誰か、感想と評価をください。本当に切実にください。また、更新速度が上がると思います。
意識を取り戻すと、視界には見知らぬ天井と心配そうな顔で覗き込んでいた杏寿郎が飛び込んできた。珠代さんの家なのだと思われるが、恐ろしく手入れが行き届いている。広めの部屋には塵一つ無かったし、俺が寝かされていたベッドはシワが全く無かった。それだけじゃない部屋に存在するありとあらゆる物が軍隊みたいに整然と並べられていた。部屋を見回しているとドアがガチャリと開く。
「良かった。目を覚まされたんですね」
開いた向こう側には和服の麗人と険しい顔付きの少年がいた。麗人___珠世さんは杏寿郎と同じく心配そうな目で見ていたが、少年___愈史郎さんは視線だけで三人ぐらい射殺してしまいそうな目つきだった。十中八九、俺と杏寿郎がいるのが気に食わないのだろう。
「おかげさまで。所で瑠火さんは?」
「危ない所でしたがもう大丈夫です。後一週間程で元気になると思いますよ」
良かった。間違いなく珠世さんなら治せると思っていたのだが、万が一ということもあり得る。
「おい、お前。今、珠世様の技術を疑っただろ!」
何故バレた。愈史郎さんの察知能力は___珠代さん関連のみだが___異常な性能を誇っているようだ。
「愈史郎! 失礼ですよ!」
「すみません、珠世様!」
「いえ、僕は気にしていないので大丈夫ですよ。杏寿郎もだろ?」
「ああ!」
杏寿郎は相変わらず元気そうだ。しかし、何処か様子がおかしい。瞳に灯る炎の中に警戒の色が見える。向けられているのは珠代さんと愈史郎さんだ。まさか、珠代さんの秘密に気が付いているというのか。
「急に話を切り出してすまないが珠世さんは鬼というものを知っているだろうか!」
やっぱり、杏寿郎は柱になるべき人材だ。完璧と言ってもいい珠世さんの擬態を完全に勘だけで見極めている。
さぁ、珠世さんはどう返す。返し方次第では多分、杏寿郎は容赦なく切る。それを分かっているのだろう。愈史郎さんはいつでも飛び出せるように全身の筋肉に力が入って準備ができているのが見て取れる。
「えぇ、知っています。私は鬼ですから」
「珠世様!」
「なら、何故人を助ける!」
杏寿郎は人を傷つけ、食らう鬼がなぜ人を助けるのかが知りたかったのだろう。彼は歴代炎柱を輩出した家系の出。生まれてからずっと鬼は殺すべき存在として教え込まれているはず。そんな杏寿郎にとって人を助ける愈史郎さんと珠世さんは異質な存在だ。
「助けなければならないから。私には許されない業があります。それを少しでも償う。その為に医師として活動しています」
珠世さんの回答は単純明快なものだった。杏寿郎から立ち昇り、部屋を埋め尽くしていた殺気が少しだけ緩んだ気がする。
「少しばかり私の長話に付き合ってください」
そう言って、彼女は過去の事を話し出す。原作を一度読んでいて知ってはいたが、再び聞くと物凄く辛い話だ。縋ったものに裏切られ、最愛の家族をその手にかけてしまう。これはきっと珠世さんだけではないはずだ。鬼にされた人は殆どがこうやって傷つけたくない人を傷つけてしまっているんだ。
珠世さんの話が終わり、沈黙が場を支配する。
「信じ難いな!」
口を開いたのは杏寿郎。自分の知らない世界に戸惑っているようだが、警戒の色はもう既にあせていた。
「しかし、貴女方を信じよう! 貴女方が母を助けてくれた事は事実だ! そして、人を口にしていないのも分かる!」
良かった。杏寿郎は正義感が人一倍強い。だからこそ珠世さん達と会わせると揉めてしまうのではないかと心配していたが受け入れてくれたようだ。
起床してすぐの問題は割とあっさり解決した、ように見えたのだが医者が鬼という事を知っていたのか、知っていたなら教えてくれなかったのはなぜだ、と怒られてしまった。申し訳ないとしか言えなかった。瑠火さんは危なかったし、俺もテンパっていたのだ。だから、そんな悲しそうな顔で怒らないで杏寿郎。
「後でサツマイモ奢るからさ」
「本当か!」
意外とチョロいな。未来の炎柱。
「貴方は空柱の家系の方ですよね?」
その日の夜の事だった。俺の借りている部屋に珠世さんが一冊の本を持ってきたのは。
「えぇ、そうですけど」
「なら、これを」
表紙には何も書かれていない本を渡された。これは一体なんだろう?
「それは初代空柱の遺した書です」
「初代が?!」
「彼は上弦の壱との決戦前夜にこれを私に託しました」
その時に彼はこう言ったそうだ。『必ず貴女の元に俺の子孫がやってくる』。それだけを言って本を託したらしい。
失われた奥義に繋がるものなのか? ワクワクして開いてみるとただ小綺麗な字で『奥義は己の中にあり。道は無数。されど、頂は一つ』とだけ書いてある。何ページ開いても開いても白紙が続く。クソッタレ! 紙の無駄だわ! ワクワクを返せ!
「………………ごめんなさい」
「珠世さんが謝る事じゃないですよ」
初代は手取り足取りしっかりと教えてくれるタイプの人間だったと珠世さんが言う。父もそう言っていたのだが、この仕打ちはそれが本当かどうかを疑ってしまう。
どうして、奥義については教えてくれないのだろうか? もしかしたら、その方が都合がいいのか? 考えれば考えるほど分からなくなってくる。
その後、珠世さんとも少し話して眠ったが、なんだか眠れなかった。初代の意志がよく分からなかった。何の為に奥義を隠すのか。本当に奥義はあるのか。色々な疑問が湧いて、溜まっていく。それらは心の奥底にヘドロのように堆積していき、心を錆びつかせた。錆を取る術もヘドロを綺麗にする術もなく、もやもやした気持ちのまま目を閉じた。
一週間後、瑠火さんがすっかり回復したので、煉獄邸に戻る事になった。道中、杏寿郎に約束通りサツマイモを奢ったのだが、食いまくるもんだから小遣いは消し飛んだ。おのれ杏寿郎め!
ヒロインは誰がいい?
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綾香
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胡蝶しのぶ
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胡蝶カナエ
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真菰