the blue   作:N ignite

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N igniteです。今回の更新が遅れてしまい申し訳ありません。やろうと思っているうちにもう1ヶ月も経ってしまいました。
今回で合宿は終了となり、新たな展開へ進んでいきます。今後の更新をお待ちください。
そういえば、最近コロナウィルスがどんどん拡大していますね。私の住んでいる地域にも感染者が出始めています。皆様も十分お気をつけください!

では、25話どうぞ!


25話 越えろ期末考査

「う…おぉぉあぁぁぁぁぁっ!」

「は…あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

二つの声が重なる。

同時に、二つの力がぶつかる。

突き出した左手から凄まじい衝撃が全身を襲う。

「ぐ…うぅっ!」

「う…ぐぅっ!」

ブーストされた勢いで雪峰さんを十メートルほど押し出し、静止する。

歯をぎりぎりと食いしばり、力を絞り出す。

力の衝突によって俺たちを中心に衝撃波が生じる。

やがて、力の衝突点が眩い光に包まれ、俺の視界は白い輝きに塗りつぶされた。

 

 

 

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「やぁっ!」

これでもう何度、魔法を撃ち出しただろう。

これまでに撃ち出したその全てが、ことごとく躱されている。

「遥!がむしゃらに撃っちゃ駄目!」

藍ちゃんが私に注意を促し、氷の追跡弾を創り出す。

追跡弾は真っ直ぐ月夜さんへと飛び、そのまま炸裂した。

しかし、ガードされたため、ダメージを殆ど負っていない。

「藍ちゃん…、一体どうすれば…」

無意識に藍ちゃんに助けを求めてしまう。今ここに湊くんの姿が無い以上、自分たちだけで戦うしかないと分かっていても、微かに残る焦りと恐怖はなかなか消えてはくれない。

「湊なら、絶対にそんな顔しないよ、遥」

いつものようなサボり魔の顔は無く、真剣な眼差しは真っ直ぐ私に向けられ、瞬時に微笑みへと変わる。

「大事なのは、何をすれば良いのかじゃなく、何が出来るのか。…って、湊みたいなこと言ってるけど、あたしもどうすれば良いのかは分かんないや」

「藍ちゃん…」

不器用な彼女なりに私を勇気付けようとしてくれているのだろう。えへへ、と小さく笑うと、再び表情を引き締める。

「だからさ、遥」

身を翻し、こちらに背を向ける。

「たまには当たって砕けても、いいのかもしれないよ」

そう言い残し、彼女は一人奮闘しているもう彼のもとへ向かう。

「瞬!一度下がって!」

背中越しに頷いた小柄の彼は大きな弧を描きながら後ろへ飛び、すかさず藍ちゃんが間へ入る。

「てやぁっ!」

両手をかざして創り出した氷塊は矢尻の形へと姿を変え、ドリルのような回転力を生み出しながら打ち出された。

飛距離に比例するように回転力を高め、一直線に月夜さんへと襲いかかる。

「なっ!?」

不意をつかれた月夜さんは一瞬目を見開くが、すぐに氷の盾を生成させる。

直後、氷の矢が盾の中心を射た。

衝突の衝撃で双方が削られ、欠片が氷の礫となって散る。

それでもなお、矢は止まらない。

その回転力は減ることなく、盾を抉る。

「いっけえぇぇぇぇぇぇ!」

高く響いた彼女の想いに呼応するように。

矢は、更に勢いを増した。

先端が欠け落ちようと、

全身に亀裂が入ろうと、

矢は、その勢いを止めない。

やがて盾の全身にも亀裂が入り、二つは同時に形を崩した。

「うあぁっ!」

無数の氷片が弾け飛び、拡散する。

その衝撃を間近で受けた月夜さんは後ろに仰け反り、大きな隙きを見せた。

「今っ!」

「よっしゃあっ!」

藍ちゃんの合図に、瞬くんが前線へ躍り出た。

身体に収まらないほどの炎を纏い、加速する。

「うおりゃぁぁぁぁぁっ!」

盛大な雄叫びをあげ、月夜さんへ突進する、

その直前。

背後から、眩い光が強く射し込んだ。

その光に、私や藍ちゃん、加速していた瞬くんも、その動きを止めた。

「この光…、まさか…」

藍ちゃんと同時に頷き、体の向きを変える。

瞬間、体全体が押されるような衝撃に襲われ、両足に力を入れて踏みとどまる。

光りの中心に見えるのは、二つの影。

「あれ…湊と雪峰さん…だよね……」

「すげぇ力…、体がビリビリする…」

隣に立つ二人が声を漏らす中、私は視線を動かすことも、声を絞り出すことも出来なかった。

先程まで向かい合っていたはずの月夜さんまでもが隣に立ち、声を上げる。

「あの二人の全力、それが正面からぶつかり合うことでこれほどまでの衝撃が生まれるのか…」

目の前の光景に戦意を削がれ、私達はただひたすらに見届けていた。

「…湊くん……」

胸の前で握った両手に、自然と力が入るのを感じながら、私は時を待った。

 

 

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「…くん……みなとくん……!」

誰かが、俺を呼ぶ声。

おぼろげな意識の中、誰かが俺の名を呼び、体を揺すっている。

「湊くんっ!」

「うぉわぁっ!!」

耳元で響いたその声に、俺の体は飛び跳ねた。

その勢いのまま体を起こし、周りを見渡す。

今にも泣き出しそうな顔で側に座り込んでいる遥、その反対側に並ぶ瞬と藍。少し離れた所で腕を組む葵葉さんと藤兄。どちらにも微かな笑みが浮かんでいる。

「俺…、気を失ってたのか……」

続いて自分の体を見下ろす。

ウィザードスーツの肩や足の部分があちこち破れ、俺の素肌が露わになっている。

しかし、その肌に傷は一つも見つからない。

「花宮に礼を言っておけよ。そのボロボロだった体に治癒魔法を施したのは花宮なんだからな」

そう言いながら葵葉さんが歩み寄る。

「そーそー、泣きそうになりながらずっと湊のこと呼んでたもんねー」

「ちょ、ちょっと藍ちゃんっ!」

遥が困ったような顔をする。

…まぁ、なんというか、気を失ってて良かったと思う。色んな意味で。

「そうだったのか。ありがとうな、遥」

遥がくるりとこちらに向かったと思うと、すぐさま顔をしかめる。

「もう!ホントに心配したんですからね!」

小さな子供のように頬を膨らませる遥。本気で怒っているのかは分からないが、とりあえず素直に謝ることにする。

「はい…すみませんでした……」

 

その後、なんとか遥の機嫌を取り戻し、先に目覚めていた雪峰さんらと合流した。

藤兄の提案で、もう一泊することになった俺達は、夕食の前にシャワーを浴び、汗を洗い流した。

そして、夕食の準備をすることになったのだが…

「人手が足りない?」

俺は藍に疑問を投げかける。

女子はシャワーを浴びるのに時間がかかる上、交代でシャワーを使っているため、先にシャワーを浴びた藍を含む数名しかいないらしい。

「そうなんだよねー、どうしよう?」

「なら、俺も手伝うよ。こう見えても料理は慣れてるからな」

普段から家で料理をしているため、腕には少し自身がある。昨日は女子に任せてしまったことだし、今日は俺が腕を振るうことにした。

 

「ふわぁ〜!」

俺が調理をしているのを横から覗いていた遥が、目を輝かせる。

野菜を切り、肉を切り、それらを調味料と共に炒める。

何の変哲もない、一般家庭の料理だが、遥はそれを珍しそうに見つめる。

いや、遥だけではない。雪峰さんや月夜さんら真良の面々がこちらに視線を送っている。

「何でこんなに見られてるんだ……」

「アニキは料理が上手いからッスよ!」

そう言う瞬も、今にもよだれが落ちそうな顔をしている。

すぐに料理を完成させ、皆で手を合わせた。

疲れた体に肉の旨味が染み渡り、俺達は夢中で箸を進めた。

それぞれの大部屋に別れて布団を敷いた矢先、おやすみを言うのももどかしく、皆次々に布団に潜り込んだ。

 

 

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翌朝、昨日の疲れが嘘のように吹き飛び、俺達は校門に並び、向かい合っていた。

「この度は、大変お世話になりました」

俺が代表し、真良への感謝を述べる。

「礼を言うのはこちらの方だ。とてもいい経験をさせてもらったよ」

雪峰さんが手を差し伸べ、笑顔を向ける。

「次は、夏季大会で会おう」

「もちろん」

硬い握手を結び、誓う。

次も、必ず勝ってみせる、と。

手を離し、雪峰さんが下がる。

「湊、昨日の試合、凄かったぞ!」

続けて藤兄が俺の肩を叩きながら言葉をかけてくれる。

「お前は俺が思ってる以上に強くなっていたんだな。夏季大会が楽しみだ」

「うん、俺も凄く楽しみだよ」

「お前なら…いや、お前達なら、もっと強くなれる。あの時の俺達よりもな」

いつかそうなれるように、

俺はそう願った。

「さぁ、湊。そろそろ行くとしよう」

葵葉さんの言葉に頷き、最後に一礼をする。

身を翻し、風魔法を展開させる。

体が浮かび上がり、真良学院の姿が小さくなり、やがて視界からその姿を消した。

 

「何だか、長いようで短かった二日間でしたね〜」

冷泉までの帰り道、隣を飛んでいた遥がつぶやく。

「そうだな、この二日間でいろんなことを学んだ気がするよ」

「あの時のアニキ、凄かったッスよ!何かこう……、バーンッ!て感じで!」

なんとも語彙力が乏しいコメントだ。

だがまぁ、瞬もますますやる気が出ているようなので良しとする。

「わ、私も…もっと頑張らなきゃ…!です…!」

後ろを飛んでいた希が、己を鼓舞するように両手をぐっと握る。

「皆それぞれ思うことはあるだろうが、この合宿で身につけたことを忘れずにいるんだぞ」

先頭の葵葉さんがこの場をまとめ、皆が頷く。

「あ〜、ところで湊?」

バツが悪そうに苦笑いをする葵葉さん。どうかしたのかと聞き返すと、葵葉さんは告げた。

「明日からテスト週間なわけだが、そこんとこの対策もできてるんだろうな?」

「…………あ」

しまった、すっかり期末考査のことを忘れていた。

俺はそこまで心配するような点数を取ったことは無いし、藍はほとんど百点だろう。杏花も点数は上位だ。希も成績が悪いという話は聞いたことがない。

ただ、心配なのが二人…

そう、遥と瞬だ。

この二人が以前の中間考査で取った点数はとても褒められたものではない。瞬に至っては赤点ギリギリだ。

「勉強会、やるしかないな…」

不思議そうな顔をする二人を見ながら、俺はそう思うのだった。




如何だったでしょうか?
常に赤点ギリギリの奴ってクラスに一人は居るのではないでしょうか(笑)
次回は日常編に戻って勉強会です!因みに私は勉強会なんてやったことありません。なので殆ど私の偏見になるかと思いますが、読んでいただけたら幸いです。

〈次回予告〉
次々に襲いかかる問題

ややこしい公式

頭に浮かぶ大量のハテナ

頭を悩ませる少年少女


次回「勉強?なにそれおいしいの?」

是非、ご覧下さい!
また次回お会いしましょう!
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