神々の尖兵 作:揚物
売り上げが上がれば上がるほど、集りなど面倒なものが集まってくる。
もちろんオーメウス教会もお布施を求め、倉庫を訪れていた。
[お布施の量が信仰に繋がる]
など中々腐敗した発言までしている。
何はともあれ阿部一等陸尉はにこやかに金貨数枚お布施として渡し、酒を飲ませて倉庫内で話をしていた。
「なるほど、神父様も大変なことですね」
「我々もお布施がないと教庁から詰められまして、いやはや金貨があるとないとでは多く変わりますよ」
酒に酔い始め、ぺらぺらと重要な事を話し始め、阿部一等陸が全てを録音していることなど、まったく気に留めている様子もない。
「様々な派閥もありますし、大変なことでしょう」
「えぇ、最近では少数派も大人しくて、主流派が横柄でねぇ。 中立派のトロン王国教会は困ってますよ」
「それで派閥はどのようなものがいるのですか?」
阿部一等陸は空になっていた神父の盃に酒を注ぎ、摘まみとなる食べ物を薦める。
「そうですねぇ。 国家共栄派が主流ですねぇ。 人間至上主義で他種族は皆奴隷であり家畜と叫んでます。 中立派は大体が民の治療と施しを考えてますね。 今は主流派に大分鞍替えしてますが」
やはりどの世界も、お金と権力が優先であり、教義を大事にしている物は少数派のようだ。
「残るは少数派ですが、その中で目立つのは旧原典派とも呼ばれ主流派とは真逆、全ての多種族は友であり奴隷や家畜扱いを否定している派閥です。 少し過激な面がありまして数は少なくても精強な騎士団まで持ってます」
日本が望んでいた教義を持つ派閥の情報、これは金貨のお布施の何倍も価値があった。
「魔物が闊歩していた時代は、原典派が民を守ってましたからねぇ。 いまだに武力を有しているのはそのころの名残ですよ」
「それはそれは、一度会ってみたいほど変わった人達のようですね」
銀貨を一枚取り出すと、そっと神父の前に出す。
神父は銀貨をみたあと、何かを察したように頷きながら懐にいれた。
「そうですねぇ。 来月訪れるときには、一緒に参りましょう」
「なぜトロン王は理解されぬ! 我々とて軍備を整えれば怯える事もなくいられるというものを!!」
王弟であるトミン公爵は執務室の机に拳を叩きつける。
ノーリスモルト王国は強大な国家、しかし10国家群が力を合わせれば、勝てない相手ではない。
それ故に大規模な軍備拡張と統一戦争の準備を上申したが、リスクがあり過ぎると却下されてしまった。
トロン王としては、ノーリスモルト王国をむやみに挑発せぬよう、戦力については民への税の重さも考え必要以上に配備するつもりはなかった。
臆病な王ともいえるが、国力と世情をわきまえているとも言え、今は静かに娘の他国への嫁入りや第一王子の嫁を他国から受け入れ、10国家の結束を強める事を考えていた。
「やはり、国を大きくするには……」
有能な者なら決して選ばない、もっとも無能な策を王弟であるトミン公爵は選ぼうとしていた。