神々の尖兵 作:揚物
転移歴5年、特定地域基地も建設がひと段落し、滑走路と港もようやく完成にこぎつけた。
分解輸送せずに航空機も本土から到着が可能となり、今までの不整地でも可能な小型航空機から本格的な航空偵察も可能となる。
海洋についてはいまだ、海底探査に時間がかかっており、近海以外については船を出す事は出来ない。
「上もそろそろ決断をする頃でしょうか」
「そう願いたいものだがな」
ノプロン伯爵領から冒険者や賞金稼ぎが時折送られてくるものの、基本的に追い払うだけで捕えることも避けている。
捕えていた兵士も解放はしたものの、再び兵団に加わり攻めてきたので追い返すと、悪循環に入り始めていた。
国に情報を送ってはいるものの、“待て”の指令のまま防衛だけに時間を取られていた。
それからさらに半年、いろいろな案が出された結果、平和的に“経済”で圧し潰す方針とした。もちろん専守防衛ではあるが、国民や自衛隊員を守る為なら武力も行使する。
彼らの技術程度から複製が不可能であり理解できる工芸品、そして砂金とほぼ同価値である香辛料、それらを利用し経済を支配し動かす。
教会の弾圧の教義と言っても、文明程度から言って優先すべきは“金銭”、それゆえにまずは商会を立ち上げ、時間はかかるが金を基本とした財力と影響力で物事を解決する方針とした。
外交関連に関わる可能性も考慮され、獣人王国フルーダンとの交渉を終えた阿部一等陸尉を含めた外交団を商人に偽装し、南部にある小国家群にまず入り込ませ、そこから秘密裏に亜人を退避させつつ、一地方の教会を動かし、共存共栄を主流派の教義とさせる。
見た目そのものは木製作りで時代に合わせた大きな馬車であるが、中身は高機動車である。必要であれば即座に離脱できるようにとの配慮だが、南部地域にある小国家に向かい出発、ばんえい競馬から借り受けた足は遅いが牽引力の強い馬に引かせ、大量の物資と共に小国家群の一国 トロン王国に行商人として入り込んだ。
特定基地ではさらに国境線を伸ばし、新たな国境線にコンクリート防壁の建造を開始した。
半島から北部山岳地帯まで続く20km道もある為、アスファルトではなく固められた砂利道で作られ、トンネル周辺に小さな駐屯地を設けていた。
まだ整備に二か月ほどかかるが、北部山脈を抜けたトンネルは出来上がり、許可があればフルーダン王国と正式な交易も開始される。
水路で運ぶにはあまりにも狭く、海路はいまだに調査が終わっていなかった。