神々の尖兵 作:揚物
獣人避難民団が自給する為に、この世界由来の大麦だけではなく、食料生産効率の良いお米の栽培も試験的に導入を始めていた。
失敗する可能性を考慮し、大規模に行ったのだが、獣人の人々は非常にまじめかつ丁寧に大事に大事に育てたので、鳥や虫に食べられたほんの少しを除いてどの水田も大豊作だった。
収穫した量は、避難民全員が毎食腹いっぱいごはんを食べたとしても、2年分はお収穫できてしまっている。
「まさか、作物が獲れすぎて困るとは、初の思いだ」
「困りましたねぇ」
狼獣人のルファスは初めての事にどうしたものかと、農業や食料を担当している獣人達と話していた。
食べ方は以前からの配給で良く分かっているのだが、食べれるように加工する方法となるとよくわかっていない。
「ここはやはりニホンに相談し、色々加工方法をきくのが一番か」
話をしにいくと自衛官はあれこれと準備を始め、料理を担当している食堂に移動する。
「では、粉にしてパンや団子に加工しましょう。 精米や粉にする方法も教えますので、以前作った水車を使いましょうか」
木工加工は生活の向上として、水車なども作り脱穀なども指導されていた、今では教えられた作り方で作成されていた木工品も、一部は日本に販売している。
それからあれこれと手順を踏み、そのままの玄米から白米まで精米したもの、そして米粉まで石臼でひいて作ったパンやお団子と色々作ってみるが、どれも腹持ちが良く食べたという充足感がある。
「米とは便利なものだな。 これなら冬も飢えずに済む」
「これなら避難民が増えても大丈夫ですね」
ルファス達は米の加工・調理方法を聞きそれが多様であることに驚いていた。
「余ったものや古くなったものは、家畜のえさにすれば無駄もありません。 次回はもち米など植える種類も増やしてみましょう。 お米に関しては我々が一部買い取っても構いませんよ」
数は多くないものの、米の一部はジエイタイに買い取ってもらい、冷蔵保管庫の一部を借り受ける事となった。
数日後、定期的に避難民村を長である狼獣人ルファスは見て回り、問題や要望がないか確認している。
「農地も順調だな」
日本から提供された様々な農作物を植えて広がっていく農地、期待されているてん菜の収穫は出来ていないが、あと一月程度で収穫も可能となり、新たな食材としてサトウと言う物の加工も始める予定となっている。
自給自足、そしてものによっては自衛隊への食料の販売、少しずつではあるが着実に避難民団は、日本の手助けがなくても自活が出来始めている。
「ぼーるとってー」
村を見回っているとボールが足元に転がってきた。
日本のジエイタイがくれた遊具、狼や犬獣人には人気の玩具となっている。
「おっと、気を付けなさい」
ボールを投げて渡し、子供達はボールをもって広場に走っていく。
子供達もだいぶ増え住居地域は活気にあふれている。
村を一通り見て回り、最後に海に向かう。
海岸には風車を使った落下式塩田が動き、濃くなった塩水を釜で煮詰めて作っていた。
作れる量は多くはないものの、塩も立派な調味料であり交易物資、海が化学物質でまったく汚れていないミネラルたっぷりの塩は日本が高額で買い取り、日本国内で販売されている。
一方で日本を信頼してきたことで、獣人王国に行かない事情も日本に話したが、日本にとってはあまり良い内容ではなかった。
鳥人、空を飛ぶ彼らを嫌い国から追放した。それも4代前の王から続いていることで、同じ亜人を追放した同胞を信頼できず、ルファス達はそれが納得できずに国を出ていたと。
それを知った日本は酷く落胆した様子を見せ、話してくれたことに感謝の弁を述べていた。
彼らが言っていた 迫害を止める という目的、それに対応する為獣人王国と接触を持ったはずだが、その国でも迫害に近いものが行われていると知り、衝撃を受けたようだ。