くくく、チート転生者のこの俺に勝てるわけが……ぐふっ!? 作:とある達人の筋肉無双
9.
「ごほっ、グッほ……うぇ……」
「カカッ! もう目を覚ましおったか!」
目を開けるとそこにあったのは仮面の男と、大量の果物だった。
そして、仮面の男は美味しそうにリンゴを頬張っている。
俺のチートがあるにもかかわらずまだ殴られた頭が痛い事を考えると、寝ていたのはほんの1、2時間といったところだろうか?
「で、ここは一体?」
「飛行機の中じゃわいのう」
「へ?」
ひ、飛行機?
飛行機……え?
飛行機!?
ちょ、ちょっと待て。
なんで俺は飛行機に乗っているんだ?
思い出せ、思い出せ俺……
って寝てたから思い出すも何も知らねぇよ!?
「なんで、飛行機に?」
「われの弟子になりたいんじゃろ?」
「ああ、なるほど……つまりはその道場とかがある場所に飛行機で向かっていると?」
「まあ、そういうことじゃわいのう」
うん、弟子入りするとなればそりゃあ相手の方に出向くのは当然か。
というかフットワーク軽いぞ!?
なんでいきなり飛行機が出てくるんだ!?
……ま、まあ、良いか。
「それで、つい弟子にして貰うように頼み込んだんですけど一体なんの武術をなされているんですか?
あ、あとお名前を教えて頂ければ」
「プンチャック・シラットという武術だのう、東南アジアの方では有名なんじゃが知っておるかのう?
それと、われの名はシルクァッド・ジュナザードじゃわいのう」
プンチャック・シラット……えーと?
わからん。
とりあえず日本の武術じゃない事は分かる。
えーと、前世で見たようつべの最凶の武術TOP10とか言うのでなんか聞いた事はある気がする。
それでも何となくだが、この人が一番強いんだろうなということは分かる。
良くボクサーとかMMAファイターとかが異名を持っていたりするよな?
あれだマグナムパンチとか、音速の拳とか、光速のパンチとか、スモーキーとか、60億分の1とかそんな感じのやつ。
でも実際にマグナムより強いパンチなんて放てる人は居ないし、音速の拳が放てる人もいなければ光速の拳とか物理的に不可能だ。
だが、この人の拳は違う。
あまりにも速い。
軽く音を置き去りにするレベルの速さ。
そしてあまりにも重い。
まるでトラックに衝突したかのようなインパクト。
この人に異名を付けるのであればそんなものでは生ぬるい。
神や邪神といった言葉がまさに相応しい。
というか実際に神か邪神かなんかだろこの人!?
「え、えと……修行を付けて頂けるので?」
「カカッ、弟子入りは断らぬ主義でのう」
「あの〜それでなんですが1つお願いしてもいいですかね?」
「一応聞くだけ聞いておこうかのう?」
一つ、一つだけ、これだけは言って置かなければならない。
「も、もし良ければ手加減」
俺がそう言うとピクリと目の前の仮面の男は反応した。
ま、まさか地雷でも踏んだのだろうか?
だが、仮面の男が言ったのは俺が予想したのとは全く別な言葉だった。
「手加減をしろ、とか言うのであれば断るのう」
「はい? あ、いえ、むしろ一切の手加減はせずに半殺しでお願いします」
「ほう?」
そう、これだけは絶対に譲れない。
子供だからと言って手加減されていたのでは伸びるものも伸びない。
せっかく神様がくれたチートがあるのだから最大限に活用するべきだろう。
それが活用できない生ぬるい修行なんかさせられたら弟子入りする意味が無いどころか、むしろ害悪だ。
「自分から修羅の道に飛び込むつもりかのう?
その先にあるのは地獄しかないわいのう」
「この星で一番、いえ素手で史上最強を目指す一人の存在として当然の事ではないですかね?
自分は死の淵を超えて、
その為なら地獄の業火ですら生ぬるい」
目指す果ては遠い。
地震を拳一発で止めるとかどうやってんだよって話だ。
とりあえずの目標は世界中のあらゆる武術を極めて、その上で自分なりの
そして、それらを持って単身で堂々とアメリカ戦に挑む。
もちろん銃や、爆弾等というものが立ちはだかるが、ガロウに銃が流せて俺に流せない道理はない。
そして、核を超えた時にようやく俺は史上最強、まさに神の頂へと辿り着く事ができるのだ。
「カカッ! 良く言ったわいのう!
これなら洗脳も必要なさそうじゃ」
せ、洗脳!?
ちょ、怖い怖い!?
何が怖いかってこの人ならなんか本気でやりそうなところが怖い。
「せ、洗脳って……何の為にそんな事をするんです?」
「時おり、心や情といったものに動かされて手加減を加える等という情けない奴がおってのう。
一つの武として完成する為には仕方の無いことじゃわいのう」
「成程……合理的ですね」
心や感情に負けているようでは史上最強になるなんて以ての外だ。
時々、アニメや漫画等では背負っているもの重みとか信念とかで強さが変わるような事を書いている場合があるが、あれは間違いだ。
誰か大切な者がそれは明確な弱点になるだけで、あとは大義名分、それをする理由が手に入るだけだ。
俺が目標とするあの範馬勇次郎もそうだ。
あの人の強さは心や情といったものが関係ないという事もある。
人質も効かなければ、情に訴える事も効かなければ、金や権力も効かない。
対アメリカを視野に入れて、本物の史上最強を目指す俺にとっては
簡単に纏めると、
人質をとって脅せるような存在を史上最強の生物だと認めてくれるかと言えば間違いなくNoという事だ。
「カカッ、面白い奴じゃわいのう」
「そうですかね?」
そう言えば他人から面白いやつなんて言われた事はあんまりないな。
それが出来ると分かっているからやっているだけなのだが、それってそんなに珍しい事なのだろうか?
10.
「さて、着いたぞい」
そんなシルクァッドさんに連れられて、やって来たのはインドネシアのティダード王国にある謎の闘技場。
……うん?
辺りを見回すと禍々しい玉座やなんかそれっぽい彫刻に、シルクァッドさんがつけているような意味深な仮面が飾られていたりする。
……うん?
「え、えと……ここは?」
「カカッ! まずはお前さんの今の力量を見ようと思ってのう」
そう言うと、シルクァッドさんは消えるようにしてどこかに行ったかと思えば一人の男を連れて帰って来た。
年齢は15、6といったところか?
俺が言えたことでは無いが、そこまで強そうな雰囲気はない。
『シュトラッド出来るな?』
『は、はい、
『では、殺せ』
何を話しているのか分からないが、とりあえずこの少年が俺の相手なのだろう。
よかろう……叩きのめしてくれるわ!
「こやつはわれの弟子候補のようなものじゃ。
まずはこやつを殺してみせよ」
「え、殺していいの?」
「構わぬ、殺れ」
お、おう……。
ま、まさかいきなり命のやり取りを経験させるとは思わなかった。
なんて……な、なんて……
_______良い人なんだ!
普通に考えれば頭がおかしい人か何かに思えるかもしれないが、俺にははっきりとこの意味が分かる。
殺し、殺されるという命のやり取り。
強いものが勝ち弱いものが死ぬという自然の摂理。
俺が史上最強を目指すのであれば当然、誰かを殺す事になるがそれで一々心を乱していたんじゃ話にならない。
帰りを待つ家族がいる?
大切な恋人がいる?
子供がいる?
友人が?
はっきりと言おう、そんなものは知った事では無い。
あの範馬勇次郎がそんなものを一度でも気にかけたか?
否、断じて否!
そんな弱点を晒したままで史上最強なんて名乗れるわけが無いのだ。
自分が生きるためには常に他の生き物を殺す必要がある。
害虫として駆除される虫に然り、食用の豚や牛に然り、ペットとして死ぬまで首輪に繋がれる犬や猫も然り、それは人だって例外ではない。
人権?
そんなものは所詮合意の上の産物。
権利と義務なんて話を持ち出す奴も居るだろう。
だが、そういう奴は根本的に間違っている。
相手の権利を保障する為に必要なのが義務であって、それを保障する必要性もなければ保障される必要も無い。
エゴ、エゴ、エゴ。
人間なんて所詮はエゴの塊に過ぎない。
相手を助けるとかそう言う場合だとしても、
自分がそうしたいからするのであって、
相手が本当はどう考えているのかも、
本当はどうすれば良かったのかなんて事も全ては分からないのが人間だ。
ならば、俺が人権を守る必要性は無い。
俺が誰かの権利を保障する必要性も無い。
ただ殺し、殺される。
弱肉強食の世界に
「ヤァッ!」
俺の方へとやって来て、まだ小さな5歳児に全力のキックをお見舞するこの少年を見てみろ。
素晴らしい。
まさに武を体現しているじゃないか。
弟子の育成まで完璧さすがはシルクァッドさんだ。
いや、弟子候補だったか?
ならば、ならばこちらも応えよう。
神から授けられた才能と努力によって作られた一撃で。
「滑水」
そんな殺意のこもった蹴りに対して俺は腕を滑らかに滑らせる事で完全に受け流す。
かなり強い蹴りだったのかもしれないが、真っ向から立ち向かわずに受け流すのであれば力で対抗する必要性は皆無だ。
そして、そのまま手を滑らせるようにして相手との間合いを詰める。
こちらはまだ5歳児、相手とはリーチの差が段違いだがこうして極限まで間合いを詰めてやればそんなものは関係ない。
_______チェックメイトだ。
「岩砕拳ッ!」
サイヤ人の能力によって増強されたパワーと体重を一点に込める完璧な重心移動によって繰り出される文字通り岩程度ならばギリギリ砕けるという一撃。
蹴りを流された後で完全に体勢が崩れているお陰で回避も防御も不可能。
「うらァッ!」
そのまま拳を腹に叩き込むと地面に向かって叩き込むようにして殴りつけた。
これでまともな人間ならば辞めておくのだろう。
だが、シルクァッドさんは殺せと言ったのだ。
ならばトドメの一撃は必須。
狙うのは頭部もしくは首だ。
そのまま足を振り上げると、殺気を込めて全力で振り下ろした。
グジャリッ!
という生々しい音が響く。
この音が俺は
『選択肢』
→心地よかった。
・あまり好きになれなかった。
選択肢は後2つ程考えてます。
適当に作ったプロット的にルートはいくつかありますが、今回はとことん外道でなんの意味もなくアメリカに喧嘩を売りに行くようなラスボス系主人公で行きます(予定)
ルート1→外道
ルート2→覇道
ルート3→殺人拳
ルート4→闇人
ルート5→英雄
ルート6→正義の味方
ルート7→活人拳
ルート8→たとえ悪と呼ばれようとも
アンケートが使えるかのテストも兼ねてます。皆様はこの小説をどこで知りましたか?
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1、検索したら出た
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2、オススメ欄
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3、知り合いから聞いた
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4、Googleから
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5、それ以外