the blue   作:N ignite

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今回は日常編です。
相変わらず投稿ペースが遅くて申し訳ありません。


12話 新たな挑戦

花宮さんが冷泉に転校してきてから2週間が過ぎた頃

「そういえば、遥ちゃんは部活に入ったりしないの?」

授業の合間の休み時間。杏花が花宮さんにそう問いかけた。

「いえ…、特に決めてないです。流川さんは部活をやってるんですか?」

「いや、俺は帰宅部だよ」

缶コーヒーを啜り、ふうっと一息つく。

「花宮さんは何か部活をやろうと思ってるの?」

今度は俺が問いかける。そこで、前の席で寝ていた藍がむっくりと起き上がり、眠そうに目を擦った。

「湊〜、なんかお菓子ちょーだーい」

寝ぼけてるのかと言いたくなる台詞だ。俺は呆れてため息をつきながら、

「アメしかないぞ、ほれ、これ食って目を覚ませ」

同時にアメを取り出し、藍に手渡す。

「やったぁー」

そのままアメを口へ放り込む。

直後、藍の体がびくっと震えた。

「な、なにこれ!全然甘くない!」

飲み干したコーヒーの缶をゴミ箱に捨て、自分の席まで戻る。

「スッキリしただろ?ハッカとミントのスーパークールだ」

刺激に悶える藍を横目に、俺は同じアメを自分の口に入れる。

ハッカの刺激とミントの爽やかさが体の奥まで染みて、頭がスッキリする。

「二人も食べる?アメ」

そう言って新たに桃味とオレンジ味のアメをバッグから取り出して二人に渡す。

「何でそれを最初に出さなかったのよ!?」

藍のツッコミが聞こえたが、それには答えない。

「ありがとうございます、流川さん」

「ホント、色々入ってるよね。流川くんのバッグ」

二人がアメを受けとり、それを口の中で転がす。

「そんなに物は詰めてないつもりなんだけどな」

二人と同様にアメを舌で転がす。

「でも、こないだ体育で遥ちゃんが怪我しちゃったとき、保健室は遠いからって自分のバッグから消毒液とか絆創膏出してたじゃない」

「湿布とかガーゼも入ってましたよ?」

「用意がいいんだよ。何かあった時に使えるだろ?」

正直、自分でもよく分からないほどに色々な物が俺のバッグには入っていた。

消毒液や絆創膏といった手当て用の消耗品から、アメなどのちょっとしたお菓子まで詰まっている。

「流川くん。ある意味おかしいよ」

杏花が呆れた様子で苦笑する。

「そうか?」

俺にはその自覚が無いため、何がおかしいのかよく分からなかった。

 

 

 

「あっ!いたいた、アニキ!」

午前の授業が終わり、今は昼休み。

俺達は各々弁当を広げ、昼食をとっていた。そこへ教室のドアを開け、中に入ってきたのは俺の後輩である瞬だった。

「またうるさい奴が来やがったな」

そう言いつつも、近くの空いた席から椅子をひょいっと拝借し、瞬を俺の隣に座らせる。

「んで、お前は何しに来たんだ?」

瞬は手に下げていた弁当を掲げ、

「アニキと一緒に弁当食いに来たんすよ!」

「別に俺のところに来ることないだろうに」

自分の机のスペースを半分空け、そこに瞬の弁当を置かせた。

「それで、何の話してたっけ?」

自分の弁当をつつき、俺は女子三人に尋ねた。

「忘れないでよ湊。部活だよ、部活」

「どの部活に入ろうか悩んじゃいます」

紙パックのジュースをストローで吸い上げて飲む藍と彩りの揃ったおかずを咀嚼する花宮さん。

「そっか、そうだったな」

「皆さん、部活に入るつもりですか?」

白米を一気に口に入れ、ごくんと飲み込んだ瞬。

ちゃんと噛んでから飲み込めよ……

俺は心の中でツッコミを入れた。

「そうなんだけどさ、なんか入りたい部活がイマイチ見つかんないんだよね〜」

「もともとうちは部活が少ないからねー」

不満そうに文句を垂れる藍に苦笑しながら杏花が言う。

確かに杏花の言うとおり、うちの学校は部活が少ない。

定番の野球部やサッカー部の他、運動部は卓球部とテニス部しか無く、文化部は美術部と吹奏楽部の二つだけ。

「さて、どうするか……」

部活を探すと意気込んだはいいものの、いきなり壁にぶつかってしまった。

「そうだ、アニキ!」

「ん、どうした?」

何かを閃いた様子の瞬が声をあげた。いい案でもあるのだろうか。

「入りたい部活が無いなら、作れば良いじゃないっすか!」

「………そうか、その手があったか」

盲点だった、確かにそうだ。

無いものは、作ればいいんだ。

「えっと…、どういうこと?」

未だ理解が及ばない藍を含む三人に俺は説明する。

「俺達で部活を立ち上げればいいんだ。部活の結成に必要な人数は最低で五人、あとは顧問と部室があれば正式に部活を立ち上げることが出来る。」

「そっか!部員はあたし達で五人。顧問は……如月先生にお願いしよっか!」

「でも、部室はどうしましょう…」

困り顔の花宮さんの肩に、ぽんと手が置かれた。

「私の知り合いに生徒会の先輩がいるから頼んでみるよ」

「もし駄目だったら、俺が如月先生に頼み込むことにする。顧問の件と合わせてな」

そこまで話して、俺達は最大の難関に出くわした。

「んで、結局部活の名前はどうするんだ?」

「「「「……あ」」」」

四人が同時にハモった。この様子を見る限り、全く考えていなかったらしい。

「はぁ………」

俺の苦笑交じりのため息が零れた。

その後、俺達はあれやこれやと話し合い、結局部活は魔法の研究を目的とし、「スペルリサーチ部」と名付けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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