ヴェルドラを収納したあと、俺は射出の練習をしていた。
射出は普通にできるのだが、どうも威力が出ない。
水を射出して攻撃できないかとも考えてみたものの、刃ができるほどの速度で水を射出すること自体が難しそうだ。
なんでこんなことをしてるんだって?
バッカ、お前。
今の俺はスライムだぜ?
今の状態で魔物に襲われたらひとたまりもないじゃないか!
というわけで、戦闘手段を開発中。
(射出! うーん、やっぱりダメか・・・)
練習用に使っている岩は何度やっても傷一つつかない。
体感的には既に100日以上練習し続けているんだが・・・。
《スキル『水刃』を取得しました》
と、何かが聞こえた。
それは、転生する前に聞こえた声に似ていて。
(だ、だれだ!?)
思わず問いかけるが、返答はない。
数秒待って、返答がなかったためため息をつく。
(・・・そういえば、ヴェルドラがスキルを取得するときは世界の声って言うやつが聞こえるって言ってたな・・・)
つまり今のは世界の声。
じゃあ返答が帰ってこないのも当たり前か。
・・・はぁ。
(話し相手がいないって想像以上に辛いなぁ・・・)
最近こうやってため息をつくことが増えてきた気がする。
いや、多分実際に増えているんだろう。
・・・いや、とりあえず今は射出の練習をしよう。
何かを今できるわけじゃないし。
(『水刃』! っておお!)
スキルを使ってみれば、かなり威力が出た。
さっきまで傷一つ付かなかった岩が、一回で切断されてる!
(よし、これなら戦えそうだな!)
そして俺は、ようやく洞窟から出ることにした。
そして、それから約30日後。
俺はようやくこの洞窟から脱出ができた。
迷いに迷い続けて、ようやくだ。
(疲れた・・・)
思わずそう思ってしまうほどには疲れている。
ここまでくるのにいろんな魔物と戦った。
大きな蜘蛛、ムカデの化け物、吸血蝙蝠、甲殻トカゲ。
そして、大きな黒い蛇。
とは言っても、すべてを倒してるわけじゃない。
甲殻トカゲは硬すぎて水刃が通らなかったし、吸血蝙蝠は水刃がなかなか当たらない。
ムカデの化け物は気配を消して背後から襲ってくるし。
ムカデに関しては魔力感知で周囲を見ていたから問題なかったけど、これがなかったらかなりキツかっただろうし。
蜘蛛は生理的に無理だ。
つい水刃を大量に放ってしまった。
今の所、攻撃手段が水刃しかないからこれが通じなかったらおしまいだ。
実際甲殻トカゲは一体も倒せてないし。
そして、大きな蛇は本当に強かった。
甲殻トカゲほど硬かったわけじゃないけど、水刃でもほとんど通じなかった。
一撃離脱が基本になったけど、そのせいかかなりの長期戦が強いられた。
それに物を一気に溶かしていく超強力な酸のブレスも厄介だった。
それでもなんとか倒して、いろんなところを探索して。
ようやく洞窟の外へと出ることができた。
この世界で初めて、俺は太陽の光が降り注ぐ場所に出たのだ…。