タイプ:ノーマル
美しい毛並みを持ち女性トレーナーに大人気、決まった住みかを持たず自由に行動する。可愛さに加えて美しさが追加されたもよう。
特性メロメロボディ:前話参照以下同文。
あれから一ヶ月くらいたったかな?僕はかぐや姫のお屋敷で毎日楽しく暮らしてる。かぐや姫は毎日僕を可愛がってくれて僕に優しい笑顔を見せてくれる。でも、今日のかぐや姫は僕の頭を膝に乗せて月を見るばかりで、笑ってくれない。
「ニャー……」
「………ありがと、ニャー子。慰めてくれるのね」
思わず顔を覗き込んじゃう。そのときのかぐや姫は笑顔だったけど、すぐにもとの悲しそうな顔に戻っちゃった。
かぐや姫がこうなっちゃったのは月に帰らなくちゃいけなくなっちゃったからなんだ。この前月のししゃっていう人たちが来て、十五夜の夜にかぐや姫を返してもらうって言いに来た。
まあそのときは何もせずに帰ってくれたけど、あの日からかぐや姫はずーっと元気がないんだ……。
かぐや姫は本当は月に住んでたんだけど、こっちの暮らしに興味があって来たんだって。それでかぐや姫はそのときに不老不死?になっちゃったんだってさ、それからおじいさんたちの家に住んでたらしいけど、かぐや姫の元気がない理由を僕は知ってる。
かぐや姫は月に帰るから悲しいんじゃない、その日に月に住んでるお友だち?のえーりんって人たちと一緒に逃げるんだって、すごくスタイルのいい人ってかぐや姫は言ってた。でもその時のかぐや姫の顔も悲しそうだったなあ……。
かぐや姫が悲しいのは、おじいさんたちとお別れしなくちゃいけないかららしいよ、僕にだけ教えてくれた大事な秘密。ネコだからとかじゃなくて、しっかりと僕がかぐや姫の支えになれると認められてるから、教えてもらえたんだと思う。
かぐや姫は不老不死、これから絶対に死なないし年をとっておばあさんになることもない。だからこれから何千年以上も生きていくんだろうけど、それでもおじいさんたちの事は忘れられない存在になっている筈。かぐや姫を育ててくれて可愛がってくれた人だもんね、僕だってかぐや姫やおじいさんたちが好きだから、かぐや姫の気持ちわかるよ?
だからこそ、かぐや姫はこんなに悲しんでる。十五夜は三日後、あと三日立ったらかぐや姫はおじいさんたちとお別れしなくちゃいけない、でもそれでもかぐや姫は仕方ないことだから、私は大丈夫って笑顔をふりまいたりみんなに言ってる。みんなはそんなかぐや姫の笑顔に少し安心してる、自分たちが月のししゃから守ればかぐや姫はずっとここにいてくれるって。
でも僕にはわかる、ネコは人の気持ちに敏感なんだ。かぐや姫は、毎日悲しんでる。悲しみを隠して十五夜を待ってる、自分がないたらみんなをよけいに辛くさせてさせちゃうってわかってるから。僕にはわかる。
かぐや姫の笑顔がにせものだってことは。
「ニャーン……」
体を動かしてかぐや姫のひざにちょこんとネコの正座をする。かぐや姫はほ笑って僕の頭を撫でてくれる。そのときに見た顔はいつものかぐや姫の笑顔。
「……ねえ、ニャー子」
「ニャー(どうしたの、かぐや姫)?」
「私と一緒に来ない?おじいさんたちは無理だけど、せめてあなただけでも私と一緒にいてほしいの」
ああ、かぐや姫。そんな悲しそうな顔しないで、君のそんな顔みたら僕まで悲しくなっちゃうよ。
「ニャー(うん)!」
言葉が伝わらないなら、他の方法で伝えればいいでしょ?僕は首をたてにふって鳴く。今度は伝わったよね、かぐや姫?
「ニャー子、ありがとう……!」
かぐや姫は嬉しそうな笑顔で、僕を抱っこしておもいっきり抱きしめた。よかった、ちゃんと伝わって。よかった、かぐや姫が笑顔になってくれた。
かぐや姫に悲しい顔を似合わないもんね!
◇
今日は満月の十五夜、お月見をするなら最高の日。でもそれはできない、今日はいよいよ月からししゃがかぐや姫を連れ戻しに来る日。
そして、かぐや姫がみんなのもとから出ていってしまう日。
お屋敷の周りにはいっぱいの灯がともされてたくさんの弓を持った兵士のみんな。それがお屋敷いっぱいに囲むようにして並んでいる。
みんなかぐや姫が帰るてことを聞きつけた帝さんたちから連れて来られた人たち、その中には妹紅ちゃんのお父さん。藤原さんのお屋敷の人たちもいた。みんな気合いが入ってるね。
かぐや姫はおじいさんとおばあさん、そして僕の三人と一匹だけの最後のお話。かぐや姫たちは日常的なお話をして笑いあって楽しそう。そうだよね、最後くらい笑って終わりたいもんね。
僕はそんな中おじいさんに抱き抱えられ、おばあさんに抱き抱えられ、最後にかぐや姫に抱っこされながら一緒にお話を聞いていた。座る時になんとなくわかる心の気持ち、三人とも悲しんでなんかなくて、このときを本当に楽しんでる。できればずーっとこうやって話ていたい、僕だって。
でもそれはできないこと。しょうじの向こう側が不自然に明るくなる、灯の光なんかじゃなく、もっと白いきれいな光。月のししゃの人たちが来たみたいだ。
「おいで、ニャー子」
「ニャン」
ピョンッとかぐや姫に飛び乗り抱っこの状態になる。かぐや姫は月の人たちから隠れるために別の倉に一人で逃げるってみんなに話してある、けど本当はそこじゃなくてその奥の森からえーりんさんと逃げる、僕も一緒に。
◆
さっきえーりんさんと会った。珍しそうに僕を見てたけどそれも一瞬だけ、すぐに後ろに注意して走りだした。
後ろからは月の人たちが武器を持ちながら追いかけてくる。えーりんさんがそれに対して矢を放つ。かぐや姫は僕を抱っこしたまま走ってる。
「きゃっ!」
「っ!姫様!」
かぐや姫が転んだ。ただでさえ走るのにつらいはずなのにその上僕を抱っこしてるせいで両手が使えない、そんな中で走ったら転ぶに決まってる。かぐや姫は転んだけど、それでも僕は離さないでしっかり守ってくれた。
「…大丈、夫?ニャー子?」
「………ニャー!」
僕は大きな声で鳴いて、かぐや姫の手から脱出した。
「ニャー子!?」
「姫様速く!」
「待って!ニャー子がまだ____」
そのとき、風がふいた。ヒュオオって音がする強い風。僕のスカーフがそれにたなびく。
ごめんね、かぐや姫。僕は君と一緒にはいけない。
だってこのままだとかぐや姫やえーりんさんは捕まっちゃうもん、その原因が抱っこされてる僕だってこともわかってる。
だったら僕は君と一緒には行けない。君には捕まってほしくないしこのまま捕まったら結局僕たちは離ればなれになっちゃう。
だったら君には逃げてほしい、捕まらないでほしい。
そのために、僕が時間をかせぐよ。僕がおとりになる。
だから、君は逃げてよ、かぐや姫。
「ニャー子!早くこっちに____」
「ニャン」
僕は、かぐや姫から体をそらして月の人たちと向き合う。
大丈夫だよかぐや姫。君は逃げて、僕がおとりになるから、それにこんなとこで僕はやられたりしないから。君は安心していってよ。
僕は最後に、かぐや姫の背中を押すように強く鳴いた。
「ニャイーン!」
僕はエネコから、エネコロロにを変えた。エネコの進化系のエネコロロ、体がひとまわり大きくなる。
さあ、僕が相手だ。かぐや姫には近づかせない!
俊介side end
輝夜side
私が転んだせいで、ニャー子が飛び出してしまった。私はすぐに立ち上がれたけど、ニャー子は私の方に来なかった。
「ニャー子!早くこっちに____」
「ニャン」
ニャー子は私に向かって鳴いた。自分が私を逃がそうとしてるように、月の使者たちに向き合った。
私の癒しになってくれたニャー子、おじいさんたちと離れることになって悲しんでる時も側によってきて慰めてくれたニャー子。そんなあの子が、私を守るために戦おうとしてる。
私はあの子を止めようとした。けどあの子はそれを止めるように強く鳴いた。多分私が聞いた中でも一番の声、それは威嚇でもなく悲鳴や歓喜の声でもなく、私に逃げろと言っているかのような声。
背中を見せて強く鳴いたあの子の姿に私は背中を押された気がした。
「_______ッ!」
そんな「彼」の姿を見たら、答えなくちゃいけない、私はえーりんと一緒に走りだした。ニャー子に託して、彼に助かってほしいと願いながら。
「猫の恩返しならちゃんと返しなさいよ!」
私にとっての恩返しは、あなたが居てくれればそれでよかったのだから。
大好きよ、ニャー子。
輝夜side end