the blue   作:N ignite

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4月も終盤に差し掛かり、ゴールデンウィークが近づいて来ました。しかし、コロナの影響でどこにも出歩けないのが現状です。
という事で、今年も例年どおり家に引きこもっていようと思います。
皆さんも出来るだけ外出を控え、もし出歩く際にはしっかりと対策をとってコロナウイルスに感染しないようお過ごし下さい。


15話 魔境

教室を後にし、グラフハウスへと向かった俺達。練習中の野球部の横を抜け、グラウンドの隅にある二階建ての建物を目指す。

「………ここだな」

そこで俺は立ち止まり、それを見上げた。

白を基調としたシンプルな造りで、一階には運動部の部室と倉庫、トイレが並んでいる。だが、二階は部屋を分けられてる様子は無く、どうやら大きな部屋が一つだけあるようだ。

側面に取り付けられている階段を上り、通路の奥にあるドアの前に立つ。

「流川くん。これ」

杏花が預かってきた鍵を俺に手渡す。俺は頷いて受けとり、鍵穴にゆっくりと差し込んだ。奥まで入ったのを確認し、手首を捻る。特有の手応えと共に、「カチッ」という開錠音が届いた。

「じゃあ、開けるぞ?」

「う、うん」

「何か緊張します…」

ドアノブを掴んで回し、手前に引いて中に入ろうと踏み出した、その時。

「……な…」

俺の口から掠れた声が漏れた。

「アニキ?どうかし……た………」

俺の後ろから顔を覗かせた瞬も、俺に続いて硬直した。

「どったの?……って、うわー。これはちょっと……」

背伸びをして奥の光景を覗いた藍は、露骨に不快な顔になった。

それも仕方ない。なぜなら、

「何で、こんなゴミ屋敷みたいになってるんだ……」

その大部屋の中は中身不明の段ボールやビニール袋などで溢れていて、足の踏み場も殆ど無い状態だったのだ。

「そ、そういえば物が多いって先輩が言ってた……」

「それを早く言ってくれ……」

目の前の光景に圧倒され、俺は力無くツッコミを入れた。花宮さんは先ほどからひきつった苦笑いを浮かべている。

「お掃除、しないとですね…」

全員が肩を落とし、俺達は部室の掃除を決意した。

 

 

 

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「皆、準備はいいな?」

「「「「はーい!」」」」

昨日、部室になるはずの部屋を訪れた俺達は、あの悲惨な光景を目の当たりにし、掃除を行うべく準備をした。

杏花は生徒会の先輩を訪ね、部室に溢れた物の処理を依頼した。他のメンバーはこれから起こる戦闘(掃除)に備え、装備(軍手、マスク、雑巾など)の調達した。

そして今、全ての準備が整った。

再びこの部室に集った俺達は今から掃除を始めようとしていた。

「じゃあ、今から掃除を始めるぞ。まずはここの段ボールからだな」

俺と瞬で段ボールを運び出し、花宮さん、藍、杏花の三人で中身を選別する。

欲しい物は部活で使っていい。いらないものは生徒会で処理すると言われているため、使えそうな物は遠慮なく貰うことにする。

「って言っても、使えそうな物なんて何にも………あっ!」

段ボールの中身を漁っていた藍が、いきなり声を上げる。

「どうした?何かあったか?」

俺は二つの段ボールを重ねて運び出し、藍の方へ行く。

「見てよ湊!これこれ!」

興味津々な様子で段ボールの中身を俺に見せてきた。

「これは……カツラ?いや、ウィッグと言った方が正しいな」

その段ボールに入っていたのは、女装用のウィッグだった。おそらく文化祭で使った物だろう。

「これ面白くない?貰おうよ!」

「個人で引き取るのは良いが、部室には置かないぞ。部活には関係ないからな」

「えー!」

不満そうな藍を放って、俺は作業に戻った。

「あ、アニキ!」

部室の中に戻って来たら、今度は瞬が何かを見つけたようだ。

「何か使えそうな物でもあったか?」

瞬が足下の段ボールを指さす。俺は近づいてその段ボールを覗いた。

「………木刀に、模造刀?これも文化祭で使ったのか」

「アニキ!これ、俺が貰ってもいいっすか?」

目を輝かせる瞬。俺は苦笑して頷いた。

「いいけど、持ち帰るときは何かに包んだ方が良いな。銃刀法違反を疑われるからな」

それにしても、瞬がこんなものに興味があったとは知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、これで最後だな」

あれから、大量に積み重なっていた段ボールを全て運び出し、使えそうな物を集めた。

「あぁ〜〜〜!やっと終わったぁ〜〜〜!」

だいぶ疲れた様子で伸びをする藍。他のメンバーにも疲労の色が浮かんでいる。

「皆お疲れ、今日はここで解散……と行きたいんだけど、今から部室の中を掃除するぞ。明日からは部活を始めたいからな」

俺の言葉に最も反応したのは当然の如く藍。噛みつきそうな勢いで俺の肩を両手で掴み、前後に激しく揺さぶる。

「湊ぉ!まだやるの!?もうあたし疲れちゃったよぉ!」

「ちょ!待てって、落ち着け!脳が!脳が震える!」

「………なんかどこかで聞いたことあるセリフだね」

そこで俺はようやく解放された。平衡感覚が少し曖昧になった気がする。

「あのなぁ…掃除って言っても、軽く拭いたり掃いたりするだけだぞ」

その一言で分かりやすく態度を変える藍。今度は満面の笑みを浮かべる。

「なぁんだ〜。それならそうと早く言ってよ〜」

「調子のいいやつだな……」

 

 

俺達は部室に入り、それぞれ掃除用具を手に掃除を開始した。

俺と藍は箒でゴミを掃き、杏花と花宮さんが雑巾で水拭き、仕上げに瞬が乾拭きをすることになった。

「藍、隅に埃が溜まってるぞ」

「えぇ〜、この箒じゃうまく取れないよ」

何度かやって見せるが、埃は全然取れていない。

「仕方ないな。花宮さん、ここお願いできる?」

「は〜い」

俺の呼び掛けに応じ、すぐに取りかかってくれる。流石だ。

「ここですね、よいしょっと…」

しゃがんだ状態で雑巾で隅を拭き始める。

「あれ?全然落ちない…、う〜〜ん」

なかなか埃が落ちないことに気づいた花宮さんが、体勢を変えて徹底的に埃を落とそうと試みる。

「ッ!」

体勢を変えた花宮さんは、両膝をついて屈んだ、つまり、四つん這いの体勢になっていた。しかも隅に顔を向けているため、自然とこちらにお尻を向けるような形になってしまっている。突き出されたように向けられたお尻とスカートから覗く細い足が強調されて、なんというか、エロい。

本人は全く気づいていないようで、呑気に鼻歌まで始めてしまう始末だ。

(はっ!いかんいかん。掃除に集中だ、集中。)

そこで我に帰った俺はすぐに後ろを向き、出来るだけ考えないように掃除を再開した。

 

 

「うん、だいぶ綺麗になったな」

一通り掃除を終え、部室は見違えるほど綺麗になった。もともとここに置いてあった本棚やソファー、椅子、テーブルはそのまま使うことにした。

仕上げに先ほどの段ボールの中身から使えそうな時計や小物をいくつか配置し、掃除は終了した。

皆がソファーや椅子に腰掛け、休憩をしている。俺は皆を一瞥し、呼び掛けた。

「今度こそ、皆お疲れ様。これで明日から部活が出来るな」

「今からすっごく楽しみです!」

花宮さんの言葉に頷き、続けた。

「もし、部活で使えそうだなと思ったものはそれぞれ持ち込んでもいいことにする。ただし、必要ない物だと判断したらすぐに持ち帰って貰う。いいな?特に藍」

「ちょ!何で特にあたしなのさ〜!」

納得出来ないといった様子で反論をする藍。

「理由は簡単。お前が一番やらかしそうだからだ」

ふてくされる藍を見て、皆が笑う。

(なんだかんだ、賑やかな部活になりそうだな。)

笑い合う声の中、俺はそう考えていた。

 

 

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか?
あまり進展が無く、つまらないかもしれません。その分、サービスシーンを所々に挟んでいきたいと思っていますので、どうか今後もよろしくお願いいたします。

〈次回予告〉
部活動初日、やる気を見せるメンバー約4名

マイペースでやる気が無い居眠り常習犯約1名

彼女のやる気を上げるにはどうすれば……!


新たな壁が、湊の前に立ち塞がる!


次回「意外とチョロい」

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