インフィニット・ストラトス~彼から主人公補正が消えた話~   作:カイナ

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IFストーリー
彼女達が○○に所属している話:前編


 女神に選ばれて転生した少年──須藤(すとう)成志(せいじ)がこの世に生まれて15年の歳月が流れた。

 

「はぁ……張り合いがないな」

 

 右手首に装着した金色の腕輪。女神から与えられたチート専用機の待機形態であるそれを眺めながら、成志はぼそりと呟く。

 今自分がいるIS学園の一年一組。本来ならば原作主人公の織斑一夏に、篠ノ之箒やセシリア・オルコット、布仏本音と言ったヒロインがいるはずの教室にはそれらは誰一人いない。それどころか転入してくるはずのシャルロット・デュノアにラウラ・ボーデヴィッヒも来ないし二組には鳳鈴音もいない、四組には更識簪もいない。

 クラスの取り巻き女子を使って調べさせたが二年の更識楯無、フォルテ・サファイア、三年のダリル・ケイシーも、さらにはこの教室のクラス担任である織斑千冬と副担任の山田麻耶も別の名も知らぬ教師に入れ替わっているし、相川清香を始めとしたモブキャラも見つからない。残っているのは原作やアニメで名前も出なかっただろう者達だけ。

 簡単に言えば……この学校から、原作で名前の出ているキャラが全て消え去っていた。

 

「ま、いいか」

 

 だが結果として苦労せずにクラス代表の座を手に入れて、クラス対抗戦でも優勝出来ている。そのおかげで一年生は全て自分の信者になっていると言っても過言ではない。とりあえず一組のめぼしい女は一通り味見しても文句を言われた事はない程度に自分に心酔させているという確信を成志は持っていた。

 これから二年に勢力を広げて、三年に至る。そしてゆくゆくはこの学校の全てを自分のハーレムにし、自分はこの学園の王になる。と成志は己の野望を妄想し、ニシシと笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 そんな一人の男の存在によって歪みを生じ始めたIS学園を見下ろす超高度。そこに六体のISが存在していた。

 その全てが汎用機とは違い、なおかつ一体一体が違うシルエット。つまり全てが操縦者用の専用機である。

 

「総員、配置につきました。我が王」

 

 鮮やかな紅色、しかし泥を被ったように黒く汚れたISを纏う黒髪ポニーテールの少女が、己の目をバイザーで隠したまま、自分達の前に背を向けて堂々と立つように浮遊している少女に膝をつくような格好で浮遊しながら報告する。

 

「それにしても、ちょっと大袈裟すぎない? 注意するべき相手はたかが男一匹でしょ? あたし達全員、特に我が王まで出る必要なんてあるの?」

 

「口を慎みなさいな。これも我が王の定めたこと、私達に逆らう事など許されません」

 

 燃える炎のような赤色、しかしこちらもまた泥を被ったような黒色に染め上げられたISを纏う茶髪ツインテールの小柄な少女がこちらも目元を隠すようなバイザーをつけて、呆れたように息を吐きながらそう聞くと、その隣に立つ(正確には浮遊している)、高貴な青色を泥で黒く汚したようなISを纏う金髪ロングの少女が彼女の言動を嗜めた。

 その言葉を受けた、自由なるオレンジの輝きを泥で薄汚れさせたISを纏う金髪を後ろでまとめた髪型の少女がふふっと笑う。

 

「それにこれも我が王の慈悲。私達が無駄に怪我しないように、そして標的達を無駄に苦しませないようにするための、ね?」

 

 口元も笑みを作っており、一見すれば穏やかな言葉、だがしかし目元はやはりバイザーで隠しているためその表情はうかがい知れない。その横で、元から黒色の装甲ながらそれがさらに漆黒の泥で穢されたような雰囲気をうかがわせるISを纏った少女がバイザーで隠した目元からも分かる程に殺気を漲らせながら獰猛に笑った。

 

「その通りだな。私達は全てを滅ぼし尽くす、だがその手間は少ないに越したことはない。我らの不手際で我が王の手を煩わせるなど以ての外だ」

 

 己の臣下たる彼女らの言葉を背中で聞きながら、彼女らに王と呼ばれる少女、泥でも被ったような黒色の、騎士の鎧のようでありながらどこかドレスを思わせるような装甲から成るISを身に纏い、やはり目元を隠すようなバイザーをつけた彼女は沈黙する。

 すると彼女のプライベートチャネルに通信が届いた。

 

──我が王。IS学園へのハッキング完了致しました。警備システムは全てダウン及びこちらにて掌握完了

 

 水色髪のショートカットの少女、裏方であり顔を隠す必要がないためバイザーをつけていない彼女は眼鏡型モニターを鈍く光らせて己の任務の完了を報告する。

 自分達がここ、IS学園の監視網から逃れられる場所で退屈に待機していた最後の理由が消え去り、少女は今まで一文字に閉じていた口を開いた。

 

「これよりIS学園への襲撃任務を開始する」

 

 荘厳な声。今までペラペラと好き勝手喋っていた臣下は彼女の声を聞いた途端口を閉じて姿勢を正す。もちろんそれはここにいる臣下だけの話ではない。

 

「我らの任務はIS学園の全戦力壊滅及び現在IS学園に存在する全ISコアの奪取、そして突然変異個体(ISを使える男)の捕獲」

 

 しかしそんな事確認するまでもなく王は言葉を続ける。

 

「後はそうだな。自分から檻の中に入るような臆病者は殺すまでもない、捕らえておけ。腐っても鯛、何かの役には立つだろう。だが逃げ遅れるような、そして逃げ場を間違えるようなノロマはいらん、全て殺せ」

 

 悪逆な命令を声色一つ変えず、まるで当たり前の事を喋るように話し、それで言いたいことは終わったか彼女は短めのポニーテールを柳の枝葉のようにゆらりと揺らし、黒色に染まりあがった剣を己の右手に展開(オープン)。それを掲げるように振り上げた。

 

亡国機業(ファントム・タスク)実働部隊、モノクローム・アバター・オルタナティブ……出撃」

 

 眼下に見据えるIS学園。それを指し示すように剣を振り下ろし、出撃命令を下す。それと同時に彼女の背後でその時を今か今かと待ち望んでいた少女達は口元に歪んだ笑みを浮かべ目標目掛けて急降下していった。

 

 

 

 

 

「クソ、クソクソクソクソォッ!! どうなってんだ!!??」

 

 平和な学園生活は地獄へと変貌した。

 警告すら起きずに突如複数のISが学園へと攻撃を仕掛け、ちょうどグラウンドで訓練を行っていた二年生を襲撃。そこにいた生身の生徒全てをチリに還し、訓練に使用していた打鉄及びラファール・リヴァイヴを強奪。正確にはコアさえあればいいのか、素早くコアを引き抜くと抜け殻になった機体を手土産とばかりに破壊する。

 

 そして青黒色のISがフィン型の武装を展開し、ところ構わず無差別攻撃を開始したのが地獄の始まりだった。

 

──IS学園を所属不明のISが強襲。一般生徒は至急避難シェルターに避難してください。これは訓練ではない。繰り返す、これは訓練ではない

 

──教員IS部隊及び専用機持ちは直ちに出撃。応戦を開始してください

 

 校内放送から()()()()()()()()で避難命令が下され、女子生徒は悲鳴を上げながら逃げ惑う。

 

「皆ー! 放送を聞いてー! シェルターの中に隠れるのよー!!」

「き、聞くなー! 警備システムが全てハッキングされている! これはIS学園関係者の放送ではない! 罠だぐふっ!?」

うっさいわよ、ちょっと黙ってて……大変よー! 先生が倒れてる! 誰かシェルターまで運ぶの手伝ってー!!」

 

「あ、そ、そうだ、避難……逃げないと……」

 

 一年生からすれば見覚えのない三年生の制服を着た生徒が避難誘導のように声を上げ、一年生は先輩の指示に従ってシェルターの方にひた走る。

 そんな生徒と教師の喧騒の中、成志は死ぬのはごめんだとばかりにシェルターのある方に走り出そうとする。

 

「せ、成志様!」

 

 しかしそれを一人の小柄な少女が呼び止めた。

 

「な、なんだよ!? 俺は今──」

「お願いします、成志様……あいつらを倒してください……」

 

 その少女は顔を俯かせ、涙を堪えるように震えた声で呟く。

 

「私の友達が殺されました。お願いいたします、どうかあいつらを倒して学園に平和を……そのためなら、私はなんでもいたします」

 

 そう言ってくねりと腰をくねらせ、小柄な体躯に似合わない大きな胸を強調するように腕で挟み込む。それを見た成志はごくりと息を飲んだ。

 そうだ、こっちには女神から受け取ったチート専用機があるんだ。負けるはずがない。そんな考えが彼の頭の中に浮かぶ。

 

「お、おう、任せとけ! だから君は急いで避難して、君だけでも生き延びるんだ!」

 

 鼻の下を伸ばしながら、得意気にそう言って走り出す成志。

 

「……チョロ~イ……それにしても、こんな大パニックだからしょうがないとはいえ。()()()()()()()()()()のお願いをこんなあっさり聞いちゃうなんて……まあ、騙しやすいに越したことはないけど」

 

 それを見届けた女子生徒は、黒い笑みを浮かべて彼を嘲笑う。

 

「さ~てと、これで私の仕事はとりあえず終わりかな~。あとはお願いね~王様~」

 

 そしてパッと表情を変え、表向きの顔であるのほほんとした笑顔を浮かべて間延びした声で呟きながら、彼女は一般生徒に紛れて消えていった。

 

 

 

「へへへ。あいつらを全員倒せばあの女を始め、この学校の女は全部俺のものだ……」

 

 上手くグラウンドに抜け出して己の専用機ゴールデン・キング──その名の通り全身に金色の装甲を纏った派手なISだ──を展開した成志は、この後の事を想像して舌なめずりをしながら敵を探していた。

 

「いた!」

 

 グラウンドを少し離れ、生徒のいる校舎を広範囲にフィン型の武装を飛ばして無差別攻撃を仕掛けていた青黒い機体を見つけ、成志はニヤリと笑うと共にパイロットを見ると「おほ」と変な声を漏らしてしまう。

 目元を隠すようなバイザーで顔を隠しているため顔全体はうかがい知れないが、バイザーで隠れていない部分だけでも顔立ちが整っているのは分かる。さらに身体つきも日本人視点では大きな胸に対して引き締まったウエスト、しっかり出たヒップというナイスバディをIS用スーツの上から見せている。

 

「これは捕まえて色々聞き出さないとな……」

 

 IS学園への襲撃者を捕らえて情報を聞き出すのは当たり前。そのためにちょっと変な事をしても尋問として片づける事が出来る。成志は厭らしい笑みを浮かべながら、ゴールデン・キングを一気に加速させる。

 瞬時加速(イグニッション・ブースト)ではないゴールデン・キングのスラスターの出力のみを使った単なる加速。しかしそれだけでも瞬時加速以上の加速が行え、成志は続けてやはり金色に光る剣を展開しながら青黒い機体へと突進した。

 気づいていないのかこちらを見ない青黒い機体の操縦者、だが気づいたとしても遅い。一撃で戦闘不能にしてからお楽しみタイムだ。成志はそんな快楽の未来を想像する。

 

「ごば!?」

 

 だがその未来に至ることはない。何故か、それは彼の身体が何かに激突して吹き飛んだからに他ならない。全身が砲弾を受けたような激痛に襲われ、成志は一瞬意識が飛びそうになるのをゴールデン・キングの生体保護機能によって持ちこたえる。

 

「な、なにが起こったんだ!? 何も見えなかったぞ……」

 

 見えない弾丸。そうとしか考えられない一撃に成志が狼狽している間に、青黒い機体の操縦者は彼の方を向いて、不快そうにフンと鼻を鳴らした。

 

「まったく、この私の身体をじろじろと……まあしかし、この私の肢体ともなれば無理もありませんわね。そしてこれも我が王の策の正しさを証明したということ。それに免じて男などという下等な獣が許しなく私を見た不敬は今回のみ不問にして差し上げますわ」

 

 バイザー越しにも分かる見下す視線の後、自慢げに己の身体に左手を当てて偉そうに告げる操縦者。しかもその台詞の中には彼を下等な獣と罵るものが入っており、成志は怒りにギリィと歯をきしませた。

 

「ふざけるな! 今ここで組み敷いて啼かせてや──!?」

 

 叫び、再び突撃しようとした瞬間彼は気づく。まるで身体中を鎖で縛られたように動けないということに。すると漆黒のISが悠々と出現し、やはりバイザーで目元を隠した操縦者がクックッと見下すように笑った。

 

「停止結界に気づかんとは。愚鈍だな。いや、罠にはまったと気づかん時点で獣以下か」

 

「罠、だと……」

 

「ええ。あんたがまるで燃えるとも知らずに火に近づく虫ケラみたいに近づいてきたらあたしがドカン、そこを狙って動きを止めたわけ。狙われてるとも知らずに近づいてきて吹っ飛ばされるあんたの間抜け面ったら傑作だったわよ……それにしても、リミッターのかかってるような試合機なら一撃で強制解除になるはずなのに、結構頑丈ね……ま、いいわ」

 

 漆黒のISの操縦者の言葉に成志が声を漏らすと、赤黒のISが現れてその操縦者がニヤニヤと嘲笑いながら、その両手に青龍刀を出して右手の分だけを振り上げた。

 

「さ、大人しくISを解除してこっちによこしなさい。嫌だってんなら……まあ、我が王の命令だから殺しはしないけど。腕の一本二本へし折ってもノーカンってやつよね、生きてんだし」

 

「ひぐっ」

 

 殺される。バイザーで目元が隠されているが、それで隠しきれない殺気が成志にそう直感させ、すぐISを解除しようとする。

 

「襲撃者を発見! 須藤君が応戦しています!」

 

「攻撃開始!!」

 

 解除しようとした直前、そんな女性の声が上空から響くと共に襲撃者目掛けて弾雨が降り注ぐ。教員部隊に見つかったらしく、攻撃を受けた漆黒のIS操縦者がむっと声を漏らしてそちらに気を取られた瞬間、成志は身体に自由が戻った事に気づく。

 

「ハハハハハ! 舐めやがって!!」

 

 動くことが出来ればこっちのものだと言わんばかりに両腰にミサイルポットを展開、一気に全段発射して目の前の敵二人を倒そうとする。

 

「遅い」

 

「っ!?」

 

 だがそのミサイルが放たれる前に彼を赤い色のエネルギー刃が襲う。さらに槍の雨のように降り注ぐ同色のエネルギーに咄嗟にミサイルの照準が向けられ、放たれて相殺。

 

「え、援軍!? すぐにこちらも要請を──」

「おっそーいよ♪」

「──え?」

 

 敵が増えた事に気づいた教員部隊が援軍要請を出そうとするも、彼女らは背後からそんな明るい声が聞こえてきたと同時、ダダダダンッという連続した発砲音を聞きながら意識を失う。

 いや、違う。意識を失ったどころではない。それは制御を失って墜落、ガシャァンと音を立てて地面に落ちた二体のラファール・リヴァイヴの操縦者である女教師二名の身体中に穴が開いている事から分かる。すなわち、死んでいた。

 

「な……」

 

 成志が絶句する。ISは操縦者の命を守るための絶対防御という機能を持つ。シールドエネルギーを大幅に消費するという欠点はあるが、こんな一瞬でエネルギーを使い果たすとは思えない。

 そんな彼の疑問を分かっているというように、先ほど二人の女性の命を奪った黒橙のIS操縦者は両手にその凶器であるマシンガンを握りながら、にこりと、口元だけ見れば天使の微笑みを成志に向けた。

 

「ああ、絶対防御? そんなの()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「カ、カット?……」

 

「私達のISは、それが出来る特別性なんだ……私達の専門は殺し合いだから当たり前だけどね?」

 

 殺し合い。その言葉に彼は頭を鈍器で殴られたような感覚を覚える。歯がガチガチと鳴り始め、目の前がグルグルと回転する。目の前にいる五人の女が悪鬼に、彼女らの駆るISがこちらの命を奪う死神の鎌に見え始めた。

 

「い、いやだ……」

 

「あん?」

 

 青龍刀を肩に担ぐ赤黒のIS操縦者が成志の呟きに反応、同時にISの展開を維持できなくなったか彼はISを消滅させるとISで入り込めない人用の出入り口目掛けて駆けだした。

 

「し、死にたくねええええぇぇぇぇぇっ!!!」

 

「あ、ちょ待ちなさ──」

「まあ待て」

 

 泣きわめきながら逃げ出した成志を見た赤黒のIS操縦者が叫び、両肩の武装を彼に向けるが、漆黒のIS操縦者がそれを抑えた。

 

「……何かしましたの?」

「AICを撃たなかったのはわざとだよね?」

 

 青黒のIS操縦者と橙黒のIS操縦者がクスクスと、まるで傷つけた獲物をわざと逃がして甚振るのを楽しむ性格の悪い狩人のような笑みを浮かべながらそんな事を聞く。漆黒のIS操縦者もニヤリと笑った。

 

「ああ。既に連絡は済ませてある……ちょっとした余興といこうじゃないか」

インフィニット・フェイトヒーローズのカップリングはどちらとがいいですか?

  • 原作ヒロインズ
  • アキブレヒロインズ
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