波動ねじれのヒーローアカデミア 【台本式Ver】 作:へたくそ
出久が中学2年、ねじれが雄英1年の肌寒い12月、休日の午後の今二人はねじれの部屋ベッドの上でゆっくりした。
ねじれはあの事件以来余計に出久にくっつく様になった。出久も最初は戸惑ってはいたが今はされるがままになっている。
ねじれもその様子に満足している様で遠慮なしに甘える、その光景はただのバカップルなのだが付き合っていないという事実に引子やねじれの母親ももどかしさを感じていた。
ネジレ「ねえねえ、今日は何する?私はね、すっとこうしてたいかな!出久君は〜?」
イズク「ず、ずっとですか。でも今日は確か勉強するはずじゃ…。」
ネジレ「いつもいっぱいやってるから大丈夫だよ!たまにはゆっくりしないと!」
ねじれは親猫に甘える子猫の様に出久に甘え始めた。
流石にこれはいずくもマイずいと思ったのか離れようとするがねじれが離してくれない為どうしようもない。
こうなってしまった以上ねじれは自分が満足するまで離れようとしない。
無理やりになら離すことは出来るが、その後の相悪感が尋常では無いので出来ない。
いつもの様に諦めた出久はねじれの頭を撫でる。するとねじれは幸せそうな顔をして出久の胸に顔を埋めた。
ねじれの事はそこそこ分かっている出久だが、何故ここまで自分に心を許すのか。それだけはどうしても分からない。
そこで出久は前から聞きたかった事を聞く事にした。
イズク「あの、先輩。何で僕にここまで親しくしてくれるんですか?」
ネジレ「不思議〜、今それ聞いちゃうの〜?でもいいよ教えてあげる!それはもちろん出久君が可愛い後輩だからだよ!」
ねじれは少し調子に乗った様な感じで答える。しかし出久から反応がない為顔を上げて見るとそこには真剣な顔をした出久がいた。
その顔を見てねじれは出久が何を考えているか何となくだが理解した。
私は出久に恋心を抱いている。いつから?何故?正確な事は分からないがきっと彼が誰よりもヒーローに憧れ、その憧れに手を伸ばすその姿を見て好きになったのだと理解している。
そんな私は出久以上に出久のことを理解している自信がある。出久はどうしても自分を過小評価してしまうのだ。
だから出久は今のこの状況が不思議で仕方なのだろう。
ネジレ「理由はあるよ。でも今はそれを言う事はできないかな。でも今こうしているのは私が君と触れ合っていたいからだよ。この前私が人質になっちゃった時だって出久君が危険な目に遭わないか凄く怖かった。出久君はこんな私を不意義に思うかもしれないけど君の事が大切で、ずっと一緒にいたいって思っているの。だから…」
ねじれはそれから出久から一旦離れて、その後出久を優しく包み込む様にそっと抱き寄せた。
さっきまで出久にされていた事を、今度は自分がする様に優しく。
ネジレ「そんな不安そうな顔をしながら泣かないで?」
イズク「え……?あ…」
出久はねじれに言われて初めて自分が泣いてる事に気付く。そこで慌てて涙を拭くが自覚してしまうと涙が止まらなくなった。
ネジレ「いつも頑張ってるもんね。我慢してるもんね。でもね、私は知ってるんだよ?君がたくさん悩んで、たくさん努力してる事。でも私には隠さなくていいんだよ?辛かったら頼っても、泣きたかったら泣いても。だから今は何も気にしないで、ね?」
その言葉に出久はとうとう涙を堪えるのをやめた。ねじれの優しさに包まれながら出久はまたねじれの前で自分の弱さを晒した。
それから数時間、月の光が差し込む部屋。もう日は落ち夜になっていた。ねじれと出久は二人っきりで寄り添いながらベッドの上で向かい合っていた。
出久は泣き疲れて寝ている。その目は赤くなっており、少し幼っぽくく見える。そんな出久をねじれはそれは黙って見ている。何時間も。
そんな出久が愛おしくなり少しほっぺを突くと、出久が目を覚ました。
ネジレ「あ、ごめん。起こしちゃったね」
イズク「いえ、大丈夫です。もうこんなに暗くなっちゃたんですね」
ネジレ「うん。きっと疲れてたんだよ。ぐっすり寝てたもん」
イズク「…また助けられちゃいましたね」
ネジレ「また?」
イズク「はい。先輩と初めて会ったあの日、僕は先輩に救われたんです。ヒーローになれると言ってくれたあの日、僕の世界は変わったんです。先輩はそんな事ないって言うかもしませんが。でも先輩は僕にとって、オールマイトと同じくらいの憧れなんです」
ネジレ「そんな事言われたら照れちゃうよ。でも嬉しいな。まさかあの日の事が出久君の中でそんな大きな出来事だったなんて。私あ思ったこと言っただけなんだけどな」
イズク「だから嬉しかったんだです。ずっと言ってほしくて諦めきれなくて、それを本気で言ってくれたのが嬉しくて、でも先輩がどう何で僕に構ってくれるのかが分らなくて、凄く不安で…」
ネジレ「今もまだ不安?」
イズク「いえ、もう大丈夫です」
ネジレ「なら良かった。ねえ出久君、今日はずっと一緒にいよ?もう時間も遅いし、引子さんには連絡入れておいたから」
イズク「そう…ですね。僕も、今日は先輩と一緒にいたいです」
出久は初めてねじれに甘えていた。出久はねじれに、ねじれは出久に依存し始めていた。
しかし自分では気付いてはいるが、まさか相手まで自分に依存している何て考えてもいない。
二人がその事に気がつくのはまだまだ先の事になる。
ネジレ「出久君。起きて起きて、朝だよ。」
イズク「ん、んん…せん、ぱい…?何で僕の部屋に…?」
ネジレ「私の部屋だよ?まだ寝ぼけれるのかな?」
イズク「??寝ぼけてないですよ?それより何で先輩ここに?」
ネジレ「もう、早く起きないと朝ごはん出来てるよ?」
出久は珍しく寝ぼけていた。本来寝起きは良い方なのだが、今日に限ってはまだ目が覚めきっていない。
ここが自分の部屋だと思っている出久に、ねじれの部屋だと伝えるが中々理解してくれない事に少し可笑しくなる。
毎日こんな朝が来てくれたならと思ってしまう自分にニヤついてしまう。そんな事を考えているとねじれはいきなり出久に引き寄せられ抱きつかれた。
ネジレ「ちょっと出久君!?さ、流石に朝にこんな事はダメだよ!あ、じゃなくてまだ恋人同士でも無いのに!こ、こういうのはちゃ、ちゃんと順番を守ってからしなきゃ…そ、それに私初めてだし…い、出久君がダメって訳じゃなくてむしろ嬉しいと言うか、で、でもちゃんと優しくしてくれるならっ……………???」
イズク「スゥ…スゥ…」
ネジレ「えぇ…もう…、また寝ちゃうなんて…」
また寝始めた出久の横に寝転がる。何處の寝顔を眺める。そしてねじれは眠気に襲われてまた眠りに付く、こんな日もたまには良いなと思いながら。
あの日以来、と言うか今日の出久の様子にねじれはかなり困惑していた。いつもならねじれが出久にベッタリなのだが今はその逆、出久がねじれから離れようとしないのだ。嬉しい、嬉しいのだが何故いきなりこうなったのか分からなくて対応に困っっていた。
ネジレ「い、出久君?ど、どうしたの?」
イズク「先輩が言ったからですよ。頼っても良いって。だからこうしてるんです。」
ネジレ「そ、そうか、そうだよね。うん、そう言う事だもんね…。それはそうと朝ご飯できてると思うよ?食べに行こ?」
イズク「はい」
二人で朝飯を食べ、出久は一度家に帰るのだろうかと思ったが出久は帰らなかった。
何をするかと尋ねても返答もなくねじれを後ろから抱きしめて黙っている。外に出る事もなく、勉学に励む訳でも無い。
出久が何もしないなんて初めての事だった。いつもヒーローになる事を考えている為である。
トレーニングや勉強、ヴィランと遭遇した時の立ち回りなどやれる事は何でも率先してやっていた。
そんな出久が今はねじれから離れようとしない。ねじれにとってそれは嬉しいことではあるが心の準備ができていなかった為ソワソワしっぱなしだった。
ネジレ「い、出久君。頼ってくれるのは嬉しいんだけど、私は何をしたら良いのかな?」
イズク「このままで、後少しだけ。後少しでいつもの僕に戻りますから」
弱々しい声。出久は昨日から喋る事を避けていた気がした。あまり気には留めていなかったが今ようやく分かった。
出久は弱っている。精神的に、それもかなり弱っている。出久は強いと思っていた。思わされていた。
自分は出久の強さを分かっていると思い込んでいた。しかしそれは違った。出久の心はどちらかと言うと弱い方だ。
そんなことに気付かないなんて、何と情けないことなのだろうねじれはと思ったの。
しかしそれは仕方なの無いことだった。出久は他人に自分の弱さを見せない。そして努力も見せない。弱さを見せない様にしている。その結果出久は勇気のある、強い人間。ヒーローに強く憧れる男と見られるのだ。それは出久にとってとんでもないプレッシャーだった。
強く無いが人の期待を裏切る事を恐れている。自分を認めてくれた人、応援してくれている人、その人達のことを考えると出久はガムシャラに頑張るしかなかった。ひたすら何も考えず。
しかし先ほど言った様に出久の心は弱く脆い。一つ、たった一つの疑問や不信感を覚えると一気に出久の虚勢は崩れ落ちた。
今回の要因はねじれであった。ねじれに会ったあの日以来ねじれは唯一ヒーローになれると言ってくれた人。夢と憧れを理解してくれた人。そして傍にいてくれる人だと思っていた。
そんな出久が抱いた疑問とは?
ねじれは本当に自分のそばに入れくれる人なのか?と言うものだった。
当たり前だ。ねじれは自分とは違う。容姿端麗、性格は明るく分け隔てなく人に接する事ができ、正義感に溢れた人物だ。
自分とは真逆、住む世界が違う。そんなねじれがいつまでも自分の傍にいてくれるのか?そもそもねじれにとって自分の存在とは?
考えたくも無い事が頭の中に溢れ出てきた。その結果出久の心は半日と経たず崩れた。
ねじれはあくまで出久の心の弱さを知っただけで、何故出久の心が崩れたのかは分からないままだったが、その原因の一つは自分である事が分かった。そんなねじれはある一つの覚悟を決めた。いや覚悟は前に一度してはいた。だが自分が甘かった。それ故今度は間違えない様に、改めて覚悟をした。
ネジレ「ねえ出久君、大丈夫だよ。私はずっとここにいるから」
イズク「ぁ…。?先輩?」
ねじれは出久の抱擁から一度抜け出した。そのことに出久は少し不安を抱いたが、その不安はねじれの抱擁によってすぐに解消された。
ネジレ「ずっと君の横に居るから。離れないから、大丈夫。君を絶対に一人になんてさせない。だから安心して?」
イズク「本当にですか?僕が、もし僕がヒーローになっても先輩は僕のそばにいてくれますか?」
出久の弱々しい質問にねじれは精一杯の元気を込めて
ネジレ「もちろん!!だって私は出久君のヒーロだから!!」
出久はその返答を聞いた瞬間、ねじれの顔を見た。そこにはあまりにも綺麗で、あまりにも眩しく輝くねじれの笑顔があった。
そんな笑顔を見て出久は自然と微笑み
「ありがとうございます」
とただ一言、その言葉を放った。
その言葉にはもう出久の弱さは感じられなかった。
出久は改めて自分のヒーローは誰なのかを知ったのだった。