くくく、チート転生者のこの俺に勝てるわけが……ぐふっ!? 作:とある達人の筋肉無双
17.
「ここがリドラ社の本社ビルか……」
依頼主のスコットさんが教えてくれた場所に向かうと、そこにはそれなりに大きなビルが立っていた。
社長室は一番上らしいので正々堂々正面から乗り込むと少しめんどくさい。
さて問題だ。
こういう時はどうすれば良いか?
「答えはこうだ!」
隣に立っているビルを駆け上がり!
そのまま全力で壁を蹴り!
ターゲットのビルの窓をぶち破る!
これぞまさに、ダイナミック入社だ!
(`・ω・´)キリッ
「
「HAHAHA!
適当に名乗りを上げつつ、そのままターゲットの頭を抉り取るために勢いよく貫手を放つ。
かなり良い一撃だったのだが、当然殺し屋だと名乗りを上げてから攻撃するような真似をしたら防いでくださいと言うようなものだ。
「ふんっ!」
俺の貫手はあっさりとボディガードらしい男の手によって防がれてしまう。
その手付きを見る限りではかなり戦い慣れしている百戦錬磨の達人といった所だろうか?
「イー・リャオソンか?」
俺は間合いを詰めながら中国語で尋ねる。
すると、相手は一本身を引きながら答えた。
「いかにも、私が伊遼孫だ」
歳は40代、見るからに中国人といった感じの男だ。
身長はかなり高めで、体格差的にはかなり不利だが、そんなものはいつもの事だ。
一応、念を入れてその辺の店で買った仮面を付けてはいるが調べれば俺の情報なんてすぐにバレてしまうだろう。
まあ、隠すような情報なんてないんだがな。
「……ほう?」
一歩ずつ間合いを詰めていくと、その度に伊遼孫はターゲットのリドラを庇いつつ後ろへ後ろへと下がっていく。
だが、先程の一瞬でこちらはドアを背にしており逃げるには俺が割った窓から飛び降りるしかない。
だが、当然そんな隙を見せれば俺の追撃を避ける事などできるわけが無い。
更に一歩間合いを詰めるとついに二人は窓を背にしてしまう。
これで背水の陣の出来上がりだ。
「ひ、ひィ!? お、おい!?
か、金は払ってるんだ!
な、なん、何とかしてくれよ!?」
「いえ、相手は間違いなく格上、恐らくは私が負けるでしょう」
「おいおい……、こんな小さい奴を格上呼ばわりするとは大したボディガードだな?」
俺が少し笑いながらそう言うと、伊遼孫はしっかりと構えを取りつつ答えを返した。
「まさかこんな所で闇の十拳の一人に出くわすとは思わなかったぞ。
そうだろう?」
闇の十拳?
なんだそりゃあ?
四天王や十二天将とかそう言う感じの匂いがするのでめちゃくちゃ強い10人の拳法家とかそう言う事だろうか?
残念ながらまだ俺はそんな10人にカウントされる程の力を持った訳では無いんだが……。
まあ……別に良いか。
過小評価されるのは嫌いだが、過大評価されるのは嫌いじゃない。
この男がそう思ったのならそう思わせておけばいいのだ。
「ふっ、闇の十拳? なんの事だ?
俺はただのスタイリッシュ社長スレイヤーだ。
そんなものは関係ないな」
そう言って俺が一歩前に出るとついにお互いの制空圏が重なった。
ここから一気に攻撃に入ってもいいのだが、更にプレッシャーを与えるようにもう一歩だけ間合いを詰める。
「くっ!」
「どうした? 別に打ち込んで来ても構わんぞ?」
こっちは防御主体でついでに静の気の流水岩砕拳。
相手が攻撃しないのであれば、そのまま
さあ、どこからでも打ち込んで来い。
言外にそう言いつつ、更にもう一歩間合いを詰めると流石にこれ以上詰められるのを嫌ったのか、かなり激しい拳が飛んできた。
「覇合崩拳ッッ!!!」
もう必殺の間合いとも言える超至近距離から放たれる崩拳、中段突きが物凄いスピードで俺を捉えようと襲ってくる。
毎日毎日、拳魔邪神である
だが、
「……流水」
_______当たらなければどうということはない。
右手を使ってまるで流れる水のように自然に攻撃を流す。
あくまでも力を外側に加えることによって流すだけであって、真っ向面から防ぐような真似は絶対にしない。
体格で負けている相手に対して正面から挑むなどただの馬鹿としか言えないだろう。
「なっ!?」
そしてそのまま相手の拳を受け流した勢いを使用して右手が相手の方へと向かっていく。
まさに攻防一体となった究極の武。
それが、流水岩砕拳だ。
「岩砕拳ッ!」
「うぐッ!?」
流水の後にやってくる俺の右手による一撃は伊遼孫が攻撃に使わず残った反対側の手、右手による化勁で受け流されてしまうが残念ながらこちらにはまだ左手が残っている。
それに対して伊遼孫は左手を崩拳に、右手を化勁にと両方とも使っており、更には崩拳を放つ時に脚までもを使い切っている。
ここから経ち直す為には更に一動作が必要なのだが、そんなものはできる暇は無い。
「はァっ!」
「グアッ!?」
俺が左手で狙うのは一撃での決着が狙える首。
どうやっても鍛えようが無い人間の弱点にして、最大の急所に全力全開の殺意を込めた貫手を放つ。
「さぁ、死に急げ!」
当然、その抜き手を避ける事が出来なかった伊遼孫は俺の強烈な貫手をくらい、床へと崩れ落ちる。
一手、二手、三手のたった三つの攻防だったが、これでも普通に凄いことだ。
普通、格上と当たるのであれば最初の一手目で大体勝敗が決まるのだ。
「さて、護衛も居なくなったが、俺も鬼じゃない」
「ひ、ひぃ!? か、金か!
金なら出す! そ、そうだ、お前の雇われた額の1.5、いや2倍だす!
た、頼む! 見逃してくれ」
話をしようとした途端に謎の命乞いタイムが、始まったが別に俺はそんな事を望んでいるわけじゃない。
こういう場面でやることと言えばたった一つだけだ。
「いや、遺言でも聞いておこうと思ってな?」
「ひ、ひぃッッッ!?」
俺がそう言うと、リドラは情けなく悲鳴を上げて後ろに下がろうとするが残念ながら後ろは壁でこれ以上下がる事は出来ない。
まさにチェックメイトと言うやつだ。
「さぁ、死ね!」
「はァっ!」
そう言って、首を刎ねようと手刀を放ったのだがそれはいきなり蹴りが飛んできた事によって中断する事になった。
そう、伊遼孫が立ち上がったのだ。
「させぬ、やらせはせぬぞ!」
……あ、あれを受けて立つのか?
すげぇ根性だな。
普通の人なら確実に死ぬ一撃、普通じゃなくてもまず間違いなく意識は落ちる喉への貫手。
まさかそんなものを受けて再び立てるなど思いもしなかった。
「もうふらふらだな。
ゆっくりそこで寝ていたらどうだ?」
いかにも限界といった感じでふらふらと立ち上がる伊遼孫に俺は優しく声を掛けるも、その提案は当然のように却下された。
「ああ、そうしたいのは山々だが、このリドラ社長を殺させる訳には行かないのでな!
返しても返しきれぬ恩というものがあるのだ!」
恩、恩ねぇ……これじゃあ丸っきり俺が悪者みたいじゃないか。
いや、というか実際俺が悪者なのか?
うん……殺しの依頼受けてるしな。
ならもういっその事、魔王ロールでもしてみるか?
この傷では俺が勝ったも同然、ならば少し遊んでも問題は無いはずだ。
「ふふふ、ふははっ! フゥーッハハハハハハ!
良かろう、ならばその恩とやらの為にこの俺を超えてみせろ!」
俺は大きく高笑いを上げて発破を掛けてみる。
これで更に立ち向かって来て良し、立ち向かえずに崩れるのであれば依頼が達成できて良しだ。
「我が生涯を掛けて積み上げた武の全て、その身で受けてみろ!
行くぞぉぉぉッ!」
伊遼孫はそう言って全力で、次の一撃に全てを込めるようにして固く、強く構えを取る。
それに対してこちらも奥義の構えで返事を返す。
「来い!」
そして、俺がそう言うと伊遼孫は始めに俺に対して放った崩拳のもっと凄い版を放って来た。
それに対して俺が使うのは当然、初歩にして極意。
全てを受け流し、そして全てに対してカウンターを放つ最強の拳。
「覇合崩拳!」
「流水岩砕拳!」
今ここに2つの奥義がぶつかりあった。
そして、盾と矛その勝者は言わずもがな俺だ。
「ふんっ!」
「グワガァァァァァッッ!?」
そして、俺の流水岩砕拳によるカウンターが綺麗に顎にクリーンヒット。
伊遼孫はビルの窓を突き破ると、そのままの勢いで大きく下へと落ちていった。
主人公のそこはかとない強ボス感が出せたらいいなぁ(粉みかん)。
アンケートが使えるかのテストも兼ねてます。皆様はこの小説をどこで知りましたか?
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