後ろ姿があった。

耳郎だ。

 

俺はちょんちょん、と肩を叩く。

耳郎はビクッとして振り向いた。

 

「あ、入試の時の……、ごめん、名前なんだっけ」

 

「鍵無彗仁」

 

「合格、した?」

 

俺は笑ってうなずく。

 

「ウチも合格した。これからよろしく。」

 

俺はまたうなずく。

 

「ウチさ、このバンドのファンなんだ。たまたま結成したての頃に見つけて、そこから応援してる。今日もライブ行ってきた。」

 

「どうだった…?」

 

「最高。新曲がかっこよくてさ、ウチ頑張れる気がする。」

 

俺は微笑む、そして、時間が遅いことを思い出した。もっと感想を聞きたいが補導されるのは困る。

 

「時間」

 

「は、時間?うわ、やばい、帰んなきゃ、じゃあまた入学式で!」

 

そう言って耳郎は行ってしまった。俺も帰ることにする。

歩く足が軽く感じてとても爽快な気分だった。

 

「ただいま」

 

「おかえりなさい、お疲れ様。遅いけど晩ご飯食べましょう。」

 

「待っててくれてありがと」

 

久しぶりの母の料理はとても美味しかった。

そして両親からも感想をもらっていろいろな話をする。

 

 

─── そしてその夜

 

ベッドは引っ越しで持っていってしまったので、今日は布団で寝る。

今日の熱狂が冷めない。

 

それに、耳郎がファンだったなんて……

 

嬉しさに目が冴えて眠れないかと心配したが、疲れがドッときて目を閉じたらあっという間に夢の世界だった。

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