剣の頂よ、幸せの道へと通じろ。   作:カサミノ

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第7話

 杏寿郎の食欲により、小遣いが底をついてしまった。畜生、奢ると言ったがあんなに食うのか? たまらねぇよ! そんなこんなで道中色々ありながらも煉獄邸に帰還する事ができた。門の前には槇寿郎さんがブラブラしていたが、俺達を見るなり駆けつけてきた。

「よく戻った! 銀! 瑠火をありがとう!」

「いえ、俺は出来ることをしただけです」

 瑠火さんが元気になった喜びが凄まじく槇寿郎さんの声は杏寿郎ほど大きくないのだが、杏寿郎に匹敵するほどの声量になっている。その声量のまま門の前で話し続けている。中々、門をくぐることができない。瑠火さんを見ると少しだけ青筋が浮かんでいる気がするのだが、気にする様子もなく槇寿郎さんは話を続ける

「うるさいですよ!」

 あ、遂に怒られてしまった。槇寿郎さんが正座をさせられて小さくなっている。そして、瑠火さんはめちゃめちゃキレている。柱ですら奥さんには勝てないと言うのか…………。瑠火さんの説教は一時間半ほど続いた。

「かわいそうだな」

「何がだ!」

「槇寿郎さんだよ。あんなに怒られてただろ?」

「まぁ、仕方あるまい! あれだけ声が大きかったのだから!」

「いや、お前がサツマイモを食ってる時のわっしょいに比べたら幾らかマシだろ」

「そうだな! わはは!」

 その会話をした直後にまた槇寿郎さんが懲りずに同じように大声で話をして、また正座をさせられていた。学習してくれよ。瑠火さん、貴方を怒った後は機嫌が悪いんだよ。頼むよ。

 帰宅したその日は四回槇寿郎さんは正座をさせられた。俺と杏寿郎もとばっちりを受けた。

 

 帰還して二週間が経った頃___槇寿郎さんがようやく落ち着きだした頃___俺と杏寿郎は槇寿郎さんに呼び出された。

「お前達に話がある」

 槇寿郎さんから発される空気が重くなる。沈黙が重みを増す。槇寿郎さんの言葉を固唾を飲んで待つ。

「お前達の実力は十分養われた。よって、最終選別に行くことを許可する」

「本当ですか!」

「本当だ。一週間後に最終選別は行われる。だから、日輪刀を渡しておく」

 槇寿郎さんから俺と杏寿郎に一本ずつ刀が手渡される。木刀とは全く違う。最終選別にこれから向かうという実感が湧いてくる。

「ただ、一つ約束をしてくれ」

 槇寿郎さんは辛そうだ。瑠火さんが危篤だった時とはまた違った辛さが顔に浮かんでいる。

「死なないでくれ」

 俺と杏寿郎は言葉を返す代わりに頷いた。強く結ばれた師弟の間に言葉は必要なかった。

 

 一週間後、最終選別に出発した。俺は藤襲山最強の存在を知識として知っていたし、鬼も怖いからすごいビビってた。杏寿郎もなんだか様子が変だしやっぱり怖いんだろう。

「不安か?」

「ああ! これだけでは足りそうにない!」

 そう言って指差したのは貰った干し肉をはじめとした保存食。うん、大事なことだけどね…………。緊張感持てや! 

 保存食を見てウンウン唸っている緊張感ゼロ少年を引き連れ、藤襲山に辿り着く。遠くから見ても中腹に狂い咲く藤の花の紫色が目に飛び込んでくる。中々に自己主張の激しい派手な山だ、と話だけ聞くと思うものだが夕焼けに染められた藤襲山は厳かな雰囲気に満ち、紫色の服を着た美しい女性を思わせる。そんな美しい山にしばし見惚れている。杏寿郎も同じようだ。

「美しいな!」

「そうだな」

「しかし、あの山は多くの隊士になろうとするものが命を落としている! 油断は禁物だ!」

 綺麗な花にはトゲがある、というのは言い得て妙だな。そう考えながら、山に向かって進む。数えるのが億劫になるほど続く階段を越えれば、最終選別の会場だ。そこにはもう既に大量の隊士志望者が集まっている。恐らくこれで全員だろう。参加者の顔を見回すと花柄の着物を着た細身の少女がいた。彼女は狐の面___厄除の面と推測される___を持っていた。彼女が真菰さんだろう。原作を見て可愛いと思っていたが、まさかここまで可愛いとは…………。

「どうした銀! 見惚れているのか!」

「馬鹿! 声でかいぞ!」

「わはは!」

 杏寿郎のせいで全員の注目を集めてしまった。凄く恥ずかしい。そんなに見つめてたか俺? 

「皆さま。今宵は最終選別にお集まりくださって感謝します。この藤襲山には鬼殺の剣士様方が生捕りにした鬼が閉じ込められてあり、外に出ることはできません」

「山の麓から中腹にかけて鬼共の嫌う藤の花が一年中狂い咲いているからでございます」

 日が暮れると白髪の少女が二人やってくる。二人ともお館様によく似ている。…………子供だから当然ちゃ当然なんだけど。

「しかし、ここから先には藤の花は咲いておりませんから鬼共がおります。この中で七日間を生き抜く」

「それが最終選別の合格条件でございます。ではいってらっしゃいませ」

 運命の七日間が始まる。

「銀! 少し干し肉を分けてくれないだろうか!」

 少し緊張感に欠けていたけど。

 俺と杏寿郎は干し肉のやり取りをした後に別れた。こうしておいた方が恐らく色々と効率がいい。俺は真菰さんがいつ『アレ』と遭遇するか分からない以上見ておかないといけないし、倒す為に消耗を避けなければいけない。杏寿郎がなるべく多くの鬼を倒してくれれば、『アレ』と戦闘をしている最中に割り込まれる心配が減る。

 真菰さんを必死に追いかける。何だか真菰さんのストーカーをしているようだがご、ご、護衛だから。セーフなはず。…………セーフだよね?

ヒロインは誰がいい?

  • 綾香
  • 胡蝶しのぶ
  • 胡蝶カナエ
  • 真菰
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