the blue   作:N ignite

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7話 本気

俺達は次の授業のため、校庭へ移動した。

「よし、じゃあ今日は前回に引き続き、エアリアル・スペルを利用した飛行技術を身に付けてもらう。」

この授業の担当である如月先生が前に出て説明をする。

「うぅ……飛べるか不安です……」

俺の隣で花宮さんが不安そうに呟く。

「大丈夫だよ。湊が教えてくれるから」

近くで聞いていた藍がいきなりそんなことを言う。

「お、おい。お前なぁ…」

俺は呆れて言葉を返す。

はあっと小さくため息をつき、

「まぁ、花宮さんが良ければいくらでも教えるけど…」

「いいんですか?是非お願いします」

確かに今の花宮さんは一人で飛ぶことすら覚束ない。故に誰かがしっかりコーチした方がいいのだろう。

「今日は速い速度で飛べるようになってもらう。そこで湊、手本を見せてやってくれ」

「………はっ?」

説明を続けていた如月先生から突然名前を呼ばれ、変な声が出てしまった。

「えっと……なんで俺なんですか?」

如月先生は涼しい顔のまま、

「なんでって、お前がこの中で一番飛ぶのが上手いだろう」

うんうんと、クラス全体が頷く。

「何でそうなるかなぁ……。分かりましたよ、やります」

俺は諦めて肩を落とす。

「じゃあ早速スタート地点まで行ってくれ」

「…はい」

俺はエアリアル・スペルを展開し、自分の体を宙へ持ち上げた。そのままスタート地点まで飛び、

「ここでいいですか?」

少し離れた位置の如月先生へ呼び掛ける。

「あぁ、そこから100メートルほど全力で飛んでくれ。いいか、全力だぞ」

「うぐっ…」

こっそり手を抜こうとしていたのがバレていたらしい。

「わ、分かりました。いつでもいけます。」

俺はそう言って如月先生の合図を待った。

「流川さんって、そんなに飛ぶのが上手なんですか?」

如月先生の近くで花宮さんが藍と杏花に訪ねている。

「かなりね。あれは異常だよ」

「そ、そんなにですか?」

藍の言葉に驚いている様子の花宮さん。

「まぁ、見てれば分かると思うよ」

杏花が続けて言う。

(やめろ、プレッシャーをかけないでくれ。)

「湊、いいかー?」

如月先生が手を振って合図を送る。

「はーい」

俺も手を振り返して返事をする。

「それじゃ行くぞ。よーい…」

俺は素早く飛行体勢をとり、両膝を軽く曲げて待機する。

「ドン!」

瞬間、俺は全力で前方に飛んだ。曲げていた膝を伸ばし、一気に加速する。

「は、速い!」

花宮さんがまたもや驚いた様子で声をあげる。

「ほう……」

ただ、如月先生だけは他とは反応が違った。

「……っ!」

俺は残りの距離を高速で飛び、あっという間に100メートルを飛び終える。

「5.8秒…、どうやら腐ってはいないようだな」

如月先生のその言葉は、誰にも聞こえることは無かった。

 

 

 

「はあ…はあ…」

こうやって全力で飛ぶのは何年ぶりだろうか。すっかり鈍ってしまった体を落ち着けるように、俺は肩で息をする。

「湊、よくやった。戻ってきてもいいぞ」

俺は呼吸を整えながら、ゆっくりと戻る。

「ふぅ……」

ようやく体を落ち着けた俺は空中で魔法を解除し、花宮さんの隣に着地した。

「よっ…と」

「ね?言ったでしょ?」

近くにいた藍がいきなりそんなことを言った。

「ん?なんのことだ?」

俺は理解ができずに聞き返すと、

「る、流川さん、凄いです…。あんなに速く…」

「そ、そうかな?」

目をキラキラさせた花宮さんが俺に迫る。

「いい手本だったぞ、湊」

如月先生が俺達に割って入った。

「あ、ありがとうございます」

先生は軽く頷き、

「じゃあ二人一組のペアを作って練習するように!」

いつも通りの凛とした声で言った。

「じゃあ杏花、組もっか!」

「おけー!」

藍と杏花がペアになり、二人で練習を始めた。

「さて、じゃあ俺も…」

俺がペアを探そうとしていると、

「湊、お前は花宮を見てやれ」

如月先生に呼び止められ、俺は咄嗟に振り向く。

「お、俺が、ですか?」

「あぁ、何か問題でもあるか?」

先生は表情を一切変えずに答える。

「その、俺なんかに教えることが出来るんでしょうか?」

「少なくとも、こいつは教わる気満々だぞ」

俺は先生の隣に立つ花宮さんに視線を向けた。期待しているような目でこちらを見ている。

俺の脳内で選択肢が発生した。

 

教えてあげますか?

→はい

いいえ

 

俺は即答で『はい』を選択。

「わ、分かりました。俺で良ければ」

俺がそう答えた瞬間、

「あ、ありがとうございます!」

同時に勢いよく頭を下げる。

「じゃあ頼んだぞ、湊」

「は、はい…」

結果、俺と花宮さんがペアを組み、俺が花宮さんに飛び方の基本を教えることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最近暇な時間が多くて何しようか悩んでいます。
休校中なのでしばらくは暇な時間が続くんですよね。
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