雪音クリスがやってきた   作:白黒犬カッキー

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81話 変化

 

和雪達がやってきた家の地下で少女は目覚める。

 

「…ッ!?此処は…」

 

一糸纏わぬ姿で目覚めた彼女、錬金術師キャロル・マールス・ディーンハイムは自身の姿を確認する。

 

「どうして…」

 

起き上がって鏡を見た自分の姿を見て自分はどうして此処にいるのか疑問に思いながら、先程自分が寝ていた所に振り向く。

 

そこには見た事のないような模様の形をした祭壇が佇んでいただけだがそれを見たキャロルは見た事があるのかその祭壇に再度近寄る。  

 

「…これってあいつの…」

 

彼の夢、思い出の中で見た祭壇だった。

 

「…あいつは!?」

 

自分がここにいることに気づくとハッっと彼の存在を思い出してその場から出ようと一枚の布を拾い上げ、自分の身体に巻いて階段を駆け上がる。

扉を開けると目の前にはたくさんの瓦礫とそれの中に倒れている見覚えのある人物を見つける。

 

「おい!しっかりしろ!」

 

「……」

 

見覚えのあった人物の正体はあの少年だった。

声を掛けるも少年は反応はせず引っ張り上げようとするが小さな体で動かせるはずもなくキャロルは舌打ちをする。

 

「…ッチ。この姿では動かせないか…なら」

 

そう言って手を横に翳す。

ダウルダブラを呼び出そうとするが出てくることはなかった。

 

「…?なぜ出てこない!?」

 

もう一度翳すがうんともすんとも言わない。

 

「どうゆう事だ…何故…」

 

まさかこの身体のせいなのか?と疑問に思っていると少年の身体が微かに動いた気がした。

 

「う…」

 

「!おい無事か?」

 

「…キャロ…ル?…あっ…つ!」

 

彼女の名前を呼び少年はどうして彼女が此処にいるのか考えようとするが腹部の痛みでそれどころではなく痛みが彼の身体に走る。

 

「お前、どこか痛むのか?今すぐこの瓦礫をオレの力で!」

 

そう言って彼女が錬金術で何かしようとすると後ろからの視線を感じとる。

 

「……」

 

動きを止めキャロルはゆっくりと後ろを振り向く。

人の気配はなく変わりに大量の蛇がこちらを眺めていた。

 

「なん…だ?」

 

大量の蛇に気付くと同時に複数の蛇が彼女の身体に飛びつく。

 

「しまっ!?」

 

組み着かれてしまったキャロルは引き離そうとするが複数の蛇は両手足を縛りあげ彼女の動きを止める。

組み着かれてしまったキャロルはバランスを崩して倒れてしまう。

 

「…っく!この!」

 

かなりの連携、統率の取れた動きに驚き振りほどこうとするが力が強く振りほどけずにいてそれを見た他の蛇達は少年の方に向かっていく。

 

「…ッ?」

 

近付いてくる蛇達に朦朧としながら見上げるともう一度気を失おうとする。

 

「何をするつもりだ…そいつに手を出すな!」

 

彼女の静止ももちろん聞かず蛇達はその大口を開け少年の身体に噛み付いていく。

 

「…!?ァァァァァァァァァァァ!!」

 

噛まれた瞬間、失いかけていた意識が強制的に目覚め更に強烈な痛みに身体が覚醒する。

 

「…!和雪!」

 

キャロルの叫びも届かず少年の身体に噛み付く蛇達は離れようとはしなかった。

 

「アア!…ギィアアア…ア!」

 

ドクンッ

 

「!?……」

 

声を上げて叫び続けていると突然静かになる。

 

「…和雪?」

 

キャロルが呼ぶと彼の身体に噛み付いていた蛇達がその場に地面に落ちていき塵になって消えていく。

そして蛇達が消えた後少年の身体は動き出し彼の上にあった瓦礫も一瞬重さで落ちるが何事もなかったかのように起き上がる彼の横に落ちていく。

 

「…!?」

 

彼の身体を見たキャロルは驚く。

沢山の噛み跡、彼の腹部に開けられた傷がみるみる治っていく。

 

「…コレは」

 

これに似たようなことがあったのをキャロルは思い出す。

彼がノイズから逃げ切った日病院で体の中の細胞が修復されていたのを思い出す。

そして傷が治ると彼は縛られているキャロルの方に向かっていき口を開く。

 

「…■■■」

 

聞き取れな言語で喋ると縛っていた蛇達は一度彼の方を見てから縛り上げていた力を緩め彼女から離れていく。

 

「…お前」

 

指示をしたであろう少年にキャロルは見上げる。

キャロルを見つめている少年の目は明らかに人間とは違う目をしていたが瞳を閉じると少年の瞳は元に戻り、キャロルを見てから傍による。

 

「…え?なんでキャロルいるの!?なにどゆこと?」

 

慌ただしくしゃべる彼の様子を見ていつもの様子に戻ったと確信すると彼女も起き上がる。

 

「なんでもない。気が付いたら此処の地下にいた。何か知っているか?」

 

「え?地下?…!」

 

呟いた瞬間彼は突然そっぽを向いたのだ。

 

「なんだ?どうした?」

 

「いや、お前服は!?」

 

「服?…あ」

 

少年の言葉に彼女は自分の身体を見ると先ほどの蛇達に絡まれてしまって布が取れてしまったのか裸になってしまっていたのだ。

 

「…いつも夢で見てるのだから問題はないだろ」

 

「…問題あるからね!?」

 

「一緒にふろにも入っただろ」

 

「良いから服を着てくれます!?」




久しぶりにできたぜい('ω')ノ

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