希望と孤独の狭間で…   作:B.delta

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第5話  訓練

入学して次の日。

 

前日は席は自由だったが、今日から指定された席がある。

昨日、自己紹介をしたから挙動不審な人と口が悪い人以外はわかる。雄英での授業が始まる。

 

プレゼント・マイクの授業は、とても普通だ。少し盛り上げようとしてクラスが白けているだけで……。

 

「そこのリスナー!この会話文の応答に当てはまる文を、セイ!」

 

え、俺かよ。めっちゃ簡単だ。旅行に行きますよ〜みたいな会話で相手に別れ際に何て言うかだろ…。

 

「Tschüss! Viel spaß!(バイバイ!楽しんでね!)」

あ、やらかした。みんな見てる!目をパチパチしてる……。英語だったぁぁ。すぐに言い直す。

 

「Bye!Have fun!」

 

「最初の部分はよく分かんねーが、最後のところはちゃんと合っているからO.K.!」

 

危ない、危ない。気をつけないと…、あー、焦った。

 

俺は身長が高すぎるという理由で、1番後ろに1人、不自然だが座っている。横に誰もいないって…、寂しいなぁ……。それにみんな振り返って俺を見てたよ、恥ずかしい。穴があったら入りたい。

 

そして様々な授業が終わりお昼時間。

俺は職員室に行く。優しくノックをして扉を開けた。

 

「何か用?」

 

たまたま前にいた先生が聞いてくる。

 

「相澤先生」

 

「相澤先生を呼べってことね?」

 

俺はコクコク首を振る。その先生はちょっと待ってね〜、と奥に行ってかわりに相澤先生が出てきた。

 

「何か用か?」

 

「ギター」

 

「ギターがどうした?」

 

「明日から持ってくる。迷惑ない」

 

「ん、わかった。じゃあな」

 

そう言って相澤先生はまた奥に行ってしまった。

 

お昼は食堂に行って食べるとかは実は苦手だ。俺は耳がとてもいいから、食堂などの人が多くいるところは生活音の混ざりが不快で嫌なのだ。

 

そして教室に戻り、相澤先生のようにゼリー飲料を飲む。

俺は見た目に反してとても小食なため、多くの男子から羨ましがられる。でも流石にゼリー飲料1つじゃ足りないのでおにぎりをこれもまた1つ食べる。

 

そして、昨日とは違う本を読む。明日からはこの時間で作曲しよう。

 

 

そして午後、待ちに待ったヒーロー基礎学の時間。

 

「わーたーしーがー!」

 

「来っ」

挙動不審な子が言ってる。

 

「普通にドアから来た!!!」

   HA HA HA HA

 

みんなリアルなオールマイトに驚いている。

オールマイトめっちゃゴツい。

 

「ヒーロー基礎学!

ヒーローの素地を作る為、様々な訓練を行う科目だ!

 

早速だが今日はコレ!!」

 

オールマイトがBATTLEと書かれているフリップみたいなものを持っている。

 

「戦闘訓練!!!」

 

まじかー、初っぱなから戦い始まるのか。

 

「そしてそいつに伴って…こちら!!!」

 

壁が出っ張ってきた。俺、普通に壁だと思ってた。

 

「入学前に送ってもらった「個性届」と「要望」に沿ってあつらえた…

コスチューム!!」

 

「「「おおお!!!!」」」

 

「着替えたら順次、グラウンド・βに集まるんだ!!」

 

「「「「「はーい!!!」」」」」

 

 

 

俺のコスチュームは、黒スーツ。ネクタイも黒。

ワイシャツまで黒をお願いした。もちろん全て無地。

ネクタイピンは鍵のデザインで銀色。

 

そして眼帯ではなく、黒のアイパッチにかえる。これはヒーローコスチュームじゃない。俺が自分で用意した革のパッチだ。海賊がつけてそうな物に似ている。

これから眼帯じゃなくてこのアイパッチで過ごそう。

 

そしてみんなと同じくらいの時間にグラウンド・βに到着する。

 

「さあ!!始めようか有精卵共!!

戦闘訓練のお時間だ!!!」

 

それぞれ特徴的なものを着ている。個性がとても出ていて素敵だと思う。

 

「良いじゃないか皆、カッコイイぜ!!」

 

「先生!ここは入試の演習場ですがまた市街地演習を行うのでしょうか!?」

 

ロボみたいなコスチュームを着ていたのは飯田だったか…

 

「いいや!二歩先に踏み込む!

屋内での対人戦闘訓練さ!!

 

敵退治は主に屋外でも見られるが、統計で言えば屋内のほうが凶悪敵出現率は高いんだ。

監禁・軟禁・裏商売…

このヒーロー飽和社会

ゲフン

真に賢しい敵は屋内にひそむ!!

 

君らにはこれから「敵組」と「ヒーロー組」に分かれて

2対2の屋内戦を行なってもらう!!」

 

いきなりなんだな。何もかも想像の斜め上だ。

 

「基礎訓練もなしに?」

 

蛙吹が言った。そりゃ思うよね、激しく同意だ。

 

「その基礎を知るための訓練さ!」

 

そして質問を大量に受けて、んんん〜聖徳太子ィィ!とか言っていたが、とりあえず一通り説明を受けてくじを引く。

 

「無い」

 

オールマイトにくじを見せる。

 

「鍵無少年は、1番最後、このわたしとだ!」

 

「Alptraum !!!(悪夢!!!)」

 

嘘だ。誰か嘘だと言ってくれ!!

 

「このわたしが、敵側をやろう」

 

逃げられないですよね…、やるしかないか。

 

最初にやる4人以外は、みんなモニタールームに向かったようだ。

俺もすぐに行く。

 

俺は他人に興味がない。でも名前は覚える。そしてこれで初めて挙動不振が緑谷、口悪いのが爆豪ということを知った。

みんな騒いでモニターを見ているが、感情的な人は好きじゃない。

なんかもう終わったみたいだ。

 

八百万がどうやら意見を述べているようだ。なるほど、最初とはこうことなのだろう。そのあと他のグループも訓練をやっていく。

 

あぁ、もう俺の番か。

 

「お前、オールマイトが相手だろ、ドンマイ」

 

峰田が声をかけてきた。俺はわざとため息をつく。

 

「オールマイトが相手でも、男をみせろ!お前なら大丈夫だ!」

 

切島が明るく声をかけてくれたので、笑顔で手を振って建物に向かう。見取り図を見て、大体のことはわかった。

 

「鍵無少年!5分後にかかってきたまえ!」

 

その時、俺が不敵に笑っていたことをオールマイトは知らない。

俺自身もその時は気付いていなかった。

 

そして訓練が始まった。

俺は普通にビルに入り、階段を上り、核とその目の前に立っているオールマイトを見つけた。

 

「どうする?鍵無少年!!」

 

少し戦ってみたかった。だからオールマイトに個性を使わずに、接近し蹴りにいった。オールマイトはそれを避け、パンチをしてくる。

「SMASH!」

俺はそれを避けもっと近づき殴りにいく、オールマイトの攻撃は全部見える。攻撃されるが、手加減されているのもあり、かすることもなく俺もほどほどに攻撃しながら戦う。

 

でも本気でやってもらえないせいか、飽きた。

そして俺は鍵をかけるモーションをする。

オールマイトはピタリと動かなくなった。

そしてそのまま歩いて核に触った。訓練は終わったので、今度は鍵を開ける動作をする。

 

「見事だ!!少年!私の動きにこんな簡単に鍵をかけてしまえるとは!」

 

俺はお辞儀をして、みんなと合流し授業が終わった。

 

「お疲れ、あんたヤバすぎでしょ。オールマイトに何もさせなかったのもすごいけど、開始前に一瞬した顔が1番ヤバかった。殺されるかと思ったよ」

 

耳郎はそう言って着替えに行った。

あの時、驚くほど恐ろしい顔をしていたことをたくさんの人に言われた。俺は無自覚だったから、苦笑いすることしか出来ない。

また轟焦凍という人に「俺は負けない」といきなり言われ、ただ困惑しながらうなずいていた。

 

 

 

そして放課後。俺は反省会を爆豪よりも早く、そして何も言わずに帰った。

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