くくく、チート転生者のこの俺に勝てるわけが……ぐふっ!?   作:とある達人の筋肉無双

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005、闇のお仕事

 14.

 

 

 殴り殴られ、殺し、殺されかけ、そんなこんなで4年の月日が経ちましたが俺は元気です。

 もう9歳、本来ならば小学生3年生に上がる頃なのですが、俺の場合は小学校の学年ではなく武術の位階が上がったようです。

 元々、俺の武術の腕は妙手と呼ばれるクラスだったらしいのですが達人級と呼ばれるランクへとついに登り上げたらしいです。

 

 

 師匠(グル)曰く、史上最速らしいのですがまだ師匠(グル)から一本も取ることができません。

 毎日、毎日組手組手とひたすらに続け、時々やって来た弟子入り希望の人の処理を任される日々。

 厳しい毎日ですが、何とか食らいついてやっていっています。

 

 

 最近の楽しみはティダード王国の観光です。

 インドネシア語を完全にマスターしたお陰でもう誰が何を言っているのか完全に聞き取れます。

 後ついでに師匠(グル)から教わってロシア語と中国語もマスターしました。

 これで元から話せる英語と日本語を合わせると5つの言語をマスターした事になります。

 もう完全なマルチリンガルの一員ですね。

 

 

 ティダード王国で師匠(グル)、拳魔邪神シルクァッド・ジュナザードが信仰されているお陰もあってその教えを受けている俺もなんだが一緒に持ち上げられてしまい、まるで王様のような待遇を受けれたりします。

 ですが、俺が自分の事を流水岩砕拳の使い手とかそう言う風に名乗っていたお陰でいつしか『リュウスイ』という名前だと勘違いされていたのは遺憾です。

 

 

 そして、この事を師匠(グル)に話すともう『東坂』としてのお前は死んでいる事になってるからこれからは『リュウスイ』を名乗れとの事。

 まあ、元の名前はそこまで気に入っている訳でもなかったので別に良いのですが……。

 って俺、いつの間に死んでる事になってたんですかね!? 

 

 

 何も知らされずに死んでいる事にされたのは多少ショックですが、俺の両親にしても自分の息子が行方不明になっている方が辛いでしょう。

 探す手間というものの事を考えれば、ちゃっちゃと死んだ事にして自分で立ち直って貰う方が遥かに効率がいいと思うので別に文句はありませんが、一言くらいは欲しかったものです。

 

 

 流水岩砕拳が半分程完成したお陰で、今は防御だけに限れば師匠(グル)を相手にしても20秒は持ちます。

 それ以前ではどれだけ足掻こうが秒殺されていた事を考えると大進歩だと言えるでしょう。

 師匠(グル)以外を相手にするケースだと元から殆ど完勝できてしまうので実感はあまりありませんが、意外と強くなれたんじゃないでしょうか? 

 

 

 師匠(グル)曰く、20歳未満に限ればの話だと俺は間違いなく最強との事ですが、20に上がるまでには世界最強とまでは行かなくても良いので最高位の達人の一人には上り詰めたいものです。

 っと、長くなりましたがここらで筆を閉じさせて貰います。

 1992年11月22日、リュウスイ。

 

 

 

 15.

 

 

「リュウスイよ、われの代わりに行って参れ」

「は、はい?」

 

 

 ある日、唐突に師匠(グル)に呼び出された俺は一枚の紙を突きつけられた。

 何やらインドネシア語で色々と記載されている。

 読んでみるとそこに記載されていたのは依頼内容と報酬。

 えーと、何なに? 

 

 

 ______________

 

『トム=リドラの抹殺依頼』

 報酬150万£

【依頼内容】

 我社を裏切り、マラッドグループに寝返ったリドラ社の社長の抹殺。

【募集要項】

 達人級以上である事。

 ______________

 

 

「って、もろに抹殺の依頼じゃないですかこれ!?」

「カカッ、そろそろこういう事を経験するのも良かろう? 

 自分の仕事故、報酬は好きに使うとええわいのう」

 

 

 抹殺依頼。

 というかえ? 

 これポ、ポンドっすか? 

 1ポンド140円だとしたらなんとお値段2億円。

 これだけあればしばらく豪遊しまくれる事間違いなしだ。

 

 

「い、行ってきます」

「カカッ、ただし走って行くようにのう」

「え?」

 

 

 うん? 

 い、今……な、なんって? 

 思いっきりこの依頼の場所ヨーロッパ、それもイギリスなんだが地球の裏側(そんなとこ)まで走っていけど? 

 

 

「あの、海があるんですけど……」

「海の上くらい走れる筈じゃわいのう」

「い、行ってきます」

 

 

 師匠(グル)が言外にさっさと行けと言ってきたのでそのまま全力でイギリスに向かって走り始めた。

 こうなったらもうやけだ。

 何も気にせず直線距離を走り抜けるぜ。

 

 

 俺ももう達人級だけあって、水の上を走るなんてお茶の子さいさいだ。

 問題は水の上を走っている間は休む暇が無いということだが、師匠(グル)のお陰で俺の体力は化け物クラスになっており数日程度であればぶっ通しで組手を続けられる程だ。

 なら後は気合と根性の問題でどうにかなる。

 

 

「うぬぐぉぉぉぉぉっ!?」

 

 

 走った。

 疾走った。

 とにかくひたすらに走り続ける事、丸2日。

 ようやく俺はイギリスまで辿り着いた。

 

 

「はぁ、はぁ……ぜぇ、ぜぇ……おぇ……は、走り、走り切ったぞぉぉぉぉッ!」

 

 

 インドネシアからロンドンまでのノンストップランなんてバカバカしい真似を見事成し遂げるなんて自分でも少し驚きだが、これが圧倒的な筋力による暴力というものだ。

 パスポートも何も無く、検問とかそう言うのもガン無視してやって来たので後々何か問題になるかもしれないが、そんなものは俺が史上最強の名を手に入れさえすればいくらでももみ消せるものだろう。

 そんな事よりも今は依頼だ。

 

 

 とりあえず依頼主に話を聞いて、そこから人狩り行ってホテルで寝る。

 もう睡魔が俺に襲い掛かり始めているので、今日の内に終わらせたいところだ。

 

 

「で、えーと……依頼主のオフィスは〜っと……」

 

 

 ロンドンに着いた俺は依頼書片手に街中を走り回るのだった。

 

 

 

 16.

 

 

「はぁ、てめぇみてぇなガキが依頼を受けるだァ? 

 家に帰ってママのおっぱいでもしゃぶってな」

 

 

 俺が依頼主のスコットさんの元まで向かうと、ボディガードらしきムッキムキの大男からイチャモンをつけられた。

 確かに見た目も実際も完全に子供。

 リアル9歳児に抹殺の依頼がこなせるかと言えば普通はNoだろう。

 俺だってそう思うが、生憎と何事にも例外というものはあるものだ。

 それはそうと馬鹿にされ続けるのはいくら何でも見過ごせない。

 

 

「……ぶっ殺しても良いかなこれ」

「あ、いえ、これでも腕は確かで……

 わ、私の1番のボディガードですので、そ、それは流石にやめて頂けると……」

 

 

 そのボディガードに対してスコットさんの方はいかにも気の弱そうな感じの人といった感じだ。

 こんな人が抹殺依頼を頼むなんて人は見かけじゃ分からないものだ。

 

 

「とりあえず報酬は後払いで現金一括で頂ければ問題ありません。

 それでよろしかったですかね?」

「は、はい、ええ、大丈夫です」

「ちょっと待やがれッ! 

 てめぇみてぇなガキにこの依頼がこなせんのかアン?」

 

 

 ああ、うるせぇ。

 こっちは眠いんだ。

 さっさと依頼を終わらせたいのになんなんだこの馬鹿は。

 

 

「すいません、とりあえず話の邪魔ですので眠らせても?」

「え? ええ、ど、どうぞ……」

「ア? この俺を眠らせるだァ? 

 やれるもんならやってみやが、ガッ!?」

「うるせぇ、さっさと眠れ」

 

 

 背後に回って後頭部に手刀を一撃。

 この程度の雑魚であればもうこれだけで大体は片がつく。

 腕が立つとは言ってもそれは一般人から見た話で、この男の実力は高く見積っても精々が妙手の最下級だ。

 間違いなくその実力は弟子級の上位といった所だろう。

 

 

 その程度の実力の持ち主が、仮にも達人級(マスタークラス)の名を冠する俺に勝てるわけが無い。

 しかも俺を子供と油断しまくりで、実力の差すら見抜けないこの男なら一発ももてばいい方だ。

 

 

「っと、私の実力はこの程度です。

 ご不満はありますか?」

 

 

 気絶させた男を椅子に座らせながらニッコリと微笑むと依頼主の顔が一気に真っ青になっていった。

 ……まあ、こんな子供が結構な大男をワンパンで倒せばそりゃあビビっても仕方がないか。

 

 

「い、いえいえ、滅相もない!」

「なら、今相手の居る場所と主な護衛とかを教えて頂けますか?」

「は、はぃ! ほ、本社ビルにいると裏は取れてますが、げ、現在アイツにはマラッドグループの護衛がついておりまして……」

 

 

 護衛ねぇ。

 どのくらいの腕かは分からないが、せめて達人級であって欲しいものだ。

 全く楽しめずに単なる単純作業になるのであれば、せっかく走ってここまで来た意味も半減するというものだ。

 

 

「その護衛について教えて貰えますか?」

「恐らくですが、アイツの護衛はマラッドグループに雇われている『イー・リャオソン』という中国拳法の達人です」

 

 

 イー・リャオソンねぇ……いかにもって感じの名前だが、師匠(グル)から聞いた特A級の達人の中にそんな名前はなかった筈だ。

 偽名を使っているという可能性を除けば、そいつは俺と同格かそれ以下という事になる。

 ならば毎日毎日、ひたすらに超格上と戦い続けた俺にとっては楽勝だと言えるだろう。

 

 

 単純に相手をすれば結果は分からないが、俺の依頼はその同格の相手をすり抜けて対象を抹殺、殺すことだ。

 何かを守りながら戦うなどというハンデを抱えた状態で同格の相手に勝てるかと言われれば間違いなくNoだと言える。

 何かを守りながら戦う者が強い等というのは幻想に過ぎないのだ。

 

 

「ふむ、とりあえずそれだけ聞ければ大丈夫です。

 では可能であれば証拠の生首をもって参りますので、しっかりと報酬を用意してお待ちください」

「は、はい! よ、よろしくお願いします!」

 

 

 こうして俺の初めての闇のお仕事が始まるのだった。






~次回予告~
「なんと、ティダード王国からイギリスまでの距離は約1万2000km、そんな距離を一切休ますに走り切った主人公。
え、地球の裏側じゃないって?
そんなの気にしたら負けよ、負け!


次回は中国拳法の達人VS流水岩砕拳の使い手とかいう謎の異種マッチ!
自称中国拳法の達人として中国拳法に勝って欲しい作者の心と主人公を勝たせたい作者の心が揺れ動く、さあ、その結果はいかに!?
頑張って、達人!
ここを耐えれば護衛対象を護れるんだから!


次回、達人死す。
デュエルスタンバイ!」




次回もまた来てね♪

アンケートが使えるかのテストも兼ねてます。皆様はこの小説をどこで知りましたか?

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