神々の尖兵 作:揚物
馬を部下に任せ、副長と共に侍女を連れて向かう。
「私共が皆々様へ説明をさせていただきます」
丁寧に頭を下げる動作に、5人ともしっかりと礼節を備えた者であることがわかる。
「では、中を全て案内してもらおう」
扉が開かれた中は汚れ一つなく磨かれた石の通路、明るく落ち着いた白い壁には風景画が飾られ、大きな窓には落ち着いた青色のカーテンが掛かっている。
豪華さはないが品よくまとめられており悪くはない。
「姫様の寝所は二階になっております。 どうぞこちらへ」
エントランスにある絨毯の敷かれたゆるやかな階段を上り、エントランスと同じく明るく落ち着いた通路を抜け一つの扉の前に案内された。
「こちらが主賓客をお迎えする部屋です」
扉が開かれた部屋はそれほど広くはないが、歪みのない鏡の付いた化粧台に、品の良いテーブルと椅子、天蓋の付いたベッドと一揃いちゃんとある。
念のためベッドに触れるも、フカフカで簡単に沈み込むが、手を離すとすぐに元の形に戻る。
体にかけるものも非常に軽く重さを感じないほど、王族のベッドでさえこれだけのものは存在しない。
何よりも暑くも寒くもない適温に部屋が保たれており、王城の部屋よりも快適と言えるかもしれない。
「こちらの下のスイッチを押すと徐々に暗く、上のスイッチを押すと明るくなります」
不思議な説明に、付いてきていた世話係の侍女達が何度か試しに押しているが、それに反応して部屋が徐々に明るくなったり暗くなっている。
「蝋燭の明かりではないのか?」
「我々は蝋燭は危険なので使いません。 何かあれば調整いたしますので」
何がどうなっているのか全く分からないが、少なくともこの部屋に危険性はなく、姫が滞在するのに問題はないだろう。
「まぁ いいだろう。 侍女の一人はここの説明を受けるように」
「では、次のお部屋に移動いたします」
案内役と侍女を一人ずつその場に残し、次に案内されたのは隣接する部屋、先ほどよりも少々狭いが、ベッドを除いて同じような道具が揃えられ、ベッドも天蓋がないだけでそのほかは同じに柔らかく肌掛けは非常に軽い。
「このような部屋があと二つ御座います」
「そうか、ここも良いだろう。 侍女が一人残り説明をきいておくように」
「次は一般の方々がお泊りになれる部屋となりますが、お一人ずつご用意するわけにもいかず、会議室などにベッドを置いております」
一階に案内され、大き目の扉を開くと中には沢山の二段のベッドが置かれている。100人程度は眠れるだろうか。
確認の為ベッドに触れてみると、さすがに姫様のベッドなどより質は落ちるが、十分に柔らかく質も良い。
「二つの部屋と合わせて220名が眠る事が出来ます」
各部屋の設備やお風呂にトイレ等を十分確認したのち、姫を案内し交代で警備を行いながら夕食の時間をまっていたが、姫に呼び出され主賓客室に赴いていた。
「アメリ、どうかんがえます?」
「……少なくとも、建物や調度品については我が国を上回ります。 この蝋燭ではない明かりも、さっぱりわかりませんが非常に明るく匂いもありません。 部屋だけではなく屋敷全体の温度も一定であり、水も潤沢に使えます。 国力の底が見えません」
姫と共に多くの国を遊楽で訪れ目にしてきたけれど、これだけの国は見たことがない。
「珍しい品々を手に入れるつもりが、危険な場所に来てしまったかもしれませんね。 警戒を厳重に、ですが決して手を出さぬように」
「部下達に伝えます。 姫もお気をつけますよう」