インフィニット・ストラトス~彼から主人公補正が消えた話~ 作:カイナ
これは三話連続投稿の中編です。
もしも前編を読んでいないまま間違えてここに飛んできた方は前編への移動をよろしくお願いいたします。
「一体どういう事だ、何が起きてんだよ……」
IS学園一年一組。原作主人公である織斑一夏が所属するクラスだが、彼はどういうわけか二組に配属。しかもどんな手違いが起きたのか分からないがこのクラスに所属する男子はたった一人だけ。
その一年一組唯一の男子──須藤成志は入学式や入学初日の授業を終えた今になっても未だに朝に見た光景による困惑から脱しきれていなかった。
「どうして俺と織斑一夏以外の男がISを使えて、しかもヒロインと双子とか言ってるんだ、訳が分からねえ……」
しかも代表候補生と呼ばれていた以上、ヒロインの双子という彼らはISを使える事はほぼ確定。だがしかしそこまで考えて、彼は自分の右手首でキラリと金色に光るIS──女神に頼んで作らせた彼専用のチートISだ──を見る。
「いや、そんな事関係ねえ。むしろあいつらもISを使えるってんなら、そいつらをこれでボコボコにしてやれば女どもは俺にメロメロになるはずだ……」
女神から「最強のIS」という注文で与えられたチートIS、それを使えば負けるはずはない。そしてチャイムが鳴った途端、箒が百花達を誘ってアリーナに向かう時にどのアリーナに行くのかは盗み聞き(本人は「たまたま聞こえてきただけ」としている)して分かっている。
それならやることは一つだと成志はニヤリと笑い立ち上がった。
一方第三アリーナ。一夏がどうにか予約を取れたアリーナは初日から練習を希望する生徒の予約で埋め尽くされており、時間制で交代しながらの使用が精一杯になっている。
そのため一夏達は自分達の番が来るまで観客席で座り、他の生徒が練習しているのを見学していた。
「やっぱり二年生や三年生にもなると凄いよなぁ。俺達も代表候補生として結構訓練してきてる自信はあるけど……」
「そうだな。剣術なら劣らない自信はあるが。そこ以外、三次元的な移動技術や射撃に関してならやはりあちらの、特に専用機持ちに分があるか……」
「総司は弓もあるけど、俺なんて結局剣しか使えねえからなぁ……」
一夏は隣に座る黒髪ポニーテールに侍のような凛とした雰囲気の男子──箒の双子の兄である篠ノ之総司と主に訓練機を使って訓練している二年生や三年生の動きを見ながら感想を話し合い、現在アリーナで実戦形式の訓練をしているチームを見る。
「オラオラどうしたオータム!? その程度で終わりなんて寝言言わねえよなぁ!?」
「ほーら頑張るっすよー」
「ちょ、ま、ダリル姉ぇ、フォルテ先輩、二人がかりは流石にギャー!!??」
「秋也ー、がんばれー」
そこには二年生と三年生の二人がかりでボコボコにされている、専用機を使う一年生男子の姿があり、その男子をマドカは観客席で見守り応援していた。
しかし応援のかいなくその男子は二年生と三年生のコンビ──なお両方とも専用機を使う国家代表候補生だ──にボロ負け、金髪ホーステールに長身の三年生に観客席まで引きずってこられる羽目になっていた。
「よっとマドカ、お届けもんだ」
「ありがと、ダリル」
ぽいっと一年生──マドカに「秋也」と呼ばれていた──を放り投げた三年生──ダリルは、秋也を彼の恋人であるマドカに任せると一夏達を見た。
「んで、次はサマーやフラワー達だろ? 時間がもったいねえからとっとと行けよ」
サマーやフラワーとは彼女限定の一夏と百花への愛称だ。本人曰く「秋也の秋ってのはオータムって意味なんだろ?んじゃ一夏は夏だからサマー、百花は花だからフラワーでよくね?」との事らしい。ちなみにマドカに関しては「マドカはもうマドカで呼び慣れてるからそれでいいんだよ」というゴーイングマイウェイっぷりだった。
「ありがとう、ダリル先輩。じゃあ箒、百花、総司。行くか」
一夏はマドカ繋がりで交流を持ち始めた先輩にお礼を言い、今回は
「織斑一夏ァ!! 俺と勝負しろぉ!!!」
「なんだぁ!?」
そこに突然聞こえてきた大声に一夏は素っ頓狂な声を上げ、総司達もなんだなんだと声の方を見る。そこには彼らとしては初対面の男子──須藤成志が自信に満ち溢れた顔をして立っていた。
「えーっと、君は?」
「たしか須藤君だっけ?」
「私達と同じ一組に所属する男子だ」
「須藤成志、と言ったかしら?」
一夏が首を傾げて問うと百花が確認、箒が同じ一組の生徒だと説明、セシリアがフルネームを答える。それを聞いた一夏は何か得心がいったように「ああ」と頷いた。
「そうなのか。俺は二組の織斑一夏、クラスは別みたいだけどこれも何かの縁だ。これからよろしくな」
にこっと笑みを浮かべて初対面の挨拶をしながら彼に歩み寄り、右手を差し出して握手を求める一夏。
「フン!」
「でっ!?」
しかしその差し出した手を成志は勢いよく払い、その刺激に一夏は思わず小さな悲鳴を上げる。
「なれなれしくするんじゃねえよ。ここは弱肉強食の世界、お前らみたいな群れなきゃならねえ雑魚と俺は違うんだ」
「は、はぁ……なんだって?」
睨んでそんな事を言い出す成志に一夏は曖昧に頷いた後、なんだってと聞き返すと成志は思い切り一夏を睨みつけてきた。
「お前みたいな雑魚が調子に乗ってるのが俺は許せないって言ってんだよ! 覚悟も無しにISに乗るような弱者は俺みたいな覚悟を決めた強者の足元にも及ばねえってのを見せてやるっつってんだ!!」
そう言って金色の腕輪を見せつける成志。その物体が意味する事を理解した、観客席に座っている鈴が「あーそういう事ね」と察したようにどこか呆れている目を向ける。
彼女の考えはこうだ。彼、須藤成志の名は中国代表候補生の自分は聞いたことがない。どこかの企業のテストパイロットが国に実績を認められて専用機を得たのか、あるいは他国が情報を手に入れるより先に専用機を得た期待の代表候補生ルーキーか。
別にどっちでも構わないが、有限であるISコアの一つを自分用に与えられたも同然の専用機を得たことで調子に乗っている手合いだろう。
自分や
そんな彼女と似た経験があるのか、一夏は苦笑気味にまあまあと両手を前に出した。
「わ、分かった分かった。けど俺達は今から訓練だからさ、終わってから話聞くから……」
こうしている間にも訓練の時間がなくなっていくからとやんわり抑えようとする。が、成志はその言葉をどう受け取ったのかフンと鼻を鳴らして勝ち誇ったように笑い、一夏を見下すように顔を上に向ける。
「逃げるのか?」
「……はい?」
その言葉に一夏だけではない、その場にいた全員の目が点になった。
「所詮は弱者だな。一人じゃ何も出来ないからそうやって逃げる言い訳ばかり考える。だがいつまでもそうやって逃げられると思ってんじゃねえぞ!
「いや、えーとだな……」
「なんだよ口ばかりの雑魚が! そうやって言い訳並べ立てて尻尾巻いて逃げるような覚悟のない奴が、兵器であるISを振り回す事が許されると思ってんのか!? 群れるしか能がないんならとっととここから出て行きやがれ!!」
一夏が驚いて何も言えなくなってるのをいい事に好き勝手な罵詈雑言を並べ立てる成志。
「あーへいへい分かった分ーかった。おいサマー」
そこに面倒くさそうにダリルが口を挟んだ。
「めんどくせえ、こいつの相手してやれ」
「え、先輩!? でも予約は俺と箒と百花と総司って事になってるし……」
「んなもん直前で変更したって何も言われねえよ。オレだって今日はフォルテとのタイマン訓練のつもりだったけど、直前にオータム引きずり込んだんだからな」
彼女も似たような経験があるのか、これ以上話していてもらちが明かないと判断したらしい。一夏はうなだれてため息をつくと箒達の方に向き直った。
「すまん、箒! 皆! この埋め合わせは必ずするから!」
「ま、こういうのも有名税だよ」
「ああ。こっちの事は気にするな」
「勝って帰ってくれば許してやる」
両手を合わせて頭を下げ、突然
「フン、やっと覚悟が出来たかよ。じゃあついて来い雑魚、力の違いってもんを思い知らせてやる」
成志は既に勝利を確信しているような勝ち誇った笑みを浮かべて答え、踵を返して出入り口向け歩き出す。
「あ、おい須藤……だっけ?」
「なんだよ、無様な姿を見せたくないってんなら今ここで地面に頭つけて謝れば──」
「いや……」
一夏の言葉に何を考えたのか暗に恥かきたくなければ土下座しろとでも言おうとする成志だが、一夏は困ったように頭をかいて、今彼が出て行こうとした出入り口とは別の出入り口を指差した。
「ピットならあっちから行った方が近いぞ?」
「っ……分かってるよんなもん!」
一夏としては気を遣った(のと訓練時間を少しでも確保するための)言葉だが、成志はまるで恥をかかされたというように彼を突き飛ばして──階段の上だから危なかったが、一段下の段に足を乗せてなんとかバランスを維持した──一夏に指されたピットへの近道の出入り口へと向かう。
一夏も困ったように苦笑をしながら、彼とは逆方向のピットへの近道の出入り口へと向かっていった。
インフィニット・フェイトヒーローズのカップリングはどちらとがいいですか?
-
原作ヒロインズ
-
アキブレヒロインズ