家に着く。久々に見る家は記憶にあったものとは大きく異なっているように感じられた。皆は元気だろうか? そう思いながら門を開くといつも通り金兄さん達が修練に励んでいた。やっぱり兄さんは凄いな。半年の間に物凄く強くなってる。修練に打ち込んでいた父さんは俺に気が付いたようで、兄さんに修練の中止を告げてからこちらに来た。
「最終選別を突破したのか?」
「もちろん!」
「よくやった! お前は凄い子だ!」
父さんに抱き締められる。父さんにここまで褒められた事は無かったから少し驚いてしまった。
しばらく抱き締められているとドタドタと屋敷の廊下を駆け回る音がしたのちに綾香が屋敷から飛び出してきた。
「兄さん、お帰りなさい」
そして、そのままの勢いで抱き着かれた。非常に嬉しいのだが、三人で抱き合っているのだ。大分暑い。でも、喜んでくれているし、言い出しずらいな。
「やめてください、父さん。銀は困ってますよ。綾香もやめなさい」
金兄さんが助け舟を出してくれた。父さんも綾香も感情が昂ると加減が分からなくなって金兄さんに止められるのは変わっていないようだった。この光景を見ると家に帰ってきたんだって実感が湧いてくる。
「おお、すまないな」
「いえ、大丈夫ですよ」
「久々に帰ってきたんだ。ゆっくりしていけ」
「兄さん、荷物持ちますよ」
綾香の表情は相変わらず変化しないけど、前よりもなんだか気持ちが読み取りやすくなった気がする。手紙で綾香の表情練習を家族一丸で取り組んでいる、と手紙で送られてきていたがそれは本当だったらしい。それに伴って表情練習中の大失敗も本当だったということになってしまう。
「綾香、表情練習をしたんだよな」
「はい」
「失敗ってしたんだよな」
「何度か」
綾香は少し苦々しげだ___表情はぴくりとも変っちゃいないが___それだけの大失敗だったのだろう。それもそうだ。なんせ、『覇王みたいな笑顔』を浮かべたんだから。
最初にこれを聞いたときにはびっくりした。腰を抜かしてしまった。『覇王のような笑顔』とは一体何なのだろうかという疑問が大きく膨らんだ。思わず杏寿郎に聞いてみて二人で予想を立てたほどだ。
「……………………少しやってみてもらってもいい?」
「兄さんの頼みなら」
……………………多くは語るまい。一つ、天下統一を成し遂げた者のみができうるであろう笑みだ、とだけ残しておこう。
久々の家族との再会は楽しいものだった。それだけに一週間後には刀を受け取り、闘いに行く事が億劫になってしまう。
だが、俺は決めたのだ。原作をより良い方向に転がして行く、妹に刀を握らせないと。鬼との闘いは辛く厳しい。そんな事は分かっていた。分かっていたからこそ背負う覚悟を決めたんだ。
決意を固めて出発の準備を整え、自宅の門の前で待つ。もうすぐ刀鍛治の人が来るはずだ。おっ、来たみたいだぞ。なんだか既視感のある感じだな。…………笠に沢山の風鈴が付いている? そして、あのひょっとこの面。鋼鐡塚蛍さんだ。
「刀鍛治の方ですね。上がってください」
俺の声を無視して、門の前に座り込む。そして風呂敷を開き、刀の説明を始める。何度言っても、ガン無視だ。ここまで来ると感心してしまう。
「あのー」
「なんだよ」
話がひと段落ついてようやくこっちを見てくれた。凄まじいな十数分は話続けたぞ。
「上がりませんか?」
「いや、ここでいい。そんなことより早く刀を抜いて見せろ。空の呼吸の刀の色を知ってる奴は里にいないんだ。どんな色か気になる」
マジかよ。ヤベーな。空の呼吸はとある事情で刀に恐らく色がつかないんだよ。鋼鐡塚さんは絶対に色がつかないと知るとキレる。キレにキレまくるだろう。だから担当になって欲しくなかったんだ。
「ほら、早くしろ」
刀を手渡すと手をうねうねさせている。めっちゃ期待してるぞ。やべぇ。落ち着け。説明し………………ない。出来そうにねぇよ。鬼よりこの人から刀受けとる方が数億倍こえーよ。
覚悟を決めて刀を抜く。見よ! これが男の生き様だ!
「すみません! 色がつきませんでし…………え?」
「こりゃ、すごいぞ! こんなに綺麗な色は初めてだ!」
鋼鐡塚さんは更にうねうねを増している。多分、お面の下には恍惚の表情を浮かべているのだろう。
絶対に色がつかないと思っていた刀は染まっていた。綺麗な蒼色だ。空を引っ掴んで刀の形に封じ込めたと形容するにふさわしい蒼色に染まっていた。蒼は水の呼吸だったような気がするんだけど…………。空の呼吸は水の呼吸と同一品? いや、そんなはずはない。だって空の呼吸は…………。
「これって、水の呼吸の色ですかね?」
「いや、違う。水の呼吸の剣士の刀を打ったことが何度かあるが全く違う。いいものを見せてもらった」
答えると鋼鐡塚さんはそそくさと荷物を整えて、呼び止める間もなく立ち去ってしまった。せっかく、茶菓子を用意していたのに………………。
仕方ないと割り切って司令を待とうとしたら肩を叩かれる。
「刀を折ったら、お前の骨を全部叩き折るからな?」
「は、はい」
こ、こえー…………。絶対に刀を折らないようにしようと強く誓った。このままだと鬼に命取られるよりも早く鋼鐡塚さんに命を毟り取られてしまいそうだ…………。
生存率アップを目論見んで鋼鐡塚さんを丁重に見送る。今度会う時にはみたらし団子も用意しておこう。きっと鋼鐡塚さん避けになるはずさ!
「伝令ェ! 伝令ェ! 南南西へムカエ! 南南西へムカエ! 山道デ少女ガ毎夜、毎夜消エテイル! 毎夜! 毎夜! 消エテイル!」
鬼殺隊の伝令係である鎹烏がやってくる。この烏の名前は『隼』。どんな生き物よりも速く飛ぶ、隼に憧れているのだと思う。本人は自分のことを烏ではなく、隼だと思っている。思い込んでる。
でも、その思い込みのおかげかどうかは分からないけど隼は飛ぶのが速い。
「口ニ出テルゾ! オレハ隼ダ!」
「ごめんごめん隼」
「ムカエ! ムカエ!」
烏に急かされ初めての任務に向かう。その前に
「行ってきます!!」
もう帰ってこないかもしれないんだ。なるべく大きな声で家族に知らせる。そして、振り返ることなく前へと進んでいく。
戦闘こんな感じでいい?
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結構頑張ってるやないか
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全然ダメ
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もう少し頑張って