俺は昇降口で靴を履き替え、真っ直ぐ教室へ向かう。いつもと違い、廊下は静かだ。
「そりゃそうか…」
もう既に殆どの生徒が登校して教室にいるのだから当然のことだ。
俺は少し進んだところで足を止め、目の前のドアを開ける。
「おっ、湊、今日は遅いじゃーん。」
「おはよー流川くん。珍しく寝坊?」
教室に入ってきた瞬間、会話をしていた二人が俺の存在に気付く。
「おはよう二人とも。今日はちょっと寝坊しちゃってな」
そう言って俺は席に着く。
「そう言えば湊、今日って転校生が来るらしいよ!」
俺の前の席に座っている、朝からテンションが高いこいつの名前は相沢藍(あいざわ らん)。1年のときからの同級生だ。頭が良く、常に成績は学年トップを維持。更に運動神経も良く、スタイル抜群の黒髪美人。まさに三拍子揃っていると言ってもいい。
しかし、こいつは性格に難がある。
極度のめんどくさがりとマイペース。男子からの人気は凄いのだが、女子からは良く思われていないようだ。
「転校生ってこのクラスなのかな?どんな人なんだろ?」
藍の言葉に反応したのは、藍の隣の席に座っている棗杏花(なつめ きょうか)。明るく活発で、ムードメーカー的存在である。こいつとは2年のとき同じクラスになり、藍を通じて仲良くなった。
「転校生か…、今朝会って一緒に飛んで来たけどな。どこのクラスなんだろうな」
俺は今朝の出来事を思い出しながらそう言った。その瞬間、二人は驚いたように口をぽかーんと開け、
「湊……もう会ってたの?」
藍が俺に訪ねてきた。
「どんな人?男の子?女の子?」
杏花が続けて俺に訪ねる。
「一度にそんな質問しないでくれよ……。そうだな」
そこまで言いかけて教室のドアが開く音が聞こえた。俺達はそちらに視線を向け、
「よーし、全員揃ってるな。ホームルームやるぞー」
声と共に如月先生が教室に入ってきた。全員が話を止め、前を向く。
「もう知っているとは思うが、今日、転校生が来ている。」
途端、クラス内に歓声が起こる。やはり皆転校生に興味津々らしい。
「よし、じゃあ入ってこい!」
如月先生がドアの向こうへ呼び掛けた。
やがてドアがゆっくり開かれ、彼女は教卓まで進んだ。
「よし、じゃあ自己紹介してくれ」
如月先生の声に彼女は
「はいっ!」
元気良く頷き、チョークで黒板に名前を書いた。
「花宮遥と言います。よろしくお願いします!」
再び教室に歓声が起こった。
俺にとっては二度目の自己紹介を聞き、思った。
(へぇ、まさかうちのクラスだったとはな)
花宮さんの自己紹介が終わり、
「じゃ、席はあそこ、湊の隣だ」
「はい!」
そのまま俺の隣の席に座り、
「あ…、今朝はありがとうございました」
小声そう言い、小さくぺこりとお辞儀をした。
「どういたしまして。これからよろしく」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
こうして、俺の日常に大きな変化が訪れた。
「ねぇねぇ、遥さんって湊と知り合いだったの?」
「好きな食べ物って何?」
今は休み時間。花宮さんは藍と杏花に質問攻めを受けていた。
「流川さんと会ったのは今日が初めてです。あと好きな食べ物はイチゴです」
花宮さんは二人ともすぐに打ち解け、すっかり仲良くなっているようだ。
「いやーしかし湊もたまにはカッコいいことするじゃーん」
「そーそー。『俺がサポートするから、一緒に飛んで行こう』だってさ!」
「その話は止めてくれ……」
俺は逃げるように両手で顔を覆った。
「そんなに気を落とさないで下さい!あの時の流川さん、かっこよかったですよ?」
「それはどうも……」
しばらくはこのネタでいじられそうだ。トホホ……
今回でクラスメイトを二人追加してみました。どちらも女子です。つまりハーレムです。