インフィニット・ストラトス~彼から主人公補正が消えた話~   作:カイナ

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ハチャメチャオールスター:前編

 なんやかんやと神様転生によってインフィニット・ストラトスの世界に転生した青年──須藤(すとう)成志(せいじ)

 

「な、なんだこれ……どうなってんだ……」

 

 なんやかんやでIS学園にやってきた彼は驚きに目を見開いて硬直していた。

 

「おーい姉ちゃん、ちょっと待ってくれよー」

 

「早く来なよー」

 

「お兄ちゃん、クラス分けこっちに張り出されてるみたいだよ」

 

「おーサンキュー」

 

 IS学園の校門近く、彼と同じIS学園の制服に身を包む()()。彼らは当たり前のように校門を潜り、その近くに張り出されているクラス分けを確認する新入生のテンプレ行動を行っていた。

 なおその男子はよく似た顔立ちの女子と一緒にいる者が多いのが目立つ。もちろん男子一人がまばらにいるのも少なからず存在はするのだが。

 

「それにしても不思議だよねー。なんで女性は普通にISを使えるのに男性はほとんど適性が生まれないんだろ?」

 

「おいおい今更何当たり前のこと言ってるんだ? ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて常識じゃないか」

 

「あ~そうだったね。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて当たり前だよね~」

 

 そんな原作ではあり得ない光景に動揺している成志の隣を通り抜けながら、何故かすごく説明口調で男子と女子が会話していた。

 

「お、男が、ISを操縦できる、だと……」

 

 つまり自分及び一夏以外にもISを使える男が多数存在する。という事実に成志が混乱する中、「わぁ!」と歓声が聞こえてくる。

 

「あ、あれ、織斑君達!」

「兄妹全員揃って日本代表候補生で専用機持ち、流石は千冬様と千雪様の弟妹だわ……」

 

「織斑だと!?」

 

 その声で誰が来たのか気づいた成志が声の方を向く。そこには彼がかつてラノベやアニメ、漫画などでよく見ていた織斑一夏が歩いており、その横には彼と同じ色合いの黒髪を短めのポニーテールに結ったナイスバディの美少女──篠ノ之箒ではなかった──が、さらに隣を歩く、眠たげに目を擦る黒色の髪を短く切った幼さの残る様子の美少女の手を引いて登校している姿があり、一夏は自分達が注目されて苦笑を漏らしていた。

 

「な、なんか恥ずかしいな……」

 

「そうだね……」

 

百花(ももか)お姉ちゃん、眠い……」

 

「もう麻十香(マドカ)ったら、だから春休みだからって夜更かしするのはやめなさいって言ったでしょ?」

 

「そうだぞマドカ。早寝早起き病知らずって言ってな、毎日の規則正しい生活こそが日々の健康を──」

「一夏お兄ちゃんウザい」

「──ぐはっ」

 

 苦笑して頬をかく一夏に、百花と呼ばれたナイスバディの少女も苦笑して答えていると、彼女が手を引く少女──麻十香が眠いとぼやく。それに百花はまるでお母さんみたいにマドカに注意し、さらに一夏も父親過ぎてお爺さんみたいな注意を向けるもマドカに「ウザい」と言われて一発で撃沈していた。

 

「な、なんだあの女?……いや、一人はまさか、マドカなのか?……」

 

 一人は原作で見た事がない少女、だがもう一人は間違いなく、原作では織斑計画で生み出された一人であり千冬に自分を見てもらうがために一夏の命を狙っていた、亡国機業(ファントム・タスク)の構成員、コードネームMこと織斑マドカ。

 その彼女がむしろまるで一夏と兄妹のように遠慮のない掛け合いを行っている。これもまた原作ではあり得ない光景だった。

 

「よう一夏! 百花、マドカ、おっはようさんっ!」

 

「おっはよー百花! マドカも相変わらず朝弱いわねー……あ、一夏もおはよ」

 

 その背後から一組の少年少女が合流。伸ばした茶髪を後ろで三つ編みに結んだ小柄な少年にバシンッと背中を勢いよく叩かれた一夏が「ぐふっ」と変な声を上げた。

 彼と一緒に合流した、茶髪をツインテールにしたこちらも小柄な少女が笑顔で百花に挨拶した後、マドカの頭をわしゃわしゃと撫でてから、いきなり背中を叩かれたせいかげほげほと咳き込んでいる一夏にまるで思い出したようにさっと片手を上げて挨拶した。

 

「て、めっ! いきなりげほっ、背中叩くんじゃげほねえよ(レン)! くそ、息が詰まった、げほっ!」

 

「おはよ、鈴ちゃん」

 

 一夏が怒っている様子ながら咳き込んでいては全く迫力がない様子で茶髪三つ編みの少年──蓮に怒り、百花は茶髪ツインテールの少女──鈴に挨拶を返した。

 

「まったく一夏は鈍いわよねー。そんなんだから兄貴に毎度毎度隙突かれるのよ~」

 

「隙なんて見せてないつもりなんだけどなぁ……蓮、マジでお前気配遮断どうなってんだよ……」

 

「へへっ、日頃の鍛錬の成果ってやつさ」

 

 後ろ向きに歩きながらにししと笑って一夏をからかう鈴と彼的にはちゃんと周りの気配に気をつけているはずなのにそれをすり抜けて毎度毎度背中を叩いて息を詰まらせてくる悪友()に悪態をつく一夏。

 彼の悪態に蓮は両手を頭の後ろで組んでにししと笑ってみせる。その笑顔は鈴のものとよく似ており、二人が双子だとよく分かるものだった。

 

「中国代表候補生の(ファン)蓮音(レンイン)君と(ファン)鈴音(リンイン)さんだわ!」

 

 

凰鈴音(リン)はともかく、凰蓮音だと……そんな男原作にはいなかったはずなのに……」

 

 きゃあ、と黄色い声を上げるファンの声援を聞いた成志が百花に続いて原作に存在しない人物(キャラ)に呆然とする。

 一夏と蓮が言い合い、百花がマドカの手を引きながらまあまあと落ち着かせ、マドカは百花に手を引かれながら目をこすり、後ろ向きに歩きながら兄と共に一夏をからかう鈴を見た。

 

「鈴……後ろ向きに歩いたら危ない……」

 

「へーきよへーき、これでも周りには気をつけてんだから。誰かにぶつかるなんて鈍い真似しないわ、よぉっ!?」

 

「「「鈴!?」」」

 

 マドカの注意に鈴はにししと笑いながら後ろ向きに歩き続けるが、その時足元にあった小石にでも足を取られたのか素っ頓狂な声を上げて後ろ向きに倒れる。バタバタと両手を動かすが崩れたバランスを取るには間に合わず、一夏や百花、蓮が咄嗟に手を伸ばすもそれを取ることさえ出来ずに後ろ向きに倒れるのは避けられず、不意にバランスを崩して倒れたせいか受け身を取るのも間に合わずにこのままではアスファルトで頭を打ってしまうかもしれない。

 

「危ない!」

 

 そこに何者かが颯爽と割り込み、鈴の身体を横抱きにするように抱える。

 それもまた成志からすれば見覚えのない男子、金色の髪を清潔感のあるショートカットに整え、碧眼に眼鏡をかけた長身にスリムな体格の少年。その顔立ちもまさしくイケメンで紳士的な立ち居振る舞いから溢れるオーラはまさしく王子と呼ぶに相応しいものだ。

 

「大丈夫かい、鈴さん? 怪我は?」

 

「な、あ……」

 

 爽やかでどこか王子様じみたイケメン笑顔を向けられた鈴の顔が真っ赤に染まりあがっていき、彼女は我に返ったようにじたばたと暴れ少年の腕の中から脱出するとすぐさま一夏の後ろに隠れるように飛び込んで、一夏の後ろから顔だけ出して彼を睨む。

 

「べ、べべべ別に助けてくれなんて言ってないわよ! で、でも、その……ありがと……

 

「お礼を言われる程の事ではないよ」

 

「っ~……」

「おっすセシル」

 

「やあ一夏、蓮。それに百花さんにマドカさん」

 

 真っ赤な顔で睨んで威嚇するように助けてくれなんて言ってないとツンツンしつつも、その後に目を伏せ気味に逸らし、小さな声でお礼を言ってデレるツンデレの見本のような行動をする鈴に、その内容を理解できているのか分からないが柔らかく微笑んでお礼を言われる程の事ではないと答える少年――セシル。

 その微笑みを見てまた恥ずかしくなったのかさっと一夏の背に顔を隠す鈴の姿に首を傾げつつも、一夏が軽く片手を上げてセシルに挨拶。セシルも彼ら一行に挨拶を返した。

 

「イギリス代表候補生にして今年のIS学園一年生三王子の一人と名高い、セシル・オルコット様!」

 

「朝から一夏君とセシル様、三王子の二人を見られるなんて……」

 

 

「オルコット……」

 

 何故か説明口調込みで、きゃあっとさっきよりも強く黄色い声が響く。その名前に成志はさっきは鈴の関係者に続いてセシリアの関係者が現れたのかと推測しつつ、一体どうなっているんだという困惑を深めていた。

 

「ところでセシル君、セシリアは?」

 

「妹ならあっちだよ」

 

 百花の言葉にセシルはそう言って妹であるセシリアがいる先を指差す。

 

「ラウル様、おはようございます」

 

「セシリア……何故俺の腕に抱きついてくるんだ?」

 

「お気になさらず♪」

 

 そこには金髪ロングに碧眼、セシルによく似た高貴な雰囲気を漂わせる美少女が、刺々しい髪質の銀髪をショートにした、セシルよりも長身で何故か左目に眼帯をつけた少年に挨拶しながら彼の腕に抱きついている光景があった。

 美少女──セシリアからはハートマークが浮かんでいるような様子さえ見えるがラウルと呼ばれたその少年は困惑しており、それを見た彼の隣の、彼と同じく銀髪だがこっちはさらさらとした髪を長く伸ばして彼とは真逆に小柄で何故かこっちも左目に眼帯をつけた少女がセシリアをじろりと見る。

 

「セシリア」

 

「……なんですの、ラウラさん?」

 

「ラウラ、お前からも言ってやってくれないか? 歩きづらい……」

 

 少女──ラウラの言葉にセシリアがむぅと頬を膨らませてラウラを見ると、ラウルがラウラに注意してくれと頼み始める。が、彼の意志に反するようにラウラはセシリアにサムズアップを向けた。

 

「もっとやってやれ。この堅物兄にはそれぐらいしないと分からんぞ」

 

「はい!」

 

「ラウラ!? ぐわセシリアやめろ抱きつくな!?」

 

 完全に楽しんでいる笑みを浮かべてそんな事を言い出したラウラに悪ノリしたセシリアは今度は大胆にラウルに抱きつき始め、ラウルも悲鳴を上げながらしかし力ずくで引き剥がすわけにもいかずじたばたとあがき出す。

 

「セシリアも相変わらずだねぇ……」

 

「数年越しの片思いだからね。とはいえこれ以上は紳士として見てられない、オルコット家の淑女としての振る舞いを忘れられては困るからね」

 

 苦笑する百花にセシルもひょいと肩をすくめ、妹の片思い相手にして友人であるラウルに助け舟を出すために彼らの方に歩み寄る。一夏達も後を追った。

 

「ドイツ代表候補生のラウル・ボーデヴィッヒ君にラウラ・ボーデヴィッヒさん……」

 

「オルコットさんは相変わらずボーデヴィッヒ君の事大好きだよねー」

 

 それを見守る周りもくすくすと微笑ましく笑っていた。

 

「ま、まだ原作も開始してないのにセシリアがチョロインしてるだと……一体どうなってんだ……」

 

 成志も原作が始まってすらいないのに、その時点では男を見下していたはずのセシリアがむしろ(ラウル)にデレデレしているのを見てさらに困惑を深め、ついにどうなっているんだと口に出してしまった。

 

 その間に合流した一夏達一行は校門を潜ってクラス分けが張り出されているらしい広場に向かい、成志も本人が自覚しているかは分からないもののまるでその後を追うようにそっちへ向かう。

 

「ん? ああ、一夏、皆。おはよー」

 

「お、シャルル!」

 

 緩くウェーブのかかった金髪を伸ばした、紫眼でスマートな体型をした中性的な顔立ちの少年、一夏にシャルルと呼ばれた彼がおはよーと挨拶をしていると、彼の前にラウラがたたたっと駆け寄った。

 

「おはよう、シャルル。流石は我が嫁、夫より先に来ているとは感心だ。だが私達は夫婦、これからは共に登校しよう」

 

「相変わらずだねラウラ……」

 

 ラウラの言葉にシャルルは頬を引きつかせて苦笑。まあいいやと打ち切った後、生徒がたむろしているクラス分け名簿を見た。

 

「僕は二組でここにいるメンバーなら一夏と鈴が同じクラスだったよ」

 

「お、サンキュ」

「手間がはぶけたわ。ありがと」

 

「じゃあ私達も見てこよっか」

 

 他の生徒をかき分けて見に行くのも手間だろうしとシャルルが教えると、同じクラスだった一夏と鈴がお礼を言い、百花は自分のクラスが分からないとどうしようもないから見に行こうと生徒の人混みに入っていこうとする。ちなみにラウラは「嫁と同じクラスじゃなかった……」とか言って膝をついてうなだれていた。

 

「ふ~、やっと出られた……」

 

 と、彼女と鉢合わせになるような形で、伸ばした金髪を後ろで一本に結び、アメジストを思わせる紫の瞳をした、シャルルとよく似た顔立ちの少女と、銀髪ショートにトパーズを思わせる黄色の瞳を切れ長の目に宿した少年が、少年が少女を人混みから庇うような格好で現れる。

 

「シャルロットにミシェル君。おはよー」

 

「百花。おはよー」

 

「おはよう。ああ、ちょうどよかった。ラウラ、セシル、二人はシャルロットと同じ三組だった。シャルロットをよろしく頼む」

 

「おはよう、我が未来の義兄と義妹。任せておけ」

 

 百花の挨拶に少女──シャルロットが挨拶を返している間に少年──ミシェルがラウラとセシルに三組だったと伝え、それを聞いたラウラが膝をつくのをやめて立ち上がり胸を張ってシャルロットは任せろと返答。セシルはラウラの様子に苦笑していた。

 

「ま、結局俺らは見に行かなきゃなんねえってことか」

 

 蓮が面倒そうに柔軟体操を始める。いくら一夏の隙を掻い潜って攻撃できる程の気配遮断スキルを持つ彼といえど身体を消せるわけではない、人混みの中となればそれはなんの役に立つものでもなかった。

 

「あの……蓮……」

 

 柔軟体操をしている蓮の背後から誰かが声をかけ、蓮は「ん?」と声を出して振り返る。

 そこに立っていたのは水色の髪をショートにしてその先が内側に軽く曲がった、眼鏡型のIS用簡易モニターをかけた少女だった。

 

「よお、簪じゃねえか。丁度良かった、お前のクラスも見てきてやるからそこで待ってろよ」

 

「う、ううん……」

 

 蓮は運動が苦手だと知る簪だと人混みをかき分けるのも一苦労だろうと、代わりに彼女のクラスも見てきてあげようと思いながら人混みに突っ込もうとする。しかしその前に簪は彼の制服の裾を掴んで彼を足止め、不思議そうな顔で見つめてくる蓮を見る。

 

「わ、私、四組……そ、それで、蓮と……ラウル君と、マドカも……四組、だった……」

 

「……そっか。ありがとな、簪」

 

「べ、別に……いい……」

 

 見に行く手間がはぶけたと笑ってお礼を言い、簪の頭を撫でる蓮。簪も恥ずかしそうにうつむいてそう答えていた。

 

「という事は、私達は一組なのかな?」

 

 二組、三組、四組の情報が出揃い、IS学園は全四クラス。つまり今まで名前を呼ばれなかったメンバーは消去法的に一組だと決定する事になる。

 

「そうだ」

 

 その予想を肯定する声が聞こえ、百花が声の方を向く。

 

「箒、早かったんだね」

 

「まあな。一組は私と百花とセシリア、あと本音もいたぞ」

 

 百花の言葉に黒髪ポニーテールに巨乳の少女──箒が答えて残るメンバーは一組だと告げる。

 

「ソウちゃんは?」

 

「兄上は三組だ。残念だったな」

 

「い、いや、別にそんなんじゃ……」

 

 百花の言葉に箒は口元に手をやってクックッとからかうように笑って告げ、それを聞いた百花はふるふると慌てたように首を横に振った。

 

「でも、箒だって一夏お兄ちゃんは別クラスだよね?」

 

「ぶっふぅ!? い、いやマドカ!? 私は別にそんな事気にしてなど……」

 

 そこに爆弾をブッ込んだマドカに箒も顔を真っ赤にして慌て出す。

 

「箒が同じクラスじゃないってのは俺も残念だけどさ」

 

「一夏……」

 

「ま、たかがクラスが違うだけだしな。気にせずお互い楽しくやろうぜ、放課後ならデートだって出来るしな」

 

 一夏が声をかけ、箒も嬉しそうに微笑む。

 

「ああ。今日は私が勝ち越させてもらうぞ」

 

「こっちこそ。放課後にアリーナ取れるか聞いとくよ。取れなかったら剣道場でいいよな?」

 

「ああ」

 

 デートというにはどこかずれた約束が交わされる。

 

「……相変わらずこの剣術バカップルはどこかずれてるわよねぇ……」

「おう。アリーナや剣道場での鍛錬をデートとか言い出すバカは、世界広しといえどこいつらぐらいじゃねえか?」

 

 それを見た彼らと幼馴染である蓮と鈴の兄妹が呆れ、他のメンバーもうんうんと頷く。

 

「え? 何かおかしい事あった? あ、私もソウちゃんとデートすればダブルデートってやつだよね」

 

 そんな中唯一、百花だけはきょとんと首を傾げ、今ここにいない様子の彼氏を剣術鍛錬(デート)に誘おうと考え始める。

 

「……バカはもう一組いたわ」

 

 鈴が再び呆れた様子で呟いた。

インフィニット・フェイトヒーローズのカップリングはどちらとがいいですか?

  • 原作ヒロインズ
  • アキブレヒロインズ
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