全身美容鎧使い   作:萌矢氏

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どうでもいい過去の話
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 だいたい5年ぐらい前の話だ。

 当時の俺は、荒んでいた。荒れに荒れていた。

 

 いや、不良とかヤなんとか方面でなく、精神的に。

 

 ことの始まりは、俺がリストラされたことだった。

 決して不祥事を起こしたり不正したりハラスメントもせずされず、ごく普通の社員だったはずなんだが。

 

 後から聞くところによると、お偉いさんの仲良しさんの息子さんの娘さんが歩きスマホしてたら俺にぶつかって、俺がそれを注意したから、らしい。いやなんで??? 

 

 ともかく、急に無職になった。

 当時の俺は頭の中が大パニックになっていて、早く帰ってきたことに驚いた母さんのことも無視して自室で塞ぎ込んだ。

 

 その日の夜。母さんからただ事ではないと連絡を受け早急に仕事を切り上げ帰宅した父と、大喧嘩をした。

 俺はまだ思考がとっちらかったままひたすら暴言を吐き、父もまた言葉で切り返してきた。

 あわやこのまま殴り合いになるかと思ったその時、急に母さんが倒れた。

 

 ストレス性の病気だったようだ。

 喧嘩中その場にいながら、ひたすらに静かだったのはそういうことだったらしい。

 幸い命に別状はなく、病院に搬送されたものの、すぐに退院した。

 

 

 世界は残酷だった。

 

 母さんのこともあり、喧嘩は止め、お互いに頭を冷やしてから話をすることになった。

 具体的には、俺一人旅と両親二人旅、同じ日に別々の方へ旅行して、心身リフレッシュしようじゃないかって。

 俺だっておかしくなってたのは分かっていたし、確かにそれは必要だと了承した。

 俺はレンタルカーで、両親はマイカーで旅立った。

 

 夕方頃、レンタルカーを返して帰宅したが、まだ両親の車は無かった。

 先に家で待ってよう。ドアを開けた俺の耳に電話の音が鳴り響いた。

 そういえば今日はなんのしがらみもなく行こうと、財布しか持たずに旅行に出たことを思い出した。

 とりあえず電話に出た。そのまま落とした。

 

 

 

 両親の葬儀が終わった後、一人で家にいた。

 俺の失業保険と、両親の生命保険。それと相手から貰った莫大な賠償金。

 俺に残ったのは、これらだけだった。

 

 

 そのまま1年、家から出なかった。

 死にたいとは思わなかったけど、生きようとも思えなかった。

 死んでるように息をしながら毎日を繰り返していた。

 

 もう1年経った。

 心のひび割れは以前治る気配を見せなかったが、多少の修繕はされたようで。

 この頃から、インターネットの世界に引きこもるようになった。

 日々、小さな動物や愛くるしい生き物の動画を見続けた。

 

 

 さらに1年が経った頃、新しいゲームが発売されたというニュースが目に入った。

 そう言えば昔はゲーム好きだったな、なんて人間らしい気持ちを独りごち、ほんの気まぐれに調べてみた。

 

 

 そして俺の世界は変わった。

 

 

 

 2年後。つまり現在。

 俺は相変わらず家からほとんど出ない生活を続けているが、すっかり心の怪我は完治していた。代わりに廃人になった。

 それはなぜか。当然ゲームのおかげである。ゲーム廃人である。

 俺はこいつに命を救われたのだ。間違いなく。

 

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