全身美容鎧使い   作:萌矢氏

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 巨大な炎が俺を目掛けて飛来する。

 森林火災起きそうとかゲームだからか熱くはないなーとか走馬灯のように思考が流れて、当たるって思った瞬間のこと。

 

 すっと右腕が火球の前に動き、赤スライムに触れた。

 すると、炎は吸い込まれるようにスライムの中へ消えて。

 次に、右脚が持ち上がり、そのまま勢いよく地面を踏み叩いた。

 そしたら、どこかから轟音と、同じくらいうるさい悲鳴が上がった。

 

 で、ドサっと何かが落ちる音。割と近そうだったので近づいて見ると、何かに貫かれたのか大きく穿たれた猿が横たわっていた。そのまま消えていって、アイテムと経験値がモリモリ。

 

 

 いやほんと何が起きてんだこれ??

 

「もう帰りたい……」

 

 思わず出てしまった声に、なぜか俺の身体がびくっと少し跳ねた。

 で、くるりと向きを変え、また走り出した。草原へ。

 

「ん〜〜…………?????」

 

 一連の動きのすべてが不明です。

 本当に意味不明だが、草原へ戻ってくれるようだ。

 それでまあ行きの速度も速かったし、森の中もほとんど進んでなかったこともあって、簡単に大草原からの『楽園』へ帰ってこれた。

 

「ただいまあ〜……疲れたし意味わからんし……」

 

 適当に寝転がって重い空気と共に言葉を吐き出した。

 そうそう、『楽園』へ入るなりスライムアーマーはパージされ、今は俺の近くでなんか固まってぷるぷるしてる。よく見たら忍者スライムもぷるぷるしてた。

 

 適当につんつんしたり撫でたりして癒されつつ、考えを整理する。

 まずは、さっきまでの謎行動は一切合切無視することにした。

 大切なのは、結果的に俺のレベルが上がって戦えるようになったことと、ドロップアイテムを売れば多少は戦いに役立つアイテムも買えるだろうということだ。

 レベル補正だけで、丸腰でその辺のモンスターを倒せるようになれば万々歳、すべての問題が解決したようなものだろう。

 

 

「よーしまあよく分かんなかったけど、みんなありがとう」

 

 やっぱりぷるぷるずだった6匹をぽんぽんしてみたら、ずっとぷるぷるずだったのが止まり、なんか嬉しそうになった。

 可愛いなあ。

 

「そう言えばスキルとかあったなあ。ここに来るのに役立つスキルないかなー」

 

 基本的に人がいないとはいえ、たぶんきっとおそらくもしかするとゼロではない可能性がないこともないかもしれないので、隠れたり見つかりにくくなったり、逆にこっちから調べたりとかできるスキルが欲しいなあ。

 

 んーと、独立したスキルと取得後派生するスキルがあって、どっちのタイプでも進化はしたりしなかったり、と。

 派生の方に便利なのないか後で攻略サイトで調べておこうかな。

 

 で、適当に見てたら恐ろしいスキルを発見した。

 余りの恐ろしさに気付かぬうちに取得したほどであった。

 

 

 そのスキルの名は【意思疎通力向上】。互いの言いたいことや伝えたいことを上手く発信する力が上がる、という、少なくとも話せる人間同士であれば不要のスキルだ。

 

 だが、俺には神スキルに見えた。

 重要なのは、このスキルの対象範囲だ。

 このスキルは意思疎通を図ろうとする互いに効力を及ぼす。

 つまり、俺がこのスキルをスライムたちを対象として発動すれば、擬似的に会話ができるのでは……?

 

 

 取得後、さっそく試した。

 相手? もちろん決まってる。

 さっきの元ぷるぷるずだ!

 

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