色々と立て込んで忙しかったんです。(テストとか検定とかゲームとかゲームとかゲーム)
これからは暇な時間が増えると思うので、どんどん更新して行きます!
では、23話どうぞ!
今日の練習が終わり、俺達は皆で夕食の準備に取り掛かっていた。
男子がテーブルの設置など力仕事を、女子が料理をそれぞれ担当することになり、俺と瞬はテーブルの設置を早くに終わらせて荷物の整頓をしていた。
「遥、この野菜洗ってくれる?」
「はいっ!」
「希ちゃん、そこのお皿持ってきて頂戴」
「は...はいっ!」
離れた所では、藍が凄いリーダーシップを発揮し、スムーズに調理を進めていた。
「あいつ、練習でもあれくらいやる気を出してくれたらなぁ」
練習中とのギャップについため息が出てしまうほど、今の藍は生き生きとしている。
「藍センパイ、料理得意なんスか?」
「藍のやつ、以前ファミレスでバイトしてたって言ってたな。今はもう辞めたみたいだけど」
「ふぅん...」
それから、しばらくの沈黙の後、俺は口を開いた。
「そういえば、明日の練習試合だけど、例の技を試してみないか?」
「例の技って...まさかアニキ、アレをやるんスか?」
俺の言葉に、瞬が目を丸くした。
「あぁ、いい機会だと思わないか?」
「でも…、あの技はまだ未完成っスよ?」
俺はにやりと笑って見せ、
「望むところだ。練習で出来ないなら、試合の中で完成させれば良い、だろ?」
「無茶苦茶っスね……。でも、アニキがそういうなら俺はやるっス!」
俺達は軽く頷き合い、丁度夕食の準備が出来た遥たちと合流して皆で食事を共にした。
練習場にあるシャワー室を使って汗を流し、男女に分かれ、俺達は敷いた布団の上で横になっていた。
「流川くん。明日の練習試合、よろしく頼むよ」
俺の隣に布団を敷いた月夜さんが、消灯前に声をかける。
「えぇ、こちらこそよろしくお願いします」
俺はそれだけ返し、大部屋は暗転した。
枕に頭を埋め、目を閉じる。
それから間もなくして、俺の意識は睡魔によって眠りへと誘われた。
「ん……」
微かに開いた目に、朝日が眩しく射し込む。
起床を急かすように、小鳥の鳴く声が小さく響く。
「朝か……」
俺は体を起こし、伸びをした。
回りを見渡すと、起きているのは俺だけのようだ。右隣では瞬が、左隣では月夜さんが静かに寝息をたてている。
それから何分かが経過し、皆が次々に目を覚ました。
一番最後まで寝ていた瞬を叩き起こし、布団を畳む。
女子と合流し、朝食を取りながら今日の作戦を皆に説明した。
「……とまぁ、こんな作戦でいこうと思う」
「ふーん、つまりはいつもの練習通りってこと?」
味噌汁をずずっと啜り、藍が訪ねる。
「あぁ、昨日の様子を見ると、真良は俺達のような練習をしていない。つまり俺達の動きは予測出来ないはずだ」
「なるほどね〜」
理解したのか分からないような返事をする藍。
「この作戦で注意する点は、藍と瞬が希のカバーをすること。後衛である希は優先的に狙われる可能性が高いからな」
SCにおいて、後衛は特に重要な役割を持っている。
後衛による治癒術や支援魔法が無ければ、勝利は困難になる。
「という訳だから、二人とも頼んだぞ」
二人が頷いたのを確認し、立ち上がる。
食器を片付け、更衣室へと向かった。
俺は昨日と同じく、白と青のウィザードスーツに身を包んだ。隣では、瞬が白と赤のウィザードスーツに着替え終わったところだった。
「相変わらず派手だよなぁ、赤って」
「そっスか?青だって十分派手だと思うんスけど」
そんなどうでもいい会話をしながら更衣室を出ると、
「あっ!湊君!」
丁度同じタイミングで女子も着替え終えたようで、更衣室から三人が出てきた。
遥のウィザードスーツは俺と同じデザインだが、色は白と水色で俺とそっくりだ。
対する藍は濃紺に黒という、何とも男っぽいカラーである。だが男勝りな部分があるせいか、その色はやけに似合っていた。
二人の後ろでいつも通り控えめな希は、藍とは正反対にピンクと白という女の子らしいデザインのウィザードスーツを着ている。
その希は両手を胸の前で交差させ、隠すような姿勢をとっている。
「(あぁ、そういうことか…)」
俺はその理由がすぐに分かった。
ウィザードスーツは、動きやすさを重視した設計のため、体にぴったりとフィットする素材で作られている。
つまり…
「こ…、この服……、体のラインがはっきりしてて…恥ずかしいです……」
絞りだような声が、希の口から漏れた。
体のラインが見えるというのは、男子からするとなんともないが、女子にとっては地獄だろう。
「そうかな?あんまり気にならないけど」
「私も、そこまでは気にならないです」
スタイルに自身でもあるのだろう藍と、素で気にしていない様子の遥。
「(二人ともスタイル良いんだから、少しは気にしたほうがいいと思うんだがなぁ)」
思ったその言葉を口にすることが無いまま、俺達は練習場へと向かった。
「最初は、ウォーミングアップとしてフィールドランニングをしようと思う」
月夜さんの指揮の下、俺達はウォーミングアップを開始した。
「そういえば、雪峰さんって人はいつ来るの?」
フィールドの外周をランニングしながら、藍が尋ねる。
「月夜さん曰く、そろそろ到着するらしいけど…」
俺が口にしたその瞬間、携帯の着信音が響いた。
「おっと、電話か。……もしもし」
音の方へ目を向けると、藤兄がスマホを耳に当てている。
「そうか。俺達はいつもの練習場にいるから、お前もすぐに来てくれ」
藤兄が通話終了ボタンを押し、俺はすぐさま尋ねた。
「藤兄、今の電話って、もしかして…」
俺の言葉に、藤兄は頷いた。
「あぁ、凍也が帰ってきたんだ。ここへ来るように行ったから、すぐに着くはずだ」
一瞬、俺の背筋にぞわぞわっとした何かが広がるのを感じた。
喜び、期待、恐怖
感情が混ざり合い、複雑化し、俺の中に謎の感情が生まれる。
俺はその感情を胸に、その時が来るのを待った。
「…どうやら、来たみたいだな」
俺が小さく呟いた、その直後、
ドアの開く音、それに続いて一つの足音が微かに響いた。
「…………ッ」
思わず固唾を飲む。
ここからでも分かる、とてつもない魔力。
隣の遥もそれを感じたようで、俺のウィザードスーツの裾をギュッと掴む。
だんだんと足音が近づき、やがて、
「随分と、お待たせしてしまったようだね」
はっきりと通る声と共に、彼は姿を現した。
やや長めの落ち着いた髪、鋭いが圧を感じさせない目、余裕のある佇まい。
その全てが雪峰凍也という人間の強さのオーラを放っている。
「凍也。合同練習でお越し頂いた冷泉学園の皆さんだ」
月夜さんの紹介を聞き、彼がこちらへ歩み寄る。
俺は一歩前へ進み、
「冷泉学園SC部、流川湊です。よろしくお願いします」
言い終えると、彼は手を差し伸べた。
「真良学院SC部、雪峰凍也だ。会えて嬉しいよ、流川くん。…いや、『元日本代表』と言うべきかな」
おずおずと彼の手を握る。軽くため息をつき、
「もう五年も前の話ですよ。今の俺は、ただのSCの選手です」
しかし彼は首を横に振る。
「僕は君に憧れてSCを始めたんだ。だから、僕にとって君は特別なんだ。それこそ、神様のような…、ね」
「(神様…か……)」
あの頃の俺にとっては、神様は葵葉さんただ一人だった。
ずっと葵葉さんの背中を追いかけ、ただひたすらに練習を重ね、いつの日か葵葉さんのような選手になることを夢見ていたあの感覚が蘇る。
「僕は今日この日、君に会えたこと、そしてこれから君達と試合が出来ることを奇跡だと思っているよ。」
目の前の真剣な眼差しが、俺を真っ直ぐに射る。
だが、俺は気圧されることなく告げた。
「元日本代表として、全力でお相手します」
「両チーム、準備はいいか?」
「「はい!」」
俺と雪峰さんが同時に応え、
「それでは…始め!」
高く響いたホイッスルが、試合の開始を告げた。
━これは、ただの試合じゃない━
━━俺と彼の、全てをかけて戦う━━
━━━魂と魂の、ぶつかり合いだ━━━
如何だったでしょうか?
今回は時間の都合上、バトルシーンを入れることが出来ませんでした。(バトルシーンを入れようとするとさらに更新が遅くなる)
なのでバトルシーンは次回投稿しますので、是非ご覧下さい!
〈次回予告〉
ぶつかり合う魂と魂━━
交差し、空に描く軌跡━━
凄まじい力が、湊の前に立ち塞がる━━
その力こそ━━━
次回「ブリザード」
是非ご覧下さい!