神々の尖兵 作:揚物
教会からお布施の受け取りの為に二人の神父が倉庫を訪れた。
一人はお酒と金貨を受け取り帰っていったが、目的である原典派と呼ばれる神父には残ってもらった。
「いやいや、お会いしたいと思っておりましたよ」
神父と言うより騎士の様にも見えるほど体格が良く、オーメウス教の神父の服が余り似合ってはいない。
「我々になんの用だろうか」
「私どもは原典派、主に亜人の人達とも仲良くしたいと考えておりまして、皆様方に多くの寄付をしたいのです」
「ほう」
何かを感じ取ったのか真剣な目で話を聞き始める。
「亜人も平等、我々としても実に歓迎したい教義です」
阿部一等陸尉は丁寧に、そして訴えかけるように話し続ける。
「御覧の通り我々は肌の色が異なります。 さらに過激な教義となっていけば、我々も迫害の対象となりかねません。 我々自身の為、そして友である亜人の方々の為、ぜひとも原典派の方々には主流となって頂きたいのです。 そのためには原典派の方々に資金援助は惜しみません」
「亜人族を友とは、なるほど原典派と言える考えをお持ちのようだ。 色々お話を伺いたく考える」
色々話し合った結果として、一旦引き上げて検討すると言う事だが、金貨が詰まった革袋を持ち帰ってもらった。
どれだけ立派な教義と信仰があろうとも、財力がなければ何もできない。だからこそ少数派となってしまいお布施が減り、勢力規模を維持する力が減っていると考えられた。
だからこそまずは財源を支えつつ、教会内部での勢力を拡大してもらう。事によっては騎士団に食料の供給も考えても良いかもしれない。
日本が望んていた安全かつ平和的な解決方法、阿部一等陸尉が情報を上げると即座に会議が開かれ、支援先の一つとして出来る限り早く勢力を拡大させるため予算が与えられた。
特定基地 会議室
歓待する為の物資が運び込まれ、達難民団にも説明を行い、一時的ではあるがトロン王国の一団が到着したときは、安全確保のために自衛官による付き添いが行われると説明が行われた。
「人間の集団が来るとは、我々は大丈夫なのか?」
難民団の長である白狼人のルファスは危険性を危惧していた。
「我々が責任をもってお守りいたします。 元より難民キャンプ地区に近付かせるつもりはありませんので、ご安心ください」
「しかしだな。 こちらに向かっている避難民と出会った場合に、全員が捕えられてしまう可能性があるだろう」
「空から避難民は確認しております。 保護は今まで通り、避難民を確認後ルファスさんと共に車両で移動、全員を保護し車両で帰還します。 出会わぬよう最善を尽くします」
獣人のルファスも何回か自衛隊員と共にヘリに乗り、半島周辺を見て回っている。
「空……か」
あの時は恐怖に震えたものだが、確かにあれなら地上よりも広い範囲を確認できる。あれならば先に避難民を保護することも出来るだろう。
「わかった。 信じて任せよう」