波動ねじれのヒーローアカデミア 【台本式Ver】 作:へたくそ
雄英高校ヒーロー科。毎年の倍率は300を超え、さらに卒業する事でさえも容易では無い世界最高峰の高校だ。
そこはオールマイト、エンデヴァー、ベストジーニストと言った、プロヒーローの中でもトップに立つ者で雄英を卒業した者は多い。
ベスト10でなくとも、雄英OBは確かな実力を持つものが多い。
ネジレ「出久君、大丈夫?」
イズク「大丈夫ですよ、ねじれ先輩。この2ヶ月で、ワンフォーオールのコントロールは出来るようにはなりましたから」
ネジレ「でも、まだ制御だって上手くできていないでしょ?前だって骨にヒビが入ってたって…」
イズク「まだ体が個性に追いつけていないから、仕方ないですよ。それに前みたいに腕を壊したりして無いですし」
オールマイトから
出久がいくら豪円の修行を受けているとは言え、まだ弟子になって3年も経っていない。
体はそこら辺の中学生よりしっかりとした体だが、出来上がっては無い。
その為、今回の様な海浜公園でのトレーニングを提案したのだ。そして『最低限』の条件を満たした出久は個性を授かったのだ。
ネジレ「それは今の話、最初の頃はすごく心配したんだよ?知ってた?」
ねじれは少しむくれていた。それもそうだ。
最初の頃は力の調整ができず、体に耐えきれない程のパワーを使っていたので、体を壊してばかりだった。
その度、オールマイトが連れてきてくれたリカバリーガールに治癒を施してもらっていた。
イズク「そ、その節は大変ご迷惑をおかけしました…」
ネジレ「本当にそう思ってる?」
イズク「はい」
出久が苦笑いしながら謝る。ねじれはそんな出久を見て余計にむくれた。
ねじれは怒っているわけでは無いが、心配で心配で仕方ないのだ。
ここ2週間は大きな影こそ減ってきてはいるが、体を痛める事はしょっちゅうある。
ネジレ「ねえ出久くん」
イズク「なんですか?」
ネジレ「これ、作ってきたんだ」
ねじれが出久に渡してきたのは、手作りのお守りだった。そこには『出久がんばれ!!』と文字が縫ってあった。
一昨年、ねじれが実技試験を受ける直前に、緊張で頭が真っ白になり震えが止まらなくなった。
そんな時に出久から貰ったお守りを思い出し、緊張が解け無事に合格したのだ。
出久は精神的に強くは無い。自分と同じようになった時に、次は自分が出久を助けたいと思い作ってきたのだ。
ネジレ「ねえ知ってた?私が雄英に合格できたのって、出久君のおかげなんだよ?だから今度は私の番!出久君が合格できる様にと思って。気休めかもしれないけどね」
ねじれは最後に、はにかんだ笑顔を見せた。
イズク「ねじれ先輩、ありがとうございます。僕、絶対に合格します!」
ネジレ「うん!応援してるよ!」
実技試験前、受験生はプレゼントマイクから事前説明を受けていた。
その内容は、4種の仮装ヴィランを倒し、ポイントを稼ぐ。そのポイントが高ければ合格する確率が高くなる。
ヴィランはそれぞれ1ポイント、2ポイント、3ポイント、そして0ポイント。
プレゼントマイク曰く、0ポイントヴィランは避けて通る事をお勧めするそうだ。
イズク(0?4では無くて?それに、確かに倒してもポイントは貰えないだろうけど避ける事を勧めるなんて)
マイク「俺からは以上だ。最後にリスナーへ、我が校の校訓をプレゼントしよう」
かの英雄、ナポレオン・ボナパルトは言った
『真の英雄は人生の不幸を乗り越えて行く者』と
「更に向こうへ、Plus Ultra!!それでは皆んな、良い受難を」
プレゼントマイクの説明が終わり、ぞれぞれが指定された会場に向かっていく中。
バクゴウ「おい、デク」
爆豪は出久を呼び止めた。今までとは違う爆豪の目、幼馴染の出久にはそれがハッキリと分かった。
ここにいるのは出久と爆豪の二人だけ、いつもよりも思い空気が二人を包んだ。
イズク「な、なに?かっちゃん」
バクゴウ「お前、何を隠してやがる」
イズク「隠してるって、どういう事?」
バクゴウ「惚けんじゃねえ。いくらオールマイトに憧れたお前でも、この雄英を受けるはずがねえ。それを一番理解してるのはデク、てめえ自身のはずだ。何のお前はここに来た。あの不思議女も関係してるかもしんねえが、もっと他に理由はあんだろ」
相変わらずの洞察力。爆豪は言わば天才と呼ばれる部類に入る。それでいて誰にも負けたくない、追い越されたくない、必ず追い越して見せるとういう向上心。
それが爆豪の才能にさらなる磨きをかける。この洞察力もヒーローを目指す上で必要不可欠なもの。同い年の子と比べるとずば抜けて目が良い。
だから嘘は付けない。なら本当のこと言うしかない。いずくの覚悟を。
イズク「確かに前の僕だったら、雄英を受ける前に諦めてたかもしない。でも、今は違う・・・言ってくれたんだ。僕はなれるって。ヒーローになれるって!僕を信じてくれる人がいる!だから、なるんだ!」
明らかに以前と違う出久のように、爆豪はわずかだが気圧された。爆豪と目すら合わせる事もできなかった出久が、爆豪の目を真っ直ぐに見て言い放った言葉。
いつもなら少し怒鳴れば、出久の決心は揺らいでいた。しかし今はどうだ?ここで怒鳴りつけたとして、脅したとして、出久の決心が揺らぐか?
いいや、間違いなく揺らがない。腐っても幼馴染の爆豪だ、それぐらいの事はすぐに分かった。
一体何がこいつを変えた?誰がこいつを変えた?なぜこいつを変えた?いくら考えても答えに辿り着けない。
バクゴウ「ッケ。そうかよ」
イズク「・・・」
爆豪も指定された会場に向かう。それを見て、出久も会場に向かった。
試験会場前に集まっていた受験生たちは皆自信があるようだった。
個性に自信がある者、技術に自信がある者、備に自信がある者。理由はそれぞれだが、皆がこの試験に対する熱量が分かる。
イズク「みんな凄い。自分の個性にあった装備をしてるんだ・・・」
出久が歩きながら周囲を気にしている。それは気になると言う事もあるが、何か考えてないと緊張して落ち着かなくなるからだ。
そして出久は歩き回っていると、自分より少しだけ背の低い茶髪の少女が目に入った。
その少女は何の装備もしていない。着ているのは恐らく中学の指定ジャージだろう。
イズク「(手を合わせて深呼吸している。僕と同じ方に緊張しているんだ)」
少女のその姿を見てある人物と姿が重なり、出久は思い出した。そう、ねじれから貰ったお守りだ。
ポケットから取り出したそれを両手で祈るようにも持った。それだけで緊張が大分和らぐ。
よし!と心の中で喝を入れ、会場の入り口の近くに移動しようとしたが、完全に解れきれていなかった緊張のせいで足がもたれてしまった。
倒れそうになり、目をぎゅっとつぶるが、いつまで経っても痛みが来ない。恐る恐る目を開けてみると、さっきの少女が目の前にいた。
少女「だ、大丈夫?」
イズク「え?うわぁぁ何だこれ!」
出久は宙に浮いたまま止まっていた。その事に気づくとあわててしまったが、目の前の少女がちゃんとした体勢に戻しくれた。
一体にがどうなっているんだと思っていると、その答えを少女が教えてくれた。
少女「私の個性!ごめんね、勝手に。でも、転んじゃったら縁起悪いもんね!緊張するよね〜」
少女は少しだけ強張った顔しているが、どこか期待しているようにも見えた。
イズク「あ、ありがとうございます!こちらこそごめんなさい。集中してたみたいなのに邪魔しちゃって・・・」
少女「大丈夫大丈夫!怪我しちゃたら大変だもん!」
少女は満面の笑みで答えてくれた。雄英の試験は万全の状態であったとして落ちる確率が高い。
転んで怪我でもしてしまったら、その確率がさらに上がってしまう。出久が改めてお礼をしようとするが。
マイク「スタアアアアアアッッット!!!」
「「「!?」」」
マイク「どうした!?実戦にカウントなんざねえんだよ!走れ走れ!賽は投げられてんぞ!?」
塔の上からプレゼントマイクが叫んでいた。さすがプレゼントマイク。マイクも使わずこの距離で声が聞こえるなんて。
イズク「ってそんなこと考えてる場合じゃない!君も速く行かないと!!」
少女「うぇ!?あ、はっ、はい!」
他の皆んなが走っていく中、呆然と立ち尽くしていた女子に出久は声を掛ける。少女はハッとした顔をして我に戻り、出久に続いて走る。
あれからすぐに出久と少女は別れて行動を始めた。一緒にいてもメリットはない。このポイント制の試験で誰かと行動するのはあまりにもリスキーだ。
イズク「これで21ポイント。でも、またコントロールが少し乱れた・・・」
出久はあれからOFAを使い、仮想ヴィランを壊していった。しかしまだまだうまくコントロールができず、思う様な結果だ出ていなかった。
緊張で、訓練時よりコントロールの精度が大幅に下がっているのだ。
イズク「でも、そんなこと言ってる場合じゃない。はやく仮想ヴィランを倒さないと・・・。っ!!??」
そんな時、大きな揺れが会場を襲う。それと同時に大きな何かがこちらに近づいてくる音がした、次々と建物が壊れていく。
そこに姿を表したのは、30メートル以上はあるであろう仮想ヴィランが姿を表した。
オールマイト「(少年。やはり緊張してるのか、コントロールが上手くできていないな。ポイントは稼げてはいるが・・・・)」
オールマイトはモニタールームで出久の様子を伺っていた。訓練をしていた時よりもコントロールが乱れているを一眼で見抜くとは、流石No1ヒーローといったところだ。
そしてそこにはオールマイトの他に、校長をはじめとした雄英の教師陣が試験を見ていた。
ネヅ「この実技試験は、受験生たちにヴィランの総数も配置も伝えていない。限られた時間と広大な敷地、そこからあぶり出されるのさ」
状況をいち早く把握するための『情報力』
あらゆる局面に対応する『機動力』
どんな状況でも冷静でいられる『判断力』
そして、純然たる『戦闘力』
ネヅ「市井の平和を守るための基礎能力が、ポイント数という形でね」
キョウシ1「今年はなかなか豊作じゃない?」
キョウシ2「いやぁ、まだ分からんよ?真価が問われるのは、これからさ」
教師の一人があるボタンを押す。それに合わせて会場では、0ポイントの大型ギミックが起動していた。
その大型ギミックを目の前にして出久はプレゼントマイクの言葉を思い出す。
『所狭しと大暴れるギミックよ!リスナーには、うまく避けることを勧めるぜ?』
イズク「デカ過ぎない・・・??」
あまりの大きさに身体中が震えた。
前方から迫るギミックから逃げるように、他の受験生たちが走ってくる。誰も戦おうとしない。当たり前だ。そもそも戦える様な相手ではない。
イズク「まずいぞこれ洒落にならん!速く逃げないと・・・」
出久も人波には逆らわず後ろへ逃げようとする。AFOの力を100%使えば、今の出久でもあのギミックは倒せるだろう。
しかし、それをしてしてしまえば腕は間違いなく使い物にならなくなる。それに今では恐怖心の方が勝ってしまっているため、戦おうなんて考えてすらしていないだろう。
オールマイト「(圧倒的恐怖、それを目の前にした人間の行動は正直さ。まずは自分の安全を第一に考え、他の者が助けを求めていたとしてもそれに答えてくれる人は少ないだろう。)」
「ここはあのギミックから逃げつつ、他の仮想ヴィランを倒していかないと・・・。まだ21ポイントしか稼げていない。これじゃ間違いなく落とされる!速くここから逃げないと・・・」
出久が今の状況でできる最善を行動しようと、後ろ部振り返り走り出そうとしたその時
「イタっ・・・」
イズク「っ!?」
振り返った出久の後ろから聞こえた声。幻聴ではない、間違いなく人がいる。それにこの声を知ってる。震えながらだが出久がゆっくりと振り返ると
少女「う、うぅ・・・」
出久が転びそうになった時、助けてくれた少女だった。
あの時、怪我をしてはいけないと助けてくれ。縁起が悪いと個性を使ってくれた。自分が緊張しているはずなのに、僕の事を気にかけてくれた・・・。
『(転んじゃったら、縁起悪いもんね!)』
『っ!!!っく!!」
出久は走り出した。後ろに逃げるのではなく、前に進み始めた。
ポイントは21、今のままでは間違いなく合格できない。受かりたいのならギミックになんて構ってる暇ない。
イズク「そんなこと知ったことか!!」
OFAを発動させた出久は、仮想ヴィランの頭部に向かい飛んだ。そのスピードは気を緩めば完璧に見失ってしまう程の速さ。
オールマイト「(あの仮想ヴィランに挑んでもメリットは一切ない。だからこそ、色濃く、まばゆく、浮かび上がる時がある!)」
出久は腕にOFAを集中させた。その反動でジャージの腕の部分の布だけが弾け飛ぶ。
相当な負担。この感覚はコントールが全く出来なかったと時に、100%のパワーでOFAを放った時と一緒だ。
しかし今はそんなことを気にしている暇ではない。
オールイマイト「(そう、浮かび上がるのだ。ヒーローの大前提、『自己犠牲の精神』ってやつが・・・!)」