the blue   作:N ignite

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今回は比較的早く更新出来たのではないでしょうか?
相変わらず即興なので内容は適当ですが、読んで頂ければ幸いです。
そういえば、コロナウイルスも徐々に収まって来ましたね。しかしまだ完全に収束したわけではないのでまだまだ警戒を怠らないようにしないといけませんね。

では、17話どうぞ!


17話 一人で駄目なら

「じゃあまずは魔法の展開からやってみようか」

「はい!よろしくお願いします!」

俺と花宮さん、瞬、藍は、部室のすぐ傍にある砂浜に来ていた。この砂浜は滅多に人が来ないため、もし魔法が暴発しても平気だろうと考えたのだ。

現在、俺は花宮さんにエアリアル・スペルをマンツーマンの形で教えていた。

ちなみに他のメンバーは各々活動に取り組んでいる。瞬は火属性の魔法であるフレイム・スペル、藍は氷属性のアイシクル・スペルをそれぞれ展開させている。杏花は実技が不得手な為、座学を志願して現在部室で各属性の魔法について調べている。

「最初は俺が手本を見せるから、俺と同じように詠唱してみて」

「はいっ」

俺は左の掌を広げて前に突き出し、指先に力を集中させ、詠唱を開始する。

「コール・エアリアル。」

瞬間、俺の手を薄い緑色のオーラが包み、指先に向かって凝縮されていく。「コール」とは、魔法を展開する詠唱の最初のスペルで、どの魔法の展開にも必要な重要なスペルだ。

「フォーム・チェンジ。シェイプ・バレット」

銃の形のように人差し指を前方へ、親指を上へ向け、残りの指は拳を握るように曲げる。それと同時に人差し指の先に一つ、緑色の小さい球体が浮かび、それは銃弾のように先端が細く変形していく。

「プロジェクション・ストレート」

俺は指先を数メートル離れた的(その辺に転がってた空き缶)へ真っ直ぐに向けて狙いを定める。

「トリガー・シュート!」

最後のスペルを詠み終え、緑色に輝く弾が発射された。一筋の軌跡を描きながら空き缶に吸い寄せられていき、一瞬の後に空き缶を上空へ弾き飛ばした。

やがて砂浜に落ちた空き缶には大きな凹みがあり、あの魔法の威力を物語っている。

「……とまぁ、こんな感じかな」

身をくるりと翻し、花宮さんの方へ体を向ける。

「じゃあ、次は花宮さんがやってみて?」

「あ……、はいっ!」

数秒遅れで反応を見せる花宮さん。

体調でも悪いのかと思い、顔を近付ける。

「………?どうかした?ボーッとしてたみたいだけど」

「い、いえ!とても綺麗な魔法だなぁと思って……」

途端、火がついたように赤面する花宮さん。どうやら体調が悪いわけでは無さそうで安心する。

「慣れれば簡単だよ。さぁ、やってみようか」

俺がそう促すと花宮さんはこくりと頷き、先程の俺のように左の掌を前方へ突き出し、詠唱を始めた。

「コール・エアリアル!」

淡い緑色のオーラが花宮さんの掌に集中する。しかし、慣れていないが故か、いささかオーラが不安定だ。

花宮さんはそれをきにする様子も無く、詠唱を続ける。

「フォーム・チェンジ!シェイプ・バレット!」

手の形を銃のように変え、その人差し指の先端に浮かんだ球体が形を変えていく。

「プロジェクション・ストレート!」

そのままさっきの空き缶に人差し指を向ける。これであとは発動するだけとなった。

「(さて、どうなる?)」

詠唱を見る限り、エアリアル・スペルが苦手という様子は見られなかった。オーラが不安定だったのは恐らくコツを掴んでいないだけなのだろう。

「トリガー・シュート!」

そんな俺の心配をよそに、緑色の弾丸が放たれた。俺よりも速度は劣るものの、弾丸は真っ直ぐ目標に向かっていく。

やがて響きの良い音と同時に空き缶は宙へ打ち上げられた。

「や…、やった!やりましたよ!流川さん!」

弾けるような笑顔を向け、ぴょんぴょんと跳ねる。

「あぁ、上出来だな。合格だ!」

「合格?どういうことですか?」

急に不思議そうな表情になる花宮さんに俺は説明した。

「実は、さっきのは花宮さんがエアリアル・スペルに適正してるかをテストしてたんだ。適正してなければ、空を飛ぶのは殆ど不可能だからね。」

花宮さんはそれを聞いて二度、三度と頷く。

「なるほど!そういうことだったんですね!じゃあ、私は適正してるってことで良いんですか?」

俺が頷くと、花宮さんは再び笑顔を咲かせる。

「でも、空を飛ぶのはかなり難しいぞ。一人で安定して飛べるようになるには、二ヶ月ほどかかるだろうな」

「大丈夫です!私、頑張ります!」

俺は微笑していたが、内心ではとても心配していた。

確かに、空を飛べるようになったらとても喜びは大きいだろう。しかしその反面、飛べなくなってしまった時のショックは喜びを遥かに上回るものだ。魔力の不安定化や己の限界による挫折など、様々な理由で飛ぶことが出来なくなってしまった人を俺は何人も見てきた。

 

━そして、俺もまた、その一人だった。

 

「………さん、流川さん?」

肩を揺すられ、俺はハッと我に帰る。

「流川さん。大丈夫ですか?とても難しそうな顔でした」

やけに脈が早く、嫌な汗が背中を伝っているのが分かる。

「大丈夫だよ。ごめん、少し考え事をしてて」

なおも心配そうな目を向ける花宮さん。俺はわざと明るい声で話し始めた。

「それよりも、俺の指導は厳しいぞ?ついてこれるか?」

「お、お手柔らかにお願いします……」

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「最初は離陸して上昇、次に一定の高さを維持、最後に下降からの着陸。これらの動作を完璧にこなせるようになろう。」

「はいっ!」

力強く頷き、やる気十分な花宮さん。

「飛行術は通常の魔法と違って、スペルの詠唱は必要無いんだ。その代わり、強いイメージの力が重要だ」

「イメージの力……ですか?」

ピンと来ない様子で首をかしげる。俺はうーんと唸って

「何て言えばいいのかな……。上昇するときは上向きの風、高さを維持するときは上下から同じ力の風、下降するときは下向きの風をやや強く、みたいな感じでイメージするんだ」

ふむふむと相づちをうち、俺の説明に耳を傾けている。

「なるほど!分かった気がします!」

「そ……そっか………」

「(……不安しかない。本当に大丈夫だろうか。)」

まぁ、練習していればそのうちコツを掴むだろうと思い、俺は説明を続けた。

「じゃあまずは、無詠唱でエアリアル・スペルを展開してみよう。力を集中させて、自分の周囲に風をおこしてるようなイメージをするんだ」

「はい!」

 

 

 

 

練習を開始してから、三十分が経過しようとしていた。

にも関わらず、花宮さんは一向に飛べる気配がない。

「うーん……、イメージの力は問題ないと思うんだけどな」

原因は目星がついている。

恐らく、花宮さんの持つ魔力が枯渇しているのだ。魔力の量は個人差があるため、多い人もいれば少ない人もいる。俺は比較的多い部類で、離れた所で魔法を打ち合っている藍と瞬も平均より上の筈だ。

「はぁ…はぁ……、流川…さん……」

すっかり疲弊してしまっている花宮さんが、不意に俺を呼んだ。

不安なのだろう。すがるような顔を向けてくる。

「私…、飛べないんでしょうか……?」

その問いに、俺は

「いや、そんなことはないよ。明日になれば解決してる問題だ」

「そう、なんですか?」

俺は頷き、

「あぁ、だから今日はイメージの練習をしよう」

「でも……」

花宮さんの言葉を遮るように、右手を差し出す。

「一人で駄目なら、一緒に飛ぼう。俺は今、そのためにここにいるんだ」

 

花宮さんが飛べるようになるまでは、まだ時間がかかるだろう。

でも、花宮さんならきっと、

誰よりも力強く、綺麗に飛べるだろう。

そう、俺は信じている。

 

やがて、花宮さんは俺の手を取り、

俺達は、空へと踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか?
魔法の詠唱って難しくて、どうすればカッコよくなるか考えてるのですがなかなか大変です。もしアドバイス等あれば是非コメントして下さい。
それでは、また次回お会しましょう。

〈次回予告〉

魔法が飛び交うフィールド

炎が燃え盛り、氷が全てを凍らせ、雷が地を這い、風が吹き荒れる

そこはまるで、"戦場"

戦場で繰り広げられる戦い

その名は━━━


次回「spell collision」

是非、ご覧下さい!
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