くくく、チート転生者のこの俺に勝てるわけが……ぐふっ!?   作:とある達人の筋肉無双

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011、微笑の絶拳

 22.

 

 

 一影九拳、それは十人の達人により構成される闇の無手組の最高機関である。

 そんな一影九拳にはその時代において最強の十人が所属し、各々を象徴する漢字一文字のエンブレムを持っている。

 そのエンブレムは影、王、水、無、鋼、月、炎、空、氷、流。

 その中でも流のエンブレムの持ち主はつい先日変わったばかりだ。

 

 

 

 その姿を見ると寿命が一日縮むと恐れられ、上位の実力者はたった一人で一国の軍隊にも匹敵する力を持つという。

 所属者は一影九拳会議を行い、その議決によって組織を運営するというまさに組織の根幹。

 実力、権力と2つの面においてどちらも、正真正銘の闇の無手組のトップなのだ。

 

 

 さて、そんな一影九拳会議に何故かまだ中学校に上がったばかりだと思われる小さい子供が一人だけ参加している絵面を思い描いて欲しい。

 今回参加しているのはその子供を含む一影九拳が六人。

 まずその子供の左側にいるのは怪しげな仮面を付けた邪神。

 その隣は凄まじい巨乳とスタイルを持つ女性……の姿をした妖怪。

 次はいかにも達人といった姿の男。

 そして、二十代半ば程の、これまたいかにもな感じの筋骨隆々の男。

 残る最後の一人はこの組織のボスたる一影だ。

 

 

 ……なんだこの図!? 

 もう全力で逃げ出したくなるような光景だが、ただ単にこの場から逃げ出そうとした所で誰かに捕まるだろう。

 もし本気で逃げ切るのであれば、命の覚悟を決めて戦うしかないだろう。

 そんなことをしたら殺されるのは当たり前だが……。

 

 

「カッカッカッ、こやつが新しい一影九拳『微笑の絶拳』リュウスイじゃわいのう」

 

 

 そうして師匠(グル)に紹介をされた俺は一本前に出ると、あらかじめ考えてあった自己紹介をする。

『微笑の絶拳』という俺の異名は俺が戦いの時や緊張する時とかに、表情を読まれないように使う薄ら笑いから付けられた異名である。

 常に心に余裕を持って、圧倒的な技量で相手を制する故に『微笑の絶拳』らしい。

 

 

「初めまして、今回皆様方のお仲間に加えて頂く事になりましたリュウスイと申します。

 こんな子供が自分達と同列に並ぶのには不服かも知れませんが、仲良くして頂ければ幸いです」

 

 

 そう自己紹介をし、ぺこりとお辞儀をして俺は用意された流の席に座る。

 ……視線が痛い。

 なんで師匠(グル)以外の全員が奇妙な目線でこっち見てんのさ!? 

 ……そんなに俺の自己紹介っておかしかっただろうか? 

 改めてもう一度全員の顔色をうかがってみる。

 

 

 まずは一影の異名を持つ「影」のエンブレムの持ち主にして一影九拳の長、風林寺砕牙。

 何やら神妙そうにこちらを観察しており、何となく動揺している気がする。

 

 

 拳豪鬼神の異名を持つ「月」のエンブレムの持ち主、馬槍月。

 鋭い目付きでこちらを睨んでおり、いや、これは俺を睨んでいるわけじゃないな。

 ただ目付きが悪いだけだ。

 

 

 拳を秘めたブラフマンの異名を持つ「無」のエンブレムの持ち主、セロ・ラフマン。

 この人はなにか微笑ましいものを見るような笑顔でこちらを見ている。

 直感で分かる、間違いなくこの人は良い人だ。

 

 

 妖拳の女宿の異名を持つ「水」のエンブレムの持ち主、櫛灘美雲。

 どこからどう見ても若そうに見えるのだが、それは違う。

 なんせこの人はあの師匠(グル)の事を若造扱いする程の年寄り。

 コイツは間違いなく実年齢3桁の妖怪ババアだ。

 醸し出している雰囲気も何となくヤバそうだし、俺の足元をみるような高圧的な目線も相まって、関わりたくない相手No1に任命したい程だ。

 

 

 そして、拳魔邪神の異名を持つ「王」のエンブレムの持ち主、師匠(グル)こと、シルクァッド・ジュナザード。

 うん、師匠(グル)はいつも通りだな。

 ただちょっと誇らしそうだ。

 

 

 よし、結論が出た。

 とりあえず女宿の婆さんだけに気を付けていれば良さそうだ。

 

 

「ふむ、人当たりの良さそうな少年ですな」

「噂には聞いていたが……。

 本当にまだ中学生とかそう言うレベルじゃねぇか」

「確かに才能には溢れておるようじゃな」

「もうこれは才能に溢れてるとかそう言うレベルじゃあねぇだろ。

 こんな年齢で一影九拳とか恐ろしいにも程があるぞ」

「カッカッカッカッカッカッ、自慢の弟子じゃわいのう」

 

 

 みんな各々に意見を言うが、否定的な意見は出てこない。

 とりあえずホッとした。

 これでもしも「お前のようなものは一影九拳には相応しくない!」とか言われていたら色々とめんどくさい事になる事間違いなしなので意外と心配だったのだ。

 

 

「さて、では本題に入ろうか。

 本来一影九拳は弟子を取るという規定になっているが、彼はまだ12歳と非常に若くYOMI達と比べても最年少の部類に含まれると言えるだろう。

 そこで当分の間、彼のYOMIは代理の者から立てようと思うが異論はあるだろうか?」

 

 

 今日の一影九拳会議の議題は俺の顔見せとこれだ。

 YOMIとは闇人の弟子で構成される弟子育成機関の事だ。

 表社会では武闘派不良チームとして知られるが、その実態は言わば『闇の達人への登竜門』だ。

 末端構成員はどこにでもいるただの不良だが、主な構成員は闇人の弟子であり、幹部は一影九拳の直弟子が務める。

 そして、構成員がどこにでもいるただの不良という事もあって俺以下の年齢の奴は比較的稀だと言える。

 

 

 いくら俺が強いからとは言ってもまだこの世界での年齢は12歳、こんな俺に弟子入りをしようなんて奴は殆どいないだろうし、俺も自分より年上の弟子とかさすがに抵抗感がある。

 一影九拳としてもまだまだ経験不足と言える12歳の子供に弟子入りさせる訳にも行かないのだろう。

 というか弟子入りされたら俺が困る。

 

 

 一影からのこの提案は俺にとっても嬉しいし、YOMIの人も嬉しいし、闇の無手組全体としても嬉しいまさにWINWINな提案だと言える。

 俺は当然賛成だ。

 

 

「異論はありません、まだまだ自分も未熟な所がありますので。

 こちらからもよろしくお願いします」

「ええ、異論は無いですな」

「オレもそれで構わねぇな」

「それで異論は無いのう」

「カカッ、われも異議はないわいのう」

 

 

 そう言ってぺこりとお辞儀をすると、全員が口を揃えて賛同してくれた。

 やったぜ。

 弟子の育成もそれはそれで面白そうなのだが、今はまだその時では無い。

 弟子を取るならばせめて俺がもう少し成長してからの方が間違いなく効率も段違いだ。

 それに俺自身の修行も遅れてしまうので、今弟子を取る事にはデメリットしか無いのだ。

 

 

「では次の話に移ろう。

 ここ最近妨害行為が目立つ、一部の武器組に対する対応だが、これは新しく一影九拳の一員となった、微笑の絶拳リュウスイの初陣としたいのだが構わないだろうか?」

「ん?」

 

 

 これは師匠(グル)からは事前に聞いていない。

 武器組の対応という事は戦いになるという事は間違いない。

 師匠(グル)から俺へのサプライズか何かだろうか? 

 そう思ってチラッと師匠(グル)の方を見てみると、どうやら関係ないようだ。

 

 

「えーと、派手にやっても大丈夫ですかね?」

「ああ、むしろできるだけ派手に行う事で君の力を示して貰いたい」

 

 

 か、神依頼じゃないか! 

 それなりの達人を相手に自由に暴れまくっても良い依頼なんか中々あるものじゃあない。

 それに、相手は俺があまり戦った事の無い武器の達人だと言うことで、引き受けない理由が無い。

 

 

「その依頼、全力を尽くさせていただきます」

「カッカッカッ! 初陣は派手なのが一番良いわいのう」

「異論は無いという事でこれで決定と言うことで」

 

 

 初めての一影九拳会議は後は簡単な報告程度で終わりを迎えた。

 

 

 

 

 さーて、一影九拳としての初仕事、頑張ってくるとしますかね!






逃げて〜!
武器組さん、超逃げて〜!
次回、初陣。


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