インフィニット・ストラトス~彼から主人公補正が消えた話~   作:カイナ

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ハチャメチャオールスター編:IF~アーキタイプ・ブレイカー~

「な、なんなんだよ!? なんなんだよ、こいつら!?」

 

 IS学園のアリーナ。己の専用機ゴールデン・キングを展開している成志は目の前の光景を見ながら絶叫していた。

 彼の目の前にいるのは例えるならカマキリを機械化したようなロボット。ギチギチとどこから発しているのか分からない音を出しながら、その瞳なのかメインカメラなのか分からない部位が彼を捉えたように彼の方を向き、武器なのだろう両腕といえる部位の鎌を振り上げる。

 

「く、来るな、来るなぁっ!!」

 

 叫び、両肩に展開したキャノン砲を砲撃するも、反動制御の計算が出来ていないそれは砲撃の瞬間ゴールデン・キングが反動に負けてぐらつくせいであらぬ方向に飛んでいき、カマキリロボットには当たるどころか威嚇にすらならずにカマキリロボットが両腕を振り上げて、砲撃の反動で尻もちをついている成志に飛びかかった。

 

「ぎゃあああぁぁぁぁっ!!」

 

「させないっ!!」

 

 得体の知れない怪物に襲い掛かられた恐怖に悲鳴を上げる。そんな成志の前に何者かが立ちはだかり、巨大な十字架をくっつけたような形をした楕円形の盾をカマキリロボットに向けて構えて鎌を受け止めた。

 

「はあっ! たあああぁぁぁぁっ!!」

 

 構えた盾で鎌を受け止めて押し返し、相手が体勢を崩した隙をついて回転。遠心力で勢いをつけたタックルでカマキリロボットを吹き飛ばす。

 すると今度は蜂を模したようなロボットが、カマキリロボットを何の苦も無く吹き飛ばした相手を危険視したか大群で向かってくるが、その少女は盾を構えたままキッとした目を崩さなかった。

 

「ロード・キャメロット、展開!」

 

 声を上げると共に盾から水色の光が溢れて障壁を作り出し、ロボット達を阻む壁を作り出す。そしてぐっと力を込めて盾を握り、前方からの衝撃に耐える構えを取った。

 

「今だよ、ソウちゃん!」

 

 何故だか戦いもしないが逃げもしない成志の保護は出来たと叫ぶ。正確にはプライベート・チャネルを使っているのだから声を出す必要はないがそこはそれ、ノリというものだ。

 そしてその声をプライベート・チャネル越しに聞いた、アリーナの上空隅に陣取っていた少年──篠ノ之総司は「了解」と短く呟くと左手に弓を展開(オープン)。同時に彼の機体から水色の粒子が漏れ出た。

 

「絢爛舞踏発動、エネルギーバイパス構築……疑似武装展開システム起動……投影(トレース)──開始(オン)

 

 彼の紅色の機体に水色の、どこか電子回路にも似たような形の幾何学的な線が走る。右手からバチバチと水色の電流が走り、一本のドリルを思わせる形状をした剣がまるでその電流から生成されたかのように出現するとそれはまるで矢のように細長く変化していき、やがて変化の治まったそれを総司は弓に番えた。

 

偽・螺旋剣(カラドボルグⅡ)!!!」

 

 力一杯に弓を引き絞り、放たれた矢は一直線に百花達の目の前に着弾、同時に蜂型ロボット達を巻き込む程の大爆発が発生、百花と成志の視界を白い光が覆った。もちろん二人を襲う爆発は百花が盾を使って防いでいる。

 その爆発が止んだ時、蜂型ロボットはもちろん最初に吹き飛ばしたカマキリロボットも爆発に巻き込まれたのか消滅している。それを確認し、少女──織斑百花はほっと一息ついて振り返った。

 

「須藤君、大丈夫?」

 

──っ! よ、余計な事すんじゃねえ!! 主人公の俺はあそこから覚醒してあんな雑魚共一網打尽に出来たんだ! それをお前らみたいな一人じゃ何も出来ない弱者が邪魔しやがって!!」

 

「たはは……めんどーだなぁもー

 

 安全になったと分かった途端強気になって怒鳴り出す成志に、百花はもう今更だしいちいち取り合ってたらキリがないと理解しつつも若干愚痴をぼやいたのだった。

 

 始まりは少し時を遡る事となる。一夏や百花達は昼休みにいつものように学校の屋上に集まってお弁当を食べていた。もちろん箒を始めセシリア、鈴と言った一夏に想いを寄せる女子は自分の作った料理を手に一夏にアピールしている。

 

「ん……?」

 

「どうしたの、ソウちゃん?」

 

 百花作のお弁当を食べながら総司がふと顔を上げ、それを見た壱花が首を傾げると総司は目を細めた。

 

「隕石か……」

 

「ああ、またか」

「世界中で隕石が目撃されてるって最近ニュースだからな」

「まあ、気にしなくていいだろう。大体は大気圏突入時に燃え尽きる」

 

 総司の呟きにセシル、蓮、ラウルがそう答えて、気にするまでもないと購買で買ったパンやら弁当やらを食べ進める。

 

「ねえ、待って……」

 

 だがそこにシャルルが待ったをかけた。

 

「あれ……こっちに近づいてきてない?」

 

 その言葉の直後、ズドォォォンという衝突音と衝撃がIS学園を揺らすのだった。

 

「な、なんだ!?」

「ま、まさか隕石ですの!?」

「嘘でしょ、大気圏突入時に燃え尽きるって話じゃないの!?」

 

 一夏にそれぞれ唐揚げ、サンドイッチ、酢豚を食べてもらおうと迫っていた箒、セシリア、鈴もそれで気づいたらしく慌て出す。

 

──緊急事態発生、緊急事態発生。未確認物質が第三アリーナに落下。全校生徒は各自、近くの建物に避難してください。

 

──緊急招集! 全専用機持ちは直ちにIS学園作戦本部へと急行せよ!

 

「緊急招集!? これ、ただの隕石じゃないって事か!?」

 

「片付けは僕がやっておくから皆は急いで!」

 

「頼む、ミシェル!」

 

 校内放送と千冬からの緊急招集の放送が聞こえ始め、一夏が慌て始めると大体専用機持ちが集まってるこのメンバーの中では唯一専用機を持たない(というかISを動かせない)ミシェルがここは任せて行ってといち早く声を出し、この場をミシェルに任せて彼を除いた専用機持ちメンバーは互いに頷くと食事を後にして走り出した。

 

 そして作戦本部へと到着した彼らを千冬や楯無が待っていて、少し遅れて残る専用機持ちである須藤成志が到着。その顔は訳が分からないといわんばかりの焦りに彩られていたが、千冬は気にする事もなく全員揃った事を確認すると状況の説明を開始する。

 

 曰く、先ほど第三アリーナに隕石と思しき物体が墜落したが、どうやらこれは隕石ではないらしい。

 隕石と思しきものは第三アリーナを覆うシールドバリアに衝突する直前、重力ブレーキをかけて減速。さらにエネルギー状の杭を打ち込んでシールドバリアを破壊。第三アリーナに墜落したのだと。そんな事をするのが自然災害のはずがなく、これは人為的なものだと彼女は推測していた。

 さらに彼女は驚くべきことを口にする。

 

「この物体が観測されたのは宇宙だ。外淵宇宙からの飛来物という可能性もゼロではない」

 

「はぁっ!? それってつまり、宇宙人とかエイリアンって意味かよ、千冬姉!」

 

 千冬の言葉に一夏が思わず声を上げると、彼女は拳骨を入れて一夏を黙らせる。

 

「織斑先生だ」

 

「ご、ごめん……あだっ!」

 

「すみません、だろう」

 

「す、すみません……」

 

 慌てていて公私の区別をつけ忘れていた一夏と千冬のショートコントが始まった。

 

「一夏、千冬。話が進まない、その話は後でまとめてやれ」

 

「千雪(にい)!」

 

 そこに千冬とよく似た雰囲気と顔立ちをした男性──織斑家長男、すなわち一夏達の兄である織斑千雪が呆れたように声をかけた。

 その姿に一夏が声をかけると、千雪は短くため息をついて返答の代わりにし、口を開く。

 

「拳骨は後でまとめて入れるからな。話を戻す。第三アリーナに墜落した隕石から謎の外敵が出現したという報告が入っている。既に教員部隊が迎撃に当たっている。これより各員もバックアップ体勢に入ってもらう、戦闘準備が整い次第、第三アリーナに向かえ!」

 

『はい!』

 

 良いところを取った千雪の指示に一夏達は返事をして作戦本部を後にする。

 

「嘘だろ、あり得ねえ……こんな展開、原作にはなかったぞ……」

 

 つい一夏達につられて一緒に作戦本部を飛び出した成志は顔を青くしながらぶつぶつとそんな事を呟いていた。

 

 それが今彼らが戦っている敵、絶対天敵(イマージュ・オリジス)との戦いの始まり。

 

 しかしそれは同時に彼らに新たな出会いももたらしていた。

 絶対天敵との戦いの中でも学園生活はなんの問題もなく続いていく。正確に言うなら一夏達専用機持ちが絶対天敵に問題を起こすような被害を出させないように尽力している事で続いている平和だが、一夏達にとっては専用機持ちの責務、そして自分達がやるべき事であるため驕ることなどない。

 

 そんな日々のある昼休み、一夏達はいつものように屋上で昼食を取っていた。

 

「あ、あのさ、セシル……どう? 美味しい?」

 

「ん……正直、味はまだ少々アレだけど……でも、最初に比べれば間違いなく上達している。姉さんが成長しているのを見ているようで嬉しいよ」

 

「ホント!? ありがとね、セシル!」

 

 金髪ショートに碧眼眼鏡の長身白人イケメン。物語に出てくる王子様のようなオーラを見せる少年──セシル・オルコットに、水色髪のポニーテールに健康的に日焼けしたような薄褐色の少女がお肉たっぷりのお弁当を渡して評価を聞き、そのお弁当を食べ進めるセシルは正直に批評。その笑顔を見た少女も笑顔で返す。どう見ても幸せそうなオーラが全開になっている光景だ。

 

「やー、この前出会ったばかりだってのによくやるわねぇ、セシルもグリフィンも」

 

「まあ、セシルもグリフィンさんも嬉しそうだしいいんじゃねえか?」

 

「それもそうだな……ところでセシリア?」

 

 半目になってぼやく鈴に一夏が笑って答え、箒も苦笑しながらセシリアを見た。

 

「私はイギリスの恋愛事情に詳しいわけではないのだが……ああいうのは問題ないのか? セシルは良い家の子息というものなんだし、ミシェルとシャルロットのように婚約者がいるのでは?」

 

「おほほ。そういう本の読み過ぎですわよ、箒さん。お兄様にも私にもそういう方はおりませんわ」

 

「でも、実際立場とかそういうのって言われたりしないのか? なんか俺もそういうイメージあるんだけどさ……」

 

 箒の言葉にセシリアが笑って答えると一夏も首を傾げる。

 セシルはイギリスの代表候補生であり例えるなら貴族、どれだけ謙遜しても名家と言っていい家系の人間なのに対し、少女──グリフィン・レッドラムは絶対天敵の襲来によってIS学園に緊急招集されたブラジルの代表候補生であり孤児院出身の孤児。

 貴族の子息と孤児の恋愛と書けばすごくドラマチックではあるが、そういうのは貴族側からとてつもない反発が出るというのがそういう話のお約束。そんな漫画とかでありそうなイメージを一夏が呟くとセシリアはふふっと再び微笑んだ。

 

「お父様もお母様もそんな小さな事を気にするような方ではありません。ま、オルコット家の分家や親戚には未だにそんな時代錯誤な事を考える方もいらっしゃるようですが……」

 

 セシリア曰く、一時期はシャルル(デュノア家の次男(養子))がまだ恋人がいない(フリー)と知ったあるオルコット家の分家の人間が「デュノア社との繋がりを作るためにセシリアをシャルルと婚約させるべきだ」とか、さらには秘密裏にとはいえセシリアに直接「シャルル・デュノアを色仕掛けで落としてデュノア社を我々が乗っ取る下地を作れ」と、要約すれば政略結婚やハニートラップみたいな事を要求してきていた始末。

 酷い時には真偽こそ定かではないが要約すると「シャルルは次男だし養子、デュノア社を乗っ取るなら長男のミシェルを陥落させた方が確実」という理由で、そのミシェルの婚約者であるシャルロットを暗殺して傷心のところをセシリアにつけこませようという過激な一派までいたらしい。

 

「まあ、そんな事を言い出した方々は不思議な事に直後失脚や失踪していったそうなんですが……不思議ですわねぇ?」

 

 軽く首を傾けて頬に手を当てて「うふふ」と可愛らしく笑うセシリア。だがその笑顔に黒いものが見え、一夏、箒、鈴は頬を引きつかせて笑って返す事しか出来なかった。

 

「冗談はさておき。お姉様がオルコット家に嫁入りするというのなら私は反対するつもりもありませんし、お父様とお母様も賛成してくださると思います……それに、もしもお兄様とお姉様の愛を邪魔する者がいるのなら、私は相手が誰であろうと全力で戦う所存ですわ」

 

 黒い笑みが消え、次にその端正な顔に浮かぶのは兄の幸せを願う妹の純粋な愛にしてそれを叶えるために戦う覚悟が伺える笑み。それを見た一夏もつい釣られたように微笑んだ。

 

「そうか。俺にも何か出来る事があったら遠慮なく言ってくれ、セシルは俺の友達だし、グリフィンさんだって仲間なんだからな」

 

「そうですの? で、では……私も良き殿方を婿に迎えられれば、お兄様の婚姻の際に発言力が強くなりますし、その……」

「「どさくさに紛れて何言ってるんだ!!??」」

 

 一夏の爽やかな笑顔での言葉にセシリアが途端に頬を赤くしてもじもじとしながら何か言おうとするのを、箒と鈴が見事なコンビでツッコミを入れるのだった。

 

「よ。セシルとグリフィンもだけど、お前らも相変わらずだな」

 

「お、兄貴。遅かったじゃない……あぁヴィシュヌ……もとい義姉貴を待ってたのね」

 

 そこに声をかける少年──中国代表候補生、凰蓮音に鈴が手を軽く上げて挨拶した後、彼女の隣に立つ健康的に日焼けしたような褐色の肌に映える濃い緑色の髪をショートカットにした少女──タイの代表候補生、ヴィシュヌ・イサ・ギャラクシーを見てからかうような笑みを浮かべ、そう口にする。

 

「な、なななっ!? 鈴、な、何をっ!?」

 

 途端に顔を赤くして手を上下にわたわたと振って慌て出すヴィシュヌに、隣に立つ蓮も顔を淡い赤色にして彼女らから不自然なほどに顔を逸らしてゴホンゴホンと咳払いしている。あからさまな動揺具合に鈴はクククッと悪戯成功といわんばかりに笑みを浮かべた。

 

「ところで蓮、遅かったけど購買そんなに混んでたのか?」

 

「……いや、ヴィシュヌと一緒に食堂で飯食おうかと思ってたんだが……食堂であいつがまた揉め事起こしててよ。俺が入ったらまた殴り合いになりかねねえし、その場にいて静観なんて器用な真似できねえからな……」

 

「って、何やってんのよ!? アンタが殴り合いになってもいいから止めないと!」

 

「お前また俺に罰則くらえって言ってんのか? 問題ねえよ、俺がいくよりスマートに止められるだろう連中がいたからよ」

 

 一夏の質問に蓮が肩をすくめて答えると鈴がその内容を理解したのか慌て出す。しかし蓮はふっと不敵に笑ってそう答えた。

 

 そしてその食堂。そこでは蓮の言う揉め事を起こしてるあいつ──須藤成志がオレンジ髪をサイドテールにした少女──ファニール・コメットと睨み合っている光景があった。

 

「テメエ、俺のやる事に何か文句でもあんのか!?」

 

「大ありよ! 何が“俺様はこの学園を絶対天敵(イマージュ・オリジス)から守ってやってる英雄なんだから、お前ら一般生徒は俺様を敬うのが当然だ!”よ!」

 

「何も間違ってねえだろうが! 俺は選ばれた専用機持ちとして、あの化け物共からこいつらを守ってやってるんだ! お前らみたいな同じ専用機持ちでも後ろで歌って応援しか出来ない雑魚と違ってな!」

 

 成志が声を荒げて戦う力を持たない一般生徒達だけではなく同じ専用機持ちのファニール・コメット及びその後ろでおろおろしている青髪サイドテールの少女──オニール・コメットも侮辱する。

 絶対天敵との戦いと学園の平和を守る事を自らの使命として驕る事のない専用機持ち、その唯一の例外である成志の暴言に対し、ファニールはフンと鼻を鳴らして腕を組んだ。

 

「……少なくともあたし達は、あんたは後ろで逃げ回ったり腰抜かしてるのを百花さん達が助けてるのしか知らないんだけど?」

 

「なんだとテメエ!?」

 

 ファニールの言葉を受けた成志は顔を真っ赤にして怒り、衝動的に拳を振り上げて殴りかかる。それを見たファニールも後ろのオニールに視線で「離れて」と示しながら、相手の拳を流そうと構えた。その時彼女の前に一人の人影が立ちはだかり、成志の拳を受け止めた。

 

「テメエ、何しやがる!?」

 

「食堂で暴れるな、迷惑だ」

 

 成志の怒号に対し、彼より長身で刺々しい銀髪をした少年──ドイツ代表候補生のラウル・ボーデヴィッヒが静かに呼び掛け、手を振って成志を払いのける。成志もギリリと歯ぎしりした後、ラウルが前に割り込んだことで必然的に後ろに隠れるような格好になったファニールを睨みつけた。

 

「やっぱ雑魚は雑魚だな! 男の後ろに隠れないと何も出来ない弱者のガキが!」

 

「なっ──」

「ファニールは雑魚ではない」

 

 成志の嘲笑うような侮蔑にファニールが声を上げそうになると、ラウルがそれを否定する。

 

「ファニールとオニールは後ろで歌って応援しか出来ないと言っていたが、それが彼女らの戦い方だ。トリッキーな超音波攻撃、剣と銃を使い分けた遊撃・援護は間違いなく俺達の力になっている……そしてそれを成すための努力も専用機を扱う者として認められるべき姿勢だ」

 

「ラウルさん……」

 

 ラウルの静かながら一言一言が重い賞賛を受けたファニールの頬が赤く染まる。そしてラウルは成志を見る目を呆れたように細めさせた。

 

「むしろ、遊んでばかりで訓練の一つもせず、実戦では偉そうに言いながら敵一体も落とした姿を見た事のないお前の方が問題だ。俺の知る限りの撃墜数だけで言うなら援護役のファニールとオニールでもお前よりは多い」

 

「「ぷっ……」」

 

「てめえら、俺を馬鹿にしたのか!?」

 

「何を言っている?」

 

 ラウルの言葉を聞いたコメット姉妹が思わず吹き出し、成志が怒号を上げるとラウルは目を細めたまま首を傾げた。

 

()()()()()()()()()()()()?」

 

 それはファニールに対して成志が言った言葉。意趣返しのように言われたその言葉に成志の頭に血が上った。

 

「テメエ殺されてえようだな!?」

 

 怒号を上げ、IS──専用機ゴールデン・キングを展開して拳を振りかぶる。ラウルに狙いを定め、拳を振り下ろそうとしたその時だった。

 

僥倖の拘引網(ヴルカーノ・カリゴランテ)!」

「ポイゾナス・ピンク!」

 

「なんだ!?」

 

 ゴールデン・キングの両腕に片方はキラリと白銀光を煌めかせる刃の繋がったワイヤー、もう片方は棘の付いたピンク色の茨の鞭が絡みつく。

 

「シャルロット、これを!」

 

「任せて! くらえ、触れれば転倒!(トラップ・オブ・アルガリア)!」

 

「ぐあっ!?」

 

 続けて背後から何かに突かれた途端機体が制御を失い、そこに腕を引っ張られたことで成志は情けなく転倒した。

 

「ラウル、手筈が違うでしょ!? 何煽ってんの!?」

 

「煽るつもりはなかったんだが……」

 

 ラウルに駆け寄った銀髪ショートにトパーズ色の瞳の少年──ミシェルがツッコミを入れるとラウルは腕を組み、むぅと唸る。どうやら煽りは天然らしく、ミシェルは頭を抱えてしまっていた。

 

「兄さんの煽り具合は天然ものだからな。私にもどうにもならん」

 

「ラウラ~……」

 

 何故か胸を張りドヤ顔で答える銀髪少女──ラウラに、金髪少女──シャルロットが声を漏らした。

 

「ラ、ラウル、さん、その……」

 

 ラウルの後ろにいたファニールがぼそぼそとラウルに話しかけた。

 

「あ、ありがとう、ございます……」

 

「礼を言われるような事はしていない」

 

「いえ、その、今助けてもらった事もだし、私達が雑魚じゃないって言ってくれたこと……それに、昔、私達を守ってくれたこと……」

 

「最後のものについては警備の仕事の一環だ。それこそ礼を言われるものではない」

 

「う~……」

 

 ファニールの言葉ににべもなく答えるラウルだが、彼女が上目遣いで睨んでくるとどうにもならないのか、妹のラウラや彼女の妹のオニールに助けを求めるように視線を走らせる。

 だがラウラとオニール、ついでにシャルロットはどこか楽しそうにサムズアップを返すだけだった。

 

 

「ありがとうございます! シャルル様! ロラン様!」

 

「君達を傷つけずに済んで何よりだよ」

「ああ。君達は私達が守るべき蕾。それを守ること、それが私達の何よりの使命だ」

 

『キャー!!』

 

 辺りに群がる女子達にシャルルは笑顔をサービス、それに盛り上がる女の子達を見ながら彼は自分と共に成志を止めた相手──オランダ代表候補生、ロランツィーネ・ローランディフィルネィに視線を移し、囁く。

 

「助かったよロラン、僕の考えに気づいてくれて」

 

 たまたま一緒に食堂にやってきた一行、そこでファニールが殴られそうになったのを見た途端走り出したラウルに咄嗟にシャルルがプライベート・チャネルで通信。

 本来は彼が成志をクールダウンさせるつもりだったところを思いっきり煽って成志をキレさせたため、慌てて相手の動きを止めるために蛇腹剣を伸ばして相手の片腕を絡め取ったのだが、片腕を止めただけではどうにもならないところ、ロランがシャルルが指示を伝えるまでもなく己のISの武器である毒茨の鞭──ポイゾナス・ピンクを展開してもう片腕を止めてくれたのだ。

 

「お礼を言われるような事でもないさ。君のしたい事はお見通しだよ」

 

 それに対し、ロランはぱちりとウィンクで返した。

 

「何しろ君は私の百人目の恋人にして、私の初めての男の恋人なのだからね」

 

「ははは、ありがと……まあ」

 

 ロランの言葉にシャルルもウィンクで返答。そして食堂の出入り口を見る。

 

「これは一体何の騒ぎだ!?」

 

「急いで織斑先生を誤魔化す方法を考えなきゃね……」

 

「ははは。頑張って説教と反省文くらいで終わらせられるようにしなければね」

 

 食堂に入ってくる千冬を見たシャルルがぼやき、ロランも暢気そうに笑いながらそう答えるのだった。




 成志君はアーキタイプ・ブレイカーを知らなかったようです。(挨拶)

 実はこのハチャメチャオールスター編、「元々かれきえ世界線で書く予定ではなかった」&「インフィニット・フェイトヒーローズのヒロインにはアキブレヒロインズを割り当てる(一夏の方はもちろん原作通り原作ヒロインズによるハーレム)」という構想がありました。それを何故かれきえ世界線で書いたかと言われたら、かれきえ世界線での短編として一個思いついたんだから仕方ない。
 そして成志が介入してくる以上原作ヒロインズをフリーにするのは危険と判断した結果、箒には一夏をというように原作ヒロインズには前もって男性キャラとフラグを立たせておいたわけです。

 ですが今回はパラレル風にインフィニット・フェイトヒーローズがアキブレヒロインズとフラグが立った場合のお話を書かせていただきました。というか入学式からこの数とかパンクするんでアキブレ世界線に放り込ませました。
 この人数で入学してからのイベント──クラス代表決定戦とかクラス対抗戦とか──こなすとかパンクどころの騒ぎじゃない詰め込みになるわ!!!

 ちなみにその「かれきえ世界線で書く予定ではなかった」方の設定のコンセプトは「ヤベー計画やシリアスな事情がほとんど存在しない平和な世界線での一夏達の藍越学園物語(ISは束が開発した世界的大ブームになったVRMMOゲームという設定。束はフリーの在宅ゲームクリエイター的な感じ)」という日常もので、それぞれ
・織斑家:織斑計画関係なしの一般人で普通に両親がいる一般家庭
・篠ノ之家:一家離散せず両親は今も篠ノ之神社で暮らしている。(束は実家に引きこもりながらゲーム開発等在宅で仕事)
・オルコット家:両親が生きている
・凰家:両親が離婚してない(けどそれ以外の事情で中国に引っ越しました)
・デュノア家:ゆかひき世界線
・ボーデヴィッヒ家:試験管ベビーじゃない一般家庭。設定上では実家は警備会社
 という感じで、その家庭環境から使えるものをハチャメチャオールスター編に流用しました。というか流用してないのは篠ノ之家部分だけか……。

 まあそんな感じのIF編でした。またこっちの世界線で書くかどうかは正直不明です。こっちの方が好評のようだったらむしろこっちの方をハチャメチャオールスター編の正史とする事も考慮に入れようかと思っています。
 というか何年か前にインフィニット・フェイト連載終了時に言ってた「インフィニット・フェイトとアーキタイプ・ブレイカーのクロス小説」を、この世界観で書いてみようかとかちょっと思い始めてますので、それの連載の暁にはカップリングはこんな感じになると思います……設定やストーリーがまとまればの話ですけども。(目逸らし)

 では今回はこの辺で。ご意見ご指摘ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。

インフィニット・フェイトヒーローズのカップリングはどちらとがいいですか?

  • 原作ヒロインズ
  • アキブレヒロインズ
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