くくく、チート転生者のこの俺に勝てるわけが……ぐふっ!? 作:とある達人の筋肉無双
24.
「フンッ!」
俺の全身の筋力を使って、相手に全力の拳を叩き込む。
なるべく小さく小さくと細く動き、威力ではなく手数を求めながら、相手との距離を全力で詰め続ける。
武器に対して素手を使うメリットその1。
手数と小回りの利きだ。
武器を使う1番のメリットと言えばその間合いである。
本来は相手の攻撃が届かない場所から一方的に攻撃をする事ができるのだが、こうして間合いを詰めてやると武器を持っているという事自体がデメリットと化す。
俺が知りたいのはこういう超近距離戦の時に槍使いがどうするかだ。
とりあえずそれを見る為に技の一つすら使わずにただ手数と取れる選択肢を増やし続けていく。
「くっ!?」
「武器なんて邪魔にしかならないだろう?
そんなもの捨ててみてはどうだ?」
一手、一手と相手の手数を奪って行くが未だに対処する技が出ない。
そもそもそんな技はなかったのか、それとも出すタイミングを見失ってしまったのか。
どちらにせよピッタリと張り付かれた時の対処法は無いという事で良いのか?
「はぁ、期待ハズレだな……。
ならば死ね!」
相手の取れる手段を殆ど奪い去った後で、俺は全力の一撃を放つ構えを取る。
もうこうなってしまえばどの技でも仕留めれるのだが、ここは手に入れたばかりのワンショットマグナムでも使わせて貰うか。
俺が拳を繰り出そうとしたそのタイミングで、槍使いはその持っている槍を使って自分の腹を貫いた。
そして、正確に喉を狙った一突きが背中から飛び出す。
「うぉっ!?」
咄嗟に後ろに倒れ込むようにして攻撃を避けるが、完全には回避しきれずに頬に傷が走った。
お、追い詰められた槍使いは自分の腹を貫くのか……。
コイツが特A級の達人じゃなかったからこそ比較的軽傷で済んだが、もしもコイツが同格だったならばあっさりと喉を貫かれていた可能性がある。
「ごふッ……や、やはり届かないか!」
「お前のお陰でいい事を知れた。
次から武器組の達人を相手にする時には参考にしよう」
それでは、_______死ね。
俺がそう付け足して首に対しての貫手を放とうとした瞬間、1人の老人と恐らく50代前半の女性がやって来た。
老人の方は間違いなく特A級。
恐らくコイツが本松大蔵、この組織のボスなのだろう。
女性の方は今俺が殺そうとしている男と同じ槍使いだ。
「ほう? ギリギリ間に合ったみたいだな?」
「か、勝也!?」
「す、すまねぇ……お、おふくろ。
先に、逝くぜ。
組長……後を頼みます」
「残念じゃが若い者を先に死なせる訳にはいかんなぁ。
清美さん、儂が隙を作る故、さっさと回収して逃げるんじゃ」
「ええ、分かりま」「グハッ!」
その会話の途中で俺はトドメの一撃を放つ。
残念だが、俺はそんな事を待ってやる程のお人好しじゃない。
そして、トドメを刺している間に攻撃をされてもダメージは負ってしまうだろうがそれで即死する訳じゃない。
ならばさっさと殺しておくのが必然だ。
「か、勝也〜〜ッ! よくも、よくも勝也を〜ッ!」
「待たんか清美さんッ!」
息子を殺された怒りで、我を忘れてこちらに突っ込んで来るが生憎と達人級の槍使いとは先程戦ったばかりでもう一度戦ったとしても旨みが非常に少ない。
ここは容赦なく一撃で決めるが吉だ。
繰り出された槍を流水岩砕拳を使って受け流し、そのまま流れるように体勢を変え一撃で殺す用意を整える。
放つのは昨日習得した一撃。
「ワンショットマグナムッ!」
その拳が頭部を一撃で粉砕すると、悲鳴を発する事もできずにその場に崩れ落ちた。
ふむふむ、意外に使えるなコレ。
酷いとか言う奴も居るだろうが、子供だろうと、女性だろうと、老人だろうと、一切関係は無い。
俺に殺意を持って戦うことを決めた以上は全てが俺の敵。
改心しようが、俺に非があろうとも、そんな事は些細な事だ。
殺されたくないなら最初から戦うことなんて選ぶなって話だ。
「激怒して冷静さを失った相手程容易く殺せるものは無い……それに槍使いとはさっき戦ったものでな?
お前は不要だ」
「お主……まるで修羅じゃな」
「修羅か……これ以上無いほどの褒め言葉だ」
そう言って俺が構えるとそれに応じて本松も二本ある鞘の内から脇差サイズの小刀の方を引き抜いた。
その瞬間、咄嗟に死の危険を感じて体が動きそうになるがそれを全力で抑え込む。
「ッッッ!?!?」
鞘から刀を抜いたその瞬間からまるで台風の様な気当たりが放たれたのだ。
気当たり的に明らかに
この本松大蔵がそれほどまでの強者だったのか?
いや、違う。
「この気当たり、放っているのはその刀か!?」
「聖剣、常滅之白夜、剣じゃなく刀で、さらに聖ではなく妖刀の類いではあるが、この世に残る数少ない呪われた武器の一振。
これからお主の命を奪う刀の名じゃ」
ヤバい、ヤバい、ヤバい!?
あの
どこからどう考えても今の俺に勝てる様な相手ではない。
救いなのはそれがただの武器だという事だが、あの規模となれば強く精神を保って静の気をコントロールし続けなければ掠っただけで卒倒しかねない。
しかも、こっちの気当たりを使った技の全てが妖刀の気当たりによって掻き消される為に俺の奥義はほぼ全滅。
初見殺し技が完封された状態でどうやって勝てと?
相手が別な武器ならばそれでも勝てただろうが、その妖刀と特A級の達人が合わさればあの
「さあ、逝くがよい!」
「りゅ、流水岩砕拳!」
咄嗟に流すが、カウンターが出せない。
この妖刀、実際の長さがさっぱり分からない。
元々の50センチくらいの時もあれば、3メートルを超える時もあるという長さ。
しかも気当たりで見せかけている訳ではなく、実際に伸びているようだ。
まるで意味不明である。
「く、くぉぉっ!?」
受け流す為に刀に触れる度に体内の静の気が乱され、その乱れを押さえ込み、押さえ込んでいる間に来る一閃を身を捩る事で避けようとするが、徐々に徐々にかすり傷が増えていく。
強いのは相手自身ではなくその刀。
ならばどうにかして相手から奪い取ればそれだけで何とかなる。
「さっきまでの威勢はどうしたんじゃ?
防戦一方ではないか」
くそっ!
返答を返す暇すらない!
どうやって奪う?
こんな防戦一方な時にはどうすればいい?
そりゃあ都合よく答えなんて直ぐには出ねぇよな!?
とりあえず一旦無理やりにでも攻撃してみるか?
それとも諦めて逃げるか?
いや、どっちも無理だ。
そもそも逃げる為に間合いを開けようとすると確実に詰めてくるし、攻撃に踏み込めばその一瞬で首を撥ねられる。
「ほれほれ、あと少しじゃ!」
「くっ!?」
流し流し、徐々に下がっていくうちにいつの間にか俺は壁を背にして立っていた。
いや、立たされていた。
相手からすれば俺が開けた穴と、出入口から遠ざけるようにして刀を振るい続けるだけで楽にこの状況下に持ち込む事ができる。
壁なんていくらでも壊せるが、それをしようとすれば確実に一瞬だけは動きが止まる。
その瞬間があれば俺を斬り捨てるのには十分だ。
よって壁なんて壊している暇もない。
後ろに下がらずにこの妖刀を流し続けると数手で死にかねない。
「終いじゃ!」
「うぉぉぉぉッ!」
その瞬間、俺が頭に思い浮かべたのはさっき俺が殺した槍使いの男が使っていたあの技。
自分を傷付ける事でむしろ戦いを有利に運ぶという、槍使いの男が見せたあの技だった。
_______続く!
日間ランキングトップから落ちてしまいましたね。
ついでに本日退院です。
時の流れは早いものですね(´・ω・`)
さて、そろそろヒロインが登場してもいいんじゃないかなぁと思ったのでアンケートを取りたいと思います。
https://enque.jp/u/12105
↑
もし良ければどうぞ
その他を選び続けると自由記述が出てきます。
自由記述は原作キャラ以外も記載して大丈夫だと言う事にしますので好きに書いちゃって下さい。
(ただし選ばれる可能性は微レ存)
マイページをオープンにしました!
そっちの方にもキャラ投票があるのでもし良ければどうぞm(*_ _)m
どんなヒロインが良いですか?(感想欄ダメなみたいなので修正しました。)
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原作から誰か+126
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ロリババア(オリジナル)+82
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弟子(オリジナル)+57
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嫁など、嫁など要らぬ!+129