インフィニット・ストラトス~彼から主人公補正が消えた話~   作:カイナ

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ハチャメチャオールスターinハロウィン:後編

 IS学園上空。楽しいハロウィンパーティが行われている中、百花達は絶対天敵の襲来に備えた警備の時間が来たので警備にやってきていた。

 

「異常なーし」

 

「こっちも異常なしですわー」

 

「お前ら、少し気が抜け過ぎじゃないか?」

 

 とはいえ引継ぎ前に話した総司曰く特に絶対天敵の襲撃もなく平和そのもので、現在もそれは変わりない。見回り自体は真面目にやっているもののプライベート・チャネルによる報告は間延びした暢気さが漂っており、思わず一夏が苦笑しながらツッコミを入れるほどだった。

 

「それにしても、あまり期待はしていなかったが……」

 

「案の定サボってるわねあいつ!」

 

 箒がきょろきょろと辺りを見回す。この時間帯の見回り当番は一夏、百花、箒、セシリア、鈴、ラウラ、そして須藤成志の七人。しかし成志の姿はどこにも見えず、鈴が腕組みをしていかにも怒ってますといった表情で叫んだ。

 

「いや、違う」

 

「何か知ってるのか?」

 

「ああ……あいつは兄さんと一緒に保健室に緊急搬送されたそうだ……噂によると、エリちゃん先輩の歌を聞いてしまったらしい」

 

 何か事情を知っているらしいラウラの、どこか沈んだ表情での言葉を聞くと全員が沈黙。

 

「……なら、仕方ないわね」

 

「今回ばかりは許して差し上げましょう……」

 

「仮にこれをサボる口実にしようとして失敗したのだとしても……とても責める気にはなれん……」

 

 さっきまでの怒りはどこへやら、女性陣は全員沈んだ表情になってそう答える。百花も「ラウル君以外にも被害者が……」と若干罪悪感に苛まれていた。

 そんなある意味で暗い雰囲気に包まれる中、突如彼女らのISに警告音(アラーム)が響く。

 

[織斑兄、織斑姉、篠ノ之、凰、オルコット、ボーデヴィッヒ! IS学園近海にて絶対天敵の反応を確認した! 織斑兄と篠ノ之はIS学園周辺の警備に残り、残りは絶対天敵の対処に向かえ!]

 

「「「「了解!!」」」」

 

「皆、気をつけろよ!」

「何かあれば呼べ! すぐに駆けつける!」

 

 千冬がすぐさま部隊を警備続行と先行部隊に分けて指示を出し、先行部隊となった四人は一夏、箒からの声援を聞きながら飛んで行った。

 

 

 

「はあああぁぁぁぁっ!!」

 

 気合い一閃。鈴の青龍刀が絶対天敵を斬り裂き、その隙を狙ってくる新手を衝撃砲で吹っ飛ばす。

 

「三時の方向に二体行った! セシリア、仕留めろ!」

 

「了解ですわ!」

 

 プラズマ手刀を展開して前衛を戦いつつ、戦場全体を見て司令塔を行っているラウラが指示を出し、セシリアのレーザーライフル──スターライト-MkⅢの放つレーザーが仕留める。

 この三人の連携で絶対天敵は次々と倒れていき、生き残っているものもまるで誘導されているように一点へと集まっていく。そして辺りの絶対天敵が集まったのを見計らい、ラウラが上空を見上げた。

 

「今だ、百花!」

 

「オッケー! 残りは一気に片づけるよ! 邪悪を断て──勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!!」

 

 ラウラの合図を聞いて上空にいた百花が武装──カリバーンに黄金の光を纏わせ、勢いよく突き出す。

 その刀身から放たれる黄金の波動、零落白夜の力が絶対天敵のシールドバリアを消滅させ、その機体を一気に破壊。さらに放たれた光がやがてエネルギー性の大爆発を引き起こし、周辺の絶対天敵を巻き込んで破壊していった。

 

「よし、これで終わりだね。戻ったら一応シールドエネルギー補給しておかなきゃ」

 

「ええ。そのくらいの空きなら私達がフォローしてみせますわ」

 

 百花も辺りを確認しながら降下し、ラウラ達と合流。零落白夜は発動しただけでもシールドエネルギーを消費する上に広範囲へのビームに応用してぶっ放す大技ともなればその消費は絶大となり、そんな事を呟く彼女にセシリアも軽口で答える。

 

「っ!」

 

 しかしそこでラウラが上空を見上げ、「まずいぞ!」と声を上げた。

 

「げ、嘘でしょ隕石!? また新手が来るってわけ!?」

 

「こっちに落ちてきますわ!」

 

 鈴とセシリアも声を上げ、上空から落下してきた隕石が彼女らの目の前に着水。そしてその中からゴリラのように巨大な腕が目立つ、まるでゴリラのようにゴツイ絶対天敵が姿を現した。

 

「大物の登場ね……」

 

「補給の暇もなく連戦か……だがこの一体だけならば! 百花、ロード・キャメロットを使って盾役を頼む。セシリアは後方援護、私は中衛で臨機応変に動く!」

 

「メインアタッカーはあたしってわけね!」

「了解しましたわ!」

「オッケー!」

 

 鈴がぼやき、ラウラが素早く陣形を指示。それに従って三人も鈴は青龍刀──双天牙月を手に前に出て、百花は大楯──ロード・キャメロットを手にその隣に立つ。セシリアも後方でBT兵器──ブルー・ティアーズを展開した。

 

「さあ、踊りなさい! 私とブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

 

 フィン状の物体──ブルー・ティアーズが絶対天敵の周囲を踊るように飛翔、レーザーの弾雨を浴びせるもその巨体故かあまり効いた様子は見せない……が、それでいい。

 

「はあああぁぁぁぁっ!!!」

 

 セシリアの役目は陽動であり牽制。レーザーの雨に相手が気を取られた隙を突いて鈴が双天牙月の二刀流で切り込み、豪快に絶対天敵を斬りつけた。

 

「ガアアアァァァァッ!!!」

 

「させないっ!!」

 

 絶対天敵が咆哮、巨大な拳で自分を傷つけた鈴に殴りかかるもそれは百花がロード・キャメロットで受け止める。

 

「今だ、()ぇっ!!!」

 

 そこにラウラが右肩の大型レールガン──ブリッツで砲撃。放たれた弾丸が絶対天敵の顔面に直撃した。

 

「そこですわ!」

 

 さらにセシリアの腰にある砲塔が展開、放たれた二機のミサイルが追撃をかける。

 

「うりゃりゃりゃりゃりゃー!!」

 

 トドメと言わんばかりに鈴も至近距離から不可視の弾丸を放つ衝撃砲──龍砲を連射。まるでボクシングのストレートを連打しているかのような砲撃が絶対天敵の身体を抉る。一気呵成の総攻撃だ。

 

「だったら私も! 零落白夜!!」

 

 短期決戦で一気に沈める。その流れに乗った百花が声を上げ、同時にロード・キャメロットを零落白夜の青い粒子が包み込む。

 

「ブースト、ストライク!!」

 

 ぐるんと回転して遠心力で勢いをつけ、一気に殴りかかる。剣を点や線の攻撃とすればこちらは面の攻撃。絶対天敵のエネルギーシールド──虚空結界(タイムゼロ・エンド)を消滅させての直接攻撃に、ついに絶対天敵の巨体がぐらりと揺らいだ。

 

「やった!?」

 

「まだだ!」

 

 思わず安堵してしまう百花に声を上げるラウラ。ぐらりと揺らいで後ろにたたらを踏むように下がった絶対天敵はなお倒れることなく、右手の拳を握りしめるとまるでロケットパンチのようにこちら目掛けて飛ばしてきたのだ。

 

「ぐぅっ!?」

 

 咄嗟にロード・キャメロットで受け止めようとするも、巨大な質量を前に受け流すのではなく咄嗟に受け止めようとしたのが悪手。勢いに負けて盾が押され、ついには手から弾き出されてしまった。

 

「まずい……」

 

 盾を失い、無防備な状態になる百花。ただでさえさっきから零落白夜を使っているためシールドエネルギーの消耗も大きくなっている彼女にとっては危険な状態、それを知ってか知らずか絶対天敵は残った左腕を振り上げ、無防備になった百花に殴りかかった。

 

「させん! 停止結界発動!!」

 

 それを阻止しようとラウラが右手を前に突き出し、シュヴァルツェア・レーゲンの第三世代兵装──AIC(アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)を発動するも、巨大な絶対天敵相手では出力が足りないのか、ラウラが苦しそうに「ぐぅぅ」と声を漏らしているにも関わらず、振り下ろされる腕のスピードが僅かに下がっただけ。しかも稼げた時間は百花達の回避や退避には到底足りない。

 

「百花さん、鈴さん! 逃げて!!」

「く、百花っ!」

 

 セシリアが前衛の二人に逃げてと悲鳴のような叫び声をあげ、鈴は避けきれないと直感するとせめて百花だけでも守ろうと、本来盾役の百花の前に飛び出して双天牙月をクロスし即興の盾にする。だが防御用の大楯でも防ぎきれなかった大質量の攻撃を本来は攻撃の用途で使う青龍刀で防ぎきれるとは思えず、かと言って防ぎきれない質量による攻撃をぶっつけ本番で受け流せるとも思えない。

 だが逃げるわけにもいかないと鈴は覚悟を決めて迫りくる拳を睨みつけた。

 

「うおおおおぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 そこにそんな声と共に、さらに鈴と拳の前に白い機体が飛び込んだ。

 

「俺の仲間は、誰一人としてやらせねえ!!」

 

 白い機体の操縦者──織斑一夏が叫び、腰の近接ブレード──雪片弐型に手を添える。そして抜きながら振り上げるように打ち込んだ一撃が絶対天敵の拳を跳ね上げるように受け流し、同時に相手の防御を崩させる。

 

「いくぞ、白式!!」

 

 叫び、同時にスラスターが点火。一気に最高速度に達する技術──瞬時加速(イグニッション・ブースト)によって一夏は雪片弐型を振り上げたまま刃を返して上段に構え、一気に絶対天敵へと突っ込む。その時雪片弐型の刃が展開、純白のエネルギーが剣の形を取った。

 

「零落白夜!!!」

 

 叫び、雪片弐型を振り下ろす。一太刀目に閃き、二太刀目に断つ。一閃二断の太刀によって絶対天敵は一刀両断されて崩れ落ち、海へと沈んでいった。

 

「大丈夫か、百花、鈴!?」

 

 慌てた様子で白式を加速させて百花達に駆け寄るように宙を駆け、安否を問う一夏。その顔は台詞通りに焦っており、それを見た百花と鈴は安心したと共にどこかおかしくなったのか「ぷっ」と噴き出した。

 

「な、なんだよ?」

 

「ううん、別に。ありがとね一夏」

「でも警備は大丈夫なの?」

 

 突然噴き出された一夏が不服そうに呟くと鈴がお礼を言い、百花が持ち場を離れていいのかと問う。

 

「ああ。新しい隕石が落ちてきて、そこから絶対天敵の反応を確認したから、俺が増援に行くよう千冬姉ぇから指示されたんだ。俺一人でどうにもならなそうだったらすぐに連絡して、増援を呼んでもらう予定だったんだけど。まあもう大丈夫だよな」

 

 そう言って一夏は千冬に通信開始。そのまま報告ついでに指示を受けたのか「はい、はい、分かったよ千冬姉ぇ」と答えるとまた通信先で「織斑先生だ」と怒られたのか苦笑しながらこくこく頷いて通信を切る。

 

「じゃあ帰還して、念のために次の警備係だったダリル先輩達を呼んでたし時間も時間だから、もうそのまま交代していいってさ」

 

「うん。じゃあ帰ろっか」

「まだハロウィンパーティは終わってないもんね!」

 

 一夏からの指示を受け、百花、鈴、ラウラ、セシリアは帰投。一人警備を続けていた箒と合流して次の警備係であるダリルやフォルテ、マドカ達と交代。ハロウィンパーティへと戻っていく。

 

 まだまだハロウィンはこれからだ。




 というわけでハロウィン後編。これにてハロウィン三部作終了です……うん、もう言い訳のしようもなくハロウィン感なくなりましたね。仕方ないじゃないですか書いてたらバトルを書きたくなったんだから!(開き直り)
 本当はヒーローズとヒロインズのハロウィンデートを書きたかったんですが、上手くネタがまとまらずに没になり、仮装のネタが浮かんだ蓮とヴィシュヌ、ラウルとコメット姉妹がちらっと出てくるのが限界になりました。

 次こういう特別編を書くとしたらクリスマス辺りになるんでしょうかね。また何か考えてみたいと思います。
 では今回はこの辺で。ご指摘ご意見ご感想はお気軽にどうぞ。それでは。
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