神々の尖兵 作:揚物
王族が日本の特定基地に遊楽に来る。願ってもないチャンスではあるのだが、この国の味覚について詳細な情報がない。
阿部一等陸尉は露店に訪れていた家族に声をかけ、一般家庭や商人に集まってもらって和洋中でも人気がある50品目を僅かずつ食べてもらう。
「から~い」
「ちょっと、味が濃すぎて」
「これは、不味いなぁ」
「ふむ、香辛料をふんだんに使っているようだ。 実にうまい」
「ふん。 庶民にはこの味が分かるまい。 これは高級な食事、そうそう味わえまい」
香辛料が貴重なだけあって素朴な味と言うか、素材の味に僅かな塩が料理の基本のようだ。その為現代的日本の料理は味が濃すぎたり、舌がぴりぴりするなどあまり評価が良くない。
庶民には薄味を基本とした料理であれば好評であり、塩コショウをしただけの肉野菜炒めと、オニオンスープがとても好評だった。
しかしある程度香辛料を使える立場にある者は、味は良いと認識するらしく舌鼓を売っている。
「これ、砂糖をたっぷり使っているの!?」
「こんなもの食べたこともないぞ!」
「おいし~~!」
「これは、売れば一体いくらになるだろうか」
「この料理、作り方さえわかれば大儲けに」
ただし甘味はその類には当てはまらず、どれも非常に好評であり、レシピを聞いてくる商人も居た。
「くっはぁぁぁ! これは冷えていてシュワシュワしていて旨いな!!」
「このワイン、こんな深みのあるものを味わえるなんて」
「これは、一体!?」
安酒や安ワインでさえ男女には好評で、あっという間に用意したものがなくなってしまった。
問題は庶民や商人はこれでよいのだが、王侯貴族などの味覚が分からない。
商人でさえ香辛料が多い料理を理解できるので、おそらく好意的な感想を貰えるとは考えられるのだが、来月の露店開催日には、従者の方に試食してもらう方がよさそうであった。
特定基地
迎賓館も半島の中央付近に完成している、駐日英国大使館を参考に、小さいながらもしっかりとした
数日滞在する事にも問題はない。
食事については自衛隊の食堂及びファミレスから、個人部屋及び大広間に運ぶ。
アレルギーについて情報が全くないのが不安ではあるが、一時捕えた兵士と冒険者達から地球人と同じと確認されている。むしろアレルギーをもって大人になれる方が少ないので、気にしないほうが良いとのことだ。
もちろんルファスさんたち獣人達についても、玉ねぎなどなんとなく調子が悪くなるだけで、詳細に調べても地球の動物みたいに食用禁止と言うわけではなかった。
地球の常識がすべてそのまま当てはまるわけではなく、全てが手探りである。