神々の尖兵 作:揚物
フォリナ姫は夜会に新しく仕立てたドレスで参加し、主催として他国の王族や貴族が参加している会場で注目を集めていた。
「なんとお美しい」
「あのようなドレスみたことがありません」
「あの刺繍、見事な物だ。 一体どこで」
称賛の声が聞こえてくる、やはり手に入れた生地で作ったドレスは人目を惹き、王女として威厳と称賛を上手く集められている。
付き人が小さな手鏡を取り出し、その歪みも淀みもない映りに皆が驚く。
「おぉ、素晴らしい」
「さすがフォリナ姫様 良い物をお持ちだ」
「一体どこで手に入れたのか、教えて頂けませんでしょうか」
夜会は大成功で終わり、参加していた他国の王族や貴族もドレスや鏡に興味を持ち、トロン王国として評価は上げることができた。
王である父には悪いけれど、これならば良い婚約相手を選ぶこともできるはず。
倉庫街では外交部隊が物資を運び込み、露店の準備を進めていた。
この地域は乾燥した暑さがあり、暑い時期に入った為に倉庫内はそれなりの暑さになっていた。
もちろん倉庫の扉から外に並べられている露店も暑く、ちゃんと着込んでいる自衛官は汗だくになっている。
自家発電機に繋げられ、倉庫内の大型冷風扇から風と共に冷気が噴き出され露店にまで届く。
「冷たい風が??」
「涼しい。 これは一体?」
不思議な冷気の風に、露店で買い物をするために開店を待っていた人達は首を傾げ、倉庫入口の方に視線を向ける。
「さて、皆さまお待たせしました。 本日もお日柄が良く、多くの品々を取り揃えております。 銀貨が必要な物は倉庫内にありますので、お一人ずつご案内いたします。 それでは開店させていただきます」
多くの人達が待っている中開店すると、すぐに人で一杯になり棚の安価な中古服や生地の品物がどんどん売れていく。
再び店が開かれたと話を聞き、急ぎ準備を整えフォリナ姫は従者たちを連れ店に向かうと、前以上に店は混雑し、ちらほらと夜会に参加していた貴族の従者の姿も見える。
「姫様、どうやら目敏い貴族たちが知りえたようです」
「わたくしのためだけに品物を用意させることも考えましょう」
筆頭従者は姫様と簡単に話を済ませ、露店の傍まで行くと、目敏くこちらに気が付いた商人の男は笑顔を作りこちらに頭を下げる。
「ようこそいらっしゃいました。 本日も良い物を多く取り揃えております」
案内され倉庫に入るなり、涼しい風が吹いているのに気付いた。
風が吹いている方向に視線を向けると、大きな箱のようなものがある。
「ふむ、この冷たい風が出るものはなんだ?」
「冷風扇と申します。 電気と水が必要ですが、暑い日でも冷たい風を感じる事が出来ます」
作りはさっぱりわからない。それでもこれがあれば城内でも、涼しく過ごす事が出来る。姫様もきっと欲しがることだろう。
「これを貰おうか」
「ご希望にこたえたいのですが、動かすのは簡単なことではなく、金貨でお売りできるものではございません」
業務用の大型品なので日本で購入しても大体35万円、さらに電源設備や発電機やソーラーパネルにバッテリーなど、知識も必要となる為売る事は出来ない。
「そうか。 それは残念だ」
フォリナ姫が倉庫内の棚に並べられた品物を見ている頃、王城ではフォリナ姫が手に入れた不思議な品の数々に、王族の人々は関心を持ち、日本として望まざる動きも起こり始めていた。