全身美容鎧使い   作:萌矢氏

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 手先足先以外をスライムに覆われた俺は、ただただ困惑した。

 意味不明の極みです。

 そして、俺を覆うスライムアーマー群が勝手に俺を歩かせ始めた。体が乗っ取られてる……。

 『楽園』の出口へ向かわされていると、1匹のスライムが横で一緒に歩いて…………移動するという広義的解釈で、歩いていた。

 なんだか複雑な色合いのスライムで、常に色が変動している。そして何故か歩くときの音がしない。なんだろうと不思議に思いつつ一緒に歩く、もとい歩かされて『楽園』を出た。

 

 

 出た途端、こいつらは大疾走を始めた。な、何事? 何故に?? 

 驚きは止まることを知らなかった。

 レベルを上げず、ステータスも適当。初期装備しか持たないという全最弱中最も最弱、貧弱&貧弱、最高峰の底辺なはずだが、なんかもう残像しか見えない速度で草原を爆走バイク。バイクじゃなくてスライムだけど。

 

 そんな速度で移動をすれば、すぐにお隣の大森林へ辿り着いた。

 なんだったかな、森の情報も草原の情報を頑張って集めてる最中に聞いたはずだ。

 

 えーっと。森林は町の南口から行ける。こちらも敵は弱く、木材系の素材アイテムやモンスターの素材も使えるものが多い非常に優れた狩場、だったかな。

 で、森の浅い場所は弱いモンスター、使えなくはない素材が出る。奥に進めば進むほど、強いモンスター、高品質素材が出る。

 毎回身の程を弁えてない馬鹿どもが森に軽い気持ちで入って養分になる事件が起きる、とかだったかな。

 

 うんうん、確かそうだったね。

 

 

 ところで皆様こんばんは! 突然ですがクイズです! 

『楽園』はどこに出口があるでしょうか?? 

 ヒント1・この草原はどこまで行っても続いてるんじゃないかというほど広い

 ヒント2・他のプレイヤーに見つかりたくないのでかなりの奥地で『楽園』へ入っている。

 ヒント3・『楽園』は、入る場所と帰ってくる場所は同じである。

 

 えーはい。町から見ればクソ遠い、難易度で言えば養分不可避の最奥部へ横合から突入となります。初期装備なんですけど? 戦闘未経験よ?? ステータスナメクジよ??? 

 と言った都合をまるで考慮せずスライムに導かれ、もとい操られて森の中へ。

 ゲーム的都合なのか、急に始まる鬱蒼とした空気と光すら遮る密集度合いで目の前すら薄暗く、どこからともなく獣らしい鳴き声が木霊する。

 

 ガサッとどこかの葉が擦れる音と、それとは反対に無音で何かが俺を切り裂いた。

 なんて悠長に考えていられたのは、スライムボディがその攻撃を難無く受け止めたからである。

 よく見ると、切り裂かれたように見えた胴体の無色スライムはその爪を受け止め、包み込んで拘束しているようだった。

 その様子に慌てた獣は、次の行動を起こす前にもがき始める。常に何が起きてるか分からないんです。

 

 

 しばらくして、なんらかのドロップアイテムと共に獣の姿は消え、俺のレベルがゴリゴリ上がった。倒したらしいね! 

 えーっと、森林の猿の爪ってのが手に入ったな。襲撃者は猿だったことがやっと分かった。フォレストキングモンキーソルジャーとか言うクソ長い名前が正式名称なようだ。明らかに初戦闘で戦うべき名前ではないことだけは分かる。レベルの上がり方的にも。

 

 で、そもそもなんで倒したのかすら分からなかったが、それもやっと理解した。

 あの付いてきていたスライムの仕業らしい。倒した場所に突然現れて、そのまま消えていったからすごい驚いた。

 どうやらカメレオンのように周囲に溶け込んで消えるようだ。そして死角からなんか攻撃して敵を倒した……忍者スライムと呼ぼう。ニンニン。

 ついでに無色スライムの様子を伺うが、まるで意に介していなかった。ノーダメージ? 

 

 

 常に理解の外側で勝手にゲームが動いているような……まあスライムたちが楽しそうだからいっか。俺の金欠もこのアイテム売ればマシになるでしょ。

 

 

 そう考えた俺が次に見たのは、目の前に現れたでかい火球だった。

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