神々の尖兵   作:揚物

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13.王族

 地方に住む蛮族と思われる商人、肌の色も黄色で顔も少し平たい黒髪、しかしその者達が持ち込む生地や道具はとても素晴らしい。

 全身を映し出しながら歪みも変色もない鏡など、他の商人ではいくら金貨を積んだところで手に入るものではない。

 従者が話をしている間、フォリア姫は並べられた品々を見て回り、その中で一際目を引くものがあった。

 黒地に金糸でフェニックスの刺繍が為された反物、一目見ただけでも目を引くそれは、今まで所有していたドレスが恥ずかしくなるほどの物が作れる。

 これでドレスを作れば、社交界では一躍象徴となれるだろう。

 

「ふむ。 我が主は多くの物を求めている。 この品々は全て買わせてもらおう」

 

 従者が全てを購入することを決め、金貨がぎっしりと詰まった袋を男に渡した。

 任せるには十分な従者であり、私の意思をしっかりと理解したようだ。

 

「すぐにでも使いに取りに来させる」

 

 他の従者に命じ、若いものが足早に倉庫を出ていく。

 品物を他の従者たちに混ざって検分している中、良い匂いが漂ってきた。

 

「失礼。 お茶の用意が出来たようです。 宜しければ一休憩如何ですか?」

 

 従者を含め9人分の席が用意され、ティーカップからは不思議な香りが漂い、ティーフーズには見たこともないものが置かれている。

 

「紅茶とバウンドケーキです。 出来立てではありませんが」

 

 見たこともない良い香りのする、他の従者たちが先に食したのを確認し、安全なのを確かめてから口に入れる。

 

「美味しい……、こんな美味しい物初めて食べました」

「香りも良いです。 何でしょうか一体」

「このようなもの、食べたことがありません」

 

 従者たちが驚いている中、フォリア姫も紅茶とケーキに驚き、冷静を装っていても振舞いに差が出ていた。

 

 

 

 

 阿部一等陸尉は従者たちの中に、一人振る舞いが違うものが居る事に気付き、命じてお茶の用意をさせていた。

 予想通り紅茶とケーキに驚いているようで、高貴な身分の人物が身分を隠して参加していることを見極める事が出来た。

 こっそり映像に記録することにも成功、後日何者であるかが判明したことでトロン王国への介入を決定した。

 

 

 

 

 数日後、フォリア姫は王城に運び込まれた大量の生地と不思議な道具の数々を眺めていた。

 美しい絵柄の入った軽い扇、フェニックスが金糸によって刺繍された生地、これだけでも次の夜会では目を引くことができる。

 可能であればもっと多くの物を購入したいところではあるものの、彼らの言う通り遠くにあるのならそうそう品物を手に入れる事は出来ない。

 

「どうにかもっと手に入れられないものか」

 

 第一王女とはいえ、国間の交易や交流を勝手に決められるわけもなく、せいぜい許されている範囲でお金を自由に使える程度、遠方の国から交易に来ていることから現状では限界がある。

 

「ほう、また変わったものを手に入れたのだな」

 

 開かれた扉から聞きなれた声が響いた。

 第一王子であり兄のフェリペ、金髪で体格も顔も良いが少々単純な所があり、王位継承権第一ではあるが国王からはもっと学を積むように命じられていた。

 珍しい物好きで思慮深いでフォリア姫と異なり、思慮が浅いことから問題も起こし、国内外での印象もさほど良くない。

 

「遠方の行商人から手に入れたのです。 この鏡を見てください。 他国でも手に入る事がないでしょう。 おそらくもっと珍しい工芸品もその国にあるはずです」

 

「よくわからんが、なんなら脅して献上させればいいだろう」

 

「問題を起こしたいのですか? 他国の行商人である以上、無理な事は出来ません」

 

「それなら道中で襲わせればいい。 盗賊にでも襲われたと思うだろう。 別段行商人が盗賊に襲われるのも珍しくはない」

 

 王位継承第一位である兄が、盗賊まがいの事を簡単に薦める事に、フォリナ姫は頭が痛くなる。

 

「どんな国家規模かも不明なのにできるわけがないでしょう。 兄様は少しは考えてください」

 

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