神々の尖兵   作:揚物

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33.庶民2 生活

 トロン王国が再制圧されて半年、王都を囲う防壁の建築も大体ひと段落が付き、輸送されてきたコンクリート壁に囲まれた内部は、巡回する騎士によって厳しくルールや規律を守るように律しられていた。

 堅苦しいと言う者もいるが、守る限り何かが起きても厳密な法に則って守られる為、横暴な貴族や攻撃的な住民以外には好評であった。

 堅牢な見たこともない材料で作られた広大な防壁の中は、獣や盗賊に怯える事もなく便利な生活が約束されている。

 規律は厳しくとも、ここを出て暮らすというほうがはるかにつらいことは誰しも理解できた。

 

 

 

 井戸端会議ならぬ水道会議をしている婦人方の近くには、水道の使い方や注意などをする兵士が立っている。

 いままでも水を汲みに行く必要があっても少し離れた場所にしかなく、汲み上げる作業も一苦労であったのだが、今はスイドウという集合汲み所で簡単に桶や壺に入れる事が出来る。

 日本としては一軒一軒も考えたのだが、そこまですることはさすがにできず、昔ながらではあるが集団で使える公衆施設を多く設置する手法を選んだ。

 

「便利になりましたねぇ」

「本当ですねぇ。 井戸水よりも綺麗ですし、楽に汲めますよ」

「ルールは厳しいけれど、外より安全なのもいいわ」

 

 王国の取り組みに不満はあっても、婦人達にはおおむね良好に思われていた。

 長々と井戸端会議をしている中、教会の鐘の音が鳴り時間を知らせている。

 

「そろそろ時間だわ」

「あらあら、急がないと夫や息子が待っているわ」

 

 婦人達は会議をやめて家に帰り、家族と共に食料を持って広場に移動すると、人々が食べ物をもって集まり、テントの受付に提出し板を受け取っていた。

 

「はいはい、ちゃんと並んで並んで! 急がなくてもちゃんとあるから!」

 

 特別配給、麦や野菜を持っていくと、その量と質を判別され、ランク付けされた食事が配給される。

 

「そこのぉ! 並ばんのなら捕えるぞ!!」

 

 時間と言う概念を理解させることと、規律を守り順番に並ぶことを慣れさせ、焦ったり奪ったりする必要のなく、ルールを守れば必ず得られるという安心を植え付けていた。

 

「熱いから気を付けてくださいね」

 

 受取所で札を出すと、トレーに乗せられた料理が渡される。適切に香辛料が使われ、お野菜とお肉がたっぷり入ったカレーライス。

 最初は見た目から余り人気はなかったが、後を引くその味は好評であり、いまでは時間になる前から並び始める国民も出始めていた。

 日本としても野菜をたっぷり使って作ったカレーは栄養を補助する役割もあるため、国民の健康促進を考え、毎週金曜日の昼は必ず開いていた。

 

A:チーズインハンバーグカレーライス・ジュースとデザート付き

B:カツカレーライス・デザート付き

C:カレーライス

 

 人々はトレーに乗ったカレーライスを受け取り、広場の思い思いの場所で食事を始める。

 

「本当に、ニホンと同盟を結んでから、豊かになったなぁ」

「テネシ女王様には感謝ですねぇ」

 

 この特別配給は王族の名をもって開かれている。だからこそいままで感謝もしなかった王族に対して、なんらかの感情を持つものが増え、少しずつだが忠誠心というものが生まれ始めていた。

 

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