くくく、チート転生者のこの俺に勝てるわけが……ぐふっ!? 作:とある達人の筋肉無双
21.
「
「カカ、いかにも、あやつがお前さんの獲物じゃわいのう」
上位1万メートルからの紐なしバンジーをし、綺麗に森の中へと着地を成功させると、そのまま
ほんの少しだけ歩くと少し開けた場所で一人の男が待ち構えていた。
この筋骨隆々な金髪の男は闇ボクシング界の王者、ウェイコット・ソムファンだ。
……強い。
あまりにも強い。
今の俺と比べても更に一回り程は強いと言えるだろう。
その拳は大砲の一撃を遥かに上回り、もし仮に一発でも喰らえば例え俺でさえもその場でこと切れてしまうだろう。
そんな彼に
「……貴様が俺に挑む拳魔邪神の弟子か?」
出会ったその瞬間から既にその男はとてつもない眼力でこちらを睨めつけていただけだったが、ようやく口を開いた。
な、なんというアナゴさんボイス……。
あの声優さんが英語を喋ったらまさにこんな感じなんじゃないだろうか?
さて、どう返そうか……。
あまり弱そうな事を言って侮られたら俺の実力を最後まで見せ付ける事が出来ない。
そう、この場にいるのは俺とコイツと
邪魔にならないように隠れてはいるものの、闇人の見届け人らしい人が13人も周りでスタンバっている。
そして、その中の3人が超高そうなカメラをこちらに向けているのだ。
別に撮影された所で問題は無いのだが、かっこ悪い姿を映すのだけは問題だ。
できれば絶えず薄らと笑顔を顔に浮かべ、実際はどんなに厳しい時でも余裕があるように見せるべきだ。
だが、問題は台詞。
……えぇい! ままよ!
なるようになれ!
「ああ、俺がお前に挑む、いや……俺がお前を殺す者だ。
俺の名前はリュウスイ、その魂の奥底にこの名を恐怖とともに刻め!」
そうして言ってしまったのは超厨二病全開な台詞。
うん、やらかした。
超やらかした!
一影九拳の一人が厨二病ってはっきり言ってどうよ?
それよりも撮影されている前で厨二台詞を言うのって後になったらくっそ恥ずかしい!
い、いや待て!
冷静に考えるんだ俺……12歳なら厨二病でもまだまだ全然許されるんじゃないか?
そうだ!
俺は12歳。
別に厨二病だろうがおかしい事は無いはずだ。
「ふっ、若いな……、貴様のような子供が特A級の達人とは……。
その才能はまさに天が与えしものだろう、良い拾い物をしたな拳魔邪神」
「カッカッカ、自慢の弟子じゃわいのう」
は、鼻で笑われたァァァァ!
く、くそぅ……だが、表情には一切出さなかった筈だ。
ずっとこの薄ら笑いを浮かべておけばとりあえずは安泰だと証明された。
「さて、そろそろ始めるとするか……拳魔邪神、合図を頼む。
貴様もそれで構わないな?」
「ええ、問題ありません」
「カカ、引き受けたわいのう」
攻めが得意な相手に特攻を仕掛けて勝っても別に面白くも何ともない。
相手の得意分野を真っ向からねじ伏せる事でのみ俺の強さは証明されるのだ。
「
「では行くぞ!」
外野で見ている多くの闇人もおそらくはこう思っているだろう。
この勝負は俺の負けだと。
「ワンショットマグナムッ!」
そして、彼が放って来たのはその代名詞たる一撃必殺の右ストレート、ワンショットマグナム。
もしこの拳が当たれば身体を貫かれるどころか、上半身が吹っ飛びかねない一撃だ。
俺はその攻撃を一歩も動かずに身体で受け止めた。
「グッ!?」
ように見える。
しかし、ダメージを負ったのは俺ではなく拳を放ったウェイコットだ。
これを見ている闇人達は何がなんだか分からずに困惑しているが、それぞまさにこの技の真髄。
外からでは何をしたのかさっぱり分からないし、受けた側も何をされたのかも分からない。
あの
「奥義、
この奥義は俺が
相手の攻撃を気当たりによる分身とスリッピング・アウェーを応用して一歩も動かずその場で防ぎ、そして相手の死角からのカウンターを同時に合わせる超高度な技術だ。
「ッ!? すり抜けた、だと……!?」
ただ気当たりの分身によって避けただけなら当然の如く種は直ぐにバレるし、スリッピング・アウェーだけでも当然分かるし、ただのカウンター等バレバレにも程がある。
だが、この3つを同時に行い、即座に身体を元に戻すのならば話は違う。
初見だけならば絶対に種も仕掛けも全く分からないという意味不明な魔拳の出来上がりという訳だ。
「ふっ、この程度を見切れないか?
なら手加減してやる、今から俺は幻水は使わない」
使わないんじゃなくて種が割れて普通に殴られる恐れがあるので使えないというのが正しいんだが、馬鹿正直にそれを言う程俺は愚かじゃない。
どこまでも上から目線で、ハンデまでつけて戦って、その上で完封したように見せかける。
ただ見せかけるだけなのだが、それでも接戦で何とか勝ちましたとか言うよりは圧倒的に見栄えがいいし、見聞もいい。
それに、せっかく流のエンブレムを奪ったのにこんなガキなら余裕とか思われて挑まれるのも癪だ。
せっかく動画を撮ってくれているんだ、あくまでも最強のように見せかけ、それっぽく勝てばいいのだ、それっぽく!
「この俺を相手に手加減だと?
舐めた真似をするじゃないか……」
「さてと……今度はこちらから行くとするかッ!」
真っ向からは絶対に勝てない奴が相手だが、真っ向から行かないと強さを証明できない?
ならば真っ向から攻めているように見せかければ良いじゃないか!
自分より強い相手を確実に倒す手段はいくつかあるが、その中でも最も有名かつ単純な方法がある。
そう『カウンター』だ。
どんなに強い相手だろうが、攻撃の一瞬だけは隙が出来てしまうというものだ。
俺は全力で相手の方へと走って行くが、狙いは自分からの攻撃じゃない。
「フッ!」
「奥義、逆流水」
狙いはあくまでもカウンター。
相手の方へと全力で突撃する事で相手からの攻撃を誘発し、それに対して流水からのカウンターと繋ぐこれまた初見殺しの一撃。
迎撃の為に撃ったカウンターのつもりの一撃にむしろカウンターを返されるという意識の隙間を縫う人間の心理を突いたこの技もまた初見だけは奇妙に感じる技だ。
「なんの!」
「まだまだァ!」
ただ、この技の弱点は先手を取って相手に一発クリーンヒットを入れるだけの一撃だという事。
そのままヒットアンドアウェイが出来ずに乱戦へと持ち込まれると、一発分有利に進めるという以上の効果は無い。
これで俺は合計2発も相手に入れた訳だが、ここで出てくるのが体重差の問題だ。
例え筋力で勝っていようともこっちはまだまだ育ち盛りの12歳の身体。
それに対して相手はムッキムキのアメリカ人で、その体重差は2倍程存在する。
こっちがどれだけ工夫をしても、結局体重差の問題はそう簡単に覆るものじゃない。
それが簡単にできるのであればありとあらゆる格闘技は体重差で階級に分けられていたりしないだろうし、ストロー級チャンピオンがヘビー級チャンピオンを倒すなんて話の1つや2つ位はあっても良いはずなのだ。
だが、そんな事は実際には有り得ない。
それが体重差というものだ。
これを覆す方法は2つ。
肉体のスペックと技量。
肉体のスペックは間違いなく問題ない。
問題があるとすれば俺は体重差で負けている相手を覆せる程の技量があるかとうかだ。
_______俺たちの戦いはここから先が本番だ!
なんか変なのが来るみたいなので明日はちょっと投稿できないかも知れませんがエタるワケでは無いのでご安心ください。
-追記-
反省します。
後書き欄でも紛らわしいネタはもう記載しません。
この場でお詫び申し上げますm(*_ _)m
-追記-
日間ランキングで3位
二次創作の日間ランキングで1位
……Σ(゚ω゚ノ)ノファ!?
記念に感想欄にGoodボタンを追加しました。
試験的に評価の必要文字数を0にしました。
いつも誤字脱字報告や、感想等頂ける方に感謝を!
2020/02/19 8時15分
アンケートが使えるかのテストも兼ねてます。皆様はこの小説をどこで知りましたか?
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