夜のソラ [完結]   作:ちびっこ

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GWの話で出かけてる話を書いてるけど、外出自粛に協力しましょう。




楽しかったGWが終わってしまったのか、クラスの雰囲気が憂鬱そうだよ。オレも違う意味でゲンナリ中。せっかくの家族旅行だったのに、あれは酷かった。旅行から帰ってから骸にはちゃんと謝りに行ったよ。旅行中にいっちゃあいつの迷惑になっちゃうからね。本当はあいつの好きなチョコとか贈りたいけど、生活費はXANXUSが出してるからね。そういうことも出来なかった。まぁ呆れながらも許してくれたよ。オレらに激甘だよなって本当に思った。

 

リボーンがとりなしてくれたから、ヒバリさんとXANXUSの一触即発はさけられた。……あと片割れの方のオレともだね。本当にリボーンが味方してくれて助かったよ。もうどうなるかと思ったもん。オレというより……わたしの行動が悪かったからね。けど、わたしは全然反省してないんだもん。あとXANXUSも。いやまぁあいつはそのために来てくれたみたいだから、そうするのもわからなくはないけどさ。

 

 

あの日、リボーンの言葉がきっかけで交差点でバッタリあったメンバーでバトルしていた。オレは母さんを優先してたからどうなったんだろうとは思ってたんだけど、夕食の時間にはオレがボロボロになりながらも帰ってきた。家族旅行だからってことで、ディーノさんが逃がしてくれたんだって。本当にマフィアなのにマフィアっぽくない人だよ。まぁオレが居なくなったなら、お開きになっただろうね。戦ってる理由がなくなっちゃうし、ヒバリさんには付き合わなくちゃいけないかもしれないけど。そこはディーノさんも織り込み済みでしょ。

 

けど、オレの予想に反して明日はヒバリさんの誕生日ってのもあって、ディーノさんは日付がかわる前には帰ってきた。明日わかってるよね?という不吉な伝言を預かってきてたけど。というか、オレ何度も言ったよね?家族旅行だからね?ディーノさん、すまんって手を合わせてるけどオレ無視するよ?ほら、オレも珍しくヒバリさんに反抗してオレの味方してくれてるし。母さんはヒバリ君も一緒でいいじゃない?っていうけど、それがダメなんだってとオレ達はみんな揃って目をそらした。

 

家族旅行だからってことで、血縁者のみで就寝する。お前も居ないの?とオレはリボーンに視線を送ったんだけどね。努力はしろとコソッと言われた。相変わらず母さんに弱いよな。まぁオレもニコニコの母さんとオレに何も言えないから人のことは言えないんだけどさ。ただリボーンは女のオレにも甘いから別の部屋の鍵を渡してくれたけどね。

 

3つ並んだ布団をみてちょっと憂鬱だ。双子なのもあって気付かれるかなと思ったけど、オレは昼間のバトルの疲れがあったのかバレてない。わたしに変わったら気付かれるかもしれないけど。オレの経験が継承されてるって言っても、感情を抑えるのはやっぱ苦手みたいだし。

 

ニコニコの2人に真ん中で眠ることを勧められ、オレは大人しく寝転んで目をつぶった。しばらくすると2人の寝息が聞こえてきてオレはムクリと起き上がる。予想通り、落ち着かなくて眠れる気がしなかった。というか、ちょっと気持ち悪い。身体が拒絶してると判断して部屋から出ようと立ち上がる。

 

「ソラちゃん……?」

「ご、ごめん。起こしちゃった?」

「いいの。……眠れないのね」

 

気配は殺してたんだけどなぁ……。こういう時、夜目も効く自分が嫌になる。母さんの顔がハッキリ見えちゃうからさ。

 

「その、母さん」

「ソラちゃんは謝っちゃダメよ」

 

……だよなぁ。いくら母さんが天然でもおかしいとは思ってるよね。それでも母さんは何も聞かない。あの時わんわんと泣いたオレとわたしに、必死に誤魔化してオレらを庇ったオレには絶対詰め寄ろうとはしない。だってそれが母さんだから。……まぁ父さんには知らないけど。だってね、オレらが父さんを嫌ってるのは察してるみたいだし。家光さんに知らせなきゃってウキウキした母さんの前で、わたしが真っ青な顔になっちゃったから。そしてしばらく家に寄り付かなくなったし。オレに大丈夫だからと説得させられて戻ってきたからね。いくら鈍い母さんでも何かあったとわかっただろうから。……必死に言い訳考えろ、オレらは知らね。ざまぁ。

 

「風邪、引かないようにね」

「……うん、おやすみ」

 

謝っちゃダメっていわれたけど、わたしは心の中でごめんねと謝る。多分それも母さんは察したと思うけど、笑顔でおやすみなさいって返事を言ってくれた。

 

もう1人のわたしと会話しながらフラフラと散歩する。ちょっと寝る気分じゃなくなっちゃったから。にしても、道路とか荒れてないね。流石に場所が悪いと思ったのか移動したっぽい。気にしたのは多分オレとディーノさんだね。リボーンの挑発で矛先はオレだっただろうし、うまく誘導できたっぽい。 もう1人のわたしも気にしてたっぽいから、やっぱそこはオレだよねって思う。わたしはそこまで気にしないし。一般人をちょっと脅して逃げたら?ぐらいはするかもしれないけど。わたしがわざわざ移動することはないね。

 

並盛以外でもそういう考えだし、やっぱわたしは普通の生活は生きにくいなぁと思いながら歩いてると酔っ払いに話しかけられた。典型的なナンパだよ。それも身体目的だね。

 

「んー、いいよ。誰でも良い気分だし、わたしと遊んでくれる?」

 

ふふっとわたしが笑いかければ、舐めるように身体を見たよ。もう1人のわたしが止めるから、メスで服を縫い付けるぐらいにしてあげる。頼んでもないのに誰かが隠すんだろうなぁ。なんて思ってると、濃厚な殺気を感じて驚いた。といっても、いつも通りなんだけどね。もう帰ったか、宿に居ると思ったから驚いたの。一般人にはちょっとキツイみたいで、無意識に一歩下がったね。

 

「もっと良い男がいたみたい」

 

じゃぁねとわたしが手を振ったら、プライドを傷つけられて得体の知れない恐怖より怒りがまさったみたい。手を伸ばそうとしたけど、姿が見えたのかピタッと止まったよ。目つき怖いものね。でも睨んでないよ、彼はこれが普通なの。睨んだらもっと迫力があるもの。

 

固まってる男を無視して、XANXUSはクイっと視線で促した。わたしのことも無視するかなってちょっと思ったんだけどね、くだらねぇことしてる暇があるなら来いだってさ。ちょっと悩んだけど、XANXUS自ら迎えに来たからわたしはついて行くことにした。もう1人のわたしはすげー叫んでるけど。いいじゃん、別に。わたしが決めたことなんだから、あの人の機嫌が悪くなるだけだよ。

 

ギリギリなのによく借りれたねと思いながら宿に入るともう1人のわたしが教えてくれた。ボンゴレが持ってる内の一つって。だから融通が利いて、明らかに違う宿の浴衣を着たわたしが通っても止められないんだね。相変わらずスクアーロはうるさいなぁと思いながら素通りする。まぁ面倒なことになるのはわかりきってるもんね。もう1人のわたしが深く同意してたよ。無視して泊まるけど。

 

それにしてもこういう宿でも格を落とさないよねーと思いながら、部屋を見渡す。XANXUSは座ったから、飲み直すことにしたみたい。だから勝手に布団を使えだってさ。

 

「ふーん、じゃ借りるね。おやすみっと」

 

絶対機嫌悪いけど、無視して眠る。……や、見ればわかるじゃん。今すげー機嫌悪いよ、この人。わたしが頼らなかったことにも苛立ってるし、わざわざ迎えに行かなきゃ来なかったことにも苛立ってるね。部下に命令しても来ないってわかってるから、XANXUSが動いたの。放置すりゃいいのにって本人は思ってるけど、継承しちゃった記憶のせいで無視出来なかったんだろうね。振り回されて更にイラッとしてる感じ。それでもわたしが付いてきたから、まだ良くなってるよ。ただ良くなっちゃったからまたイラッとしてるんだろうね。

 

コイツ、そんなめんどくさいことなってんの!?ともう1人のわたしが叫んでた。だから無視して寝るんだって。わたしが機嫌とろうとすればもっと機嫌悪くなるし。だから、おやすみなさい。

 

 

 

ドタバタと大きな足音が聞こえ、わたしは意識を浮上させる。目を開けるとXANXUSと視線が合った。

 

「おはよう、XANXUS」

「……ああ」

 

珍しい、返事があったよ。なんて思いながら、一緒の布団で眠っていたことに気付く。や、手は出されてないよ。その場合はもう1人のわたしが起きるだろうから。ただ昨日の感じだと、あのまま座って眠ると思ってたの。ちょっと酔ってたのかもね。

 

XANXUSが視線をそらさないから、ジッと見つめ合う。こういう風に見つめ合っても、嫌じゃないんだよね。というか、好き。ただこれがわたしの気持ちなのか、未来のわたしの気持ちなのかがわからない。それは多分XANXUSも一緒。

 

さっきから近づいてくる足音は多分オレだよねぇと思いながらも、わたし達は動かない。XANXUSも察してると思う。面倒なことになると分かりきってるのにね。……もう1人のわたしは諦めモード入ってるよ。押し付けられるのはわかってるからさ。悪いとわたしも思ってるんだけどね、でもギリギリまでこうしていたいの。

 

スパンッと勢いよく襖が開いて、んなーーっ!!とオレが叫んだ。チッという舌打ちと共に視線を逸らして、XANXUSは身体を起こしたよ。仕方なくわたしも起き上がって恐る恐るオレを見る。……白目向いてたよ。XANXUSの時の方がショック大きいよね、いっつも。またねとXANXUSに視線を送って入れ替わる。

 

そそくさとオレは布団から退散する。XANXUSも嫌だろうし、オレも微妙だから。

 

オレの目の前で何度か手を振ると、意識が戻ったのか抱きしめられた。地味に力が強くて痛い。我慢するけどさ。オレの後ろにリボーンとディーノさんも居たよ。朝からオレが騒がしかったんだろうね。困ったようにディーノさんは頬をかいてたけど、リボーンはため息を吐いてたよ。オレもため息を吐きたい。

 

「んっと、戻ろ。母さん、待ってるんでしょ」

 

何か言い返してくるかなと思ったけど、オレはオレの手を掴んで歩き出したよ。一緒の布団で眠ってたことはダメと思ってるだろうけど、わたしの意思でXANXUSのところに向かったことを察してるから言えないんだろうなぁ。オレも本気で止めようとはしなかったし。だから下を向いたままなんだよね。どうしよっかなぁとオレが悩んでると、ドカスと後ろから声がかかった。え、お前この状態のオレに声かけちゃうの!?

 

「いつまで甘ったれた考えでいやがる」

 

ギリっとオレが歯を食いしばったけど、それでも顔は伏せたまま。

 

「その女はこっち側の人間だ。てめぇのくだらねぇ理想を押し付けんじゃねぇ」

「……るさい。わかってるよ、そんなこと!!それでもオレは普通の生活を味あわせてあげたいんだ!!ボンゴレがしっかりしてたら、ソラは普通の生活を知ることができたんだよ!!お前が……お前が言うな!!」

「ハッ。てめぇもボンゴレだろうが」

「……はい、そこまで」

 

流石に間に入ったよ。思いっきりオレが傷ついちゃったからね。XANXUSには睨まれちゃったけどさ。

 

「あのさ、オレもわたしも君の気持ちはちゃんとわかってるから。だからあの子もオレを通して普通の生活……なのかはちょっと怪しいけど、まぁ楽しんでるよ。そりゃちょっとしんどいと思って、お前に甘えてるのは事実だよ。オレは装って生きていける可能性があるけど、あの子は無理だろうし。でもそれでお前がオレを追い詰めるっていうなら、わたしはお前のところには行かなくなるからね」

 

骸だって居るんだからさ。あいつは邪険にしないし、わたしの件ではここまでオレには言わない。そりゃわたしが参ってたらちょっとは言うだろうけど、イヤミの範囲。

 

「で、君は過去に囚われすぎ。もう起きたことはしょうがないんだからさ。あの子は頑張ったの、頑張ってオレを作って君のところにたどり着いたの。言っとくけど、すげー君に甘いよ、あの子。でも君と一緒に過ごしてたら、そうなったかはわからないからね。君が側にいるのが当たり前だろうし。君に執着することはなかったと思うよ。未来のオレらは親離れは出来たのに、君には出来なかったみたいだし」

 

そりゃ母さんと比べたら扱いは雑だよ。けど、最後まで捨てれないのは目の前にいるオレの方だから。許せるのは間違いなく母さんよりオレの方なんだよ。もちろんクソ親父は論外。

 

「2人ともちょっと反省……は無理か。仲直りとかもっと無理だね。えーっと、あの子にはオレが居るから、どこでも生きていけるの。あんまり酷いと、雲隠れしちゃうよ」

「へぇ。面白そうな話になってるね」

 

ヒバリさん!?とオレは思わず二度見した。なんでここに居るの!?や、多分オレが探し回ったから気付いたんだろうけど。

 

「あの呼ばれ方は嫌いだったけど、初めて良いと思ったよ」

「へ?」

「雲隠れ。僕のところに来るんでしょ」

 

違うよ!?とオレは驚愕の視線を向ける。行方をくらますっていう意味だからね!?とオレは視線で訴えるも、ヒバリさんは自分の都合がいいように捉えるから無視された。ひ、酷い……!

 

「……いつも思うんだけど、ソラってさ、ヒバリさんに甘いよね」

 

オレがガクッと項垂れてると、いきなりオレが言い出した。というか、今その話する?つーか、その話をやりだすとオレはヒバリさんに厳しいからね。XANXUSには全然抗議しに行かないじゃん。や、理由はなんとなくわかるけど。未来がそうだったからね。すげー嫌なんだけど、諦めがちょっと入ってる。

 

「ガキの頃から、目立ってたし。ガラの悪そうな大人の群れにトンファー持って突っ込んで行くんだよ。ほっとけないじゃん」

 

ほら、ディーノさんもまじかよ……って感じで引いてるよ。危なっかしくてオレは超心配だったの。まぁオレがこんなこと言っちゃったからヒバリさんは機嫌悪くなっちゃったけど。

 

「そりゃ子どもの頃ならオレもわかるけどさ。ソラは今もじゃん。ヒバリさん、すげー強いからね!?それにヒバリさんだけマフィアの括りに入ってないみたいだし、オレとXANXUSにはハッキリ言ったのに、ヒバリさんには仕方ないって許してる。どっちのソラもヒバリさんに甘いよ」

 

ワオ。ヒバリさんじゃないけど、言いたくなったよ。だって、オレがスネてる。代わりにヒバリさんの機嫌が良くなったみたい。……XANXUSは機嫌悪そうな気がする、多分だけど。

 

「今その話はいいじゃん。関係ないし」

「ほら、否定しない!!」

「あのね、君が知らないだけでオレは結構ヒバリさんにも言ってるよ。わたしは他人事なのもあって楽しんでるけど。本当にダメなところは言ったら改善してくれるよ。でもそれは君達みんな一緒でしょ」

 

別にヒバリさんが特別じゃないよとオレは説明する。オレに教えるとヒバリさんの機嫌が悪くなるから言わないだけなの。オレが言っても聞かないなら、ディーノさんに詰め寄るからオレが知る機会は少ないの。

 

「オレ、ソラに看病されたことない」

「や、ヒバリさんにもしたことないから。そりゃ見舞いは行ったことがあるけど、君にも行ったことあるでしょ。つーか、XANXUSの見舞いなんて行ったことないよ?わたしがそんなことするとは思えないし、XANXUSも来るなって思うタイプでしょ。……って言ったけど、オレはあいつのことはよくわかんないからあってるかはわかんない。でもわたしが行かないのは間違いないね。オレが行ってどうすんのって話だし。そもそもXANXUSはそんな怪我なんて簡単にしない」

 

当然だって顔をXANXUSはしていた。多分だけど。

 

「でもヒバリさんの怪我をみてたもん。オレ、包帯とかしてもらったことない」

「……それ、オレじゃない。未来のオレだから」

「違わないよ。ソラは絶対する。それにやったことないって言える?」

 

……あったかも。でもここでイエスって答えたらヒバリさんの機嫌が悪くなるし、スネてる状態のオレの対応もいい加減面倒になる。

 

「ツナ、その辺にしとけ」

「リボーン!!」

「ソラはボンゴレに産まれたことすらなかったことにされたんだぞ。そんな中、ヒバリはずっと……それこそ何年もの間ソラを探し続けてたんだ。対応が甘くなるのもわからなくねぇ」

 

お前、それを言うなよ……。またオレが傷付いちゃったじゃん。というか、気付いてたのかよ。オレらだって最近だよ、気付いたの。

 

「ええっと、とにかく母さんのところに行こうよ。部屋で待ってるんでしょ?」

 

あ!とオレが思い出したことで、この話は終わったと帰ろうとしたらヒバリさんに捕まった。……やっぱりまだ諦めてなかったらしい。

 

「……オレもう何回も断りましたよね。誕生日の代わりってことで何回も食事に付き合いましたし。それに初めての家族旅行なんで、いくら普段世話になってるヒバリさんの頼みでもダメです」

 

オレがはっきり断ったところを見たオレは感動するように見てたよ。ムスッとしたヒバリさんにまた食事付き合いますからって言ったら、オレが甘いってムスッとしちゃったよ。まだXANXUSがスルーしてるだけましだけどね。ここで昨日みたいに参戦されたら面倒くさいどころの話じゃない。

 

「君がそこまで言うならわかったよ。その代わり、今日は僕の泊まってる宿で寝泊まりするならね」

「んなーっ!!!!」

 

さすがオレ、反応がはやい。オレは驚きすぎて声が出なかったよ。

 

「あの男がいいなら、僕でもいいはずだ」

「んなわけないでしょう!!」

 

ぎゅーっとオレがオレを抱きしめながら抗議し始めた。オレはいっぱいいっぱいで気付いてないみたいだけど、XANXUSから殺気がビシビシ突き刺さってるよ。仕方ないから、ディーノさんにヒバリさんをどうにかしてと訴える。まじか……みたいな顔してるけど、ヒバリさんの家庭教師はディーノさんでしょ。

 

「恭弥、そういうのはやめとけ。普段から警戒持たれてるんだろ?悪化するしかないからな。ちゃんと手順を踏め」

「……君の肉親、ちょうど居たよね」

「待て待て待て。飛ばしすぎだ」

 

ディーノさんがツッコミしてる間に、オレはオレと顔を見合わせ声を出さずに会話する。ヤバイよねって。もしヒバリさんが行っちゃったら、母さんは絶対信じ込むタイプだよねって。オレとオレの意見が完全に一致したから、目の前のオレの顔がが真っ青になった。……オレ、わかりやすぎぃ!

 

炎が迫ってくる気配がしたから、オレはオレを引っ張って避ける。……だよな、お前もオレの顔を見たらわかったよな。行かせちゃマズイって。ヒバリさんは有効ってわかっただろうし。オレらの直線上に居たヒバリさん達はなんとか避けてたよ。

 

結局今日もこうなるのかぁとオレが遠目をしていると、銃をぶっ放した音がして驚愕の視線を向ける。さっきと違って銃を使ったのはリボーンだったから。

 

「ソラ、こいつらのことはほっとけ。ママンとおめーの邪魔をするなら、オレが相手してやる」

「え、いいの?」

「ああ。オレは女を泣かす趣味はねーからな」

 

リボーン、お前カッコ良すぎ!オレが感動したようにリボーンに視線を向けてると、昨日はお前が唆したじゃんってオレが小声でツッコミして蹴られていた。や、昨日はちゃんとオレが母さんを連れて行くのも織り込み済みだったから。巻き込まれたオレは男だから容赦なかったけど。

 

「それと今日はオレと寝とけ。オレとなら、落ち着かねぇことはねーだろ」

「あ、うん。じゃぁそうする」

 

リボーンとなら……とオレは渋々オッケーしていた。まぁオレの許可はなくてもリボーンは実行するけどね。リボーンの中身が大人と知っている2人も、まだまだ赤ん坊の姿なのもあってキレる雰囲気はなかった。まぁヒバリさんの機嫌は悪いけど。

 

結局このまま有耶無耶になった。ヒバリさんの機嫌が悪いままだからディーノさんが相手するハメになったけど。ディーノさんはそこはリボーンじゃないのか!?って顔をしてたけどね。母さんのところに行くなら相手にするって言ってたから、ヒバリさんが行かない限りリボーンはしないよ。ヒバリさんはリボーンと戦いたいはずだけど、オレが泣くと聞いて一応止まってるし。その間にディーノさんはヒバリさんの教育しなきゃいけないから。ちゃんと手順を教え込んでください。もしオレらが知らない間に母さんとヒバリさんが話を進めていたら、ディーノさんをまた恨むからね。その日にヒバリさんが母さんに突撃することはなくなったから、ちゃんと教え込むことは出来たらしい……多分ね。

 

 

 

……思い出してみたけど、やっぱ酷いGWだった。でもやっぱオレの言う通り、ヒバリさんに甘かったかな。結局可哀想で、夜だけ一緒に食べてあげたからね。いやまぁ流石に母さんを蔑ろには出来ないから2人が風呂に行ってる間に行った。だから二食分食べてオレが苦しいって唸ってるのをリボーンは呆れて見てたし。リボーンと2人になった途端に態度に出したのもあるんだろうけど。

 

オレは酷いGWだったなぁと思ってたけど、クラスの雰囲気はまだもっと遊びたかったという空気だった。それが予想済みだった学校はさっそくHRで進路相談の紙を配ってきたよ。一気に現実に戻されてすげー空気が重くなってた。進路希望先を書かなきゃいけないみたいで、オレはどうしようかなと用紙をジッとみつめる。

 

後ろから見てて気付いたのかオレが補足してくれた。オレは居なかった2年の時にもあったらしい。これを元に保護者と三者面談をするんだって。大体自分の成績でどこへ目指せるかは教えてもらってるみたい。そういうこともあったねとオレは軽く頷く。オレはもう並高一択だったからね。ちなみに受からなかったらボンゴレを継げとリボーンに言われて必死だった。目の前にいるオレはまだ言われていないっぽい。……やっぱわたしのことがあるから、慎重になってる気がするね。9代目から継承の話もまだないみたいだし。

 

オレから話を聞いて理解したオレは手をあげる。恐る恐る先生にどうかしましたかって聞かれた。

 

「ヒバリさんから伝言預かったりしてます?」

 

ブンブンと首を横に振られた。ってことは聞きに行かなくちゃいけないのかとオレが思ってると、オレにヒバリさんがどうしたの?って聞かれた。

 

「や、考えたらわかるじゃん。オレの教育費とか払ってるのはヒバリさんだから。この場合のオレの保護者はヒバリさんになるでしょ」

「……そうだったーー!」

「とりあえず聞いてみるだけ聞いてみる。どうするかはわかんないけどね。わたしはダンマリだし、高校にそこまで興味ないのはわかってるけど」

「そうなの!?」

「一応達成したもの。君と授業を受けてみたいってのはさ。だからオレはわたしがあいつのところに行きたいって言い出しても、不思議じゃないと思ってるよ」

 

あの時XANXUSに言われてもまだ目をそらしていたオレは、現実に気付いたのかみるみると青ざめ始めた。オレは必死に家族との思い出を作ろうとしてるけど、実は作れば作るほどわたしは満足して執着が薄れてるんだよね。もしこのままオレがボンゴレボスの座から逃げ切ったなら、会うことはないんじゃないかな。変なのがきて超直感が反応すれば殺しに行くぐらいはするだろうけど、顔は合わせない道を選ぶだろうね。そしてそれをオレらは出来る力があるんだよ。

 

あと多分その場合はXANXUS一択になる。ボンゴレのことはどーーでもいいけど、表の世界で生きることを選んだオレにごちゃごちゃとボンゴレが来るなら、わたしがさっさと子どもを産む。未来の記憶と経験があるからわけわかんなくなってるけど、お互いに嫌じゃないんだよ。踏ん切りがついて結ばれるんじゃないかなってオレは思ってる。とりあえず後継ぎが居るならボンゴレも落ち着くだろうし。別に1人しか産んじゃいけないってわけじゃないし。誰か1人ぐらいは継いでもいいよっていう子が出来るでしょ。ボンゴレを愛してるXANXUSの子なんだから。まぁさっさと滅べっていう子も産まれるかもしれないけど、それはそれでいいし。

 

まぁこんなことをオレに話しちゃうと、覚悟もなく嫌々継いじゃうから言わないけど。覚悟もないまま継げば、簡単に死んじゃう未来しかないし。リボーンもわかってるから、そこには触れない。だからXANXUSがキッツイ言葉をかけたけど、実は黙ってても良かったことなんだよね。それはあいつもわかってただろうけど。わたしがボンゴレが嫌いだから、あいつなりの気遣いでしょ。積極的に関われば、どこかで歪む可能性も高くなるし。そうなればあいつはボンゴレのためにわたしを殺す判断を下すだろうね。勝算がどれほどあるかわからないし、そもそもそういう未来は望んでないから、あの時に現実を突きつけたんでしょ。だから冷たいとは思わないよ、オレもわたしも。その時はオレらもXANXUSを殺そうとするだろうし。

 

引き止めるつもりなら、何かいい案考えとけば?とオレはオレに丸投げして席を立つ。ヒバリさんに聞きに行くとわかったのか、先生も止める気配はなかった。まっ、ヒバリさんと追いかけっこしてなくても普段からサボりの常連だしね。

 

応接室に向かったけど閉まってたから、屋上で寝っ転がる。1日一回はここに来てるでしょ。ケイタイ持ってるけど、わざわざオレからは連絡しない。そこまで急いでるわけじゃないしね。

 

オレがボーッと空を見上げてると、ガルッ……と寂しそうな鳴き声が聞こえたからこっちにおいでと手招きする。

 

「ナッツをつかうのは卑怯でしょ」

 

軽くため息を吐いてオレはナッツを撫でる。オレの言葉に不思議そうな顔をしつつ、スリスリと甘えるように擦り付けてるから無自覚で出したっぽいね。まぁそうだろうと思ってたけど。ちょっと文句を言いたくなったんだよ。

 

「そんなにオレらが居なくなったら寂しいの?」

 

オレがそう質問すれば、ウルウルと潤みだして離れないというかのようにナッツはオレにへばり付いた。……ライオンの要素はどこ行っちゃったんだろうね。ナッツはオレの心を表してるから、これはオレが悪いんだけどね。完全に甘えた状態のナッツを抱きつつ、わたしにどうすんの?と投げかける。返事はなかったけど、すげーグラついてるのはわかった。わたしはオレに激甘だもんね。

 

しばらくナッツと遊んでいると、ヒバリさんがやってきた。甘えた状態のナッツを見て一瞬眉をひそめたけど、何も言わなかったよ。相変わらず小動物には優しいね。ナッツは肉食動物だけど。

 

進路相談の紙をどこのポケットに入れたかなぁと探ろうとしたら、ヒバリさんが紙束を渡してきた。さすがヒバリさんだね。オレと違ってちゃんと準備万端だったよ。オレを引き止めるプランを何通りも考えたみたい。まぁ一番最初提案にヒバリさんと結婚というのがあって噴きそうになったけど。もちろん速攻無視して、次のページをめくったよ。ムスっとしてるけど、破らなかっただけ優しいと思ってください。そもそもなんで入れたの。今の状態でオレがのむわけないでしょ。

 

いろんな案を作ってくれてるけど、ビビッとくるようなものはない。オレもわたしもそんな欲がないんだよね。ヒバリさんの誇りからして、母さんの安全で交渉をするはずもないしね。まぁ気になったのはこのうちの二つかな。

 

一つ目は風紀委員との同盟。要約すると、昔みたいにオレが並盛でヒーロー活動っぽいものをしてもいいという案。並盛の風紀に命をかけてるヒバリさんが提案するとは思えない内容でもある。けど、オレとわたしの性格を考えてギリギリ譲れたのが同盟だったんだと思う。オレらが群れることはないのも譲れた要素かな。オレはオレを模範した性格なのもあって、本質は人との繋がりを欲しいタイプなんだよ。けど、わたしはそれが無理で。間をとって無意識にやったのが、困ってる一般人を助けてさっさと去る方法だった。今はもうやめてるけど、ヒバリさんはこれがオレにとって一番安定する方法だと気付いたみたい。そしてヒバリさんの部下になるという提案は絶対にのまないとわかっているから、同盟という提案をした。……ほんと、よく見てるよ。

 

二つ目は並高の三年間の保証。今とそんなに変わらない。ただ高校からは義務教育じゃなくなっちゃうから、出席日数や成績とか関係なく進級の保証は大きい。でもこれは片割れのオレが縋り付いて来たらそうなるのもあって、ヒバリさんの提案に乗ったと言ったらちょっと違う気がする。だから案として入れて来たことに違和感があった。オレが並高に行きたいって言えば、ヒバリさんは進んで準備するはずだよ。三年間は並盛を生活拠点にするってことだから。

 

「……なに企んでます?」

 

この並高の三年間の保証は最後のページだったのもあって、警戒するようにオレはヒバリさんを見る。まぁそんな警戒するような視線を送っても、オレの膝にはナッツが甘えたように居るから迫力は全然ないんだけどね。

 

「不可侵規定」

 

ヒバリさんの声はそんな大きくなかったのに、オレの耳に残った。

 

「僕が提案したものに乗るなら、いずれ作るだろう僕の施設に必ず君の部屋を用意すると約束するよ。その部屋は君の許可なく僕も入ることはない。たとえ緊急事態が起きた時でも、僕が生きている限りそこには誰も通さない」

「怖いなぁ……」

 

思わず漏れたオレの感想にヒバリさんは笑った。もちろん獲物を前にした時の笑みだよ。

 

オレはまだしも、わたしはボンゴレを信じきることが出来ない。たとえあの子が10代目を継いだとしても。だからこその提案だ。ヒバリさんの性格上、必ずボンゴレと不可侵規定を結ぶ。ボンゴレでも手を出せない場所を作ると約束した。たとえ三年後にオレらがXANXUSを選んだとしても、だ。いやまぁヒバリさんは三年間にオレを落とすつもりなんだろうけどね。どんな結果でも作ると約束したんだよ。オレの性格上、その場所はとてつもなく魅力的だ。わたしなんて、ヒバリさんやるねって感じですげー笑ってるよ。

 

「……持ち帰っても?」

「うん、いいよ」

 

見つかったことには変わらないから、今夜一緒に食べる約束をしてオレはヒバリさんと別れて飛んだ。

 

また時差のことが抜けてたけど、XANXUSはふつーに起きてた。まぁわたしじゃなくてオレだし、ナッツを抱えてる状態だから機嫌悪そうだけど。オレもナッツは置いて来たかったんだけどね、離れなかったの。

 

「日本だと、この時期に進路相談っていうのがあってさ。ほとんどの人は高校に進むの。個人差はあるけど三年間ね。もちろん途中でやめることも出来るんだけど、ヒバリさんが出した条件がすげー良くてさ。や、内容は教えないよ。公平じゃないし」

 

良かったと教えただけ優しさだと思ってよ。だから睨むなよ。……あ、違うのね。オレに良い条件だったと言わせたヒバリさんにイラッとしてるんだ。通訳してくれないとほんとわかんない。

 

「日本のシステムをそこまで知らなかっただろうし、しばらく待つよ。けど、お前でもひっくり返せないと思う。それだけ」

 

言うだけ言ってオレは帰ったよ。言い逃げっぽいけど、事実だし。オレがXANXUSに宣言した時点で、わたしもヒバリさんの提案をのんでいいって考えてることだもん。それぐらいヒバリさんをオレらは信頼してるんだよね。そして独立してるといってもボンゴレの括りから出ないヴァリアーには用意できないものだ。いやぁお見事だよ、ほんと。

 

まっ、約束通りしばらく待つかな。オレがここまでハッキリ言っちゃったからXANXUSは提案しないかもね。それはそれでいいんだけど、オレはどうするつもりなんだろうね。ヒバリさんのおかげで棚からぼたもち状態だからこそ、しばらく教えてあげるのやめよ。わたしのためにも真剣に考えて欲しいしね。可哀想じゃないよ、だってオレだもの。

 




XANXUSがかなりリードしてるはずなのに、雲雀さんが逃さない。
方向がおかしい時もあるからディーノさんの教育は必須だけど、やっぱ有能。
本気で動き出したらXANXUSも怖そうだけどね。

一番のほほんとしてるのはやっぱりツナ。
情に訴える作戦しかなくて、ヒバリを見習えとリボーンに交渉のやり方を教育される。
それでも浮かばないから、情に訴えるヴァリエーションが増える。
ある意味恐ろしい結果を生み出す。……かもしれない。

ちなみにソラの予想通り、ナッツは無意識です。
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