ランキング外の最強の嫁は生産職のライブ配信者とのびのびカタツムリ旅行します 作:ライドウ
前回のあらすじ
おや、ナルナルの様子が。
「ここに兵力を置いて・・・いやでもこれだと捨て駒になる。それはだめだ。狼の谷への道は一つじゃなし・・・最奥に引き込んで一気に叩くしかないのかな。伊やでもそうすると負けたときの撤退戦ができなくなる。地下に引き込む?あの地下でどうやって?いや、そういえば
あまりの理不尽と、今日という日の疲れのせいか段々と非人道的な行為をしようとしていたナルナルにハカモリが個人チャットで呼びかける。
ハカモリの声に、ハッと顔を上げると。悲しそうな顔をした渚がナシアを見つめていた。
「根の詰めすぎはよくない、一緒に休もう。」
「・・・うん、ごめん。渚」
元に戻ったナシアを渚は優しく抱き着く。
今日だけで嫌なことがいっぱいあったのだ。ナシアには相当なストレスがかかっているだろう。
現にライブのコメント欄ではワンダ信者と思わしきコメントが規制の穴をすり抜けてわざわざしょうもない口喧嘩をしに来ている*2のだ。
「じゃあみんな、カメラはここに置いとくからライブを荒らさないでね?現地の人たちは此処を連絡網として使っていいから。」
ナルナル民4356:あい!
ナルナル民6477:はーい!
ナルナル民0001:情報整理は任せてくれー!バリバリー!
コメント欄を見るとおとなしくするという人たちや、ナルナルの言われたとおりに情報網として活用する人たち。
森崎さんはどうやら仕事があるらしく見れないらしい。そもそもなんで今まで見てたんだろう。暇なのかな。
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「ふぁ~・・・つっかれたぁ~・・・」
「お疲れ様」
ナルナルとハカモリにあてがわれたテントに、二人は横になっている。
入り口は開いているため、そこから見える夜空が煌めき二人はそれを無言で見上げていた。
「ねえ、ナシア。」
「・・・ごめんね。」
「・・・えっ?」
「ボク、いつの間にか渚が嫌いなボクに戻ろうとしてた。」
渚が嫌いなナルナル。それはナルナルのRTA走者時代の話だ。
それこそカタツムリ配信、ましてやヴァーチャル配信者よりもずっと前、ナルナルがただのナシアだったころの話だ。
そのころのナルナルは”クロネコ”というハンドルネームを使い、様々なゲームのRTAの世界記録を更新していた。
そして、その時のナルナルはまさに超合理的主義者だったのだ。
ゲームとしてのストーリーはすべてスキップ、初期武器や重要なアイテムもスキップし、開発者が想定していないルートやバグ技を多用してラスボスまでたどり着き、乱数調整だけでなく途中の補助アイテムと攻撃力を上げる薬や魔法を使用し、一撃でラスボスを粉砕する。
戦略ゲームに限っては、少ない部隊を囮として活用し、包囲した敵を逆包囲。その包囲を崩し囲まれた部隊を救出を繰り返す戦術をとるのだ。
ありていに言ってしまえば、勝利や成功、時短の為なら、その過程にあるものはすべてすっ飛ばす人物だった。それこそ、非人道的な行為を行ってでも。
それは、月最大のスラム街のトップだった渚にとっては一番嫌いな存在であった。
渚はスラム街で最下層から初めて、様々な友情、人脈、磨き上げた力、支えてくれた仲間がいたからこそ、伝説の請負人の忌々しい異名が付き、それこそナシアに出会えたきっかけでもあった。だからこそ、一時期そうなっていたナシアと本気の喧嘩をしたことがある。
「せっかく、製作者が丹精込めて作ったシナリオやゲームを、時短だと言って切り捨てる。そんな貴様に惚れた私がバカだった。か。」
「・・・思い出すと、なんだか恥ずかしい。」
顔を赤らめる渚、実際ナシアが振り返った言葉は渚が言い放った言葉であるし、あのときほどの渚のぐちゃぐちゃな・・・怒っているのか泣いているのか分からない表情はナシアとしても二度と見たくもないものだった。
だからこそ、喧嘩したからこそ、渚は無理やりナシアと二人っきりのカタツムリ旅行をしたことがある。
今はサービスが終了してしまったゲームだが、その時見た光景はナシアに感動を与えた。作りこまれたシナリオにステージ。仲間たちの重要性、アイテム一つ一つに価値と意味。
そして、最後に見たあの美しい風景こそ、ナシアと渚が仲直りで来たきっかけでもあった。
むくっと。ナシアは起き上がり、渚の頬に触れる。
「・・・あったかい。」
「ナルナルの手は、今は冷たいかな。」
「今はって…そりゃ、冷えてるからね。」
渚はナシアを抱き寄せて、話さないように力を籠める。
ナシアも、ただぬいぐるみの様に抵抗しないのではなく、しっかりと抱き返す。
お互いの肌が、服越しに密着し二つの心臓の鼓動の音がかすかに二人の耳に届く。*3
「ねえナシア」
「なぁに?渚」
「あれと戦うとき、先陣を切らしてほしい」
渚が囁くように、ナシアにそういう。
仮に出したとしても数で囲んで殴られて、負けてしまう確率が高い。
そう、そんなにすごい人間でも、たとえ一人で100人を一人で圧倒する渚でも数で囲んで殴ってしまえばそれは脆く、弱い。
「・・・渚の無敗記録。やめちゃうの?」
「まさか、」
ナシアをはなし正面に座らせ、まっすぐな目で見る。
「私は、ナシアが勝てというのなら。あの数相手でも勝ってみせるよ。」
「・・・相手は、環境装備だよ?なんなら最新鋭のGOREMUだって。」
「それでも、」
「ナシアがいてくれるなら、私はいつでも無敗だよ」
そういって、渚はナシアに優しいキスをする。
ディープなキスではなく、触れ合うだけのキス。
時間にすればほんの10秒。だけど、それだけでも、ナシアは分かる。
ようは、怖かったのだ・・・負けて、自分が渚の興味から外されることを。
だけど、そうだ。結婚してるんだし、何より渚だ。
渚がナシアを裏切ることなど、万に一つもあり得ないのだ。
「・・・ごめん、ちょっとだけ臆病になってた。」
「ううん、いいんだよ。」
そっと、抱き寄せ横になる。
「・・・このまま、寝ちゃおっか。」
「・・・そう・・・・・・だ・・・・・・くぅ。」
「・・・寝ちゃった。おやすみ、愛しいナシア。」
額にそっとキスをして、渚もまたナシアに腕枕をしながら目をつぶるのであった。
ほらナルハカだぞ・・・
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ありがとう
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(^q^)おほー