神々の尖兵 作:揚物
ラジム王国での外交遊楽を終え、珍しい交易品を手に入れる為、日本の特定基地に向かっていた。
夜も近くなり、夜営天幕の中で休んでいると、女騎士が中に入ってきた。
フォリナ姫を守る女性騎士団、男騎士と問題になっても困る為、王妃と王女護衛騎士は全て女性となる。
「姫様、明日には到着できるかと」
女騎士隊長アメリ、金色の髪を短く後ろに纏め、幼いころから剣技一本で努力してきた。
「楽しみですね。 安全な場所であった場合、あなた達も交代で買い物をすることを許可します」
まだ見ぬ珍しい品々、それを得られるのならば、夜営の苦労も耐えられる。
「あの料理もあなた達も食せるように取り計らいましょう」
「姫様、ご配慮ありがとうございます」
アメリとは長い付き合い、私が他国に嫁ぐことになっても生涯護衛として共にある。
良くも悪くも長い付き合い、ちょっとした優遇や気兼ねない会話が出来る数少ない相手でもあった。
翌日、見えてきたのは小さな村のような貿易中継地点などではなかった。
「これは……」
石積みでもなく、謎の材質によって作られた高い防壁、底まで非常に深く広い堀、交易の中継地点と言うには余りにも物騒過ぎる。
王都を守っている防壁よりもはるかに巨大で強固、それが地平線まで続いている。
「これは……危険かもしれません」
堀に渡されている橋の向こう側には大きな門があり、そこから数人の男女が歩いてくる。
騎士達が警戒しているが、武器も何も持たず近付き頭を下げた。
「トロン王国フォリナ姫様の御一行ですね。 お待ちしておりました」
「我々がご案内するよう命じられております」
「まずは迎賓館へとご案内いたします」
「そうか。 では案内を頼もう」
王女護衛騎士隊長であるアメリが先陣として、馬に乗ったまま部下たちと先に橋を渡る。
そのあとを護衛騎士達がフォリナ姫を守り警戒しながら橋をゆっくりと渡るが、その先は締め固められた歩きやすく馬車や荷車も進みやすい砂利道、木々や雑草も処理され見通せる道となっている。
「今の速度ですと、夕食の時間には迎賓館に到着いたします。 皆様のお食事の用意も出来ておりますので、ごゆるりとお進みください」
今はまだ昼を少し過ぎた時間、それが夕刻までかかるとは、どれだけ広いのか。
だが、いまはそれより姫様が休む場所を確保しなければならない。
「こちらとしては迎賓館とやらが、姫様が泊まるにふさわしい物か確認したい」
「責任をもって準備させて頂いております」
夕日が暮れ始めた頃、砂利道は見たこともない一枚岩のような黒い道に変わり、進む速度も速くなり道の横には見たこともない光を放つ柱が等間隔に立っている。
驚く感情を抑えていると、明るい光が見えてきた。
「お待たせいたしました。 見えてまいりましたあちらが迎賓館となります」
石で作られた壁の内側に、規模こそ大きくはないが立派な建物がある。門も丈夫な鉄製であり何かあっても守る事が出来そうだ。
開かれた門の中に入ると思ったよりも広く、広場に200名が夜営するには十分な広さがある。建物や石壁には不思議な明かりも灯っており、篝火も必要がなさそうだ。
「注意点ですが、我々には奴隷と言うものがおりません。 その為、迎賓館内の設備の説明する者は、説明という重要な役目を担う人物であるため、暴力などはお控えください。 不出来な事があれば、我々に申して頂ければ対応いたします」
奴隷が居ない。不思議な事だが重要な中継基地ゆえにおいていないのかもしれない。
「そうか。 だが安全かどうかまずは調べさせてもらおう」
「では、あちらに居るものがご案内いたします。 どうぞ申し付け下さい」
迎賓館とやらの入り口には5人の女が装飾の無い服装で立っていた。