the blue   作:N ignite

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お待たせしました!

近頃、ノートパソコンを買おうと考えていますが、どのメーカーにしようか悩んでいます。なるべくスペックが高い物を選ぶつもりですが、予算オーバーにならないように気を付けます。
何に使うのかと言いますと、主にプログラムの練習に使う予定です。
おそらく買った直後はずっとパソコンをいじることになるので、もしかしたら更新が遅れてしまうかもしれませんが、出来るだけ早い更新を心がけて行くので、よろしくお願いします!

では、21話どうぞ!


21話 廃れた栄光

「遥!ここで旋回だ!」

「はいっ!」

緑色の尾を引きながら、俺と遥は並んで大きくターンする。

「藍!瞬!いいぞ!」

遠くに立つ二人に合図を送る。

「てやぁぁぁー!!」

「おりゃぁぁー!!」

瞬間、二人が同時に魔法を展開させ、無数の炎と氷結が雨のように俺達に襲いかかる。

「うわわっ!」

その数に戸惑うも、必死に避ける遥。

「ふっ!…はっ!」

俺は降りかかる魔法を全て風の刃で切り裂き、遥のフォローに向かう。

「遥、大丈夫か?」

「は、はい!なんとか…」

今のところ魔法を食らった様子はなく、安堵する。

「次が来るぞ!気を付けろ!」

「は…はいぃっ!」

その直後、再び炎と氷結がこちらに向かってくる。

「せあっ!」

「ひいぃっ!」

俺は最低限の動きで魔法を避け、風刃で真っ二つに切断する。一方遥は、ただひたすらに逃げ回っていた。あれで一度も魔法に当たらないのだから不思議だ。

 

 

 

「じゃあ、今日はここまでにしよう」

「はーい!」

既に夕日が傾き、東の空が暗さを帯びてきた頃、俺達は今日の練習を終わろうと集合した。

「皆、凄い成長ぶりだ。ここまでよく頑張ったな」

如月先生は部活に来れないため、俺が代わりに皆を労う。

「まぁ、あたしにかかればこれくらい余裕だしね!」

「チョコがあれば、な」

ドヤ顔をする藍にツッコミを入れ、話を続ける。

「明日は全員、7時30分にここに集合だから、遅れたりしないようにな」

俺の言葉に全員が頷いた。

「……あれ、なんか忘れてるような…」

不意に藍が呟く。

「………あっ」

俺達あることを思いだし、はその"忘れていた存在"の元へ走った。

 

 

息を切らしながら部室へとたどり着き、そのまま部室のドアを開けた。そこには━

「ちょっとぉ!作者含め皆私の存在忘れてない!?最近全然登場してないし!」

半泣き状態の杏花が泣き崩れていた。

「あ、あはは……」

俺はただ苦笑することしか出来なかった。

「(すっかり忘れてたなんて、言えない……)」

口にはしないが、心でそう呟いた。

 

 

 

 

 

「いよいよ、明日なんですね」

「あぁ、皆にとっては始めての実戦だな」

隣を飛ぶ遥に、俺はそう答えた。

「うまく、出来るでしょうか?」

少しだけ不安そうな顔になる遥。

俺は小さく笑って

「なんだか、昔の俺を見てるみたいだ」

「えっ?」

遥が不思議そうな顔を向ける。

「俺も初めて試合をしたとき、とても不安だったんだ。酷いもんだったよ。飛行術もまともじゃないし、ただひたすらに相手の魔法から逃げ回ることだけで精一杯だった」

俺は、遥の顔を正面に捉えた。

「でもそんな時、葵葉さんが言ってくれたんだ。『お前は一人じゃない。仲間が、私がいる。』ってさ。だから俺は、仲間を信じる。」

「一人じゃない……。仲間がいる……」

俺の言葉を繰り返し復唱する遥。やがてその顔から不安の色は無くなっていた。

「分かりました!私も皆さんを、湊君を信じます!」

「あぁ、俺も皆を、遥を信じてる」

二人して顔を見合わせ、お互いに笑った。

 

「じゃあ、私はここで失礼します」

「うん、また明日」

遥の家の前で止まり、俺達は別れた。

身を翻し、家までの距離を飛ぶ。

そよ風に背中を押されたように、身体が軽く感じる。

俺はあっという間に家に着き、玄関のドアを引いた。

 

 

「ふぅ……」

俺は自室のベッドに転がりながら、明日のことについて考えていた。

「真良との合同練習…か……」

 

━━真良(しんら)学院━━

 

県内随一の施設が整った強豪校で、過去に何度も県大会を制し、全国へと上り詰めている。

特に注目されている選手が一人、

「雪峰凍哉……。彼は要注意だな」

 

━━雪峰凍哉(ゆきみね とうや)━━

 

俺達と同じ二年生にして、強豪真良学院のエースの座に君臨する男。

去年の県大会では、一年生でありながら選抜メンバーに抜擢され、得意とする氷と風の魔法を駆使し、真良学院を全国へ導いた強者だ。

その圧倒的な戦力から、〈ブリザード〉の二つ名を付けられている。

「俺が、皆をまとめないとな…」

そんな強豪校に対抗するには、俺の全てをもって戦うだけでは不十分だ。俺が皆を統率し、的確な指示を出す必要がある。

「作戦は明日、皆に教えるか……」

そこで眠気が俺を襲い、俺は電気を消し、布団に潜り込んだ。

それから間もなくして、俺の意識はゆっくりと落ちていった。

 

 

 

 

 

「……………遅い」

部室の壁に背中を預け、ため息をつく。

「出発まであと五分だってのに、来てるのは希だけ…。残りの奴らは何やってんだか…」

昨日、集合時間と場所を教えておいたにも関わらず、メンバーが三人遅刻状態である。

「そう言えば希、ウィザードスーツはちゃんと持ってきたか?」

「は、はい…!ここに…」

希はソファーに座り、隣に置いている大きなバッグをぽんと叩いた。

ウィザードスーツとは、SCのユニフォームのようなもので、動きやすいだけでなく、あらゆる魔法の衝撃を吸収してくれる防護服の役割も果たす。これはちょうど三日前、葵葉さんがメンバーの分を用意してくれたものだ。

「あいつらも忘れてないといいけど…。……っと、来たみたいだな」

ドタドタという音が聞こえ、ドアが勢い良く開けられた。

「ご、ごめ〜ん。遅くなった」

最初に部室へと飛び込んできたのは、息を切らし、かなり急いだ様子の藍。

「すみませ〜ん」

「遅くなったっス!」

続いて部室に入ってきたのは遥と瞬。そして二人に引っ張られている杏花。

「遅いぞお前ら、何してたんだ?」

俺の問いに、藍がびしっと手を挙げる。

「はいっ!寝坊!」

「うん…、まぁなんとなく分かってた。瞬、お前は?」

瞬も同様に手を挙げ、

「朝練してたら遅くなりました!」

瞬の家は剣道の道場で、そこの朝練に参加するのが瞬の日課となっている。

「なら仕方ないな。遥は?」

「は、はい!……あのぉ」

遥は恥ずかしそうにはにかむ。

「その…、空の散歩に夢中になっちゃって……」

「……………」

何とも怒れない理由だった。

「(まぁ、可愛いからいっか…)」

内心、ちょっと得をした気分である。

俺は小さく咳払いをして、

「何はともあれ、これで全員が揃った。皆、忘れ物は無いな?」

全員が頷いたのを確認し、俺達は部室を出た。

 

「おっ、やっと来たな。待ちくたびれたぞ」

そこには、相変わらずの奇抜な服装をした如月先生が待っていた。

「すみません。お待たせしました」

待ちくたびれたというのは恐らく冗談であろう先生は寄りかかっていた塀から離れ、服の汚れを払う。

「それじゃあ早速だが、出発するぞ。向こうの人達を待たせるわけにはいかないからな」

そのまま軽い動作で上昇する先生。それに続いて俺達も先生の後を追う。

 

「それで先生、これから行くのはどんな学校なんですか?」

少し前を飛ぶ先生に遥は尋ねた。

行き先が真良学院であることは全員知っていたのだが、詳しい情報を知っているのは俺と如月先生だけだ。

「そうだな…。真良学院は、毎年県大会の上位に食い込み、全国大会の出場回数も多い。おそらく県内でトップクラスだろうな。」

「そ、そんなに強いんですか?」

遥の表情に不安の色が宿る。

「あぁ、だがそんなに不安になることはないさ。こっちには湊がいるだろ?」

そう言って俺の方を見る先生。

「俺を過大評価し過ぎですよ。俺はもうあの頃のような実力はありませんから」

くすっと小さく笑い、

「本当にそう思うか?」

真剣な眼差しで、俺に言った。

「お前は、確実にあの頃より強くなってるよ。動きが洗練され、技のキレも増している」

「そ…、そんなことは……」

俺は目を反らし、眼下に広がる海を見下ろした。

どこまでも蒼く透き通り、微かな汚れさえ見当たらない。

日の光を受け、より一層の輝きを強く放っている。

そんな光景を見ていると、俺の存在がいかにちっぽけなものかを改めて実感する。

「なら、確かめてみればいい」

「…確かめる?」

不意に、如月先生が言い放つ。

そちらに目を向けると、先生はいつものように愉快そうに笑う。

「雪峰凍哉。うってつけの相手だと思わないか?」

「……かもしれません」

正直、今の俺がどこまでやれるのかは分からない。

だから、これは雪峰凍哉への挑戦であり、

俺への挑戦でもある。

 

「見えてきたな。真良学院」

前を飛ぶ先生が、その動きを止めた。

「……着いたか」

俺も止まり、視線を下ろす。

「あれが、真良学院……」

隣の遥が、小声で呟く。

「よし、今から降りて校門へ向かうぞ」

俺達はその場で下降し、校門の前で着地した。既に校門には真良学院の生徒が数多く並び、お待ちかねのようだった。

「遅くなって申し訳ない。冷泉学園SC部の顧問、如月葵葉だ」

いつからうちは「スペルリサーチ部」から「SC部」に変わったのか問い詰めたいと思っていると、向こうから一人の生徒が前へ出た。

「冷泉学園の皆さん、お待ちしておりました。ようこそ真良学院へ。僕は真良学院SC部の部長、月夜翔(つきよ かける)です」

続いて俺が一歩進み、自己紹介をする。

「冷泉学園SC部部長、流川湊です。この度は急な申し出にも関わらず、承諾を頂けたことに対し、部を代表して深く感謝申し上げます。」

そして、お互いの目を見たまま、握手をした。

「(この人……、強い)」

軽く握手をしただけで伝わってくる、彼の魔力。

魔力だけじゃない。精神力、頭脳、知識、どれにおいても秀でていることが分かる。

「そう言えば、顧問の藤川先生はどちらに?」

如月先生が、俺の前に立つ彼に問いかけた。

「藤川先生でしたら、先にフィールドへ向かわれました。今からご案内します」

月夜さんの先導の下、俺達は真良学院の練習場へと足を運んだ。

「うわ〜、でっかい練習場。うちにもこんなのあったらなぁ」

「うちはまだまだ弱小校だし、何より部員も少ないからな」

藍とそんなことを話しているうちに、俺達は練習場に到着した。

「これは……、すごいな」

練習場の中にはフィールドが三つ、更にはトレーニングルームやシャワー室も完備されている。まさに県内随一の施設だ。

「藤川先生。冷泉学園の皆様が到着しました」

月夜さんが、少し離れたベンチに座っている男性に声をかける。

その男性は軽く頷き、立ち上がるとこちらへ歩いてくる。サングラスをかけたジャージ姿の男性は、その手をサングラスへと伸ばし、

「ようこそ、冷泉学園の皆さん。そして、久しぶりだな、湊」

サングラスの下に隠れていた目は、真っ直ぐに俺を見据えた。

どこか懐かしい声と顔に、俺は言葉が出なかった。

「ま……、まさか…。……藤兄…?」

かつて同じチームの一員として共に活動した仲間であり、実の弟のように俺を可愛がってくれた藤兄が、俺の目の前にいる。

五年という月日を経て、さらに大人っぽい顔立ちになり、落ち着いた雰囲気を漂わせている。

「すっかり大きくなっちまったな。あの時はまだこんなに小さかったのに」

「な…なんで?どうして?」

俺は未だに理解が出来ずにいた。

「あれ?葵葉から何も聞いてないのか?」

「……え?」

二人同時に如月先生の方へと目を向ける。

「あ〜、その、サプライズってやつだよ」

「…お前、絶対忘れてただろ」

 

こうして、俺と藤兄は思わぬ形で再開を果たすことが出来た。まさか藤兄がSCのコーチをしているとは思ってもいなかったが、これなら合同練習を受け入れたことにも納得が行く。

 

 

それからの練習は、月夜さんの的確な指示の下行われた。

「……………」

しかし、俺にはどうしても気になることがあった。

「あの、少しいいですか?」

休憩の間、俺は月夜さんの所へ向かった。

「流川さん、どうされました?」

スポーツドリンクの入ったボトルを手渡され、ありがたく受けとる。

「実は、お聞きしたいことが」

「どうぞ」

では、と一拍おいて、

「今回の合同練習、反対しなかったんですか?」

単刀直入に、問いかけた。

「………」

月夜さんは暫く考え込み、やがて顔を上げた。

「正直に言うと、最初は皆が反対だったんです。…藤川先生を除いては、ですけど」

「それは、そうでしょうね」

うちは部活そのものが出来たばかりで、どこにも名が知れていない。そんな学校と合同練習だなんて、強豪の真良からすると迷惑でしかない。

「でも、藤川先生は僕にだけ、あなたのことを教えてくれたんです」

「藤兄が、俺のことを?」

月夜さんが無言で頷く。

「『あいつは強かった、あいつは天才だ』って、口癖のように言ってましたよ。もっとも、他の部員は信じていないようですけど」

確かに、周りを見渡すと、微かに不満げな表情の部員が数名いることが分かる。

「僕は、知りたくなったんです。藤川先生がそこまで言う程のあなたが、どんな選手なのか。………流川さん」

先程の穏やかな表情とは違い、敵を見据えるような目で俺を見る。俺の身体に自然と力が入り、背筋が伸びる。

「僕と、勝負をしてくれませんか?」

懐かしい感覚。ただひたすらに強くなることを願い、ただひたすらに上へ行くことを目指していたあの頃の感覚が、だんだんと戻ってきている。

「分かりました。全力でお相手します」

おそらく俺は今、笑っているだろう。

いや、俺だけじゃない。

俺に向かい合っている彼もまた、目は真剣そのものだが、口元に微かな笑みを浮かべていた。

 

 

「試合形式は1on1、どちらかが続行不能になった地点で試合終了とする」

藤兄がフィールドの真ん中に立ち、試合のルールを説明した。

今、フィールドに立っているのは俺と藤兄。

そして対戦相手の、月夜さんだけである。

俺は白と青を基調としたシンプルなデザインのウィザードスーツに、月夜さんは鮮やかなライトグリーンのウィザードスーツに身を包んでいる。

魔法の被弾を避けるため、他の部員達はフィールドの外で観戦をしている。

「では両者、準備はいいな?」

二人が同時に頷き、藤兄もフィールドの外へ移動する。

「それでは、始め!」

甲高いホイッスルの音が響き、

試合が今、始まった。

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか?
相変わらずのガバガバな内容で申し訳ないです。
次回はバトルシーンに力を入れるつもりなので、是非ご覧下さい。


〈次回予告〉

対峙する二人

湊と翔。

互いの魔法が交差し、空間を揺るがす。

かつての少年のような、圧倒的な力が、

フィールドに、再臨した。

その姿は、まさに━━


次回「甦った鳳珠」

では、また次回お会いしましょう!





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